烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ 2

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163822808

作品紹介・あらすじ

ぼんくら少年、陰謀渦巻く華麗な朝廷へ。気鋭の清張賞受賞作家第二作八咫烏の世界を描くファンタジー絵巻第二弾。兄宮派と若宮派に分裂する朝廷、権力争いに放り込まれた少年が見出した意外な真相とは?

感想・レビュー・書評

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  • 八咫烏シリーズ2作目。
    1作目で描かれていた后選びの裏側で、兄宮VS若宮の世継ぎ争いが繰り広げられていた。
    前作と同じシーンもたくさんあり、違った目線で描かれると、こんな見え方になるのか!と面白かった。
    こういう形でシリーズが続いていくなら、それまでの内容をしっかり記憶に残しておいた方が楽しめそう。すぐに忘れてしまうから、続けて読んでいかないと!

  • 八咫烏シリーズ第2弾、といいつつ、第1弾よりもむしろこちらの方が本筋のような気がした。

    朝廷における、兄宮vs若宮の権力争い。
    第1弾で4人の姫達が若宮の正室の座を勝ち取ろうと戦っている裏で、若宮もまた生死をかけて戦っていたとは。
    何十年に一度の割合で生まれる、と言い伝えられる「本物の金烏」。
    その「本物の金烏」としてこの世に生を受けた今上陛下の次男・若宮。
    何時の世も何処の国でも、跡継ぎの男子が複数いると、本人達の意向は無視して跡目争いが勃発するものだ。
    第1弾で若宮の正妻になろうと頑張っていた姫達だったけれど、若宮の正妻になるのは実際のところとても苦労しそう。
    彼女達に果たしてその覚悟があったのだろうか。
    それを思うと若宮が正妻にあの姫を選んだのも納得である。

    何かと敵の多い若宮に見込まれた近習・雪哉も、第1弾ではどんくさくて宮中の女性達からバカにされていたけれど、今回の頑張りで将来が楽しみになってきた。
    どうやら第3弾は成長した雪哉が見れるらしいので、彼の活躍を楽しみに今後もシリーズを追いたい。

  • 八咫烏シリーズというか、「烏に単は似合わない」の続編。
    一作目とほぼ同じ時期の裏側を描きます。

    人の姿をした八咫烏が支配する世界、山内。
    次の統治者の金烏となる日嗣の御子の座をめぐり、権力争いが起きていた。
    賢い兄・長束をさしおいて日嗣の御子に選ばれたのはうつけの弟宮だったが、まだ大貴族たちは納得していない。
    四家の后候補の姫たちが宮殿に上がるのだが、若宮はいっこうに訪れもしなかった。
    その理由は、刺客に狙われてそれどころではないからだった‥!

    地方の豪族の息子・雪哉は、地元でのんびり暮らすのが望みで、ぼんくらと評価されている。
    ところが、宮殿で若宮に仕えるよう決まってしまう。
    しぶしぶ都へ向かった雪哉は、部下がろくにいない若宮の居所に驚く。

    無理難題を命じる若宮に反発しつつ、つい頑張ってしまう雪哉。
    本当は出来る奴だが意地っ張りなのだ。
    若宮とのやり取りや、つぎつぎと危地を脱する展開はいきいきと描かれていて、一作目よりも面白い。
    1作目の内容ともっとかぶるかと期待したけど、あまり関係ないほどだった‥

    事情のわからない雪哉を視点に展開するのは、1作目と同じですね。
    若宮は偏った育ち方をしていて、確かに言葉足らず。
    ちょっと気の毒な気もするけど。
    金烏が何かもわからない雪哉の不満は、読者も同じですが~だからって辞めると決めるのは早計で、子供の理屈という印象。
    とはいえ意外な結末にはいささか拍子抜け。
    読者を驚かせることを優先しているのか?
    ただ、書かれていない期間があるし‥ひょっとして、これも引っ掛けかなあ‥と思わないでもないですね。
    どういう続きにしてくるのか、先を知りたくなります☆

  • 八咫烏シリーズ2作目。
    本作は1作目『烏に単は似合わない』と同じ1年間を、今度は若宮サイドから描いています。

    故郷では”ぼんくら次男”と呼ばれている雪哉は、いやいやながら若宮の側仕えとして朝廷へと入ることになりました。
    しかも、当の若宮も”うつけ”と呼ばれる変わり者。
    しかし、この2人、実はかなりの切れ者なのです。

    1作目よりも朝廷の中心部が描かれるので、権力争いの様相がさらによく見えてきます。
    日嗣の皇子の座をめぐる陰謀や思惑が入り混じり、敵か味方かも判然としないさまざまな勢力が暗躍している様子…。
    そんな朝廷の中、若宮と雪哉の格式や慣習なんて気にしない、飄々とした立ち振る舞いにスカッとした気持ちになります。
    どんな権力者を前にしても、雪哉の阿呆っぽい受け答えがぶれないのがいいのです。
    また若宮の数々の奇妙なふるまいの本当の意味が明らかになるたびに、彼のかしこさに舌を巻いてしまいます。
    能ある鷹(…じゃなくて烏?)は爪を隠す、ということですね。
    この若さでこれだけとぼけ上手で強かな2人、将来どんな大物になることか…。

