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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784163817903
作品紹介・あらすじ
1999年、台湾に日本の新幹線が走ることになり、入社4年目の商社員、多田春香は現地への出向が決まった。春香には忘れられない思い出があった。台湾を旅した学生時代、
よく知らないまま一日を一緒に過ごした青年がいた。連絡先をなくし、それ以後ずっと会えないままだった……。台湾と日本の仕事のやり方の違いに翻弄される日本人商社員、車輛工場の建設をグアバ畑の中から眺めていた台湾人学生、台湾で生まれ育ち終戦後に日本に帰ってきた日本人老人、そして日本に留学し建築士として日本で働く台湾人青年。
それぞれをめぐる深いドラマがあり、それらが台湾新幹線の着工から開業までの大きなプロジェクトに絡んでいきます。政治では問題を抱えていても、日本と台湾の間にしっかりと育まれた個人の絆を、台湾の風土とともに色鮮やかに描く『路(ルビ:ルウ)』。大きな感動を呼ぶ、吉田修一さんの渾身の力作です。
みんなの感想まとめ
テーマは、日本と台湾の人々の絆とそれぞれの人生が交錯する様子です。物語は、台湾での新幹線プロジェクトを背景に、商社員の多田春香が大学時代の思い出を追い求める姿を描きつつ、台湾の歴史や文化を鮮やかに表現...
感想・レビュー・書評
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日本と台湾。人と人、想いと想いが繋がる素敵なお話でした。台湾のことを何一つ知らなかったのですが、台湾の歴史や観光地、美味しそうな料理に朗らかな人柄が感じられて台湾に行ってみたいと思いました。
何気ない日常も特別な出来事も人生の中では連続して繋がっている。何気ない日常の何気ない会話が後になって大切な思い出になっていく。ついつい見逃されてしまう何気ない日常を大切に生きようと、横道世之介を読んだ時のように感じられました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本の新幹線が台湾を縦断する。2007年に台北市から高雄市までの345kmを最高速度300km/h、所要時間約1時間30分で結ぶ高速鉄道が開通した。日本が、新幹線の車両技術を輸出し、現地導入した歴史を背景に、日本人と台湾人の登場人物たちの心の繋がりを彼らの歩んできた路、歩む路、歩んでいく路が描写されている。そこから日本人、台湾人と人種を区別することなく、つまり「環境により形成された人格、人種ではなく、人として国境を越えて共通する人格」が感じられた。
1つ目の路は、多田春香と劉人豪(エリック)の路。
大井物産の台湾新幹線事業部に勤務する多田春香は、プロジェクトメンバーとして台湾へ出向することになる。新幹線開通の実現への希望もあるが、大学時代に台北で出会った台湾人・劉人豪(エリック)を探すためでもあった。偶然の出会いから9年目の再会。過去の出会いがふたりの現在に影響を与えていることに、ふたりの路が見える気がした。9年目にして、ようやく繋がったふたりの路の話。
2つ目の路は、安西誠とユキ多田春香の路
春香のプロジェクト同僚である安西誠は、台湾高鉄の日本窓口である黄忠賢、ジャック・バルトからの難題からのプロジェクト遅延による心労と過労がたたり心身共に壊してしまう。日本に残された安西の家族からは冷たい理解しかない。そんなときに「クリスタル」の台湾人ホステス・ユキと出会い、ユキの優しさに影響を受け、神経質な日本人から大らかな日本人へと変わっていく。台湾でつながった安西とユキの路。未来にむけて、手を取り合って一緒に進んでいくふたりの姿が目に浮かぶ。
3つ目の路は、葉山勝一郎と中野赳夫の路。
台湾から戦後、引き揚げてきた葉山勝一郎は、長年連れ添ってきた幼なじみの妻・曜子に先立たれる。ある日、郵便受けの底の大きな封筒に入っていた小冊子「はるか我らが台高」と書かれた旧制台北高校同窓会の会報誌を見つけた。台湾で生まれ育った勝一郎は、引き揚げの際に親友の台湾人・中野赳夫から曜子への恋心を聞かされ、中野に差別的な言葉を発し、自分の中での蟠りから疎遠となっていた。妻亡き後に、エリックとの縁により台湾に行く決心をし、中野と再会することになる。妻との路は終わったものの、引き揚げ後から途切れていた友情の路が、現代でまた繋がる路。人の絆の深さのようなものが感じられる話であった。
最後の路は、台湾人同士であるが、陳威志と張美青の路。
陳威志は、高校卒業後、定職を持たずにふらふらとアルバイトで生活をしていた。カナダ留学をしていた幼馴染み・張美青が妊娠をしたことをきっかけに戻ってきた。戻ってきてからの張美青の真面目に生きていく姿をみて、ようやく彼女と自分の将来を真面目に考えるようになり、台湾新幹線の車輌工場に就職する。結婚を夢見て、初めてやる気を見せる威志。幼い振振が、ふたりの間で手を握って歩んでいく路が見える。
台湾新幹線プロジェクトへの路と、登場人物との路を交差させながら、異国情緒や異国の慣習も描写されており、台湾に関心が持てるようになった気がする。 -
これこそが待ち望んでいた吉田修一だ、そう思った。
読み始めてすぐに本の世界にどっぷりと引きずり込まれてしまったような感覚になった。台湾の街のざわめき、入り組んだ路地、熱帯植物が色鮮やかに浮かび上がってくる。情景描写がすばらしい!
