すなまわり

著者 : 鶴川健吉
  • 文藝春秋 (2013年8月23日発売)
3.08
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  • レビュー :9
  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163825403

作品紹介・あらすじ

相撲好きの少年は、相撲記事となれば、小さな三面記事まで切り抜かずにはいられない。相撲中継に夢中で勉強は一切しない。自分の体格に見切りをつけ、行司の道を選んだ彼は、砂と汗にまみれたエキサイティングかつ単調な青春を送る――第149回芥川賞候補作。併録「乾燥腕」は第110回文学界新人賞受賞作。ひとり暮らしの若い男の、不快と、それと背中合わせの奇妙な悦びを描き、独特のおかしみを醸し出している。

すなまわりの感想・レビュー・書評

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  • 汚い嫌い

  • 行司の青年が主人公の物語です。
    行司とは、大相撲で「のこった、のこった」と言っている人のこと。
    大相撲のこともほとんど知らないけど、行司のことはもっと知らなかったな、というのが一番の感想かもしれません。

    彼は相撲部屋に住み、力士たちと巡業をまわり、力士と同じ土俵に立ちます。
    相撲は力士同士の戦いっていうイメージがあるけれど、もしかしたら行司も含めて土俵の上にいる3人が呼吸を合わせて勝負をしているのかもしれません。
    行司は勝負を裁く人でもあるけれど、同時に盛り上げて二人が常に公正でいられるような間合いを保てるように気遣う人。
    そんな人なのかもしれません。

    小説は行司が中心ではあるけれど、当然力士の生活も描かれています。
    八百長問題が取り上げられたこともありますが、そういう人たちだけではなくて、
    まっすぐに真剣に頑張っている力士たちもいるんだなということがわかってほっとしました。
    それから、相撲界に蔓延している暴力の片鱗。
    行司でも兄弟子に殴られて叱られている描写があって、しかも、それをされなくなるのも寂しいというようなことも書いてあって、そうすることがある意味でコミュニケーションになっているんだなということがわかります。
    主人公の名前が付けられていないことから推測すると、それはその主人公だから起きていることではなくて、そこにいる誰でもが体験している日常なんだなと思うと少し怖かったです。

    自分の知らない世界が見れた小説でした。

  • 御飯時に読んではいけない

    とても読みやすいけれど

    食べ物にすごく綺麗に完璧な美しさでカビが生えているのを見るような
    感覚的な嫌悪感と綺麗さがあると思いました

  •  第149回芥川賞候補。行司経験者の作家による、行司が主人公の小説と聞き、相撲に多少の興味があるので読んでみることにした。

     出来事を主体に、ほとんど感情について触れられることなく描かれていく。角界という特殊な世界についてのことなので、下手に説明されるよりも、実際にこの目で見たかのような読後感があり面白かったように思う。かかとのヒビとか、流れていく黄痰とか、糖尿とか、土俵に立つ足の裏の感覚とか。自分で体験しているようだった。

     新時代にメモを取ったら怒られたとか、新聞読んだら「辞める気か」と言われるところは、よくある新社会人の心得の真逆を行っているようでビビる。また、理屈を排除し、いかに感情を動かさないかという心得も、理屈っぽく物事を考えてしまう自分には新鮮(奇異)?に映る。ただし、それはただ何も考えずぼーっとしているだけというほど甘いものではなく、そのための努力?は両親とのやりとりの中で垣間見えてニクい。

     それだけに、そうした姿勢を貫く主人公はこの後どうなっていくんだろうと非常に気になる。理屈から離れること、考えないということに、私は不安を覚えてしまうからかも知れない。

    (乾燥腕)
     良くも悪くも、表題以上に印象に残った、というか、こべり付いてしまった小説。主人公から関連人物、世界観すべてが小汚い。無職時代に一度経験したことだが、一週間近くトイレと食事以外部屋から出ず風呂にも入らなかったとき、体が臭くて髪はベタベタ、体をぼりぼり掻くという最悪状態になったことがあった。実に汚いが、この小説はずっとそんな感じ。

     たまに視点が主人公以外になるのだが、それが鼠、どじょう、金魚、アパートの下の階に住むジジイなど。彼らが視点という点で主人公と同じ土台に乗ることで、主人公までが取るに足らない存在に感ぜられてしまう(ジジイに失礼ではあるが)。自慰行為のオカズが羽虫など、あんまりではないだろうか。異性との性行為も書かれるが、今まで読んだ小説の中でも最悪。生物誕生以来ここまで性の営みを侮辱する表現が存在したであろうか、と仰々しい表現で言いたくなるほど。

  • 【砂と汗にまみれた青春、第149回芥川賞候補作!】相撲好きが高じ少年は行司になった。激しい稽古、間延びする自由時間、やめていく若手……角界の裏方の生態を描く、斬新な青春小説。

  • 装丁に惹かれて衝動買い。
    行司という馴染みない仕事に就く青年の日々を描く「すなまわり」、少し破綻した青年の日常を描く「乾燥腕」。 読みやすい文体。 たまにはこういう本もいい。

  • 表題作は行司の日常生活が垣間見れる面白い内容で、力士のナマの姿も知ることが出来るある意味で貴重な作品だと思う.「乾燥腕」は後宮と渋谷が主な登場人物だが、虫が沢山出てきて何かぞっとする内容だ.しかし、何を表現しているのか結局つかめないまま読了した感じだ.

  • 元大相撲行司が描いた行司が主人公の小説。乾いた感じがある。入り込めないが読んでしまう、不思議が感覚の小説だった。

  • 中、短編2編。
    「すなまわり」はすもうの行司の話。何気なく目にしていた行司の世界を少し知ってなかなかに興味深かった。そして、砂の存在感に圧倒された。
    「乾燥腕」はニート寸前の若者というより、死にいくモノや腐ったモノへの偏愛の物語のようで、感覚的に受け付けなかった。

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