先生! どうやって死んだらいいですか?

  • 文藝春秋
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本棚登録 : 43
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900162

作品紹介・あらすじ

出産、子育て、閉経、両親の介護と死を経て、忍び寄るのは自らの老い。生きることを真正面から見つめ、格闘してきた詩人・伊藤比呂美が、宗教学者に「老い方」と「その心構え」を訊きにいく。

感想・レビュー・書評

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  • 生きることは無常観との闘いですね。
    普段、儀式なんかは気にしない方ですが、何かに自分の心を乗せるとき、
    何かに入り込む時は儀式が大事な役割を果たすことに気がつきました。

  • 山折先生と伊藤比呂美さんの公開対談をまとめたもの。「性・老・病・死」の四つのセッションに分かれている。

    正直言って「性」のパートはピンとこなかった。お二人の話もすごくかみ合ってるとは言いがたい。性の話は本当に微妙で、そうだよね!と思うものってとても少ない。個人の性意識っていうのは、もちろん文化に大きく規定されるけれど、個の幻想なのだからして(私は岸田秀さんの唯幻論信奉者です)そういうものなのだろうと思う。

    俄然面白くなってきたのは、「老」のパートから。今の日本は、老いを醜く弱くなることととらえ、強迫症的に若く行動的にふるまおうとするアメリカのありように似てきている。また、合理主義的思考が行き渡り、死後の世界のイメージを持たなくなったので、死への恐れから逃れられない。伊藤さんが、死に向かう自らの父を見つめて最も苦しんだのは、その恐怖、孤独のいかんともしがたいことだったという。

    ここで持ち出されるのが、「短歌的叙情」であるところが面白い。モンスーン気候ならではの湿り気たっぷりの日本風土には、短歌の五七調がしっくりくるのだと山折先生は言う。古来日本人は死に際して和歌を詠んできた。「死を前にしたとき、この世からあの世への識閾を越えるために、和歌のリズムは重要な役割を果たしていると考えられます」

    特攻隊員も和歌を残して死んでいった。戦後、五七七のリズムを「奴隷の韻律」として否定する所から現代詩は始まった。五七調は日本の伝統的価値観を支える韻律であったのだ。(だから全共闘の演説は五五調で、それゆえ広く訴える力がなかった、という先生の説にはかなり納得)

    もちろん、それは一度は否定されなければならなかったものであることに間違いはない。詩人である伊藤さんが「やっぱりたたっ切ってしまわなきゃならないものだったと思う。あれがある限り先に進めないという思いがあって」と言うとおり。その伊藤さんも、お経のリズムにたどり着いた。

    繰り返す季節と人の生とを重ね合わせて一生を見つめるという生き方、死を「イメージトレーニング」していくことの手立てとして、短歌の、あるいはそれに代わるものの韻律が有効なのではないかという考え方には、なにかとても心惹かれるものがあった。

    他にも「儀式・作法」について(「儀式抜きでは私たちは一日も生きていけない」)、「安楽死」について(「日本には自殺文化が埋め込まれている」)などなど、興味深い話が次々出てくる。山折先生の著作そのものを読んでいるより、よくわかったような気になるのが対談の妙だろう。

  • テンポよく読み進めて、参考になる内容が盛りだくさん。
    素敵な大人の対談集だった。

  • 山折氏と伊藤氏の対談という設定自体が面白い。
    山折氏がたじたじしているのが伝わってくる場面があり、なかなか楽しく読みました。
    死生観の話しは興味深かったです。

  • 人間、食べられなくなったら枯れるように死んでいく。
    これが一番自然だと思う。
    近藤誠氏と通じるものがあった。納得。

    日本人の遺骨信仰は独特なのかぁ。
    お墓についても考えさせられた。

  • 【両親の介護を経て、忍び寄るのは自らの老い】生きることを真正面から見つめ、格闘してきた詩人・伊藤比呂美が、宗教学者・山折哲雄に問いかける、「老いを生きる知恵」。

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著者プロフィール

山折哲雄 1931年生まれ。宗教学者。東北大学文学部印度哲学科卒業。同大学文学部助教授、国立歴史民俗博物館教授、国際日本文化研究センター教授、同センター所長などを歴任。著書に『空海の企て』『愛欲の精神史』『「始末」ということ』など多数。

「2017年 『死者と先祖の話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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