どんどん先に読み進みたいけれどずっとこの世界に浸っていたい、そんな相反する気持ちになる小説だった。
決して大きな事件が起きるわけではない。激しい恋愛があるわけではない。むしろ交錯する人物たちそれぞれの物語が淡々と語られていく。
吉田修一はこういう手法のほうが似合うと思う。
「悪人」は万人受けした彼の代表作には違いないが、ある意味没個性に思えた。
それに比べて「路」は実に吉田修一らしい、最高の出来だと思う。
台湾までたった3時間。
すぐにでも飛行機に乗って自らの五感で台湾を感じたい!!
そんな気分になること間違いなし! -
予備知識もないまま、この本を手に取った私は、台湾市場最大の公共建設事業といわれる高速鉄道工事の入札に日本の新幹線が負けたところから、話が始まったので、てっきり池井戸潤ばりの企業小説かと思っていたら、全然違っていた
逆転入札から様々な困難を乗り越え、台北・高雄間を新幹線が開通するまでの経緯を縦軸に据えながらも、それに関わったいろんな人のドラマがパラレル小説のように並行して進んでいくのだが、最後にはその人々たちの人生が緩やかにどこかで絡み合っていた
私が一番感動し、考えさせられたのは、日本と台湾の関係だった
優しく緩やかでおおらかな国民性、とても友好的なのも
日本人として嬉しい
同じ日本の統治下にあったお隣り韓国との関係と比べてしまう
意図したわけではなく、時を同じくして先日、李登輝元台湾総統が亡くなられた
台湾地震の時、日本が贈った避難所があまりにシンプルだったので、日本批判が起こることを恐れて、李登輝総統は、こっそりその避難所に電化製品を設置されたというエピソードが出てきた
それぐらい親日派だったそうだ
全体を通して、出てくる台湾の街々の風景、ガジュマルや椰子の木の街路樹やこちらにまで良い匂いがして漂ってきそうな露店の賑わい等々も興味を惹かれた
ぜひ一度訪ねてみたいなと思った
最後にこんな一節があった
7年も台湾で暮らしていれば、台湾と言う国が日本でどのような扱いを受けているのか、知らず知らずに敏感になる
台湾の人が日本を思う気持ちに比べると、日本人が台湾のこと(台湾と中国のこと)を知ろうとする気持ちは、あまりにもお粗末としかいいようがない
だからこそ、春香はいつか、台湾の人が日本を思う気持ちを当の日本人が気付く日が来ることを願っている
これは著者である吉田修一さん自身の願いであろう
これをきっかけに台湾の歴史について調べてみようと思う
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台湾新幹線が出来ていく過程を軸に、それに関わる人たちの物語。お仕事小説というよりは恋愛要素多めのヒューマンドラマかな。どの話も温かくて好き。
春香とエリックの出会いは久々にキュンとした。旅って予想外のことが起こるもの。こんなファンタジーな出会いもありだと思う。
台湾のじめっと暑い空気が感じられた。おおらかな人たち。食欲をそそられるローカルフードの香り。いいなぁ。 -
台湾いいな〜
台湾の人いいな〜
と思いながら一気読みの感動作です -
横道世之介シリーズ、エッセイ以外で初めて読んだ。エッセイにちらっと紹介されていたことがきっかけだ。
私はこの人の書く文章が好きだ。そして、この人の書くキャラクターが好きだ。
複数人視点による話に別れて構成されている。それぞれの登場人物が皆魅力的だ。
春香のような元気印の陽キャは、春香の母の言葉を借りると、私のような天邪鬼にとっては時に鼻につくキャラクターになりそうだが、終始彼女を好きでいる自分に驚く。
分厚い本だけど、読んでいてすごく楽しくて、まだ三分の一しか読んでないから、三分の二も楽しめる!という気分になった。
台湾は沖縄より南だから不思議ではないのだが、ガジュマルやバナナの木があることに驚いた。私のイメージは中国に近いものだったのだ。
日本に統治されていた歴史があるのに、親日である台湾の歴史、日本との関係を知りたくなった。 -
