- Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163900032
作品紹介・あらすじ
まったく新しい「町興し」小説、ここに誕生。ターミナルタウンとして鉄道とともに発展してきた町、静原町。しかしあるとき、乗り換え路線の廃止により、ほとんどすべての列車が、この町を通過することになった――。鉄道に忠誠を誓った町が、鉄道を失ったとき。そこには何が残るのか。凋落したこの町に、人を呼び戻すことはできるのか。さまざまな人の思惑が交錯する、誰も見たことのない「町興し」小説。
感想・レビュー・書評
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隧道士の奥さんの、最後の言葉に深い愛と覚悟を感じて涙が溢れた。
絶望や希望や優しさが心に染みた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初はちょっと単調かな?
…と思ったんですが。
途中から引き込まれました。
さすがは三崎さん。
やっぱりこの人の書く長編は大好きです。 -
かつては鉄道のターミナル駅として栄えていたものの、特急が停まらなくなり、さびれていった町。さまざまな人たちの思惑が飛び交うなか、町は再興に向けて動き出す。
とは言っても、そこにあるのは作者の作り出した特異な架空の世界。かつての作品にも登場した、あり得ないような職業やそれにまつわる人たちが出てきて、特別な説明もなくそれが当然のこととして話は進んでいく。
以前は、無機質で淡々と語られていく架空の世界が珍しいこともあり、興味深かったのだけれど…。
長編となるとストーリーに大きな起伏は必要だし、そうなると本作のように血の通った普通の人たちが登場してきて、結果的に作者ならではの硬質な不思議な味わいは薄れてしまう。
やはり、無機的な架空の世界は、想像の余地をたっぷり残したままに、短編できりりとまとめあげてこそのもの、と最近思う次第で。 -
かつて鉄道路線のハブとして栄えた”ターミナルタウン”静原町の再生物語。
町に関わる7人の視点で綴っていくという形式。
冒頭は”影を失った者”として静原町に赴任し、存在しないタワーの管理会社で働く響一が主人公である。
彼のパートは現実と空想がうまく交じり合い、かつ不条理感溢れる三崎亜記の世界の色が存分に出ていて引き込まれたのだが、その後は一転して物語が軽くなる。
ある目的をもって町に住み着いた牧人、父が倒れ町に呼び戻された理沙の章はライトノベルのように薄くて軽い展開である。
たぶん20代なかばの年齢設定だと思うが高校生かと思うくらい幼い。
展開も軽く都合がよすぎて、なんだか上滑りしている感。
一般的にはバッドエンドなんだけどそれもひとつの選択だ、という重さがあったのにこの話にはなかった。
その割に長い。
話の中枢にはトンネルのように鉄道の管となる隧道という仕組みがあるが、その説明がかなり冗長でまどろっこしかった。
過去の作品は現実にない設定のよくわからないものを、ややこしい説明なしにわからせる押しの強さのようなものがあったのに、これは説明しすぎ。なのにわかりにくい。
なんだか期待値より下回ってしまった感が強い。
最近の著作は軒並みそうだ。残念。
どうしようもない大きな力に流される人間の切なさや不条理さが味だったけれどどうも大衆的な雰囲気になってきてしまった。
歩行技師、象の滑り台、消えた列車など、ふんだんにつめ込まれていて過去の作品を読み返したくなった。 -
現実と非現実の織混ざった物語。
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20161112読了
#鉄道 -
三崎亜記作品、長編、久しぶり。
相変わらず、現実世界とつかず離れずの非現実世界。読み応えありました。
こういうの、好きなひとはたまらないでしょうね。
2016/8/15読了