髪結い伊三次捕物余話 明日のことは知らず

  • 文藝春秋 (2012年8月9日発売)
3.82
  • (12)
  • (34)
  • (18)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 227
感想 : 24
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784163815800

作品紹介・あらすじ

人気の髪結い伊三次シリーズ最新作は、人情味あふれる短編6作を収録。

あやめを丹精することが生きがいの老婆が、庭で頭を打って亡くなってしまう。彼女の部屋から高価な持ち物が消えていることを不審に思った息子は、伊三次に調査を依頼する。暗い過去を持つ、花屋の直次郎が疑われるが……。(「あやめ供養」)

伊三次の弟子、九兵衛に縁談が持ち上がる。相手は九兵衛の父親が働く魚屋「魚佐」の娘だが、これがかなり癖のあるお嬢さんだった。(「赤い花」)

浮気性で有名な和菓子屋の若旦那は、何度も女房を替えているが、別れた女房が次々と行方知れずになるとの噂があった。このことを聞いた伊三次は同心の不破友之進に相談する。(「赤いまんまに魚そえて」)

伊三次の息子、伊与太が心惹かれ、絵に描いていた女性が物干し台から落ちて亡くなった。葬式の直後、彼女の夫は浮気相手と遊び歩いていた。一方、不破家の茜は奉公先の松前藩で、若様のお世話をすることになっていた。(明日のことは知らず)

仕えていた藩が改易になった男。知り合いの伝手を辿って再仕官しようとするが、なかなか上手くはいかず、次第に困窮していく。(「やぶ柑子」)

「不老不死の薬」を研究していた医者が亡くなった。彼の家には謎の物体が残されていたが、ひょっとしたらそれが高価なものかもしれないと思った家主は、伊三次に調べてもらうことに。(「ヘイサラバサラ」)

伊三次の周りの人々が、さらに身近に感じられる一冊。

みんなの感想まとめ

人情味あふれる短編が収められたこの作品は、主人公伊三次やその周囲の人々の生活や心情を丁寧に描いています。シリーズの魅力は、江戸の人々の温かさや、家族や友人との絆が感じられる点にあります。今回は、事件解...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 最近は、子の世代とか、不破家の話が多く、主役の伊三次が端役に甘んじていたが、この巻は、久しぶりに伊三次とお文が活躍。「帰ってきたね、大統領!」という大向こうからの声?
    相変わらず、ホッと安心できるシリーズもの。作者も、作家生活の限り、書き続けると言っているので、これからも楽しみ。

  • 髪結い伊三次捕物余話シリーズ、ハードカバーで出てる分の最新刊です。
    図書館で予約を入れ、やっと読むことができました。

    次の方がお待ちなので急いで読んだのと、
    今朝はどうにも気が晴れず勉強しても上の空。
    お仕事も冴えない感じなので、必要なお仕事を仕上げたあとは
    大好きなこのシリーズを読むことに決めました。

    読了まで2時間。

    やっぱりこのシリーズは良いです。

    人情に厚い江戸の人々を生き生きと描いて、
    私を時代小説ファンにしてくれたシリーズ。

    主人公の伊三次さんは四十路に手が届いたばかりの働き盛り。
    恋女房の芸者、お文姐さんも相変わらずの気っ風の良さです。

    今回は事件の解決に奔走するというよりは、彼らの生活の周辺の
    エピソードを、心の動きを大事にして描いてる感じです。

    伊三次さんの倅の伊与太さんと娘のお吉、そして弟子の九兵衛さん達
    子供の世代も、いつまでも子供じゃなく、青年期に差し掛かって
    頼もしくなってきました。

    親の世代もまだ若くて元気で、颯爽としているし、
    一番満ち足りた状態の時期ですね。

    それぞれが浮世の風の中で人の心を慮ったり、仕事に泣いたり
    家族や近しい人に胸を温められる様が、今に通じる繊細さで描かれて
    爽快感と、ほの温かな優しい読後感で、次を読むのが楽しみです。

