暮れていく愛

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 94
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163821405

作品紹介・あらすじ

つねに様々な小説様式で深い宗教性を感じさせる作品を発表してきた芥川賞作家・鹿島田真希の夫婦小説。結婚十年目のカップルが、互いへの疑いや気づまりの念を交互に独白してゆく。やがて二人は呼応するかのように、社会にではじめの頃、大学生の頃、高校生の頃、子供の頃の記憶をさかのぼり、行き着いたのは……。女子大生ミカの不敵な挑戦を描く「パーティーでシシカバブ」併録。

感想・レビュー・書評

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  • 鹿島田真希著『暮れていく愛』読了。
    共感できそうも無く腑に落ちないのに
    暫く読み進めると心にじわじわと浸透
    してくる。大学時代や思春期のころ、
    そして小学生の思い出など、読み手に
    共感させる部分が出てくるのである。
    こんな感じの人物に遭遇した時があ
    ったと思わせてゆき、暮れていく…
    読後感は…疲労と言ったところか…
    装画のムンクの「灰」は、非常に、
    合っていると思う。

  • 「パーティでシシカバブ」…理屈のズレと飛躍が楽しめた。鹿島田さん器用だなあと思った。
    表題作の「暮れていく愛」。
    なんだこの共感できるようでできないような、過去にさかのぼる告白体なのに真綿で首を絞められるような感じは。
    旦那が好きで好きでたまらない結婚十年目で子供がいない専業主婦の主人公と、その夫側からの交互の告白でつづられている、表面的には「普通」でもある種ギリギリのラブストーリー。

  • お互いのことを気にして頭の中でぐるぐる考えているはずなのに、気付けばこんな自分を受け入れて欲しいになってしまう。
    お互いが自分のことばかりを考えている内は、繋がる気配もなくどんどん遠くに離れていく。
    相手のことを少しずつ考えはじめると、気付けば自分の過去に出会った人たちのことを考える。
    そうすると自分がどんな人間なのか、そして何で相手に惹かれたのかを再認識する。
    大きくは最初に言っていた思いとは違わないのに、
    全く違うものに見えるのがすごい。
    少女という疫病の発症する妻も、そんな少女を発症する女を選ぶ夫もきっと歪んでいる。
    わかり合えないけど情熱が闇に消え去ってしまうことはない。

  • ただただ暗い…

  • 最初のパーティーでシシカバブは何かやっつけぽくて読んでいて辛かった
    表題の暮れていく愛の夫と妻の過去の回想は引き込まれた

  • 二つ作品が収められている。
    最初のは理解を諦め飛ばし読みした。
    もうひとつのは星4つつけてもいいな。離婚寸前のありふれた仮面夫婦とみせかけて……。

  • 表題作で著者は何を表現したいのかよくつかめなかった.妻の現状認識と過去の女性遍歴を思い出すという展開の中に、妻自体も同じような記憶内容を展開する.もやもやした読後感が残った.

  • 鹿島田真希、辛口。

    割と、先が明るそうな感じだったので、ほっとした。

  • なんというか、あたしとしてはおもしろくなかったの一言に尽きる。言いたいことがよく分からないし。
    パーティーでシシカブは、読むのが苦痛だった(T_T)これのおもしろさが分からないあたしが至らなさすぎるのか…。
    暮れていく愛は、最初面白いかもwと思ったものの、いつのまにかお互いの過去をふり返っての回想みたいなの繰り返しで。。。
    でもレビューを読むとこの作品が好きな人も当然いるわけで…どのあたりが面白味なのか教えてもらいたいなと。。。

  • 図書館にて。
    先日借りた「ダビンチ」でおススメで予約がそれほど入っていなかった本を手当たり次第に予約してみたのだが、これもその1冊。
    1つ目の作品「パーティーでシシカバブ」でこのしつこさは何?!と驚愕。
    もう登場人物に共感、とかそういう次元の話ではなく、エンドレスでずるずる続くくだらない思考と会話の垂れ流しが、ある意味新しい。
    昔、筒井康孝の七瀬シリーズに雑然とした思考を持った友達が出てきたが、そんな感じ。
    これでは2作目は一体…と思っていたら、表題作も違う意味でしつこい。
    妻が根拠もなく夫の浮気を疑い出し、夫は妻のそんなじめじめとした態度に嫌気がさして悩み…の連続。
    しばらくこの状態が続くのでこのままラストまで引っ張るのかと思っていたら、二人の過去が行きつ戻りつして重なり始める。
    夫婦二人が同じ過去を共有するのではなく、似ている記憶を持ちあっている感覚が不思議でいながら妙に思い当る…。
    不穏な本篇に比べて、ラストは少しありきたりに感じた。
    夫は妻に過去の話などしなくてもいいのではないか。
    二人なりの幸せは何かもう少し違う着地のような、ここまで疑心暗鬼にやってきて、急に全て話し合おうってうまくいくのかなというような、全部話さない、必要なだけの言葉の先にも何か結論があるような…。
    ずっと雨降る寸前のような曇り空の中来たのに、ラストだけいきなりの晴天はちょっと違和感あり過ぎという感じがした。

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著者プロフィール

1976年生まれ。1999年、「二匹」で第35回文藝賞を受賞しデビュー。2004年、『白バラ四姉妹殺人事件』で第17回三島由紀夫賞候補、2005年『六〇〇〇度の愛』で三島由紀夫賞受賞。2006年「ナンバーワン・コンストラクション」で第135回芥川賞候補。2007年『ピカルディーの三度』で野間文芸新人賞受賞。2009年「女の庭」で第140回芥川賞候補、『ゼロの王国』で第5回絲山賞を受賞。2010年『その暁のぬるさ』で第143回芥川賞候補。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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