「今昔物語」いまむかし

  • 文藝春秋 (2014年2月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784163900223

作品紹介・あらすじ

いま甦る「今昔物語」のリアル



平安時代末期の生活をリアルに伝える「今昔物語」。混迷の現代にこそ、その世界観を検証する意味があると考える著者が切り込む。

みんなの感想まとめ

平安時代末期の生活や価値観を生き生きと描く本書は、現代人にとっても新たな視点を提供します。著者は、古典文学の中に潜むリアルな人間ドラマや道徳観を掘り下げ、特に「今昔物語」の登場人物たちが持つ欲望や行動...

感想・レビュー・書評

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  •  誰もが、高校時代に読んで、誰もが知っている、あの、羅生門には、下人が駆け下りる階段がなかったって、知ってました?
     まあ、そのあたり、あれこれ、チョー面白いんですね。

  • 平安時代というと雅な貴族のイメージが先行するけど、今の価値観では測りえないような世界だったことが分かる本でした。

  • ●:引用

    ●「徳人」は道徳家ではなく、金持ち。「受領」は任国に赴く国司のことだが、役得で莫大な利益を得たことには定評がある。ところが、本話の主人公高助はその上を行っていると感服されているのである。いつもながら『今昔』の作者のコメントには面食わされる。後世の読者から見ると、この一篇は自分の財力にのぼせ上がり、高望みをしすぎているうちに頓死してしまい、最愛の娘たちに不幸をもたらす結果になった男の物語である。
    ●右に眺めてきたような秘伝的教義は、すべて業平を「色好み」のヒーローとする人間像を土台にしている。ところが『今昔』の散文精神は筋金入りであり、業平像のロマン化をてんから受け付けないのである。
    ●当事者の証言があれこれ食い違って、真相不明であることを「藪の中」という。今ではごく普通の言い回しになっていて、芥川龍之介の同名の短編小説に由来していることを知っている人は多くない。(略)しかし、この原話を読んでみると、主人公男女の心理と行動はきわめて単純明快であって、すこしも「藪の中」ではない。何も芥川の名作にケチを付けようというのではない。ただ『今昔』の登場人物たちは、決して芥川が書くほど繊細に物を考えない、もっと露骨に欲望ずくで振舞うということだけは知っておいた方がよいだろう。『今昔』人たちは現代日本人よりもずっと神経が太かったのである。(略)作者が結末でどんな教訓を引き出すかといえば、作中の夫の頼りなさをしつこいくらい強調しているのが目に付く。被害者に全然同情していないのである。どうやらこの説話をつらぬいているモラルは、一般社会の常識とはずいぶん違ったものであったらしい。作中で被害者になった男の良識や無駄な抵抗をしない穏和さは、平安末期の社会にはもう通用しなくなっているのだ。(略)芥川龍之介が翻案するにあたって、原話にありもしない登場人物の複雑な心理などを作中に持ち込んだのも、この都人と近代日本の都会的知識人の間に共通性があると感じたからであろう。大正の芥川が迫りつつある昭和の階級闘争の激化に感じていた「ぼんやりした不安」は、歴史のはるか彼方で、都人が野生人に感じ取っていた脅威とつながるものであった。

  • 【いま甦る「今昔物語」のリアル】平安時代末期の生活をリアルに伝える「今昔物語」。混迷の現代にこそ、その世界観を検証する意味があると考える著者が切り込む。

  • 今昔物語の色々なお話が勉強になりました。

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著者プロフィール

野口武彦(のぐち・たけひこ)
1937年東京生まれ。文芸評論家。早稲田大学第一文学部卒業。東京大学大学院博士課程中退。神戸大学文学部教授を退官後、著述に専念する。日本文学・日本思想史専攻。1973年、『谷崎潤一郎論』(中央公論社)で亀井勝一郎賞、1980年、『江戸の歴史家─歴史という名の毒』(ちくま学芸文庫)でサントリー学芸賞受賞。1986年、『「源氏物語」を江戸から読む』(講談社学術文庫)で芸術選奨文部大臣賞、1992年、『江戸の兵学思想』(中公文庫)で和辻哲郎文化賞、2003年、『幕末気分』(講談社文庫)で読売文学賞、2021年に兵庫県文化賞を受賞。著書多数。最近の作品に『元禄六花撰』『元禄五芒星』(いずれも講談社)などがある。


「2022年 『開化奇譚集 明治伏魔殿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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