色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

著者 :
  • 文藝春秋 (2013年4月12日発売)
3.63
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163821108

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹だった。
    耽美であり、思い巡らせることを読者に楽しませる。

    前半は好きではなかった。
    中盤からは文字を追いかけることが楽しかった。
    そして、最後に生を感じながら終えていった。
    楽しめた。しかし好きな作品ではない。

    なぜが残る、それは余韻ではなくシコリ的なもの。
    灰田が一番のシコリだった。
    ユズと灰田は出会っていたのかもしれない。
    出会っていないかもしれない。シコリだ。

    村上春樹の小説を読み終えると、位相がずれて、穴に落ち込んだ気持ちになる。
    冷静になろうとさせられる。

    うーん、愉しくない。
    しかし東京で感じたことがある歯車のズレをはめ直してくれた…気がした。

  • とりとめの無い、個人的感想ですみません。
    朝、電車で読み、仕事場に着く。
    帰りにまた、電車で読む。
    そうやって少しずつ読んでいた5日間が楽しかった。
    ふとした合間に多崎つくるのことを思い浮かべ、物語の世界を反芻していた。
    つくるが送る日常、つくるの仕事ぶり、つくるが思うこと、学生時代のこと。
    ゆっくり味わっていた。
    そして、ストーリーは巡礼の旅へ。
    面白かった。
    久しぶりに訪ねた友人もそれぞれの人生を歩んでいること。
    知りたかったことが少しずつ明らかになっていくこと。
    当時の思いと、大人になった今わかる思いのせめぎ合いが切なくて、感傷的な気持ちになったけれど、流れた歳月が支えてくれる。生きていくことの意味をおもう。
    自分なりに十分満足した小説です。
    心が静かになって落ち着いていく幸せを感じました。

    ほんとうに文章がきれいで素敵だと思う。
    あぁこんな比喩を使うなんてと感動します。
    つくるに好感を持ったし、つくるのような人物が出てくる小説を書く村上春樹が好きだ。
    あげつらえば、何かしらあるのかもしれないけれど、自分が一人この小説と向かい合っていたその時間を大切に思う。この小説に出会えた喜びが心に刻まれた。

  • 最近映画ばかり観てる感じでしたが、本もちゃんと読んでいました。
    (まとめ借りしたので、続けざまに映画観ましたが)

    この本に関しては、感想はまたいずれ書きたくなったら書こうかな。
    本屋さんで予約するかどうかぎりぎりまで迷ったけど、
    私的な目的で節約生活を決意したばかりだったので(笑)
    図書館ですぐさま予約し(なんと9番!グッジョブわたし!)
    発売日に本屋にいってさわりだけ読んで
    そのままレジに持っていきたい気持ちをぐっと堪え
    図書館に入るのをじりじり待ち
    やっと手に取ることができました。
    とりあえず続けざまに2度読んだ。
    買ったらいいんじゃないかと何度も思ったけど、
    ここまで我慢したので文庫まで待つつもり。

    オーソドックス。ザ・村上春樹。
    そのマンネリ感という中庸さが非凡です。好きです。

    しいていえば、ラストはもうちょい、ハッピーエンド的な暗喩がほしいところ。

    村上春樹を読むと、なんていうかこう部屋の掃除をしたくなるね。
    日々いちにち一日を大事に生きること
    整理整頓、早寝早起き、適度な運動、健康的な食事、規則正しい生活、
    当たり前のことをきちんとする、
    そういうことがつづいていく生活がとても素敵に思えます。

    • vilureefさん
      こんにちは!

      tiaraさんご利用の図書館、アクション早いですね~。9番で既に番が回ってくるとは!
      私の所はネットで確認する限り、ま...
      こんにちは!

      tiaraさんご利用の図書館、アクション早いですね~。9番で既に番が回ってくるとは!
      私の所はネットで確認する限り、まだ登録にもなっていません(^_^;)
      とはいっても予約は今のところ昔ながらの紙でリクエストなので、むりやり数週間前に司書さんに預けてきました。(最初は断られました・・・。)

      私も早く読みたいです!
      良いですね、大定番の村上春樹。
      私もそんな話が好きです♪

      わかります、その規則正しい生活感。
      私は妙にサンドウィッチ(←サンドイッチではない)が食べたくなります。ふふふ。
      2013/04/25
    • tiaraさん
      こんにちはー。メッセージありがとうございます。

      何館ものネットワークになっているので、市全体だと数十冊入るんですよ。
      その分予約数もすごく...
      こんにちはー。メッセージありがとうございます。

      何館ものネットワークになっているので、市全体だと数十冊入るんですよ。
      その分予約数もすごくて、もう1000を超えてます。
      図書館はその辺のジレンマがありますが、早く読めるといいですね。

