烏に単は似合わない 八咫烏シリーズ 1

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163816104

作品紹介・あらすじ

人間の代わりに八咫烏が支配する世界で始まった、世継ぎの若宮の后選び。大貴族四家から後宮へ遣わされた4人の姫君はそれぞれの思惑を胸に后の座を競うが、肝心の若宮が一向に現れないままに次々と事件が……。
松本清張賞最年少受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 姫様方のつばぜり合い。
    火花も散れば恋も散る。

    相手に良かれと思って
    したことが状況をより
    複雑にして、

    その相手や周りの人達
    を苦しめる様が在々と
    描かれてます。

    そう、その相手を思い
    やる言動は、

    実のところ自分の想い
    に酔ってるだけでは?
    ・・・って私もドキッ(汗

    まあこんなにチヤホヤ
    されてたら自分に酔う
    のも致方なしですかね。

    頭の中で、女優さんを
    勝手にキャスティング
    ・・・

    お、大河風でなかなか
    良きかも♪

    ただこれ衣装代かかり
    すぎだわ(笑

  • 新たなシリーズものに手を出してしまいました。若宮を巡る四人の姫の攻防が面白かった!
    キャラが立つとは、まさにこのこと。四人の生い立ちや個性が全く違っていて、誰が若宮に選ばれるの?と、ドキドキしながら読んだ。
    そしてラストは皆さんと同じく、しっかり騙されてしまった。
    どんな風に続編は続いていくのかな?

  • 平安王朝風ファンタジー。
    構成はむしろミステリかも。
    若い作家さんのデビュー作で、ラノベかアニメかというキャラ設定ですが、面白く読めました。

    「八咫烏」が支配する世界「山内」。
    宗家の世継ぎである若宮のお后選びが行われます。
    四つの大貴族の家からそれぞれ姫君が選ばれて登殿し、桜花宮で1年間暮らすことになっていました。

    東家のあせびは、桜花宮の春殿へ。
    南家の浜木綿は、夏殿へ。
    西家の真赭の薄は、秋殿へ。
    北家の白珠は、冬殿へ。
    (真の名は公開しないしきたりのため、仮の呼び名ですが)

    あせびは当主の次女で、長女のピンチヒッター。
    お后を目指す教育を受けてきた姉とは違い、屋敷から出たこともなく暮らしていたのが、すべてを初めて見聞きし体験するという展開に沿って、読者もだんだんと宮殿のことを知ることになります。
    若宮の実妹の藤波は、あせびと知り合いで、無邪気に気に入ってくれている様子。

    華やかな美女で口も達者な真赭の薄(ますほのすすき)。
    きりっとして気取りがなく大人っぽい浜木綿。
    小柄で色白、お人形のように綺麗だが無表情な白珠。
    おっとりとして琴の演奏には才能がある、あせび。
    それぞれの家の事情や権力争いが背景にあります。

    贅をつくした御殿で、季節の催しが華やかに行われますが。
    肝心の若宮が姿を見せないまま、次々と事件が起こります。
    峻厳な山の内に宗家の宮殿があり、周りに大貴族の館があるんですね。
    仕える召使達は烏にも人にも変身できるという設定。
    宮烏ともいわれる貴族は人の姿のままだけど、本質は同じ。

    お姫様方が烏である必然性がないので、そんなことは忘れて読み進んでしまいます。
    白珠の初恋はあまりにも幼いけど、切々と展開し、引き込まれました。
    先を予想させる要素がちらほら出てくるものの、はっきりとは限定されていないのが、これはもしかしてミスリード?と思わせ‥
    最後に怒涛のように謎が明かされます。

    20歳の大学生が書いたにしては、色々な場面の描写で飽きずに読み進められるし、しっかり考えられている構成。
    ああ、あれはそういうことだったのね~と、トントンと繋がっていきます。ただ、ミステリとしてはフェアとまでは言えません。
    ファンタジー設定を前もって全て書き表しているほどではないので、え、そうなの?と思うところがあり。
    心理的に、というか、読者の心情として、ここまでは無理でしょうという部分も。

    若宮の登場が唐突で、感情移入できないため、その推理間違ってるんじゃないのと言いたくなってしまう(笑)
    何を偉そうに‥いや偉いんだろうけど(苦笑)
    最後に一発だけ、へこまされるところに思わず一番納得してしまいました。
    タイトルの意味は、読み終わるとわかり、なるほど!と。
    欠けている部分を補うようなものなのか?若宮の視点での作品に続くようです☆

  • 日本神話にも登場する「八咫烏」が支配する世界を描いたファンタジー。
    平安時代の後宮を思わせる人物・舞台設定と、物語のミステリアスな進行が面白い。

    すっかり騙された。
    真相が分かった途端、可憐な笑顔の下に隠された女の強かさに鳥肌が立った。
    振り返ると、確かにあの女は胡散臭い。
    「悪意が無ければ、全てが許されるのだと知っている」女の怖さ。
    そしてその女に対して、はっきりと拒絶の言葉を投げる男の爽快さに救われた。
    幼馴染の悪友との再会と、花見台での笑顔の訳にきゅんとなった。

