水軍遙かなり

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 119
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (589ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900131

作品紹介・あらすじ

水平線の向こうに何が見えるのか!信長秀吉家康に仕え、九鬼水軍を維持した九鬼嘉隆、守隆親子の活躍を描く海上歴史小説。隠居した家康の夢に賭けた守隆が見たものは。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。著者が主人公やその周辺の時代の事について良く調べていて、他の小説で扱っていた人物についての諸説も詳しく載っていたりしたので、物語も面白かったがそういった解説にも知識欲をかき立てられて面白かった。

    主人公は九鬼水軍の創設者の父と子。特に子の守隆は信長、秀吉、家康と三人の支配者に仕え、時代の奔流にうまく乗りきった。その人間関係が俊逸に面白かった。

    父の嘉隆は石田三成との仲が深く、それゆえに武断派の諸武将から誤解を招く立場にあった。その時の嘉隆の次の言葉、「男は己を知る者のために死ぬる事は難しくはない。死は一時じゃでな。だが、しかし、己を知る者のために、恥をさらして生きながらえるのは、なんともつらいものじゃな」という一言は、キリスト者としての私にはグッとくる物を感じた。主イエスのために死ぬるよりも、「主が来られる、世の終わりが来る」と警告しつつ(恥とは思わないが他人から見れば恥と思えるような態度で生きる)事は、なかなかに難しいものかもしれない・・・。

    知識欲をかき立てられた点を以下に箇条書きする:

    関白秀次が秀長と同じく、秀吉の血族ではとても優秀な武闘派の武将であったことと、その秀次の狂乱騒ぎの裏に諸説があること。毒殺説と梅毒説、そして秀吉が事を大げさにしないように梅毒説を信じ切った風で秀次と一族を殺し、住居まで忌み嫌うように焼き払った事。その信じ切った事を演技とし、秀吉の賢さとした著者の説には脱帽。

    淀君の懐妊が意図的な浮気によるという説。それを裏付ける秀吉の行動。

    三成と上杉景勝が共謀したということに無理があるとする著者の見解。実は家康が謀り、景勝の書状に工夫を加えて謀反をでっち上げたとする方が、諸事情より判断すると無難であること。

    三浦按人と家康、山田長政の関係について。家康はどうやら本当に山田長政とつながってシャム進出を考えていたのかもしれない。

  • 志摩国を本拠とした九鬼氏は、戦国時代、強力な水軍として、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に仕える事となる。
    海賊から大名となった事でもあり、水軍の将として、その生涯は少し他の武将とは異なっている。
    なかなかに面白い。やはり、暦、世界情勢、造船技術など、多岐にわたることについて、興味、探究心は尽きなかった事であろう。

  • 星5つ

  • 戦国の海を駆けた九鬼水軍の2代目九鬼守隆を描く。

    守隆と信長・秀吉・家康

    航海術と異人とキリスト教

    戦と水軍

    見どころは多い。

  • 作者の鉄甲船の解釈になるほどと思いました。関ヶ原での嘉隆と守隆についてもう少し詳しく書いてほしかったです。

  • 信長秀吉家康の生き方にふれた九鬼守隆の海につながる物語。このような人もいたんだ、加藤廣の筆力。

  • 九鬼水軍の2代目である九鬼守隆について書いた本です。

    九鬼水軍の総領であり、父である九鬼嘉隆の本を読んだことがありますが、この本も、大半は九鬼嘉隆が主人公の一人のような活躍を見せてくれます。

    九鬼家にまつわる部分以外は著者の独特の世界観が出ていますが、船の構造や航海技術が詳しく語られていて、水軍についてよく分かる本でした。

    ↓ ブログも書いています。
    http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-bc09.html

  • 【水平線の向こうに何が見えるのか!】信長秀吉家康に仕え、九鬼水軍を維持した九鬼嘉隆、守隆親子の活躍を描く海上歴史小説。隠居した家康の夢に賭けた守隆が見たものは。

  • 群像劇的な内容だった。主人公の晩年が悲惨だなあ

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著者プロフィール

加藤 廣(かとう ひろし)
1930年6月27日- 2018年4月7日
東京都生まれ。東京大学法学部卒業後、中小企業金融公庫(現日本政策金融公庫)に勤務し、調査部長などを歴任。山一証券経済研究所顧問、埼玉大学経済学部講師を経て経営コンサルタントとして独立し、ビジネス書執筆や講演活動を行う。
50歳頃から、人生を結晶させたものを残したいと考えるようになり、歴史関係の資料類を収集。2005年、『信長の棺』で作家デビュー。当時の小泉純一郎首相の愛読書との報道があって一気にベストセラーになり、高齢新人作家としても話題になった。のちに大阪経済大学経営学部客員教授も務めた。
『秀吉の枷』『明智左馬助の恋』を著し、『信長の棺』を含めて本能寺3部作と称される。ほか『水軍遙かなり』、『利休の闇』。その一方で『戦国武将の辞世 遺言に秘められた真実』、『意にかなう人生 心と懐を豊かにする16講』など歴史エッセイや教養書も刊行を続けていた。

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