流転の魔女

  • 文藝春秋 (2013年6月10日発売)
2.56
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784163822204

作品紹介・あらすじ

お金に狂わされずに生きるって、本当に難しい――



貧乏中国人学生が臨時バイトで得た“高額報酬”の正しい使い途とは!? お金を巡る人間の喜怒哀楽と果てない欲望を描いた傑作長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 何気なく使っている紙幣、硬貨って流れ流れて人から人へ渡って行くものなんだと、擬人化されていることで、改めて感じて来た。
    でも、なんとなく擬人化されている章の部分は、呑み込みが悪かったのも事実。

    それでも、擬人化部分が無かったらこの作品らしくなかったのかも?とも思う。

    中国人留学生の日々と、かつて私が親しくしていた研修生の中国人女性を重ね合わせてしまい、色んな懐かしい思い出が蘇ってきた。

  • 楊逸さんの人柄は申し分ないのだけれど、どうも著書にパンチがない。王連仲は、田口はどうなったのか。陳さん、朗君との関わりも薄れていった。おせんにおいては、外国紙幣の人物とのやり取りがあまりに空虚だ。お仕舞いも何のことだか分からない。残念だなぁ。

  • 変わった小説。
    主人公が二人(?)でそれぞれの物語。(スタートは同じ)
    一人は楊逸さんお得意の中国人留学生の女の子、で、
    もう一人が五千円札のおせん(女の子の命名)。
    おせんはお金なので、流れ流れる。
    お金のことはよく考えるけど、お札の移動についてなんか
    考えたこともなかった。そうだなぁ、外国に行くことだって
    あるんだものなぁ。
    楊逸さんの書く女子留学生のヒロインはいつも可愛い。心根が。
    今回など、高額のバイト料をもらって「贅沢しよう!」と意を
    決してコンビニやスーパーに行くものの、その使い方はとっても
    ささやかで微笑ましかった。すごく気持ちがわかるし。
    またファン度が増しました。

  • つまらない本で途中で読む気を無くした
     もう一度再挑戦したがやは半端でリタイヤ お札の擬人化と生きている人間のお話がドタンバタンと落ち着かない

  • お金に翻弄される登場人物たちと、登場人物たちに翻弄されるお金たち。2つの立場からみた世間。まっとうに生きていきたいけど、家族のためにそれが難しい環境にある人もいる。欲に溺れて自分を失うのだけは厭だ。お金に踊らされず地に足つけて生きていきたいなぁ。

  • お財布の中で紙幣が他の紙幣と会話するというのは面白いと思ったけれど、内容的には何を言いたいのかよくわかりませんでした(+_+)

  • 中国から日本の大学の法学部に留学中の女の子と、なんと5000円札の一人称で交互に語られる、お金に踊らされる人間たちのアレコレ。
    中国の人の考え方(お金や親や世間体についての)が日本のソレとは違うところが多くて面白かったけれど、ちょっと世知辛すぎるというのか…
    この著者特有のユーモアで重苦しくならないのは良かった。

  • なんかお札たちが財布の中で会話してる!
    おもしろそう、と思い手にとる。

    が、まあ、そのお札たちがやりとりする、という
    発想は面白かったんだが、
    いかんせん、ストーリーへの還元力があまりない、とゆーか、だんだん会話についていくのがめんどくさくなってしまい、かなり流し読みしてしまった。すみません。

    人間サイドにおいては中国人留学生のちょっとしたアルバイトがなにやら犯罪に巻き込まれるのか??と思ったけど
    そうでもなく、とくに恋愛面が展開するわけでもなく、
    なんかよくわかんないうちに終了した。

    うーん、つまりが内容にあんまついていけなかった、とゆーことか。残念。

  • お金は大切だよね。翻弄されちゃぁいけないな。

  • 【お金に狂わされずに生きるって、本当に難しい――】貧乏中国人学生が臨時バイトで得た“高額報酬”の正しい使い途とは!? お金を巡る人間の喜怒哀楽と果てない欲望を描いた傑作長篇。

  • 流転するのはお金か人か。楊さんの描く外国人や留学生は、なぜか悲壮感のようなものを感じず感が持てるので、新しい作品が出るといつも楽しみに読みますが、今回はさすがに…今後しばらく?円札を見るとお○○さんとつぶやいてしまいそうです。作品の展開はおもしろかった!

