たまさか人形堂それから

  • 文藝春秋 (2013年5月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784163821009

作品紹介・あらすじ

OLをリストラされたことをきっかけに、祖父母から譲り受けた「玉阪人形堂」店主となった澪。人形制作に関しては素人の澪だったが、押しかけアルバイトの人形マニア・冨永と、高い技量を持つ訳あり職人・師村の助けもあって、人形堂はそこそこにぎわいを見せていた。一時店はは閉店の危機に見舞われたが、資産家の坊(ぼん)でもあった富永が共同経営者の立場に立つことで、その危機は去った――。今日もこの小さな店には人形に関する様々な難題が持ち込まれる。赤いマーカーの汚れがついてしまったリカちゃん人形、グループ展でなぜか壊されてしまう人形作家の「ある作品」、髪が伸びる市松人形とその作者の謎、盲目のコレクターが持ち込んだ小田巻姫の真贋――。思いがこもった人形は、実は人間にとても身近な存在であることを、津原氏は円熟の筆で描きます。今まで自分の近くにあった人形は何であったか、自分の込めた思いは何であったか、その追憶と郷愁も誘う絶品「人形」連作集の第二弾。

みんなの感想まとめ

人形を通じて人間の思いや関係性が描かれる物語が展開され、登場人物たちの成長や新たな出会いが魅力的に描かれています。前作から引き続き、澪や冨永、師村といったキャラクターたちの関係がさらに深まり、読者は彼...

感想・レビュー・書評

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  • 勢いづいて第二弾。登場人物も増え恋話も出てきて第一弾より不穏な感じは減り華やかに。何となく怖くて実際には人形持っていないが、こういう作り手達の話は面白くて憧れる。人形と言ってもいろいろあるな。番外編『雲を越えて』が好き。

  • たまさか人形堂シリーズ2作目。
    装丁がすごくよくなってます!見返しや扉のピンクの紙も可愛い。カバーのイラストに眼鏡の彼がいないのだけが残念(裏表紙は彼っぽいけど、足……)。

    「香山リカと申します」
    創作人形作家五十埜さんの人形がグループ展で壊された。急遽修復のために人形堂に持ち込まれた通称“心臓ちゃん”。
    犯人は誰でなんのために“心臓ちゃん”を壊したのか。
    平行して口紅を塗られたリカちゃん人形が持ち込まれ、それぞれのリカちゃんの思い出が語られる。
    五十埜さんの記憶の中の友達がリカちゃん人形だったように、束前さんの初恋の相手も、もしかしてリカちゃん人形?!
    五十埜さんが、人形を壊した犯人に語る人形創作への想いと、お守りとしてリカちゃんを渡すときの言葉にうるっと。

    「髪が伸びる」
    見た目はハデだけどお祖母ちゃん想いのバンドマン蒲生くん登場回。
    お祖母ちゃんが毎日撫でているいちまさんの髪が伸びるという。謎を解くべく、いちまさんの髪をなで続けるシムさん。
    このお話のシムさん、言動がおもしろい人になっちゃってます。
    そしてこのお話は、澪デート回でもあり……。

    「小田巻姫」
    新作“八つぁん”の売れ行きがぱったり途絶え、冨永くんスランプ突入。
    前巻からの因縁の布袋久。最後の小田巻姫が見つかるが、現所有者が胡散臭く、不穏なことに放火の影もちらつく。小田巻姫は本物か、シムさん作のレプリカか。

    「ピロシキ日和」
    お店に出て来なくなった冨永くん。
    相談にのってくれたのは意外にも口も性格も悪い束前さん。ツンツンの彼の別れ際の奇跡はほんのちょっとのデレ?
    八つぁんを頭に載せ路上に立つ冨永くんの姿に、澪さんと一緒に泣いた。
    冨永くんの長期出張出発の日に3人でかじるピロシキ。「これも『美味しい』でいいのか」。冨永くんが一人で抱え込んでいた重いもの。少しは軽くなったかな。

    「雲を越えて」
    前話で澪が作った木目込み人形の目線から見る人形堂。おマケ的掌編。
    束前さん作チェシャ猫のぬいぐるみ、古株の藤娘の人形、同じく古株のフランス人形(実は冨永くんお買い上げ品)、修復されたチェコのマリオネット、冨永くんのスランプの一因ジョンスコ人形など、人形たちのにぎやかなおしゃべり。

    必ず帰ってくると誓った冨永くんが一回り大きく(でもきっと変わらず“砦の悪魔”)なった3作目、きっと出ますよね?
    束前さんファンとしては、そのときには、束前さんにはもう少しだけデレてほしいと思ったり。あんまりデレるとそれはそれで束前さんじゃなくなるので、ほんの少しだけ。
    津原先生、ぜひお願いしますっ!!

