問いのない答え

著者 :
  • 文藝春秋
3.21
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本棚登録 : 542
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163828305

作品紹介・あらすじ

なにをしていましたか?先週の日曜日に、学生時代に、震災の日に――様々な問いと答えを「遊び」にして、あらゆる場所で緩やかに交流する人々の切実な生を描く、著者四年振りの長篇群像劇。震災発生の三日後、小説家のネムオはtwitter上で、「それはなんでしょう」という言葉遊びを始めた。一部だけ明らかにされた質問文に、出題の全容がわからぬまま無理やり回答する遊びだ。設定した時刻になり出題者が問題の全文を明らかにしたとき、参加者は寄せられた回答をさかのぼり、解釈や鑑賞を書き連ね、画面上に“にぎやかななにか”が立ち上がるのだ。最近ヘアスタイリストと離婚したばかりの「カオル子」、ボールベアリング工場勤務の「少佐」、震災を機に派遣社員をやめた「七海」、東京郊外の高校に転校してきたばかりの美少女「蕗山フキ子」……気晴らしの必要な人だけ参加してくださいという呼びかけに集まったのは、数十人の常連だった。グラビアアイドルに取材する者、雑貨チェーン店の店長として釧路に赴任する者、秋葉原無差別殺傷事件の犯人に思いをやる者、亡き父の蔵書から押し花を発見する者、言葉遊びに興じながら、彼らはさまざまな一年を過ごす。そして二〇一二年四月、twitter上の言葉遊びで知り合ったある男女の結婚を祝うため、たくさんの常連たちが一堂に会することになり――。

感想・レビュー・書評

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  • 言葉遊びを通じてTwitterで繋がる人々。それぞれが個々に生活していて、時間も場所も行動も違う。Twitterで繋がっているような、繋がっていないような…。密な繋がりを求めない現代社会っぽい。私もこんな事あるなと思いながら読んだ。
    登場人物が多く、文章も段落分けしておらず次々に別の人物に焦点が移り変わるので、最初はなんだか読みにくかったが、段々と自然に繋がっていく文章がとても面白く感じた。

  • なんとも不思議な読後感。
    好きです。

    ツイッターは未経験だけど、そこに流れている空気は共有出来たような気がする。
    近いようで絶対に埋められない(埋める気もない)距離を保って生きている人達のこと。
    知らない人との画面上での会話を楽しみにするのは寂しいことでしょうか?

    顔が見えても見えなくても、全てを伝えられないのは同じかもしれない。
    全てなんて自分にだって分からないし。

    落とし穴にハマった時に言葉に出来る場所があることが、人を救うのかも。
    そんなことを考えた。

  • Twitterで知り合い、ハンドルネームしか知らない人達にも、それぞれリアルな生活がある、という話。
    登場人物が多過ぎてどれが誰の話だかわかんなくなるけど別に誰の話でも良くて、要するにみんな他人の話が聞きたいんじゃなくて自分の話を聞いて欲しいだけなんだよね。それを繋がりと称しているけど。

  • BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“今週の新刊”で登場。
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/highlight/24.html

    「だからこそ、人間って手を伸ばし合うんだし、だからこそ、Twitterというツールが若者のみならず中高年、お年寄りの方も使っている人がいるわけだし。何か呼び合えるツールがあれば、そしてこたえる人がいれば、まさにこのTwitterというツールの本質を表してくれるような、そんな印象を受けました。」(代官山蔦谷書店ブックコンシェルジュ 間室道子さん)

    =========================
    BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー「ブックサロン」で登場。

    ゲストの長嶋有さんの最新作。
    ものすごい多い登場人物が出てきて、本来はそのそれぞれを把握しないと読んでいけないんですけど、
    そうでなくてどんどん視点が変わっていくのが気持ち悪くないんですよね。(司会:池澤春菜さん)