  • 法学部の留学生の林杏は、同級生の父で弁護士の藤森先生のもとで通訳をするアルバイトを引き受けることになった。

    貧しい家庭の経済状況のなか、両親からの仕送りと居酒屋でのアルバイトでなんとか大学生活を送る林に突如舞い飛んできた
    通訳のバイトの高い報酬。

    偽造カード使用の罪で起訴されている王連仲と仲間の田口のやりとりに巻き込まれてしまったが
    中国で両親が新事業に失敗したり
    居酒屋では新店舗で売上金がくすねられる事件もあり
    お金を稼ぐためにも勉強と両立しながら懸命になる姿。

    同時に5千円札の「おせん」の旅路。

    樋口一葉をおせんってw
    福沢諭吉を万太郎、いいセンスだよねw

    不覚にも最後のおせんがいったいどうなったのか気になってしまった。

    しかし中国で使われる臓器移植のもとって、死刑囚なのこわすぎる。
    偏見で大変申し訳ないんだけれども、どうしても中国人ってせこくてずるいイメージが拭えないけど
    貧しいながらも地道に努力する人もいるんだよね。。。

  • 芥川賞作家楊逸初読。作者本人が中国人ということもあり、作中にもその要素がたっぷり。まず主人公が中国人留学生だからね。中国がちょくちょくチャンポンされてくるのでなんとなく読みにくくて飛ばし読み。多分この作家は合わないわ。2013/314

  • メンタリティで何か日本人作家とは違ったものを感じた。もう日本人には無いお金に感じる素朴さなのかもしれない。

  • 五千円札の絵から見た世界。日本から海外へ飛び出し、色んな臭い、他国のお札との出会い、会話 そして持ち主が変わるたびに変化していく廻りの景色と 一緒にいるお札達。
    お札に意思があったら こんなんだろう、と単純に楽しめた。
    もう一つ平行して進む話が 中国人留学生「林杏」の物語。自給900円のバイトをしながら苦学生としての日々。ひょんなことから中国人の容疑者と弁護士との通訳を依頼される。ほんの一時間ちょいの難しくないバイト。その報酬が15000円 金銭感覚がおかしくなるほどのギャップ。 林杏の中国の両親は 大やけどを負ったおばさんの皮膚移植を斡旋。あまりお金がないので 闇取引でのやりとり。移植された皮膚が 死刑囚の刺青入りの皮膚。
    さすが中国!と思わずにはいられない。
    お金の価値を考えさせられる一冊でした

  • 五千円札のおせんがいろんなお札やら人間やらと関わっていく話なのか…ツカミはおもしろそうでよかったのだけど、その後もう1人の主人公林さん登場。そしてそれぞれの話は続いていくのだが、結局2人(1人と1枚?)に接点はなく、通訳した中国人・田口さん・中国人マフィアに絡む女たちは何だったの? というカンジです。

  • 日本銀行で発行されてから廃棄されるまでの
    お金(お札)の一生(寿命1~2年)を、
    様々な人々のエピソードで紡ぐ連作短編集…
    だったら面白いな~って思いましたが…、
    残念ながら、期待ハズレな内容でした…。

    まず、一方の主役のお札が、
    日本を飛び出して、マフィアやらなんやらって…。
    もぅ一方の主役の留学生も、
    2つのバイトのエピソードの繰り返しだけって…。
    しかも…、つながらなぃ…。

    ひょっとすると、
    貨幣の絶対的な価値と、人間の様々な価値観との、
    そのギャップを根幹のテーマに据えていたのかも、
    だけど…、題材・設定の面白みを活かしきれてない
    とても勿体なぃ、残念な作品でした…。

  • 「魔女」とはそういうことか!

    なんとなくネタバレになりそうなのでこのくらいだけど。
    魔女たちの会話が楽しい。

  • お金にまつわる話って日常生活とかけ離れているわけではないから面白いと思うのだけれど、おせんの話が余計かも……。
    林さんの話には興味津々だったんだけどなぁ。
    中国人留学生の日常というか。

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著者プロフィール

(ヤン・イー、Yang Yi)
作家。1964年、中国ハルビン生まれ。
87年、留学生として来日。95年、お茶の水女子大学卒業。
2007年、『ワンちゃん』(文藝春秋)で文學界新人賞受賞。
翌08年、『時が滲む朝』(文藝春秋)で、
日本語を母語としない作家として初めて芥川賞を受賞。
『金魚生活』『中国歴史人物月旦 孔子さまへの進言』(以上、文藝春秋)、
『すき・やき』(新潮社)、『あなたへの歌』(中央公論新社)、
『わが敵「習近平」』(飛鳥新社)、『中国の暴虐』(共著、WAC)など著書多数。
現在、日本大学芸術学部教授。

「2021年 『「言葉が殺される国」で起きている残酷な真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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