      村上春樹らしい村上春樹、いいですよね。
      タイトルからファンタジーぽいのを想像していたのですが
      意外と現実的な話でした。
      「世界の終わり~」ではなく、「ノルウェイの森」路線。

      サンドウィッチ!わかります~。
      きゅうりポリポリする感じ。
      2013/04/25
  • 読み始めた瞬間、きっとこの物語はこのような終わり方を迎えるんだろうという予感のようなものがありましたが、その通りでした。
    物語の展開や結末よりもきっと、そのプロセス、洗練されたセンテンスを楽しむものだとすら思えました。
    胸をギュッと痛く掴まれて、少しの息苦しさと共に、けれど時折湖畔から届く爽やかな風や、冬の陽だまりで感じる温かさのようなものがありました。
    全体としてはかなく美しい物語でした。スローに視覚的に、畳み掛けるようなラストは好みが分かれそうですが私はとても好きでした。
    村上春樹さんのような作家さんは他にはいないと思えたし、読んだあともしばらく呆然とした時間を過ごしました。

  • 青年期の心のありよう.ある部分わかる.痛い.
    乱れのない調和なんてものはない.変わらないものはない.自分も他人も環境も.
    忘れることはできない.歴史として積み重なっていく.もう治ったと思っていたとしても、本当は血がまだ流れているかもしれない.
    そういうものを抱えていてもいなくても、日々は過ぎ、年をとる.
    ないことにはできない.なかったことにはできなくても、傷が癒えるようになんとかすることはできる.納得.

  • やっと読めたー。
    村上春樹さんは苦手ですが、これは読みやすかった。

  • 初めて村上春樹さんの小説を読み終えた。高校の時の現代文の文章かな?勝手に問題文が想像できた。
    普段読んでる文章と違って、比喩が多くてストレートに話を進めた方がいいんじゃないと前半は思った。謎解き要素が出てきたけど、結局解決されず今後もどうなるか分からずですっきりしなかった。面白いと思う人は主人公や他に感情移入できる部分があるからなのかな。自分が何色でもない個性がなくつまらない自分って思うのは、モラトリアム期のあるあるな気がする。その時期にいたらもっと共感できて面白く思ったのかも。もう一度読んで登場人物の心情と自分の過去の心情を思い出して重ねたら違って読めそう。ちょっと時間をおいてから再読します。あと、灰田だけはよく分からなかった。

    • kiyop92さん
      灰田は回収されて無い気がしますね
      灰田は回収されて無い気がしますね
      2023/05/06
  • しばらく勉強の為に読書から遠ざかっていたけれど、
    やっぱり本っていいなぁ。

    とても仲の良かった「アカ・アオ・クロ・シロ」と「つくる」。
    とても調和した特別な関係だった彼らの中で、突然彼らから完全な拒否をされた「つくる」。

    何をしたかも分からないまま突き放され、絶望の淵を彷徨った彼が、
    16年の時を経て、その時の出来事に向き合う為の、心の巡礼の旅。
    村上作品はノルウェイの森しか読んだことが無いけれど、似た雰囲気を感じる作品だった。

    特別だと信じていた繋がりから、突然拒絶される。
    その悲しみや嫉妬が響く。

    読み進めるにつれ、彼らに何があったのか、
    何故つくるは彼らから突き放されたのか、
    その理由に目が離せなくなり、結局睡眠時間を削って思わずページを捲ってしまった。

    彼らとの再会の中で、クロ(エリ)との会話が特に印象的。
    素敵な言葉での励まし、救いに思わず涙が滲んだ。

    少し複雑に組まれた文章に、読後は未だ消化不良。
    また改めて読み解いてみようと思う。
    つくるがわるいこびとに捕まりませんように、僕にはそう祈るしかない。


    「僕らはあのころ何かを強く信じていたし、何かを強く信じることのできる自分を持っていた。
    そんな思いがそのままどこかに虚しく消えてしまうことはない」

    そんな言葉が心に強く残った。

  • ものすごく人間味のある話だと感じた。
    初めてこの本を手に取った中学生の私には、まだ経験が浅く視野が狭かったのもあり理解できず挫折してしまったが、20代の今、再び手に取って本当に良かったと思う。

    多崎つくるという人物は、おそらく多くの読者の共感を得る人物なのではないか。作中の言葉を借りるなら、彼は「どんな言語で説明するのもむずかしすぎるというものごとが、私たちの人生にはある」ということを最も体現していると感じた。

  • 長らく積読になっていたのを今回読了。
    1冊で完結していて、こじんまりとした印象。
    読後感は微妙なところ、可もなく不可もなくといったところか。
    すごく印象的だったり、魅力的だったりする登場人物がいなかったことと、なんとなく筋が読めてしまうところがあって、星3つくらい。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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