    そんなもの着ても着なくても、何も変わってない、と。
    お前はいつだって、一番強くて素敵だった、と。

    ラストの文章で表題の意味が分かる。
    このシリーズはこのまま追いかけていきたい。

  • 平安絵巻を彷彿とさせる、絢爛豪華なファンタジー。
    舞台は八咫烏一族が司る宮廷。
    日嗣の御子のお妃候補として登殿した4人の姫君。
    春のあせび・夏の浜木綿・秋の真赭の薄・冬の白珠。
    そして、なかなか姿を現さない若宮。

    とにかく姫たちの衣の描写が美しくてうっとり。
    蘇芳・瑠璃紺・山吹・露草・紅・薄萌黄・檜皮色・・・
    世の中には、こんなに美しい”色”があるんですよね。
    登場人物の名前の由来はあの和歌から?などと思い巡らしたり、
    古典や着物が好きな私は、もうそれだけでうれしい。

    白珠の初恋には泣きました。
    真赭の薄の意外に男前なところも、浜木綿の清々しい潔さも魅力的だけれど、
    王子様は結局、無邪気なお姫様を…といった少女マンガ的な結末と思いきや、
    そうではありませんでしたね。
    松本清張賞ということで、ミステリーなんだろうとは思っていましたが、
    まさか、まさかの鮮やかな反転でした。

    満を持して登場した若宮の見事な(?)お裁き。
    それが少々鼻につくところもあったので、
    「ガツンと一発」に驚きながらも、よくやった!(笑)
    続編が楽しみです。

  •  NHKでアニメ化されると知り、手に取りました。著者にミスリードされ、最後はあっと言わせる展開に続きが楽しみになりました。これが映像化されたら、どうなるのだろう(正式な原作は次の「烏は主を選ばない」ですが)というのも。
     無知は罪である事、自分の身内を殺した者やその娘にも情けをかけるなど、若宮や主要な4姫のキャラクターが際立つ中、謎解きがしっかりしていてあっという間に読了しました。

  • 王道で進んでいた物語がストンと切り替わるのが気持ちいい。
    作中で髪を切る場面のある姫が一番好き!(ネタバレに配慮してみる)
    烏である必要や習性はちょっと飲み込みきれなかったが、次巻以降で明らかになっていくのかな。

  • 設定はおもしろいが、主人公の視点が次々と変わり、読みにくい。力量のある人が取り入れるのは効果的だが、この著者はまだ…。無邪気な悪意にはうなづけるが、驚かせようという意図が前面に出過ぎて、また人物像があまりにも漫画的で、深みに欠ける。

  • ゾッとした。「こんなお后選びの結末誰が想像する?!」「今まで私が見てきたことはなんだったんだろう?」と思ってしまった。
    この本は、八咫烏の世界を舞台とした宮廷ファンタジー。表紙の女の子4人がお后好捕です。
    可愛らしい華やかな表紙とは裏腹に、ミステリー小説系初心者に、この結果は衝撃でした。
    大奥?宮廷物語?マジでいろんな意味で騙されました…!と共に、女ってやっぱ恐いし、想定外の動きをする。
    負けるなよって応援してたのに。。泣

  • 白珠の絶望からの狂気が、地の文としての描写ではなく一連の台詞が、すごく良くて
    昂りというか抑揚というか言い回しとして具体的に想像が出来すぎて
    なんかもう、物凄く自惚れたことを言うと、めちゃくちゃ演りたくなった。
    人物としてとか、俯瞰としてじゃない、単純に純粋に台詞そのものがここまで刺さるのって珍しい気がする。

    その直前の身分違いの恋が、人物設定があまりにもべたすぎて
    更にはのちの結末が、あれだけ盛り上がったのに……!となってしまったので(我ながらひどいことである……)
    落差が激しすぎる物語だ、という印象。
    でも何だか、どのこも、書きたくて書いたんだろうというのは全体からひしひしと伝わって
    当時二十歳という若い作家さんのデビュー作だから、そういうの、すごくすてきだと思って
    最後まで読み終えたら、諸々荒削りではあるんだけど、これは期待したくなる。。と思った。

    それにしてもあせびがこわい。笑
    白珠を場違いにも美しいと感じた時点で、え、なんだこのこ、、とはなったけれど
    描写として、やりたかったのはわかるけれど、著者さんあせびにそれをさせちゃうんだ、いや他の子ならしっくり来るというのでもないけれど、とか思ったりもしていたら
    終盤のあれである。びっくりする。

    書店で大々的に推されているのを見掛けて、でも何となく見た某所が酷評だらけでつい一旦止めて、そういえば気になっていたなあと今回改めて思い出して、ここではそうひどくも言われていない風だったので自分の目でちゃんと読んでみようと思い直して手に取ってみた。
    結果、そんなに酷評する程?と思った。

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2023年 『烏は主を選ばない(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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