色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

著者 :
  • 文藝春秋 (2013年4月12日発売)
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本棚登録 : 16468
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163821108

感想・レビュー・書評

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  • とても仲の良い人との付き合いって、とくに学生時代は、永遠に続いていきそうな気もしてしまう。だが、どんなに密な繫がりでもあっさりと切れてしまうこともある。わけも分からず断絶を経験した主人公が自分を生かすために、過去と向き合っていく物語。人生は自分の力ではどうにもならないこともあり、自分一人の力で生き延びなければいけない時もある。人との繫がりは儚いものだけど、その思い出だけでもとても尊いものである。

  • ものすごく人間味のある話だと感じた。
    初めてこの本を手に取った中学生の私には、まだ経験が浅く視野が狭かったのもあり理解できず挫折してしまったが、20代の今、再び手に取って本当に良かったと思う。

    多崎つくるという人物は、おそらく多くの読者の共感を得る人物なのではないか。作中の言葉を借りるなら、彼は「どんな言語で説明するのもむずかしすぎるというものごとが、私たちの人生にはある」ということを最も体現していると感じた。

  • 村上春樹の自伝の「職業としての小説家」と村上春樹特集の雑誌は読んだことあるけど小説は今作が初めて。村上春樹作品って小難しいっていう偏見があったけど意外とサラリと読めた。主人公の多崎つくる、無個性とか以前に感情が薄い人間だなと思った。生まれつきの性格なのか分からないけれど理由も分からず仲間はずれにされたら普通は怒り狂いそうなのに仕方ないって自分を責めて納得しようとしているのが痛々しかった。損して生きてる感じがした。今更過去は変えられないけれど過去のモヤモヤを自分の足で回収しに行って旧友達と話したことには意味があったと思うし、これからつくるの人生は以前よりずっと血の通ったものになっていくんじゃないかな。結末がどうなったか書かれていないタイプの小説だったけど「えー続きは?ここで終わるの残念!」ってモヤモヤした気持ちにはならなかった。

  • 3.5

  • 意味深なエピソードが綴られていたが、つながらず終了。
    高校の国語の先生が結末がはっきりせずわかりにくい小説のほうが楽しいと言っていたのを思い出した。
    小説を今後たくさん読んでから再度読むと新しい視点から考えられるかと思った。


  • 2023年一冊目。

    中学生でノルウェイの森に手を出して挫折し、高校で羊をめぐる冒険、大学で1Q84と敗北し続けて、20台では寄り付かなくなっていた村上春樹作品。

    30歳にして和解できたかもしれない…


    「なぜ”僕”は排除されなければならなかったのか?」という謎があり、
    それが気になってどんどん読めたというところもあるけれど、
    (全く解決されずに終わる、ということもありうると思いながら…)

    日常に潜む「魔」を、その恐ろしさを最近感じることが多く、共感と癒しを得た。

    ありきたりだけど、今のこの日常は奇跡的なバランスで成り立っていて、
    ふとした隙間に挟まって、二度と元に戻れないことは多々ある。

    なにかをつくること、残すこと、
    子孫を残すための行為は本来は暴力的なことであること。
    暴力にならない関係性をつくること。

    駅や器、車や会社に、子孫を残している他の4人に比べて
    消えてしまう音楽を奏でていたシロさんが切ない。

    それでも、「巡礼の年」は”僕”とクロさんの心にいつまでもある。

    昔同級生が言った一言とか眼差しとか、演奏のふとした息遣いとか、消えてしまうものの中でも
    いつまでも自分の中にあるものがある。
    私以外は忘れているようなことであっても。

    私も日々ささやかな仕事をし、自分が満足でき、できれば何かが残ればいいと願う。

    そして大切な人が「魔」に捕まらないように祈る。

  • 主人公は、平均以上にハンサムで
    本人の自覚なくそこそこもてる
    空き時間はジムか水泳 
    料理をする
    クラシックが好き
    指6本

    村上ワールドが散りばめられていて、謎解きが自分には読みやすく、ストーリーは分かりやすい方でした。
    リトルピープルとか出てくると⁇って感じなので。

    記憶をどこかにうまく隠せたとしても、深いところにしっかり沈めたとしても、それがもたらした歴史を消すことはできない

    主人公の記憶の蓋は、まだ開いてないのかもと思わせるラストでした。

  • 終わり方が素晴らしい。終わりがないという方が正しいのかも。終始つくるの視点で書かれていて、つくるが誰かと会話をし、つくるが感じる感情の経験を味わうことのできる作品でした。良作です。

  • "913-M
    人気作家コーナー","

  • 沙羅とつくるはどうなったんだろう

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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