  • 「たまさか人形堂物語」の続編。
    文章がわかりやすく、読みやすい。
    人形店を継いだ澪は30代の女性で、人形に囲まれて育ちはしたが、専門的な腕はない。
    個性的な天才人形師に囲まれて、今日もお人形とその持ち主のために心を砕いています。

    「香山リカと申します」
    創作人形の展覧会で、作品を何者かに壊された五十埜(いその)という女性作家。
    その修復を頼まれ、五十埜本人もたまさか人形堂に通って来ているところ。
    そんなとき、若い母親から娘が壊したリカちゃん人形の修理を依頼されて。それぞれのリカちゃん経験を語ることに。
    誰もが知るリカちゃん!
    五十埜は子供の頃に本当の友達と混同していたという~しかも束前まで‥?
    束前は特殊人形師で販売会社の社長だが、創作も手がけているのです。
    創作人形が壊された意外な経緯とその結果も納得がいきました。

    「髪が伸びる」
    バンドマンが祖母のために持ち込んだ、いちま(市松人形)さん。
    撫でていると髪が伸びてきたと祖母が言い、家族は不審に思っているという。
    何かからくりがあるのではと探る師村ら。
    根っからの職人の師村さんが渋くていいです。
    澪は商店会の男性・神田八郎にデートに誘われ、ハイヒールを履いて出かけるが、束前と鉢合わせし‥?
    気難しい束前と澪のやり取りも面白い。

    「小田巻姫」
    人形コレクターの家で火事が相次ぐ異変が。
    軽井沢の著名なコレクターのもとに、文楽のかしらが高値で持ち込まれているという。
    師村が本職を離れるきっかけになった問題の小田巻姫までも‥?
    束前と富永と共に、売り手の元に乗り込む澪ら。

    「ピロシキ日和」
    若き天才・富永君が、スランプに陥っていた。
    創作した蛸の縫いぐるみの八っつぁんの売れ行きが止まり、依頼されたマネキン人形の修復にも行き詰る。
    何かできることはないかと悩む澪に、ほかの面々は?
    澪はピロシキを焼いて皆に食べてもらったり。
    人形つくりを習おうとしたり。

    「雲を超えて」
    澪の作った木目込み人形の視点で、エピローグ的に。

    1冊目よりもトーンが整っていて、快適に読めました。
    事件性は1冊目のほうが濃く、人形のある意味怖いイメージを生かしてあったので、その辺は好みによるかも。

    若くて怖いもの知らずな富永くんのまだまだこれからな混乱と成長。
    渋い職人の控えめな気迫が光る師村さん。
    気難しいのがだんだんツンデレになってきた束前氏。
    澪と同世代の女性創作家というまた違う立場の五十埜さん。
    キャラが立ってきたので、楽しみなシリーズになりました!

  • 本当に前回の続編なんだ。
    澪さんっていくつなんだっけ?
    前作を読み直さないとこの本だけでは意味がわからないな。記憶を呼び起こしながらなんとか読む。

    創作人形、リカちゃん、髪の伸びる市松人形、金属部品て作った人形、蛸の八つぁん、マネキン、マリオネット。今回もバラエティに飛んだ人形が登場。
    澪さんにちょっとロマンスがあったり!
    前作から引き続く、シムさんの長年の願いがようやく叶う。
    富永くんは壁にぶつかって過去がチラリと影をおとし、人形が作れなくなってる。
    今回は人形や音楽、小説の「作り手」視線の話が多かった。その中にあって澪さんも迷いつつ踏み出していく。
    前作のじんわりと暗い空気がなくなって会話も楽しくアッサリ読める。

    澪さんのお相手はもしかしてあの人ー?って楽しみもあり。
    いちまさんの髪の毛撫でてみたい、八っあん頭にのせたい。ぴ、ピロシキ…膨らまないのでもいいから食べたくなる。
    それにしても香山リカ、怖いよー。
    これ続くのかな。気になる。

  • たまさか人形堂2作目。まだ2作目だけど、大好きなシリーズ。これからも続いてほしい。
    天才肌の冨永くんが今回は大変。
    「髪が伸びる」が一番良かった。髪が伸びる日本人形なんてホラーだけど、これは温かく、職人の想い・技が詰まったお話だった。
    最後の「雲を越えて」、人形視点のお話で爽やかで晴れ晴れした気持ちになった。
    読んでいくうちに、捻くれ者の束前がだんだんかっこ良く思えてくる不思議さ。澪とのやり取りにもにんまり。続きが楽しみです♪