    シリーズ3作目にも若宮&雪哉コンビが登場するらしいので、とても楽しみです。

  • 洗練されていない感というか、素人っぽさが、何なら前作よりも強くないか……と思ってしまった。
    デビュー作は荒削りでも良いけれど、二作目でこうだと、あんまり時間を掛ける余裕がなかったのかなあなんて思ってしまう。
    文体ではなくて、キャラクターの在り様というか、なんというか、。
    そこに輪を掛けるように著者の価値観(とつい受け取りたくなるもの)がばりばりに出ているものだから、考え方自体の是非ではなくて、全面的に主張されちゃっていることが居た堪れない。
    若いんだな……と思うけれど、そう思う自分も大人ぶっていていやだな……。

    ラストは一期一会感があっさりさっくりしていてすき。
    でも今後シリーズとしては、雪哉が主人公なの?!
    勿論読んだら変わるかもしれないけれど、今の時点では(わたし的に)せっかくきれいに終わったのに、とちょっと残念。笑

    雪哉って幾つの設定なんだろう。
    喋り方とか距離を置こうとする性格が落ち着いているから、そこそこの年齢で想像しそうになるところを、表紙絵を見て、割と思い切りちいさめだから、めちゃ少年だから、、と言い聞かせて読んだ。笑
    終盤の素の雪哉はとても子供らしくて微笑ましかったなあ。

  • 八咫烏が世界が舞台なのは前作とおなじ。
    しかし女の子たちが主人公だった前作とは違い、
    男の子たちが主人公。
    まずこの八咫烏の世界設定がすばらしい。
    本当に細かく丁寧。これだけで十分楽しめるぐらい。
    そして今回も驚きの真実が。
    これが彼女の作品の醍醐味のひとつ。
    まさかその人が味方だったとは!

    雪哉がはじめて若宮から仕事をいいつけられたときのくだりもおかしかったが
    その後うちとけて(?)勢いよく言葉を放つ場面にもふきだした。

    前作を読んでいなくても楽しめる。
    でも順番に読むと一層楽しめる、と思います。

  • 本を読んでいるはずなのに、映画かアニメでも見ているかのようだった。とても映像が浮かんでくるようだった。

  • 日本神話にも登場する三本足の伝説の烏「八咫烏」…人間の姿に変身することもできる彼らが支配する山内を舞台にして描かれる異世界ファンタジー「八咫烏シリーズ」の2作目『烏は主を選ばない』です。

    1作目は日嗣の御子である若宮の妃を桜花宮で選ぶお話でしたが、今作はまさに1作目と同じ時系列で桜花宮の外での若宮側のお話…と言っても語られるのは若宮の側仕えとなる雪哉の視点から。

    いやぁ〜これはおもしろかった!雪哉も若宮もどちらもとても魅力的なキャラクターでしたね。朝廷での権力争いから交錯する思惑、程よいアクション、怒涛の伏線回収…雪哉の選択は本当にそれで良かったの?そしてまだまだ「八咫烏」という設定が本領発揮されてないよね?「本物の金烏」って何?続きを読むのがますます楽しみです〜。

  • 図書館で。
    シリーズ二作目。一作目のお話を若宮の従者の目から見たお話というか。こっちはこっちで大変だったのよ、というお話というか。
    八咫烏は3本脚だそうですが変身した時の3本目の足ってどこから出てくるのかなぁ。飛行バランスが悪そう。

    個人的には若宮はこりゃ無いな、そりゃあ人心を掌握できないよという感想です。敵が多いのはワカルけど人を信じさせようと思ったらまず自分が信頼しなくちゃねぇ。そして結構無茶や無理をさせるさせる(笑)これ、私だったら絶対許さないレベルだ。
    結構早い段階で若宮の味方には気が付いたんだけどユキヤ君のメンドクサイ生い立ちがあまりに唐突でちょっと…うん、ナンダカナ、というか。そして利用されて本望、みたいに言えるのは貴方が大人で自分で利用されてもいいと思える主君を選んだからだよ、と言ってやりたい。自分が選ぶ前に利用価値があるからと利用されたらそりゃあ良い心持はしないでしょうにねぇ。

    というわけでまぁ、タイトルが既にネタバレというか。続きはまあ…もういいかなぁ。

  • 前作も本作も、感情移入できる登場人物が全くいない、距離感のある物語。それなのにしっかり面白い。前半は八咫烏の世界の様相が描かれ、少しずつ物語が加速していき、最後にどんでん返しされる流れは、前作に続き、一気に読ませる楽しさ。
    さらに次の作品を読みたくなる。楽しみ。

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2023年 『烏は主を選ばない(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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