まほろ駅前狂騒曲

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163825809

作品紹介・あらすじ

2013年に瑛太、松田龍平のコンビでテレビドラマ、映画化された「まほろ駅前」シリーズの第三弾!
前二作に引き続き、今回もまほろ駅前周辺で事件が起きます。

感想・レビュー・書評

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  • まほろ第三弾はオールスター総出演!
    これで終わっちゃうのかな。゚(゚´Д`゚)゚。

    はちゃめちゃだけど全てが繋がる素晴らしい大円団
    もう三浦しをんのサービス精神に脱帽‼︎

    この巻で行天の◯◯が吹っ飛んだ!って話を持ってくるとは…やられた〜って思いました_φ(・_・

    このシリーズはみんなに読んでいただきたい‼︎
    おすすめします\(//∇//)


  • はるちゃんを預かったことにより、多田の心の中に変化が生まれる。行天の心の中にも態度にも変化が生まれる。
    曽根田のばあちゃんがいい味を出している。ボケている、なんて言っていたけど、冗談を言えるならしっかりしているんじゃん。
    「行きたい場所に、たどりつけたってことだ」多田のことも行天のことも見守ってくれているかんじ。
    『正しいと感じることをする。でも、正しいと感じる自分が本当に正しいのかを疑う』いやな仕事は逃げ出し、いつもふらふらしていて、いいかげんなヤツに見えるけど、行天の言葉はいい言葉だ。
    裕弥も行天と出会えてよかった。世の中宗教二世が最近話題になることもあるけど、自分が知らないだけで、親に巻き込まれる子どもって案外多いのかもしれない。
    もうまほろの人々に会えないのは淋しいけれど、とても楽しく、ほろっとしながらこの世界観を堪能した。

  •  まほろシリーズ第三弾。

     行天が多田便利軒に転がり込んできて3年目の正月から物語は始まる。もう三年目・・・多田は行天に「そろそろ出てけよ」とことあるごとに言うが、まいにち「おやすみ」を言い合える、ゆるゆると繋がっている日常が続いている。いいな。

     そんな二人の日常を変えるのは、やっぱり女。

     特に、行天の遺伝子上の娘である、はるが多田と行天の日常に大いなる変化を与える。行天の過去も明らかになる。「高校に上がるころには部屋にいくつものカギをつけた。母親が部屋に入ってこられないように」
     これだけの描写で、何が起きたのか、容易に想像できてしまう。行天の過去がすさまじかったことを。、

     小さいものに暴力をふるってしまうことを極端なほど恐れる行天。そんな行天と、はるちゃんを一晩二人きりにしようとする多田がよかった。その多田の覚悟もよかった。
    「はるちゃんに何かあったら、俺は死ぬことにするよ」
     この殺し文句は、多田にしか言えないことだ。行天を信じる、多田にしか言えないことだ。

     はるのことを、「あれ」「あのガキ」と呼んでいた行天が、段々やわらかくなっていったのもよかった。行天がはるを「このひと」と呼んで、はるが差し出した手を握り返すのもよかった。

     人は、こうやって繋がっていくんだな。生きていれば、こうやって人と人とは関わっていけるんだな。心がじわっとなった作品。

     ぜひとも、まだまだ続編が出てほしい。

  • まほろシリーズ3作目。いつもの岡さんの横中バス間引き運転話、無農薬野菜を売る怪しげな団体…落ち着く事のないまほろで、一ヵ月半子供(はるちゃん)を預かる事になってしまった多田と行天。はるちゃんを交えてのドタバタな日々が始まる。
    色々な事が良い方向に進展し、驚きの連続だった。特に行天は最初の頃とイメージが一変。登場人物の意外な一面(多田が甲斐甲斐しくはるちゃんのお世話をしたり…)も見れて、このシリーズに対する見方がかなり変わった一冊になった。

  • 三浦しをんの作り出す小説世界の住人たちは、とても魅力的だ。
    主人公である多田啓介と行天春彦はもちろん、彼らを取り巻く岡、ルル、ハイシー、凪子、はる、亜沙子から星や由良や裕弥まで。
    それぞれのキャラクタに深みがあり、絵に描いたようにくっきりとイメージできる。