  • 前作も面白かったけれど今回はそれ以上でした。
    束前さんの性格が掘り下げられていて所々で見せる優しさと言うか意外性にどきりとします。
    師村さんの人の深さと言おうか味わいもじんわりと来て良いです。
    そして新登場のバンドマン、蒲生くん!口癖が「やばいっす」とか…読んでいて紙兎ロペみたいで楽しい。

    前作の登場人物が更に深くなってそこに新登場の人達が加わって…この世界がどんどんと広がっていけばいいな、と思いながら次回作を期待してしまいます。

  • 続編。
    装丁、凝ってる!!! 素敵!!!
    内容も装丁も、今回の方が好きでした。
    束前さん素敵。でてくるとニヤニヤしちゃう。

    澪さんの雰囲気も、お店の感じも、世界観もなんとなく落ち着くから、読んでいて心地よいです。

    色んなメンバーが増えて来ましたね。
    続編、期待しちゃう。

  • 1作目は割とさらっと読んじゃった記憶があるけれど、これは面白かった。
    登場人物に愛着が湧いてきたせいもあるかな。
    シムさんがピロシキ食べるところと冨永くんが看板持ってるとこなんかではぐっときてちょっと目が潤んだ。
    新登場の人たちもいい味だしてて。バンドマンとか五十埜さんとか八郎大明神とか。
    この方の小説は話し言葉のさり気ない丁寧さや軽妙なやり取りが独特で好きです。
    つかケータイストラップの八つぁんマジやばいんすけど。欲しいんすけど。
    たまさか人形堂の話はひょっとしてまだ続くのかな。どうかな。

  • これ、まだ続くんだよね? 富永君のこの後がすごーく気になる思わせぶりな書き方だなあ。師村さんについてもすっかり明らかになったわけじゃないし。

    会話の妙(話し言葉が下品でなくて良い)、ほどほどのホッコリ感、陰影のつけ方も絶妙で、いいシリーズだと思う。

  • 『たまさか人形堂』シリーズ2作目。
    『髪が伸びる』とミステリタッチの『小田巻姫』が面白かった。人形の視点から描かれた『雲を越えて』もユニーク。

  • ★人形の価値や役割は、見る人、持つ人によって様々なんだ。(p.28)
    ▶人形は誰のためにあるのか。▶スランプから脱出するきっかけは。▶型とオリジナリティ。▶人形たちの運命。

    ■たまさか人形堂についての簡単なメモ

    【設定】今は人形修復に主軸を置いている人形店「玉阪人形堂」。三十代女性の澪さんが経営し、マイペースな冨永くんと謎な師村さんが修復する。
    【第一話】二件の、壊された人形たちはなぜ壊されたのか。
    【第二話】やってきたラヴドールの麗美がもたらすものは。
    【第三話】人形の聖地、村上に来た澪は遠縁の家で事件に。
    【第四話】師村が会った、チェコの人形劇師パラフの狂気。
    【第五話】「人形」とはなんぞや談義と、師村さんの正体。
    【第六話】店を閉め売却した「たまさか人形堂」のその後。

    【それから 第一話】リカちゃん人形と創作人形作家の五十埜さんの人形が壊され修復することになった件と。
    【それから 第二話】髪が伸びる市松人形の謎は。
    【それから 第三話】冨永くんのスランプと因縁の小田巻姫のかしら。
    【それから 第四話】冨永くんの屈託。澪さんと人形。
    【それから 第五話】人形たちの会話。