    このシリーズ、是非時代小説を知らない方や、
    若い女性にもお読み頂きたい。

    時代小説って、ご年配の男性だけがお読みになるものじゃないです。
    どんな世代の方にも訴えるジャンルだと、私なんかは思います。

    宇江佐真理さんの作品に出会えてホントに良かったです。

  • 「「髪結い伊三次」シリーズの最新刊。宇江佐真里の一番人気のシリーズでもっとも安定感のあるものでハズレが無いのが何よりだ。今作も及第点以上の出来映えであり買って失敗は無かった。

    このシリーズも既に第十二巻を数えるのだが、元々は廻り髪結いをする傍らで伊三次が臨時廻り同心・不破友之進の捕物の手助けをする事件を描いていたのだが、いつの間にやら伊三次とその芸妓であり女房でもあるお文を中心とした人情物語の色合いが強くなり、今作も捕物は殆ど出てこない。

    シリーズを続けるうちに主人公が勝手に動き出してくることは長編作においてまた人気シリーズにおいては良く有る話で、それ自体には何も不満も無い。しかしながら、前作あたりから気になる点がある。それは伊三次の息子が髪結いを継がずに絵師に弟子入りすることと、そして不破の娘・茜が松前藩の江戸藩邸に奥女中として務めるということだ。この二人を取り巻く話題がちょっとばかり物語全体からすると違和感を覚えてしまうのだ。

    様々な想定がありこの二人を描いているのだろうが必ずしも他の物語と繋がりがスムーズではなく、二人の話しについては何か唐突に挿入される印象が強い。上手く登場人物を手の内に入れてしまえないというのだろうか、勝手に暴れだしてしまっているというのだろうか。

    宇江佐真里が果たしてこの二人を自らの手の内に手懐けてまた新しい命を吹き込むことができるのかどうかで、本シリーズの先行きが占えるような気もする。

  • 2023年3月28日
    浪人生活を忘れないようにとやぶこうじを持って行くその人柄が良い。
    良い人間関係に恵まれるのは人柄も大いに関係するが、運も大きいだろうなぁと考えてしまった。

  • やっぱりこのシリーズは良い。
    やるせなさと深い人情で紡ぎ出された物語の数々。

  • 図書館で伊三次余話シリーズ三冊を見つけたときは
    舞い上がりました
    新しい本って最高!

  • 九兵衛の結婚話も出るようになってきたのね。
    みんな成長したわ。

  • 伊三次のシリーズももう12巻にもなるのか。そら伊与太も大きくなるわなぁ。
    と感慨深くなる1冊。

    いつものとおりばっちり安定した出来の市井人情もの。時代小説を色々と読むようになったけど、不出来少なくブレない安定感なら宇江佐作品、その中でもやっぱり伊三次のシリーズがほっとできて良い。

    今回もやたらゾワゾワするような大きな事件も起きず、世の中なんてのは人間が少々騒いだってなるようにしかならないようにできていて、その中でどう一所懸命生きていくのか、考えたり感慨にふけったりできた良作だった。

    中でも伊三次の弟子、九兵衛の台箱をあつらえる話と、謎の物体「ヘイサラバサラ」の正体を追いかける話が良かったかな。

    あえて言えば、茜の武家奉公話は、ちょっと浮いてるので別シリーズにした方が良いように思う。

  • 久々、伊三次とお文夫婦がメインです。
    やっぱり、この二人が活躍しないとね。

  • 2013.4.15


    髪結い伊三次シリーズ
    新刊が出てるとつい読んでしまう。

    読みやすい作家さんです。

    あやめ供養、九兵衛と直次郎のとこ、よかったな。

  • 宇江佐真理さんの作品の中で一番好きなシリーズです。
    伊三次とお文が結婚する前から読んでるから、もはや近所のおばちゃんのノリです。

    どこかせつない内容のものが多く、生きるって苦しいけど楽しいな。とかささやかな幸せってこういうことかな。と思わせてくれる本です。

  • 宇江佐さんの人情ものは大好きでほとんど読んでます。これも良かった。

  • シリーズ物なので、安心して読める
    アヤメの咲く頃から始まって
    一冊で春夏秋冬が巡る
    今頃の季節で読み終わって、ホッとする
    日差しが暖かくなってきて
    春が近いと感じる

  • お馴染みの登場人物が徐々に年を重ねて、あるいは成長して行くのが、嬉しいような、淋しいような気持ちになる。シリーズ物っていいよね!

