ソナチネ

  • 文藝春秋 (2014年4月9日発売)
3.27
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784163900469

作品紹介・あらすじ

『沈黙のひと』で吉川英治文学賞を受賞し、作家としていよいよ充実の時を迎えた小池真理子さんの最新の短編集『ソナチネ』。収録された七編を貫くテーマは、「官能」と「生死」。人間が常に向き合い続けてきた普遍的なテーマです。若きピアノ講師とある男の、一瞬の、それでも限りなく濃密な交錯を描いた表題作をはじめ、亡き夫が遺した謎の鍵をめぐる「鍵」や、中年主婦のある目覚めを活写した「千年萬年」など、どれ一つとっても心揺さぶられる傑作揃いです。

みんなの感想まとめ

官能と生死をテーマにした短編集で、作品ごとに異なる人間の深い感情や関係性が描かれています。昭和の雰囲気を感じさせる中で、特に大人の恋愛が巧みに表現されており、読者を惹きつけます。表題作では、若きピアノ...

感想・レビュー・書評

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  •  図書館の通路を、目を瞑って指先で無数の背表紙をなぞりながら歩き、その日に借りる最後の一冊をランダムに選んだ。手に取った単行本の、澄んだ水色の表紙を右に90度回転させると、眠っている女性が複数の大きな薔薇の花を、ふっくらと両腕で抱きしめている。花びらの下からは蝶の羽が覗き、絵全体を、無数の小さな水泡が横切っている。ミレーの「オフィーリア」、あるいはクリムトの絵画を彷彿とさせるような、不思議な世界観に興味が湧く。
     余談だけれど、わたしは一時期、美術鑑賞にハマった時期があった。来る日も来る日も美術関係の雑誌を読み、展覧会情報をチェックし、渋谷から新宿、上野、大手町などあちこち美術館に足繁く通った。しかし今思うと、あれは単に、美術館の洗練された外観や雰囲気の中に身を投じることが快感だっただけで、ひとつひとつの絵から作者の意図なりその時代を貫くテーマなり、なんらかの情報を読み取るのことなんか、ただの一回もできていなかったんじゃないかと思う。この本の表紙も、何を伝えたいのか全然わからないけれど、なんか綺麗だな、とは思った。
     今まで小池真理子さんの本は読んだことがないから、借りようか少し悩んだけれど、ブクログで3.26とまぁまぁ高評価だったのと、ちょうど旅行前で、短編集というのがタイミング的に好都合だと思ったのとで、借りてみた。

     どこまでも静謐で冷静な語り。登場人物たちのキャラクターが持つ圧倒的な現実味。短編でありながら、一つ一つのストーリーが持つしっかりとした重厚感。収録された七篇の全てに、洗練された作家としての自信が漲っていて、その揺るがなさがかっこいい短編集だった。
     テーマは、愛(特にやや不純な)と、死?配偶者や恋人など決まった相手がいながら、他の異性に向かってしまう抗うことのできない興味に溺れていく登場人物たち。著者はこの「抗うことの出来なさ」に焦点を当てて、理性を保とうと必死になりながら、結局それをかなぐり捨てて駆け出してしまう人間の性を鋭く書き出している。
     彼らが身を投じた不道徳的で甘美な関係に、「死」という最大の不可抗力が忍び寄ってきたとき、その関係は終焉を迎えたり、あるいは逆に強固さを増したりする。自分自身もどこかで感じたことがあるような、人間の感情の不気味な蠢きを目の当たりにすることで、ホラーやサスペンスとは違った種類の生々しい身震いを経験した。
     
     短編であっても、長編であっても、一つの物語の最初から最後まで語りのテンションを一定に保つことは、すごく難しい。わたしなんか日記一つ書くのでも書き始めと終わりとで別人のような語り口になってしまうものだから、小説を書くことなど夢のまた夢だ。だからこそこういう、一定のテンション(特にそれが低い場合)を貫き通した作品を読むと、ただただすごいなぁ、と圧倒される。

