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Amazon.co.jp ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784163900216
作品紹介・あらすじ
老婆の戯言が、大名家をゆるがす思わぬ騒動へ
日本橋の大店・白木屋の身代が、わが物だと鏡三郎に掛けあう老婆。そして同居する謎の腕利きの浪人の正体とは。人気シリーズ第八弾。
とある夏の夜、木挽町の医者・宮田玄庵のもとに、石州浪人矢吹栄五郎と名乗る浪人がやって来た。見れば、右腕に刀傷を負っている。本道(内科)の医者である玄庵は、面倒な依頼を断る口実にと、請人(保証人)がいなけば治療はせぬと申し渡すと、矢吹は「薄情な医者だ」と言い残し、矢吹は余所へと出て行った。ほどなく、玄庵も、矢吹のあげた請人も実在せず、矢吹の名も騙りであったことが明らかになる。翌朝、木挽町からほど近い采女が原で侍の殺しがあり、殺された侍は、正面から真っ二つ。相手は相当な使い手と知れたが、江戸に事件はつきもの。やがて事件は忘れられた。
それから一年。御家人としての出世街道をしくじり、大番屋元締となって市井の揉め事解決に奔走する拝郷鏡三郎のいる「大番屋」に、医師木村道庵の娘で、柴田帯刀という浪人と同居している「ため」という老婆が訪ねてきた。聞けば、江戸で一二を争う、呉服屋の大店、白木屋の土地は、我が家のものであるという。当然、白木屋は相手にしないのだが、木村家には、白木屋の土地が、江戸開府以来、木村家代々の持ち物である証拠となる、権現様(家康)より下賜されたゆかりの品々があるという。話半分に聞いていた鏡三郎だったが、やがて、どこからか白木屋の土地の一件を報じるかわら版がばらまかれ、騒ぎが起こる。だが、そのさなかに、ためが寿命でぽっくりいってしまった。同居していた柴田は、白木屋の本家がある上方へと向かったという。鏡三郎の元を出入りする北の臨時廻り梶川は、柴田の身上を洗い、一年前の采女が原の一件に、柴田が絡んでいると見当を付けるのだが……。そして、物語は、譜代大名三家の内情を巻き込んだ意外な方向へ。
みんなの感想まとめ
複雑に絡み合う人間関係と権力争いを描いた物語が展開され、特にお家の跡継ぎ問題や賄賂の裏話が興味を引きます。江戸時代の社会を背景に、医者や浪人、大名家の人々が織り成す騒動が、思わぬ方向へと進展していく様...
感想・レビュー・書評
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今回は一つに話題から全編を通すという手法。
お家の跡継ぎ問題に絡んで、出世のためのあれやこれや賄賂など。
今回も、定番化したももんじ屋の親しい知人の仲間を中心に回る。
政治の裏話満載の面白い回。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
縮尻鏡三郎シリーズ第8作目にして、2012年から13年に「別冊文藝春秋」に連載された8章の単行本化。今回も大番屋の鏡三郎は活躍しない。
呉服商白木屋の土地は医者の木村家が家康から拝領したものなので返すように、という訴えが町奉行所に出されるが、白木屋は沽券状(民有地の権利証)があると主張する。訴人の背後にいるのが丹州浪人という不思議な人物で、奉行所にもないような古い記録を持っているかと思うと、かなりの剣術使いでたびたび命を狙われているが、本人には心当たりがない。
鏡三郎や同心の梶川、道場主羽鳥らが彼に興味を持ち、にももんじ屋に集う飲み仲間になっ手がかりの欠片をつなぎ合わせると、大名家の跡継ぎ問題や、越後の修験道道場の暗躍がしだいに見えてくる。
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佐藤雅美氏の作品は沢山読んでいるのに、ふと、作者紹介で、雅美を、ず~と、まさみと、読んでいた事に気付いた。
女性と、勘違いを何十年していたんだろうと、笑ってしまった。
雅美(まさよし)氏ごめんなさい!。
縮尻鏡三郎シリーズ。
今回の日本橋の大店に、先祖代々からの拝領地に、枯券に関わる騒動から、凄腕で、素姓の解らない柴田帯刀の行動が、巻き起こす物語。
其の中でも、殿様の後継ぎに、養子縁組で、実子を、聾啞の廃人と為さざるを得なかった事と、その家の者達は、養子を排除しようとする動きなど、この時代では、ありえたことかも知れないと、怖くなった。。。
しかし、最後は、酒宴で、終わる所は、上手い終わり方であった。 -
数奇な運命辿ったお大名になるべき人が、家臣の謀で違う方向に。
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【老婆の戯言が、大名家をゆるがす思わぬ騒動へ】日本橋の大店・白木屋の身代が、わが物だと鏡三郎に掛けあう老婆。そして同居する謎の腕利きの浪人の正体とは。人気シリーズ第八弾。
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ブログに掲載しました。
http://boketen.seesaa.net/article/401051147.html
無尽蔵の薀蓄(うんちく)、疲れをしらないストーリーテリング。
縮尻鏡三郎シリーズ第8作。今回はシリーズの主役縮尻鏡三郎は完全な脇にまわっている。柴田帯刀という謎めいた男が全編の主役。日本橋の大店白木屋の地面はわが先祖の拝領地といいたてる老婆、その軍師として糸をひいているらしい怪しげな男として登場。
鏡三郎や、友人の飲み仲間梶川三郎兵衛(北町奉行所臨時廻り)、羽鳥誠十郎(道場主・剣客)たちに「豪商をゆする詐欺師、1年前にあった路上の殺傷沙汰の犯人」として疑われる完全な敵役。 -
外れがない作者なので安心
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別冊文藝春秋2012年9月301号~2013年11月308号連載の8編を収録。いつにも増して驚くような事件の話と顛末が展開し、目が離せないまま、一気に読み切ってしまいました。新登場の柴田帯刀が主人公になり、鏡三郎が脇役になってしまっていますが、興味深く、面白いお話でした。佐藤さんの語りのうまさに堪能してしまいました。お終いを小謡の羅生門で締めくくるのも素敵です。
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胡散臭い人たちが次々と出てくる。特に怪しいのが柴田帯刀。どうなることやらと思いきや意外や意外…,最後はいつもの通り収まるところに収まって。。。
今回の鏡三郎はほとんど野次馬。
「夢に見た娑婆」の新三郎がちらりと,しかし重要な情報をもたらす役で出てきて,にんまり。元気そうでなによりです。「老いらくの恋」の九郎右衛門夫婦の名前も。おりんの生出演のないのがちょっと不満。
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