オレがマリオ

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163828107

作品紹介・あらすじ

俵万智の第五歌集。東日本大震災を間に挟み、第一部、第二部と分かれる。俵は、放射能被害を逃れ、西へ西へと移動し、幼い息子の手を引き、運命的に石垣島への定住を決める。そこで出会った自然や人々。冒険心を掻き立てられる幼子。さまざまな経験や観察の中から生まれた341首。母として、3・11以降を生きる日本人の一人として、世界を受け止める。新たな生命力の獲得をベースに詠まれた傑作歌集。

感想・レビュー・書評

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  • 先日新聞の書評欄で万葉学者の上野教授が評されていた文があまりにも印象的だったので、読んでみました。

    若くして、その才能が認められた人は不幸である。しかも、それでいて美貌の人は、もっと不幸かもしれない。
    なぜならば、人びとは、いつまでたってもデビュー作を想起するからだ。

    うん。
    本当にその通りだと思う。


    万智さんの生き方を非難する人もいるとかいないとか・・・

    だけど万智さんは詠む。

    子を連れて 西へ西へと逃げてゆく
       愚かな母と言うならば言え

    子を守る  小さき虫の親あれば
      今の私はこれだと思う

    ......................................................

    この歌集には
    『チョコレート革命』の時のような
    過激な歌はない。

    焼き肉とグラタンが好きという少女よ
    私はあなたのお父さんが好きよ


    だもん・・・!
    怖いわーー!!

    だけど
    お忍びの恋愛中の女性にとっては
    憧れや共感されたりしたんだろうな。

    そして
    今の万智さんはお母さん。
    お父さん役も。

    抱っことは抱き合うことか子の肩に
      顔うずめる子の匂いかぐとき

    無垢無邪気無心無防備笑顔とは
    無から生まれるものと思えり

    ゆきずりの人に貰いしゆでたまご
    子よ忘れるなそのゆでたまご



    ......................................................

    万智さん、頑張ってる。
    強いな。

    恋愛をして
    誰かを愛したり泣いたり

    出産して
    子どもを愛でて守り抜く

    きっとこの先にも
    万智さんの人生は続いていく。

    若い時に認められたからこそ
    色々な聞きたくない声を
    聞いてしまったかもしれない。

    だけど
    若い時からの万智さんの声が
    残っているからこそ
    恋愛中の女性の声として
    子育て中の母の声として
    共感出来るファンは多いはず。

    そして
    これから万智さんの人生が
    進めば進む度に
    また共感出来るファン層も
    増えるんだろうな。と
    同じく女性として応援しつつ
    期待しています。

    きっといつの日にかは
    マリオくんとピーチ姫の物語なんて♪
    楽しみです!


    オレが今マリオなんだよ島に来て
    子はゲーム機に触れなくなりぬ

  • 無邪気な息子さんとの愛おしい日常の歌から
    震災後の母としての覚悟を感じる歌も。
    沖縄の歌は表紙のデザインからも見られる
    鮮やかさを感じました。

    ・いのちとは心が感じるものだから、
         いつでも会えるあなたに会える

    ハァ...切ない。

  • 短歌とは日記・フィクション・ため息で
    心の色さえとどめればよい
    ***
    読みやすいのに真似できない。
    感情の切り取り方。
    ムスコ君の感性も素晴らしい。
    今回のLIKE 15首を引用に登録。

  • 震災以降、沖縄石垣島に移り、その選択を肯定し、一時的な旅人の目線から、定住する様にかわっていく短歌。さらに息子も成長して会話や行動が活発になっていくので、石垣島の自然とマッチした生き物を感じる短歌でした。

  • 何気ない会話や日常も角度を変えて見てみるとキラキラ輝いてくるということをこの本は教えてくれる

  • ◆きっかけ
    2人目を出産して、生まれたての息子の顔を見ていたら、上の娘が生まれてから読んだ俵万智さんの短歌がチラチラと思い出され(生まれてバンザイ とか)、もう一度読みたい、もっと多くの育児系の作品を読みたいと思い、図書館にあった5冊を母にリクエストして借りてきてもらった。『たんぽぽの日々』『プーさんの鼻』『ちいさな言葉』『ありがとうのかんづめ』『オレはマリオ』。たんぽぽの日々については借りるの2度目。

    ◆感想
    341首の第五歌集。第四歌集プーさんの鼻の続き。たくみんが幼稚園に上がってから、小学生になるまで。震災で仙台から宮古島へ移住する時期を含む。
    たくみんの成長、島の人や環境との交わりを瑞々しく切り取った歌。
    2歳ごろのうたも後半出てきた。たくみんのお父さんらしき人物も登場しドキドキ。
    気になっていた『生物と無生物のあいだ』が不意にうたの中に出てきて驚いた。ますます読みたくなった。む図に無い…。2018/4/5

  • 震災時のこと、住まいを石垣島へ移した時のことなどが描かれる。
    たった31文字で紡ぎ出される日常の苦悩、安堵、喜び…。
    どれも鮮やかに表現されている。
    それは、万智さんが、子どもを表現するのは瞬間的に刺身のように、大人を表現するのは熟成させたソースのように、言葉を使い分けているからだろう。

    個人的にはあとがきが好き。
    「コロコロコミックをめくるときの顔に感じる風が好き」
    息子さんも詩人ですね。

  • 棺桶の中の息子を撫でやまず凄まじきかな母というもの

  • やっぱり天才

  • 親子の歌から大人の恋の歌まで俵万智さんのくらしが綴られた一冊。歌をたしなむ一人として、息子さんの純粋な視点がとてもうらやましく思いました。
    震災後の万智さんの行動について当時は賛否両論あったようですが、万智さんの人生は万智さん個人のものなのだから、他人が何を言おうが信じるべき道をゆけばよいと思います。息子さんは生き生きとすごしているようですし、結果オーライ。後書きにある「コロコロコミックをめくるときの顔に感じる風が好き」という息子さんの一言が印象的でした。

    五首選
    ・子を連れて西へ西へと逃げてゆく愚かな母と言うならば言え
    ・「オレが今マリオなんだよ」島に来て子はゲーム機に触れなくなりぬ
    ・花びらが音なく落ちる気配してボート陸からちぎれてゆけり
    ・愛よりもいくぶん確かなものとしてカモメに投げるかっぱえびせん
    ・満開の桜の下を遠ざかるシャネルの家紋をつけた侍

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著者プロフィール

俵万智(たわら まち)
1962年大阪府生まれの歌人。同四條畷市、福井県武生市で育ち、福井県立藤島高等学校を経て早稲田大学第一文学部に入学。
1986年『八月の朝』で角川短歌賞受賞。1987年『サラダ記念日』を刊行し、空前の大ヒットとなる。他の歌集に『かぜのてのひら』『チョコレート革命』『プーさんの鼻』『オレがマリオ』など。他の著作に『愛する源氏物語』『俵万智訳 みだれ髪』など。2018年に『牧水の恋』を刊行。

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