本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (152ページ) / ISBN・EAN: 9784163820705
作品紹介・あらすじ
私小説を再生させた著者による非道の連作集。貫多こそ人間の生の姿だ!哄笑、破裂する文学
みんなの感想まとめ
人間の生の姿を生々しく描いた連作集は、DVや共依存をテーマにし、読者に強い感情を呼び起こします。登場人物たちの苦悩や孤独感がリアルに伝わり、物語の中での人間関係の末期的な様子は、過去の記憶を掘り起こす...
感想・レビュー・書評
-
貫多のような暴力を振るったことも暴言を吐いたこともないが、なんだかずいぶん昔のことを思い出して、関係が末期になったときの女ってたしかにそうだったと思い出すふしがある。そしてこの本を読んで寝たらそれに関わる嫌な夢を見た。自分にとってはなんとも生々しさを感じる一冊だ。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
おそらく一連の私小説があるんだと思うけど、タイトルに惹かれて読んでみた。苦役列車の作者、西村賢太さんの私小説。ただ私小説とは知らずに読んだので、読後に彼のWikipediaを見たらほとんど事実でびっくりした。
典型的なDV男と共依存の女の話なんだけど、途方もない寂しさに覆われている。見えてくる景色は全てモノクロで、夏の湿度だけが不快にリアル。
これを読んで、夫の感覚を追体験したような気持ちになった。夫にとっても私は、身勝手なことに「最後の砦」だったのだろう。
文体が古めかしいというか厳ついので昭和初期とかそんな時代の話かと思っていたら割と近い年代の話だった。「未練の手コキリクエスト」とか、厳しい文章の中に突然放り込まれる言葉が少しおかしかった。
読むのにエネルギーが必要なので、他の作品を読むかどうかはわからない。 -
図書館借り出し
棺に跨る
脳中の冥路
豚の鮮血
破鏡前夜
秋恵ものの随筆って感じで貫多のDV、身勝手な行動がよく書かれている -
なんかクセになる西村さんの本。破天荒な人生を生き若くして亡くなったという事実が興味をひくのかもしれない。この小説は同棲していた彼女との生活、自身の心境が詳しく書かれた私小説。主人公の貫多が別れたくないためにあれこれ手を尽くす、対して暴力を受けた彼女はどこまでも冷たい、がそのまま男女の姓差だと思う。同性として彼女の主人公への対応の変化は何の為か、はよくわかり結末は読めてしまった。ダメ男を知りたいなら西村さんの本、オススメ。
-
相変わらず安心して読める。人間の業など変わらないのだと。もの悲しいその小説の結でさえ、偉大なるマンネリとして「いつも通り」の結句。だけどその人間の出自から色染めるでなくこうあった主人公の貫多の様は綺麗事に染まるでなく黒色や灰色の体を僕たちに対峙させてくれ、そこが僕にはスッと等身大のまま読める数少ない作家の一人なのだ。
-
「まるで豚みたいな食べっぷりね」からの肋骨骨折キック。どうなったのだろうと気になっていた、読みたかったあの続きである。秋恵編が1番好き。面白い。
-
秋恵との破局、想像通りの展開だった。
-
-
「秋恵もの」ばかりが4編並んだ最新短編集。
今回はわりと正攻法で作られていて、4つの短編が時系列順に並んでいる。
その4編を通して、秋恵の肋骨にヒビが入るほどのひどいDVで2人に決定的な亀裂が入り、ついに秋恵が貫多(西村の分身)のもとを去るまでが描かれている。
西村作品の大きな柱となってきた「秋恵もの」も、いよいよクライマックスを迎えたわけだ。
あとは、出て行った秋恵がほかの男のもとに走っていた(それでも西村に彼女を責める資格などないが)ことを知り、修羅場になる顛末が描かれる作品を残すのみか。
別離に至る経緯が描かれた作品集だけに、本書のトーンはほかの「秋恵もの」より陰鬱だ。
それでも、西村は相変わらずサービス精神旺盛で、笑いを誘うギャグ的フレーズが随所にちりばめてある。救いのない話なのに、私は読みながら何度も声を上げて笑った。
あと、西村は相変わらずタイトルづけがバツグンにうまい。
本書所収の4編はそれぞれ、「棺(かん)に跨がる」「脳中の冥路」「豚の鮮血」「破鏡前夜」というタイトルで、どれもイメージ豊かだし、古典的名作のような風格があり、強い印象を残す。 -
同棲相手の秋恵と繰り広げる人間模様。人間存在の情なさと愛おしさに迫る。表題作をはじめ「脳中の冥路」「豚の鮮血」など、全4編からなる連作小説。
全く共感できない情けない男が主人公なのは、約5年前に読んだ芥川賞作「苦役列車」と同じ。そしてそれなのにズルズル最後まで読まされてしまうのも同じ。「極」私小説の毒にやられるのだろうか。
(C) -
「秋恵もの」。北町貫多に暴行を加えられ、秋恵が部屋を出て行くまでの話。
これが主観だけで書かれていたら毒が溜まりそうなものだけれど、同じくらい客観的にしかもユーモラスに書かれているので、なんだか救いようのない内容でありながら、一度読み出したら止まらない。突然用いられる横文字にも笑ってしまう。 -
苦役列車以来の2作目。最後バッドエンドだが少し安堵したのはお人よし過ぎるか。同棲相手の秋ちゃんではなく主人公に。
前作では「主人公(敢えて、登場人物)は永遠に救われない」と思ったが、この作品では「これがすべてで救われるも救われないもない」に変わった。
作者のインタビューとか見たけど、居酒屋でたまたま隣に座っただけで嫌悪感を抱いてしまうんじゃないかと思うが、悔しいかな表現は好きだ。 -
「まるで、ブタみたいな食べっぷりね。」からのオワリノハジマリ。“秋恵もの”の枢軸となる1冊だけに内容は辛く重い。
が、作品としてのデキは良い。ウラハラである。
古典的な文体の中に当世風の外来語を組合せ、暗澹かつ陰鬱な内容に一服の涼を漂わせるスタイルも確立。 -
全て“秋恵もの”の短編集である。「どうで死ぬ身の一踊り」の後日譚であり、同棲していた秋恵との破局に至るまでの話となっている。女にDVを振るい、その被害状況に驚き、ことさらに機嫌をとり、なんとかやり直せないかと画策し、その画策が成功したかのように楽しい一時を迎え、出張?から帰って来るとアパートは蛻の殻となっており、短い置手紙が残されていたという話を実に文学的に記してある。誠に日本の王道を行く純文学のあり方である。秋恵ものはまだ二編あるようだが、それも纏めて一冊にしてもらいたかった。
-
【この傑作連作集こそが、私小説の究極の姿なのか】私小説の救世主として純文学界に躍り出た著者の連作小説。同棲相手の秋恵と繰り広げる人間模様。人間存在の情なさと愛おしさに迫る。
-
心地の良いほどのクズのきわみ。
-
秋恵シリーズの一冊。
真に身勝手な主人公、北町貫多が、自虐的かつ客観的に、自身の暴力から端を発する、秋恵との別れを、短編の連作形式で描く。
相変わらず筆が冴えている。
芥川賞受賞後の作品だからか、悲惨を思わせる程の自虐性は薄れたが、代わりに、客観性が冴え、普遍性を身に付け出している。
連作の終編「破鏡前夜」のラストなどは、貫多の避けがたい宿命とも言うべき破滅的な性格がもたらす不幸に、大いなる深い哀しみを、読者にも実感させて、見事である。
著者プロフィール
西村賢太の作品
本棚登録 :
感想 :