    【青い眼の人形】シドニー・ギューリックにより日米親善のために贈られた。野口雨情の歌詞はキューピー人形のことであり実は別物。
    【活人形/いきにんぎょう】リアルな人形。幕末から明治にかけて評判を呼んだ。
    【五十埜/いその】創作人形作家。澪と同年輩。《人形そのものが、彼女の言葉なのだろう。》それからp.16
    【大浜人形】村上で見かける土人形。三河の大浜という地から御用瓦を焼くために招かれた職人たちが複業として焼いていた。今、作り手は一人しかいない。
    【小田巻姫】師村因縁の人形。
    【音田/おとだ】客。コレクター向きとして作られたテディベアの修理を依頼してきた。息子の大樹(たいじゅ)がそれに依存しており傍らに抱いてないと眠れないのだが常に手足の接合部がちぎられてしまう。
    【ガブ】人形浄瑠璃の仕掛けで口がガブッと開き形相が変化するもの。怒りを表現しているようだ。
    【蒲生】ミュージシャン。祖母のために彼女が可愛がっている市松人形の調査を依頼してきた。
    【軽井沢】→コレクター
    【川瀬】金融業者で絵画や人形のコレクター。転売屋でもある。名前をもじって川獺と呼ばれている。
    【神田八郎】冨永くんの八つぁん人形を気に入って特注品を注文し量産品も大量に購入してくれた。どうやら澪のことも気に入った雰囲気。
    【キャプチャー】ラヴドールメイカー。麗美を作った会社。社長は束前。
    【球体関節人形】言葉的にはデッサンの練習をするときなんかに使う顔のないアレを想起しましたが、ここでは色っぽい感じの・・・そう、四谷シモンさんの作品タイプの人形のことのようです。
    【ギューリック】シドニー・ギューリック。宣教師。「青い眼の人形」を日米親善のために贈った。
    【コレクター】通称。人形コレクター。女性。軽井沢に住むので軽井沢と呼ばれることもある。生まれながらの盲人。ロールスロイス・ファントムに乗る。
    【佐藤リカ】リカちゃん人形とほぼ同じプロフィールの人物。
    【早苗】澪の従妹。高校生にも見える童顔だがアラサーと思われる。演劇やってる。稼ぎはは水商売系で。
    【澁澤榮一】ギューリックと親交があり「青い眼の人形」受け入れに尽力した。
    【嶋夫】澪の父。
    【師村雪夫】「あらゆる人形を修復できる方」ととんでもない求人をしたら来てくれた。世間にある半分くらいの人形なら修復できるらしい。冨永くんでも手に負えないような修復は師村さんがやる。私生活はまったくの謎。《寒空の下で震えながら食べたツナサンドの味は、不思議と決して忘れない。》第一巻p.40。束前いわく《彼にとって人形は本来、直視するのもつらい存在なんだ。だから作業上でつらいことが起きても、当然であり、乗り越えるべき試練としか感じない》それからp.136
    【舟吉左/しゅう・きちざ】人形師。持ち込まれた市松人形の作者らしい。
    【証誠寺/しょうじょうじ】ポッサムというIT関係と思われる企業のトップ。澪さんより若いようだ。「コレクター」さんに小田巻姫を売りつけようとしたが相場をはるかに越える金額を提示したので断られた。川獺(川瀬)の倉庫に放火した可能性もあるタヌキ。
    【ジョンスコ】ジョン・スコフィールドの略。ジャズ・ギタリストらしい。人形堂に来るすべての人が知っているので澪さんは蚊帳の外気分。
    【菅原晶子】丹能池の双子の父、唯の夫の愛人。なぜか丹能渉が入り浸っていた。
    【畝川/せがわ】客。美人。澪と同年輩。棺桶のようなケースに入った大きい人形は顔が破壊されておりその修復を依頼してきた。その人形のモデルは畝川自身だった。しかし人形はどうやら作られてから三十年以上経過しており澪と近い年齢とするとモデルになれるはずがない。人形の作者は冷泉龍佑でないかと思われる。
    【高峯/たかみね】冨永くんの友人。麗美の持ち主。
    【抱き人形】かつてはほぼ市松人形だった。
    【竹田人形】竹田近江掾(たけだおうみのじょう)という人物が興した人形芝居に使われたからくり人形のことだったが今ではそれにインスパイアされた人形たちも含む総称。
    【玉阪人形堂】抱き人形を作っていた玉阪屋を澪の祖母が人形の小売店玉阪人形堂として再興しようとした。現在では人形修復に主軸を移しておりそれなりに忙しい。従業員はふたり。
    【丹能家/たんのうけ】澪の遠い親戚。村上で歯科医をなりわいとしている。唯という女性が澪のことを気に入っていた。彼女には双子の息子がおり上は渉(わたる)、下は衛(まもる)で医院を継いでいるのは衛のようだ。渉は到着したばかりの澪にすぐ帰ったほうがいいと言った。衛は人形に詳しい。唯の母親倫子(のりこ)も健在。
