担当の夜

  • 文藝春秋 (2013年12月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784163828602

作品紹介・あらすじ

情熱と労力をかけて必死に漫画を作り上げても「人気投票」には勝てない――。漫画編集者と漫画家の共闘とその関係の破綻、「担当の夜」、不人気の「大家」から破門される漫画編集者「担当の朝」、書かない新人漫画家のしたたかすぎる生命力「最後の担当」、なぜか早死にする漫画編集者たちへの痛切なレクイエム「俺酒」。元青年漫画誌の編集長だった著者が描く、知られざる青年漫画の熱かった季節。

みんなの感想まとめ

漫画家と編集者の複雑な関係を描いた連作小説は、情熱を注いで作品を作り上げる一方で、人気投票という残酷な現実に直面する姿を描き出します。著者は元青年漫画誌の編集長としての経験を活かし、キャラクターたちの...

感想・レビュー・書評

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  • 週刊スピリッツ1686「インハイスピリッツ」佐久間文子氏のレビュー

  •  『ヤングマガジン』の元編集長が、マンガ家と編集者の共闘関係を描いた連作小説。

     カバー画はすぎむらしんいちによるもの。見てのとおり清楚系女子高生風だが、これはたんなるアイキャッチであって、中身には女子高生はおろか若い女性すらほとんど出てこない。オッサンばかりが登場する、じつにむさ苦しい小説だ(笑)。

     ちなみにすぎむらは巻末2ページのオマケ・マンガも描いており、彼のファンならこれだけのためにでも買う価値あり。マンガの内容から察するに、著者はすぎむらの担当もしていたようだ。

     収録作4編のうち、亡き先輩編集者たちの思い出が綴られる「俺酒」だけがイマイチ。語られる思い出が酒がらみ、ギャンブルがらみなどのゲスいエピソードばかりで、読んでいてウンザリ。なんでこんな先輩たちを著者が慕っているのか、さっぱりわからない。

     しかし、ほかの3編は面白い。
     気むずかしいマンガ家との共闘から訣別までが描かれた、表題作「担当の夜」。
     ジョージ秋山がモデルだとすぐわかるベテラン・マンガ家との交流と訣別が描かれた、「担当の朝」。
     才能はあるが人格に問題のある新人マンガ家を、主人公が育て上げようとしてついに果たせない、「最後の担当」。

     それぞれ、小説としてはたどたどしさがあるものの、ディテールのリアリティはさすがに圧倒的で、マンガ好きには楽しめる作品。
     “小説版『編集王』”という趣もある。マンガでは描ききれない複雑微妙な心理描写が随所にあって、その点は『編集王』以上にリアル。

     主要キャラのマンガ家3人はみな、性格破綻者というか、壊れた感じの人物として描かれている。にもかかわらず、主人公の編集者とのやりとりは、時としてすこぶる感動的である。
     たとえば――。

    《「金田さん、よそをな、ほかの雑誌で回遊して、大きくなって、うちに戻ってきてくれ」
     これまで何度も使った、新人との別れの言葉を告げた。何度も言ってきたのに。声が――。
    「わかりました。高野さんにうちでどうか描いてください、って土下座させたりますわ」
    「そうだな。それがいいな。本当に、それがいいな。それが……」
    「なに、ウエットになってるんですか。へたれ担当が。だからジャンプに勝てないんですよ」
     金田の声もふるえていた。(「最後の担当」)》

  • 【漫画編集者――なんてかっこわるい仕事なんだ!】漫画家と漫画編集者。その関係は走者と伴走者、それともSとM? 元青年漫画誌の編集長が描く驚くべき漫画界の熱きバックステージ。

  • マンガ編集者の体験をベースにした小説。濃いな~~。編集者の作家への愛と物作りの過程にはふむふむと思わされるけど、そこで作られる作品が女子にはエグすぎ。。。

  • 「担当」とは漫画雑誌編集部で漫画家を「担当」する編集者。実体験から書かれた本らしい。表紙のような雰囲気は中にはまったくなくて(巻末に自虐的暴露もあるが)、ネットリベットリ、ときにアッサリとした漫画家と編集者の関係が描かれている。全体的に二日酔いの気持ち悪さが付いてくるような感じ。ひとかどの漫画に、という熱意と転落。編集長と編集者は違う仕事だ、と。当時の編集部は喫煙はもちろん飲酒もOK、いまは小奇麗になっていて禁煙だという。漫画雑誌を買わなくなって久しい。そういうエネルギーが、お互い、なくなってきてんだよなあ、と思う。

  • ブロスの大根仁さんのコラムで知る。『オール読物』等で連載していたらしい。安達哲・華倫変・ジョージ秋山、あとは松永豊和?にかかわっていたときの話。四編のうち、漫画家と編集である自身の関係に焦点が当てられた前半三編までは面白い。かつての上司と酒について綴った最後の書きおろし「俺酒」は、前章では毛嫌いしていたはずの無頼派をきどっているかのような安易な文体に辟易した。一冊をとおして、明らかに同じ人物について書いているのに実名風の仮名(?)で出てきたり、イニシャルで出てきたりとゆらぎがあるのは勘弁。なら一冊にする意味ないでしょう。文豪の作品集ならそういう構成もあるだろうけど。最大手の漫画誌編集者の露悪的、卑屈、自滅的な破天荒ぶりと、経費を使った金遣いのむちゃくちゃさ。編集長・局長レベルの中堅になると世間の目線からすると「一切仕事をしていない」ように見えるのかがわかった。とにかく一般的な編集の話ではないが、そこから気づくことはあった。

  • 海賊版の金田の件は声出して笑っちゃった。

  • 表紙詐欺。セロリの酢漬け食べたい。

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