台湾の高速鉄道建設のプロジェクトを軸に、それに関わる人や台湾への思いを抱えた人や台湾人など様々な人が描かれる。
太陽の力強さ、暑い日差し、きらきらまぶしい風景、からみつく空気、山奥の渓谷。
そこに住むおおらかな暮らしぶりや時間の流れの違い。
自然豊かで南国情緒あふれる台湾のよさがたっぷり味わえました。
登場人物が多彩で、その人物たちに流れた歳月も描かれていて奥行きのある小説です。
なんといっても心に残るのは春香と人豪の出会いとすれ違い、そして再会。
離れていた二人の間に流れていたそれぞれの時間が本当に切ない。
再会して劇的に何かが変わることはなかったけれど、また時が流れていく。
フィクションなんだけど、うそがないと感じさせるところがいい。
その後もふたりがそれぞれの”路”を歩んでいくのが清々しい。
ずっとお互いを大事に思っていくだろうその気持ちが素敵です。
勝一郎の60年ぶりの友との再会の場面は涙が止まらなかった。
文字にすればそれだけなのに、小説の世界にぐわっと包まれていると電車の中にも関わらず涙と鼻水でぐしゃぐしゃになってしまいました(w;)
奥底にしまい込んでいた諸々の思いが、ほどけるように溢れ出してきた勝一郎に感涙。
ほんとにこの作品はすごく良かった。
今までの吉田修一作品の中でいちばん好きです。
書かれた文章の美しさに、ため息が出そうなくらい惚れ惚れしました。
こんな物語を読みたかったんだと思えたほどの満足感。
大らかな心で元気に生きていこうと、力が湧いてきた作品。
久々に自分にとって大当たりの小説なのにこんな陳腐な感想になってしまいます。
なんで吉田修一の小説がこんなに好きなのか?
文章が美しく、すんなりと五感に響いてくるから。
登場人物を好きになってしまうから。
時間の流れ方が心地よい。
これといううまい答えは出せませんが好きです。
同じ時代に生きて読めることがほんとうに幸せ。-
初めまして。
コメントありがとうございます。
あーいいいなぁ…とかみしめたシーンが幾度もありました。
同じく素晴らしいと思っている方がいて嬉...初めまして。
コメントありがとうございます。
あーいいいなぁ…とかみしめたシーンが幾度もありました。
同じく素晴らしいと思っている方がいて嬉しいです。
2012/12/22 -
これは本当によかったですね。
図書館に帰してしまったので、保存本として購入しようかと考えております。
私的には、彼の作品の中で1,2を争...これは本当によかったですね。
図書館に帰してしまったので、保存本として購入しようかと考えております。
私的には、彼の作品の中で1,2を争うものではないかと。
2012/12/24 -
2012/12/24
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──台湾は美しい街だ。そして親しみやすい街でもある。
街を歩けば、そこかしこから漂ってくる美味しそうな匂いが鼻腔を刺激し、緑の多い歩道が目を和ませ、さらには、普段なら喧しく感じるはずの、人々の騒がしい声や車のクラクションの音なども、不思議と気にならない。
夜市に足をのばせば、あちこちに立ち並んだ屋台で舌鼓を打つこともできるし、名所旧跡を訪れれば、故宮博物館など、歴史の奥深さを感じさせる逸品ばかりで一日いても飽きることがない。
吉田修一の文章を読んでいると惚れ惚れする。
バランスの取れた長さの美しい日本語文。
これしかないという、的確な接続詞。
前後の脈絡を踏まえた適切な文節の区切り。
心理描写の表現の見事さとそれを挟み込む絶妙な位置。
ほとんど非の打ち所がない。流れるように文字を追うことができる。
文章を読んでいて気持ちが安らぐし、音読すると非常に心地よく耳に響いてくる。
現代作家は数多く存在するが、五本の指に入る巧みさだと思う。
稀に見る資質の持ち主だろう。
だから一つの言葉、一つの文章にその魅力を凝縮させた短編でこそ、さらにその威力を発揮する。