    「まほろ駅前」シリーズ三作目となるこの最新刊では、多田と亜沙子の恋物語に胸ときめき、謎の農業団体との騒動にハラハラドキドキさせられ、時には大笑いしながら、物語は進んでいく。
    今回の様々な経験を経たことで、多田も行天もようやく自分たちの葛藤や悩みを乗り越えることができ、一回り大きくなっていく。

    終盤では、行天の失踪によってこのシリーズも今回が最後かと思わされるが、誰も想像しなかった展開によって、今後に含みを持たせる。

    ところどころに散りばめられた作者特有のユーモアセンスに頬を緩めながら、最後までとても面白く読まされる。
    まさに小説の醍醐味を十分に味わえる作品だ。

    多田が便利屋稼業を営む限り、どんな事件に関わっても違和感はない。
    これからも長期に渡って続編を期待したいシリーズだ。
    多田、行天のハチャメチャコンビは永遠に不滅なのである。

  • 多田便利軒シリーズ第三弾

    ようやく前を向いて歩き出せそうな気がしている多田
    明るいもの、温かいものを求める自分を許し、亜沙子に不器用ながらも自分の思いを伝える
    こんな心境の変化は、同居して2年が経つ行天の素っ頓狂さにも一因があるのだろう

    そんなところへ1ヶ月半行天の子供はるを預かるという依頼がはいる

    はるを預かることで、過去に怯え前に踏み出せないでいる自分も行天も、何かが変わるのではないかと期待する多田

    二人の男が恐々4歳の女児を可愛がる様子がとてもほほえましい それぞれが全く別の可愛がり方ではあるけれど

    今までの総決算のように、登場人物がそれぞれの事情を抱えてまほろ駅前南口ロータリーに結集する様子は、ドタバタ喜劇さながらで、恩田陸さんの『ドミノ』を思い出してしまった

    そして、多田が信じた通り、行天は子供に無闇に暴力をふるう輩ではなく、それどころか自分の身の安全すらそっちのけで守りきる男だった

    裕弥に言った行天の言葉がそれを物語っている
    「正しいと感じることをしろ。だけど、正しいと感じる自分が正しいのか、いつも疑え」

    「苦難と騒動がひとを大きくする」という曽根田のばあちゃんの言葉通り、ひと回り大きくなった多田と
    便利軒の隣に探偵事務所を開いた行天の今後がまだまだ
    読みたい 

    すっかり二人のファンになってしまった

    ぜひ、後日談を!





  • 「まほろ駅前」シリーズ3冊目。

    新年を迎えた多田便利軒。
    相変わらず、多田と行天の男二人住まいです。
    しかし、この1年は曽根田のばあちゃんが予言したとおり、波乱に満ちた1年となるのです…。

    まほろのオールスター勢ぞろいで、読者にはうれしい限りです。
    特に岡老人の暴走っぷりに磨きがかかっていて、呆れつつも笑いがこぼれてしまいました。
    謎に包まれていた行天の過去も、少しずつ明らかになっていきます。

    しをんちゃんの小説を読んでいると、いつのまにか登場人物たちのファンになってしまっていることが多いです。
    多田にも行天にも、心に変化があった1年だった様子。
    このあと、彼らがどんな風に暮らしていくのか、ぜひこの先もまほろ町の面々を見守っていきたくなりました。

    • 円軌道の外さん

      明けましておめでとうございます!
      今年も変わらずよろしくお願いします(^o^)

      このシリーズもテレビドラマは見てたけど
      小説は...

      明けましておめでとうございます!
      今年も変わらずよろしくお願いします(^o^)

      このシリーズもテレビドラマは見てたけど
      小説はご無沙汰でした。

      けどすずめさんの愛情溢れるレビューを読んで、
      また多田や行天たちに無性に会いたくなってきました(。>A<。)

      喪失を抱え逃げずに過去と向き合おうと
      変わってゆくふたりを見ていると、
      なんだか勇気が貰えるような気がしてくるし(笑)

      今年は映画の第二弾も公開されるとのことなので、
      そちらも楽しみですよね(^o^)

      素敵なレビュー今年も期待してます!