    【丹羽/たんば】作家。澪が愛読しているらしい。「焼物探偵シリーズ」などがある。近松の「女殺油地獄」をもとにした脚本を書き懇意の劇団に提供した。壊れたマリオネットの修復を依頼してきた。《美はお金で買えても、歴史は決して買えませんからね。》
    【チェコ】人形劇が盛んなのはかつて大国の支配下でも人形劇だけは母国語の私用が許されていたからとか。
    【束前/つかまえ】ラヴドールメイカー「キャプチャー」の社長と思われる。澪さんの相手となるかも?
    【手板】操り人形をあやつるためのパーツ。欧米てまは十字型でアニメイターと呼ぶ。
    【桐塑/とうそ】桐の粉に正麩糊を混ぜた、粘土の一種なんだとか。
    【豆腐屋】ご隠居は商店会長。パソコンの操作を手助けをして以来ご町内の回覧板作りの文章の入力とレイアウトは澪の仕事になった。その代わり忙しいだろうからと奉仕活動は免除してもらえている。つねに酔っぱらって見えるが下戸。
    【冨永くん】玉阪人形堂の従業員。新卒で入社した。資産家の坊らしく修行のつもりなので無給でもいいと言うから安い賃金で使っている。手先が器用。玉阪人形堂に幸運をもたらしてくれた。《僕はプロだから》第一巻p.32。澪《冨永くんの実像は、芸術家だ。》第一巻p.39。師村さんは「職人」と呼んだ。ジョン・スコフィールドが好きらしい。
    【渚】澪の祖母らしい。
    【人形】《人形ごとに、壮大な背景をせおっている。》第一巻p.101。《ああもう、人形ってなんなの》第一巻p.149が澪さんの口ぐせらしい。冨永くん《実務的じゃない、物質性とは一線を画した、抽象度の高い概念なんですよ。》第一巻p.152。師村の知人の人形作家《彫刻には耳の穴はない。自分は耳を生身に似せる。そのために耳の穴まで作る――作らずには気が済まない。だから自分の作品は間違いなく人形である、と。》第一巻p.153
    【人形劇】おもしろさは《最も違うのは、その劇団を支配している狂気の度合いではないでしょうか。》第一巻p.127
    【人形浄瑠璃】子どもの頃観劇中に居眠りをしてしまって以来澪さんはちょっと人形浄瑠璃が苦手。
    【八つぁん】冨永くんが試作したタコのぬいぐるみ。売れた。
    【花咲】商店街にある洋品店の老舗。
    【パラフ】ズデニェク・パラフ。チェコの人形劇団の主。型破りな手法で毀誉褒貶がある。妻のハナも熟練の人形遣い。
    【ピロシキ】師村さんの好物的な食物。澪さんが自作するようになった。
    【布袋久/ほてい・ひさ】阿波の人形師。初代は阿波の人形を難波の文楽人形とは別物にした。束前《文楽人形があやつられて初めて生命をおびるとしたら、布袋久の人形は最初から生きている。》《人形単体で見たら古今東西のあやつり人形の頂点といっていいだろう。》第一巻p.166
    【マボロシ・ドールズ】蒲生くんの所属するバンド。
    【澪】主人公の「私」。玉阪人形堂の「社長」。三十代の女性。人形について馴染みはあるがそれほど詳しくはない。そこらへんがむしろ経営者に向いているかもしれない。安請け合い癖がある。《私が長く接していけるのは、継承を美徳とし不変を心掛ける、職人たちだろう。》第一巻p.39。束前《失礼を云ってはあとで謝る、あんたの行動パターンにもいいかげん慣れてきた。》p.177。《私は、強い。》
    【澪の祖父】入院中に玉阪人形堂の権利を澪に相続したがその後完治しニュージーランドに行った。
    【澪の祖母】青い眼の人形を焼却から救おうとした。玉阪人形堂を再興しようとした。「青い眼の人形」の歌を澪に教えた。
    【澪の父】玉坂屋人形堂の息子だったがその商売には見切りをつけ後は継がなかった。
    【邑井次郎】マネキン人形作家。花咲さんちで死蔵されていた。
    【村上】新潟にある地。村上城に堀直寄の寵愛を受けたお秋という側室かっ別称「附子の方(ぶしのかた)」がいた。とりかぶとで誰かを毒殺したのだろうか? 廃藩になったとき多くの雛人形が武家から流れた。今、村上では雛人形をかき集め飾って町おこしを実施している。塩引き鮭も有名らしい。
    【芳村郁/よしむら・いく】ある人物。
    【ラヴドール】いわゆるダッチワイフ。高級なものをラヴドールと呼ぶそうだ。
    【リカちゃん人形】マジックの汚れは浸透していて取れない。四代目が最大のロングセラーとなった。
    【冷泉龍佑/れいぜい・りゅうすけ】独学でグロテスクな創作人形を作っていた。三十年ほど前に亡くなっている。
    【麗美/れいみ】ラヴドール。冨永くんの友人が所持者。メイカーは「キャプチャー」。『四畳半神話大系』で城ケ崎先輩のパートナーだったアレなんかがそれに当たると思います。《世間が彼女らに与えたラヴドールという呼称に、私は性的な意味合いを嗅がなくなっていた。愛の人形。人の愛を一身に受け容れてくれる人形。》第一巻p.78