長篇でもしっかりとしたストーリーなら、その才能は存分に発揮される。
ただし、この前の作品「太陽は動かない」では、そんな感じがしなかった。
理由は単純明快。
サスペンス&アクション──タッチの作品などやはり彼の文章にはそぐわないからだ。
彼が実験的にその方面に挑戦したのか、出版社の編集者に唆されたのか知らないが、明らかに失敗作だ。
ああいった路線の作品は他の作家に任せておけばよいのだ。
サスペンス&アクション路線は無機質な文章を書く作家が得意とする分野であって、彼には似合わない、無理がある。
有機的で味わいのある彼の文章の長所を発揮できないのだ。
この最新作「路」は違った。
さすが吉田修一、と思わせるような煌く文章の連続。
台湾で日本の新幹線を走らせる仕事に色々な方向から携わった日本人と、彼らと関係した台湾人のそれぞれの視点からの物語。
ひとりひとりの人物造形も心理描写も非常に丁寧だ。
序盤から中盤にかけては、日本人、台湾人それぞれの友情や恋愛、台湾在住時代への郷愁が描かれ、一見ばらばらでさまざまなエピソードの一つ一つが、きらきらと光り輝いている。
例えば、台湾人である劉人豪と日本人の多田春香が九年ぶりに再会する場面。
物語としては単なる一部分に過ぎず、ことさら泣くようなシーンでもないのだろうが、なぜか胸が熱くなる。
一言一言、さりげない比喩や文章が心の中に深く沁み込んでくる。
この部分だけでも一つの短編小説として完成されているような深い味わいの会話と描写。
そう、珠玉の短編がいくつも交じり合って重厚感のある長篇を成立させている、そんな不思議な魅力を持った小説なのだ、これは。
物語は終盤に進むに連れ、多くの点と点が複数の線で結び付けられ、ばらばらだった登場人物の位置が近づき、少しずつ絡まりあっていく。
その伏線の回収の仕方も見事だ。
戦後台湾から日本に引き上げた葉山勝一郎と台湾からの留学生劉人豪の年の離れた友情。
新幹線開通のため台湾現地で仕事に取り組む多田春香と整備士を目指すようになる陳威志の出会い。
流れた時、止まった時間、記憶の片隅に残る思い出、奇跡的な再会。
遥かなる過去と過ぎ去った時間、でも変わらなかったお互いの熱い思い。
ところどころに散りばめられた、過去の思い出に対する無念、あるいは後悔の情を抱く場面。
それらのシーンに出会うたびに、涙が頬を伝う。
登場人物から吐き出される言葉の意味。作者の書き綴る情景描写や心理描写。
それらが一体となって紡ぎ出された世界に、しばし目が潤む。
すべて吉田修一の創り上げた劇中の仮想空間に過ぎないのに、言いようのない幸せな世界と時間を共有した気にさせてくれる美しい作品だ。
長年の間“思い出”という名に変わり、切り取られていたリボンが、再び結び付けられ、新しい未来と時間を創り始める。
そんな幸福感を味わえる、お薦めの一作です。-
koshoujiさんのレビューを読んで、本を早く読みたくなりました。只今図書館予約中。楽しみにしています。koshoujiさんのレビューを読んで、本を早く読みたくなりました。只今図書館予約中。楽しみにしています。2012/12/23 -
koshoujiさん、はじめまして。
そうです、そうなんです!前作のあらすじを聞いて、何?吉田修一がハードボイルド??そりゃ、ないだろ~と...koshoujiさん、はじめまして。
そうです、そうなんです!前作のあらすじを聞いて、何?吉田修一がハードボイルド??そりゃ、ないだろ~とスルーしました。
よかった、読まなくて(^_^;)
この作品では本来の彼が戻ってきましたか!よかったよかった。
現在図書館予約中です。楽しみだな~♪
koshoujiさん、フォローさせて頂きますので今後ともよろしくお願いします。
2012/12/23 -
私の方の本棚にコメントありがとうございました。
吉田修一作品で1、2を争うとのこと。同感です。
世之介のような性格の良さや泳ぐシーンの高揚感...私の方の本棚にコメントありがとうございました。