      2014/01/02
  • 三浦しをんさんの直木賞受賞作。
    便利屋稼業の多田の周りで起こるドタバタ劇。居候の行天、想いを寄せる未亡人亜沙子、突然預かることになった幼女はる、様々な依頼を寄せる依頼人たち。
    生と死、出会いと別れ、取捨選択で人生はつくられていくことが、伝わってくる。
    過去を語らない行天が、過去の自分のような少年裕弥に語った言葉が印象的だった。
    「大事なのはは、正気でいるってことだ。おかしいと思ったら引きずられず、期待しすぎず、常に自分の正気を疑うってことだ」
    「正しいと感じることをする。でも、正しいと感じる自分が本当に正しいのか疑う」
    p366
    続編があったらいいなあと思える、登場人物が生き生きとしていた物語だった。

  • まさに「狂騒曲」。
    皆が皆思い思いに生きていて、それぞれのパワーがぶつかってあちこちで騒動が勃発して、傷ついたり、愛し合ったり、もう何が何だかなのがこの世界。
    そんな混沌とした世界の中で出会った多田さんと行天さんと、友人達。
    これが幸せってことなんだなと思えた。

    「大事なのはさ、正気でいるってことだ。おかしいと思ったら引きずられず、期待しすぎず、常に自分の正気を疑うってことだ」

    行天さんのこの言葉がぐさっと刺さった。
    「正気でいる」
    「自分の正気を疑う」
    その通りだなと思う。
    でもこれが難しい。
    どうしても思いつめてしまう。「こうしなきゃ」と。
    それが狂気の最初の一歩のような気がする。
    でもこの一歩は頑張っている時に踏み出してしまう一歩だし、前向きでいたいと思っている時に踏み出してしまう一歩なんだ。
    日々を生きていくにはそういう気持ちも必要だと思う。
    だから「常に疑う」ってことなんだろうな。
    頑張ってしまっている(と言うのもなんだかな…だけど)時、「今私が見ているものは何か?」「今目指しているものは何か?」と問いかける。
    それが自分にとって大切なことなのか。
    その行いを心から肯定できるのか。
    余裕を失っていないか。
    利害ではないところで笑っていられているか。

    うぅむ…問いかけ方が難しい…。
    その辺はもう少し考えます。

  • え?まほろってこんなに切なく哀しい話だった?
    多田も行天も重すぎる過去を背負っているけど、ダラダラ脱力系のちょっとミステリーみたいなかんじじゃなかったっけ?
    と思うくらい、多田と行天の関係と行天の過去が直球で描かれている。
    うわー、前の2作読み直したい。

    思わず何度も読みなおしてしまうくらい、ぐっとくる語りが何箇所もあり、ふいに涙がにじむ。
    その倍くらい吹き出してしまうところがあるんですが。

    信じること、覚えていること、正しいと感じることをすること、正しいと感じる自分が正しいのかいつも疑うこと、厄介ごとを抱え込み人々の暮らしの中で生きていく。

    行天の元パートナー・凪子から突然娘のはるを1か月半預かってほしいと頼まれ、微妙な3人のひと夏の生活がはじまります。
    HHFAなる無農薬野菜を作り売る団体やら、横中バスの間引き運転に断固として糾弾する岡さんたち老人御一行やら、ルル&ハイシーに星に由良公たちおなじみメンバーも絡んできて、なかなかの騒動になるも、切なく苦しい彼らの想いが絶えず付き纏います。
    「キッチンまほろ」の美人女社長・亜沙子との関係も、傷のなめあいではなくお互いを思い遣っているところがいいですな。

    いやー、最後はもしやシリーズ完結?と心配になったけど、よかったよかった。
    多田と行天の同居生活も丸3年となり、4年目を新たな年と共に迎えました。
    次のハッピーな展開を思うと楽しみで仕方ない。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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