  • もともとこの話の前にオリジナルがあったと知らず読んでしまい、わかりにくいところもあったけど、人形に対する真摯な気持ちの描写に、すごいなと思った。オリジナルを知らないため、若い男性職人が最初から最後まで好きになれず、残念。

  • 玉坂人形堂シリーズ第二弾。

    修復依頼で来た油性ペンで唇を赤く塗られたリカちゃん人形。
    創作人形作家の展示会で壊された独創的な人形。
    同業者の束前が言う実在したリカちゃんの正体。

    バンドマンの祖母が大切にしている髪が伸びるという市松人形。
    祖母の幼くして亡くなった姉の遺髪で作られた市松人形に込められた職人の思い。
    冨永くんの創作ぬいぐるみのたこの八つぁんを贔屓にしてくれる八郎さんと澪の関係。

    スランプに落ちいる富永くんが海外から戻ってきたという小田巻姫が本物か、職人の志村さんが作ったものか、悪徳な人相手に見極めに行ったこと。

    とうとう人形堂に来なくなった富永くんに悩み
    自分も木目込み人形作りに迷走する澪。
    洋服屋さんの古いマネキンの修復依頼と、ピロシキと束前にも助けられ
    路上で八つぁんを売る富永くんとその後。

    たまさか人形堂に置かれている人形たち目線の
    あれやこれ。

    油性ペンで顔にペイントされたリカちゃん、という帯を見て
    もしや消せるのではと思って期待したんだけど
    それはそんなに話の中では重要でもなかったー。
    お人形に想いを込める人たち、人それぞれ。

  • いくらでもお手軽なほろりいい話に仕立て上げられそうな設定をそうしないところがこの作者さんの好きなところ

  • 無事店を取り戻したたまさか人形堂シリーズの続編。相変わらずの重いような軽いような人間関係の中で、遂に師村さんの念願が叶ったり、澪と束前の微妙な関係がやきもきしたり、冨永君がスランプに陥ったり。
    こういう関係、なんというのか、とても心地よいんだなぁと思う。しかし、澪と束前はいい感じのように見えるときもあるのだが、澪は師村さんが好きなのか?と思うこともある。愛情って恋愛だけではないにしても。澪は一度なかに入れると、力一杯守りたくなるタイプなのだろう。経営で見ればわからないが、理想の上司かも。

  • 人形修理を請け負う玉阪人形堂。店主と一風変わった職人たちの関係は……。師村師匠、らぶ!「いい話」ではない方向性が好きです。特に「髪が伸びる」が好きかなあ。ヤバイヤバイ(笑)。あ、でもおばあさんもみたかったなあ。

  • くやむべきは前作の記憶があまりない。。。リカちゃんの話好きです。

  • たまさか人形堂の続編。冨永君のスランプが続いて、ちょっとつまんないかな。冨永君はなかなか繊細な子なのだ。でもはっつぁんを手売りしてるのを澪が見て泣いたというのを読んで、私も涙が出た。わー、今気づいたけど、表紙の次の中紙と言うかが、和紙みたいな、着物みたいな感じだった。おしゃれだなぁ。最後が人形目線でのおまけみたいなのがちょっと嫌だった。普通に澪で終わってほしい。束前さんと澪はなかなかくっつかない。まだ続くかなー。

  • たまさか人形堂2作目。久しぶりで人物関係を思い出せず…束前さんとの関係ってこんなんだっけ?主人公もこんな人だったか…面白かったけど。市松人形のそんな仕掛があるんならほんと、人の手業ってすごいな…。ラストの人形達の話しはよかった。

  • ぐっと入り込んできてしまう本だ、何を読んでもこの方のはそうだ。
    よかった。

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著者プロフィール

1964年広島市生まれ。青山学院大学卒業。“津原やすみ”名義での活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。著書に『蘆屋家の崩壊』『ブラバン』『バレエ・メカニック』『11』(Twitter文学賞)他多数。

「2023年 『五色の舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

津原泰水の作品

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