吉田修一作品で1、2を争うとのこと。同感です。
世之介のような性格の良さや泳ぐシーンの高揚感あり、さよなら渓谷の中の自然描写の奥深さあり、静かな爆弾の相手を捜す心もとなさあり、今までの作品を思い起こさせるような集大成的なものを感じました。
私も、ほんとに良いなぁと思います。2012/12/24
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友人にすすめられて読みました。
登場人物は多いですが、それぞれの人物描写が細かく丁寧で、多くのキャラに感情移入できました。
新幹線についての本というよりは、台湾と日本の人たち。
台湾に生きる日本人と台湾人。
日本に生きる台湾人と日本人。
それぞれの苦悩や葛藤、日々の暮らしなどが鮮やかに描かれていて、私も30年ほど前に一度行ったきりの台湾をもう一度ゆっくり旅してみたいと思わされました。
食べ物の描写もどれもおいしそうで、とりあえず台湾料理屋さんに行こうと思います。 -
400ページに渡る、長編物語。
台湾に走る、新幹線が開通するまでの7年間を通して主人公たちが歩む、それぞれの「路」の物語。
ページを開いて行くたびに吹き抜ける、ゆるい台灣で流れる時間と台灣の湿った温かい風。台灣人の、笑い声や会話がBGMのように聞こえてくる。
著者の台灣を愛する気持ちが、ぎゅーっと詰まった1冊。 -
台湾に日本の新幹線が走る―日本と台湾を結ぶ人たちの物語。
経済小説かと思ったら、違った。
台湾に行きたくなる、台湾を感じる小説だった。
南国のむんとした空気や照りつける太陽…私には表現出来ないけど、言葉選びが巧みで台湾に浸っていたかった。
台湾に旅行する前に読んでおいて良かった。いや、この本読んですぐに旅行予定があって良かった。
行った後に読んだら、また台湾に行きたくなるんだろうな。
ストーリーは淡々と進んで、驚くような展開があるわけでもないけど、じんわり心地いい。
全てにオチをつけない終わりかたも、好き。みんな未来に繋がっているんだと思わせてくれる。全部畳んだ方がすっきりする話と、畳まずに含ませて読み手に考えさせてほしい話とあるけれど、この話は後者が世界観にあっている。
実は以前読んだ『パレード』は読後感がじめっとしてて嫌いだったので、それ以来は吉田修一さんを避けていた。今後は他の話も読んでみようと思う。
☆あらすじ☆
1999年、台湾に日本の新幹線が走ることになり、入 社4年目の商社員、多田春香は現地への出向が決まっ た。春香には忘れられない思い出があった。台湾を 旅した学生時代、 よく知らないまま一日を一緒に過ごした青年がい た。連絡先をなくし、それ以後ずっと会えないまま だった……。台湾と日本の仕事のやり方の違いに翻弄 される日本人商社員、車輛工場の建設をグアバ畑の 中から眺めていた台湾人学生、台湾で生まれ育ち終 戦後に日本に帰ってきた日本人老人、そして日本に 留学し建築士として日本で働く台湾人青年。 それぞれをめぐる深いドラマがあり、それらが台湾 新幹線の着工から開業までの大きなプロジェクトに 絡んでいきます。政治では問題を抱えていても、日 本と台湾の間にしっかりと育まれた個人の絆を、台 湾の風土とともに色鮮やかに描く『路(ルビ:ル ウ)』。大きな感動を呼ぶ、吉田修一さんの渾身の力 作です。 -
① この本を選んだ理由
筆者で選んだ。
447ページと結構なボリュームだけど、久々に長めの小説を読んでみようかなと…
②あらすじ
台湾に繋がりを持つ登場人物たちの人生の物語。
それぞれの登場人物ごとのストーリーが展開していき、少しずつ関連付いていく。
台湾新幹線プロジェクトの話しだと思ってたけど、全然違った。
③感想
台湾の人の名前が記憶できなくて、サクサク読めなかった。すごいよくできた本だと思うけど、なにかまとまりがないような気がして、もっと、おっーとなるような展開を期待したが、すべてがなんとなく終わったような感じ。