  • 大好きなシリーズでワクワクしながら読みました。
    今作は伊三次ファミリーを中心としていたので馴染みの顔ぶれが出てくるのが嬉しい。
    二時間ほどで何のつかえもなく読み終えたんだけど、すらりと読めた感じが逆に物足りない…。
    例えば「やぶ柑子」の話なんかはもう少しひねりや深みが欲しかった。そりゃ町人目線ではお家再興がどうのこうのと限界があるんだろうけど。
    主要人物の行動パターンにも限界を感じるので、何か新しいアクションが欲しいと思ってしまう。子供世代はあまり興味が持てない。
    次回作にまた期待したいなあ。

  • このシリーズは、安心して読めますね。
    伊与太と茜が切ない感じで、二人の今後が気になります。

  • L 髪結い伊三次捕物余話11

    連載していたときは読んでないので、前作からどれだけ時が経ってるのかドキドキしながら読み始めるも、まだ伊三次が40そこそこくらいのようなのでホッ。主要メンバーはお文も皆息災で良かった!なにかにつれて皆辛い憂き目にあってるけど伊三次とお文夫婦は支え合って生きている。
    粋な話がてんこ盛りでさすが伊三次シリーズ。場外的に動いてる話もあるのでまだまだ孫を持つまで続くのか。いや、続いてほしい。
    呑気に首括り。ウケるなぁ。

  • 「オール讀物」に掲載された6話の単行本化で、シリーズ11作目。

    宇江佐真理の小説は、登場する人々の人情の厚さにほろりとさせられる。
    そして結末の文章がいい。

    「きっと九兵衛は自分の台箱の謂われを語るとき、あやめの花と美佐のことを忘れずに言い添えるだろう。亡くなった人を忘れないことが本当に供養なのだと、伊三次はこの頃、つくづく思うようになった。」(あやめ供養)

    「伊三次は黙って二人の後ろ姿を見つめていた。取るに足らない二人の仕種に深い情が通じていた。それが伊三次の胸を暖かいもので満たした。佐登里は松助とおふさにとって紛れもなくこの世にひとつの赤い花だった。」(赤い花)

    「夜が明ければ、伊三次には、また、決まり切った日常が待っている。伊三次はそれがいやではなかった。何事もない日常がありがたいと思う。それは自分が年を取ったせいだろうか。
    明日も明後日もそうであってほしい。」(赤いまんまに魚そえて)

    「やぶ柑子がどんなものか伊三次はわからなかった。いや、眼にしていても気づかないだけだろう。(中略)隼之助は毎日、やぶ柑子を眺めて過ごしていたのだろう。憂いに沈んだ隼之助の眼に、やぶ柑子はどんなふうに映っていたのだろうか。それを聞いておけばよかったと思う。」(やぶ柑子)

    「この世には人が想像もできない不思議なものがある。それを知ることも生きていればこそだ。するとヘイサラバサラも沈香も生きている証に思えてくる。それらは決して人のためになる目的でこの世に現れた訳でもないのに。人は自然の様々な恩恵を受けて生きている。いや、生かされているのだと伊三次は思う。」(ヘイサラバサラ)

  • やはり、安定したおもしろさ。
    いきでいなせな江戸の市井の人々の生活に、思わず引き込まれる。

    人情に厚いが、かといって深入りもせず、時たまハッとするような思いやりをみせる伊三次とお文夫婦の魅力がこの作品の核となっている。
    二人の子供達の成長も本当に楽しみだ。

  • 【収録作品】あやめ供養/赤い花/赤のまんまに魚そえて/明日のことは知らず/やぶ柑子/ヘイサラバサラ
     子どもたちの成長がほほえましく、また、頼もしく感じられる一冊。シリーズ物の醍醐味といえる。

全22件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宇江佐真理の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×