- Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163900155
感想・レビュー・書評
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ノンフィクション
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辞書を作成したのはてっきり金田一京助だと思っていた
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推理小説みたいだ。辞書のなかに散りばめられた暗号を掬い出しているみたいでワクワクした。
辞書を読むなんて退屈でもやりたくないくらい退屈なもので、辞書はそんな存在だった。そんな辞書にこれほどのドラマが隠されていたなんて、辞書の重みを感じる本だった。
著者の文章は本当にテレビといった感じで、少しくどく、演出が過剰だった。あまり好きな文章ではないが、それでもとても面白い本だった。 -
「ことばは常に変化している」
「ことばは不自由な伝達手段である」 -
齋藤孝著『大人のための書く全技術』40冊―37
『新明解国語辞典』を編纂した山田忠雄さんと、『三省堂国語辞典』を編纂した見坊豪紀さん。
このふたりがどのように辞書を作っていったのかに迫るノンフィクション。 -
かつて、「明解国語辞典」があった。
やがてこの辞書の制作に携わった二人は、「三省堂国語辞典」と「新明解国語辞典」に別れた。
二人の名前は見坊豪紀と山田忠雄。彼らはどんな人間で、その決別にはどんな理由があったのか。そもそも明国は、そして三国と新解は、何を目指したどんな辞書なのか…。
…といった内容の本。
もともとがNHKのBSプレミアム特番というテレビ番組の内容であるだけに、少々ドラマチックすぎるような…インタビューや辞書からの引用部分が恣意的に感じるようなところもありましたが、それはそれとして、面白かったです。
件の「一月九日以降」の気まずさはきりきりと伝わってきたし、「保存 明国三訂基礎原稿」と書かれた字の見える写真にはインパクトがあった。
個人的には、それでもやっぱり『新解さんの謎』は好きで、新明解国語辞典が好き。山田先生は「学生のひねたような人」と言われていたそうだけど、新解からもそういった気配は確かに感じる。…ううん、どうもそういう人は嫌いになれないんだよなあ。
でも、見坊先生は認められるべき人だと思った。三省堂国語辞典の姿勢……辞書がどうあるべきか、という考え方は、正しすぎるくらいに正しいものだ。辞書とはそうあるべきだ、と感じるし、人々がスタンダードとして触れるのは、(新解と三国のどちらかであるならば)三省堂国語辞典であってほしい、と強く感じる。 -
「辞書とは何か」という問いへの答えの違いが、二人の学者の行く先を分かつことになった。
三省堂が二つの辞書を出している理由が分かった。
これからは、『新明解国語辞典』を面白おかしく読んでいた時とは別の目で見ることができる。たとえば、この辞書は語釈が丁寧なので、上級の日本語学習者には、この辞書も良いかもしれない。『三省堂国語辞典』は、まだ持っていないので、購入したい。多分、手にしたら拝んでしまう。この辞書では、シンプルな答えを探せるだろう。
この本を読んで、辞書は新しいものが良いと思っていたが、好みの語釈がされているもの、選定された語に思い入れのあるものなど、古いものも手元に残しておきたいと思った。
ケンボー先生の身を粉にするような徹底したデータ主義に、心からの敬意。 -
誰かと仲たがいをして疎遠になってしまったことはないですか?
この本は『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』二つの辞書の編者のノンフィクション。
当時の辞書編纂の苦労や裏話など辞書つくりの側面が垣間見られてそれはそれで面白いのですが、それよりも二人の男の人生の物語。
大学の同級生で、もとは一つの辞書を一緒に作っていたのに「あること」がきっかけで決別、二度と会う事もなくなってしまう二人。
それはいったい何だったのか?
関係者からの話や資料に加え、二人の作った辞書の用例や語釈からさぐっていきます。
著者はどちらの側からも取材して書かれているので、ケンボー先生の気持ちも、山田先生の気持ちも伝わってきて、関係者でないのに妙にハラハラしてしまいました。
ちなみに、今でもこんなに私的なことが用例になっているのかしら?と辞書を引いてみたくなってしまいますよ。
「友情」とは単に仲のよいだけではないと思います。
絶交してしまったけれど、きっと死ぬまで相手のことを意識していたはず。ならば、これも一つの友情の形だったのではないかなぁと思いました。
言葉は難しい。人間関係は本当に難しい。
「ことば」を生業にしている人でもそうなのですから。。
図書館スタッフ(東生駒):ノビコ
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帝塚山大学図書館OPAC
https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/801897 -
資料ID:21502202
請求記号:813.1||S
配架場所:2階普通図書室 -
エッセイ的なものはあまり読まないのだけれど
この本はどんどん引き込まれた
先に「舟を編む」を読んでいたからかもしれない
一言一言をきちんと読んでいかなければならない気がして、時間がとてもかかったけれど途中でやめようとは思わなかった
ケンボー先生と山田先生が情熱を持って辞書・言葉に向き合っていたことが伝わってきたから
この本を読みきって良かった
最後まで読まないと異なった人物像のままお二人が残ってしまうから
「ことばは常に変化している」
「ことばは不自由な伝達手段である」
まさにそのとおり