    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/teaser.php

  • 名付けられると安心するように、大人だって寂しくていい、と認められたら安心するのかな。
    つぶやきでさえ受け止めてくれる誰かがいるという安心感と繋がり感。
    あそこにもここにも人人人。人は沢山いるのに繋がりって見えにくい。もしもしもし、私も繋がっていますか。繋ぐことが出来ていますか。

  • ツイッタの内と外。言葉遊びでつながる人々。空間、時系列、印象を自由にのびのびと押し広げていくナラティブは、さいしょ読みにくかったけど、慣れるとそうでもない。ゆるさの奥にほのみえる熱。言葉をたぐるうちに作者自身がうっすら立ち現れる話。以前エッセイで、ツイッタは笑える、無意味ということだけが異様な輝く媒体…的なことをおっしゃっていたのが、でもそこからこういう話が生まれたのかぁ、と興味深く感じた。
    すこし前に読んだ『スタッキング可能』であなたもわたしも交換可能だけどそれがなに、という風だったのが、こちらだと「取り替わったとしても、そのどの我々も、きっと素敵だ。」になっていて、その違いなんかもおもしろい。

  • 長嶋先生と同じ星に生まれてよかったと何度思ったことでしょう。

  • 面白かったです。読書会でおすすめしていただいた本です。
    問いかける言葉だけをTwitterに呟き、その問いのきっかけや理由を伏せたまま答えを出す、という遊びは面白そうです。
    それを軸に、登場人物たちの震災や秋葉原の殺傷事件についても描かれていました。
    登場人物も情報も多いのですが、たくさんのエピソードが表れては流れていくのがTwitterの世界みたいだと思いました。ユーザーあるあるも。
    Mステのt.A.T.u.事件懐かしい…ミッシェルの曲名まで覚えていなかったのですが、これによると、ミッドナイト・クラクション・ベイビーだったのか…。
    「世界がそのようにしかみえないからといって、世界がそのようであるとは限らない。」はっとします。知見を広げねば…とか、つい思ってしまいますが、自分のことだけでなく、人の立場に立ってみるとかそうやって考えてみることから始めてみようも思います。

  • 文学

  •  カラオケは二人きりだとせわしない。すぐに順番が回ってくるし、四人五人と増えていくのは、メンバーによっては楽しいが、そのときのメンバーに応じて選曲を気遣わないといけなくなってくるし、聴きたくない曲も聴かなければいけない。一人だと好きな歌を歌えるし、難しい曲に失敗してもいい(「ボヘミアン・ラプソディ」を一人ですべて歌っても構わないのだ)。歌わずに熟考している間、無音になっても気まずくない。(p.104)

     スピーカーから柔らかそうなチャイムが鳴った。皆がそれぞれの座席を立ち上がり、ノビをしたり荷物をおろしたりする中、鯖はなおも悠然と思いにふけった。さっき隙間から観た画面の中の男もー昔の映画の悪役だろうー胴体に電飾の粒々を埋め込んで自分を飾っていた。かたや現代の我々は、もっと微細な粒々の集合で表される。カメラで撮られれば姿が、つぶやけば言葉が。そのことを虚無的に感じるわけではないが、ちらっとみた電飾のデブが急に愛しく思えてきた。ドットにされる前に俺が光ってやる!と無闇に逆らって見せているみたいで。(p.249)

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著者プロフィール

長嶋有
一九七二年生まれ。二〇〇一年「サイドカーに犬」で文學界新人賞、翌年「猛スピードで母は」で芥川賞、〇七年の『夕子ちゃんの近道』で第一回大江健三郎賞を受賞し、〇八年には『ジャージの二人』が映画化された。一六年『三の隣は五号室』で谷崎潤一郎賞受賞。その他の小説に『パラレル』『泣かない女はいない』『ぼくは落ち着きがない』『ねたあとに』『佐渡の三人』『問いのない答え』『愛のようだ』『もう生まれたくない』『私に付け足されるもの』、コミック作品に『フキンシンちゃん』、エッセイ集に『いろんな気持ちが本当の気持ち』『電化文学列伝』『安全な妄想』等がある。

「2019年 『三の隣は五号室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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