それぞれの路(みち)を意識して最初から読み直すと、もっとしっくりくるかしれない。
④心に残ったこと
人に優しくいきることは、自分の人生をより楽しくさせるものだということ。
⑤登場人物
○4名が中心人物
○多田春香
池上繁之 多田恋人
○劉 人豪 エリック
○葉山勝一郎
曜子 葉山妻
中野赳夫
○陳威志 チェンウェイズー
張美青 ツァンメイチン
(香港プロジェクトチーム)
黄忠賢 ファンツォンシェン エリック
山尾部長 多田上司
安西誠 多田上司
林芳慧
(人豪の会社の人)
高浜室長
有吉咲 -
「台湾に日本の新幹線が走る」それを軸にした群像劇なのですが、池井戸潤作品のような苦労譚からのスッキリ大逆転とかではありません。台湾という国を中心に据えて日本はあくまで脇役です。文中のそこかしこに台湾という国への愛情や共感が溢れています。
3人の主人公が居るのですが、絡むような絡まないような感じで進みます。このホンワリ感が個人的にとてもツボ。淡々としているようでいて、心が通じる瞬間を所々に配置して都度心が温かくなります。
特別大きな事件があるわけではなく、一人一人の決断がとても印象的で、突飛でもなんでもなく本当に有りそうなエピソードばかりです。世の中的に大きな出来事である台湾新幹線が走るという出来事と、個人的な決断が釣り合っていて素敵です。大資本と国レベルの話の中に漂う、市井の人々の存在感を描きながらしかも淡々とするというこの感覚。さすがは安定の吉田修一です。
エンタメと純文学をきっちり針を振り切るタイプ(どっちも書ける時点で凄いのに)ですが、こちらはどちらとも取れる物語です。最後本を閉じる時に静かにパタンと閉め、しばらく余韻に浸りました。 -
吉田修一は、風景描写が上手いが、この作品はそれが本当に生きている。台湾を旅してみたいと思わせる作品。
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とても清々しく爽やかで穏やかな気分になりました。吉田さんの文章は心にすうーっと入り込んできて、それがまたとても心地好いです。ラブストーリー一辺倒にならないバランス感もグッドです。台湾を見たくなりました。
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素直に良い話だなあと思いました。
台湾高速鉄道の話だというので、熱い男のドラマ的なのを想像してましたが、主人公は20代の女性。
高速鉄道プロジェクトに携わる日本人の商社員の彼女とその他の人々のドラマ。
たまたま私は彼女と通じる環境があるからか、とても感情移入してしまい何度も泣きそうになりました。
吉田さんが台湾が大好きで、読者に台湾が好きになってほしいんだなというのがビシバシ伝わってきて良かったです。
どこかの土地について書くならこうでないと、と思いました。
不器用でいいからまっすぐ想って、まっすぐ行動したい。
押し付けがましくなく爽やかで、清々しいお話でした。
なんか愛に溢れてたなあ。
書き方については苦言を呈したい部分もありますが、「悪人」といいこれといい、好きな著者になっちゃいそう。 -
これ読んで、台湾に俄然興味を持ってしまった。
だいたい台湾に新幹線が走っていることすら知らなかったし
こんなに台湾の人は日本のことを好きだなんてことも
分かってなかった。
台湾大震災の時の日本が送った仮設住宅の話も感銘を受けた。
それぞれ全く違う人生を送っていた人達が最終的に
繋がっていく様もよかった。
勝一郎さんが台湾時代の旧友に何十年ぶりで会った場面は
ぐっときたし、春香と人豪の出会いの場面にはキュンキュンきた。
台湾の人たちののんびりした空気、温暖な風土、
美味しそうな料理、ごくごくシンプルな世界、単純に羨ましい。
この本が好きな人におすすめの本
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