  • 昭和感満載の短編集。
    読みやすかったけど、
    もう少し艶っぽく表現されたほうが
    好みかな。

  • 短編集でありながら、瞬時にヒロインに感情移入させる語り口はさすが。決して生々しい描き方ではないけれど、熟成されたエロスの香りがどの作品からも感じられて、それでいて自らの来し方を顧みさせられるようなこれからの行く末を考えさせるような大人の短編集だと思う。

  • 大人の恋愛を書いたらこの人の右に出る人は居ないんじゃないか、の小池真理子氏。
    今回も堪能させていただいた。今風の言葉でいえば「エロさ」満載。 最後の「美代や」は「いやらしさ」に「哀しみ」が加わり、最後の「怨」までドキドキしっぱなし。
    もう新作が読みたくなってきている

  • 短編集
    中年女性の性に関する話が多いかな

  • 7点の短編集。
    小池ワールドは不気味。妖しい。でもやめられない。

  • 2020年7月8日

    「交感」の手紙のやり取りがおもしろい。
    若き小説家へのファンレターは70過ぎの車椅子に乗るおじいさんから。
    手紙の言葉が美しい。相手をリスペクトする言葉、立ち入り過ぎない抑制を効かせる言葉に気分が上がった。結末は少し物足りないけど。
    「美代や」の美代は魅力的だった。美代の変身と最後の「使用人だから」の言葉と、人型の針呪いが人間の業を感じさせられた。

  • 軽く読める
    短編集で7作品が収められている。
    どれも、今ひとつ物足りなさ、尻切れの感がある。
    読者にこの先を考えろということか?

  • 昼ドラのよう。全く共感できない。
    女性目線。女性はこんなのが好きなのか?
    男女入れ替えたら、えらくバッシングされそう。

  • 2016.9.8
    小池真理子さんの短編集です。今まで短編はあまり好きでなかったけど、これは短編でも単行本みたいに中身が濃いと感じた

  • 小池真理子は、この程度の小説ならきっとすらすらと書いてしまうのだろうと思う。たとえは突飛かもしれないが素質のあるマラソンランナーが素質ないマラソンランナーの十分の一も練習してないのに勝てるほどの素質があるのと同じようなものかもしれないと思わせるほどの職人芸のような小説だった。

  • 久しぶりに小池真理子読んだけど、作風変わったなあ。昔は、男女のドロドロって感じだけど、今は円熟味を増して、触れるか触れないかくらいのところを書いてる感じ。だけど、すごくせつない。いい歳の取り方してるなあ。もっと、最近の作品を読んでみたくなった。

  • 独特な世界観の短編集。つかみどころのない、ひととし重ねた大人のための物語集。

  • 小池さんは短編がうまいな。

  • 星3つと4つで悩みましたが、まだここに出てくる主人公たちほど年齢を重ねていなくて、いまいち共感できない話もあったので★★★にさせていただきました。

    越えてはならぬ線を越えていくのか?と最高潮にたっしたところではしごをはずされ、なんともいえない余韻に満たさせる話ばかり。
    ワインでも飲みながら、秋の夜長にゆっくり読むのが似合う一冊だと思います。

  • 恋愛とは言い切れない男女の絡みを描いた短編7編。カイロの通院をしているので指圧の話に興味がわいた。実際には物語になりそうもないのだが。

  • 【生と死とエロス、筆者の真骨頂】刹那の欲望、嫉妬、別離、性の目覚め……著者がこれまでテーマにしてきた人間存在のエロス、生と死の根幹に迫る圧巻の短篇集。

  • 傍目には仲良し夫婦に思えても人知れず思い悩み、秘密があるんだろうなぁ。

  • 久しぶりに小池さんの小説を。大学生の時によく読んでいて、その当時は生死を感じさせる大人の恋愛の恐ろしさと美しい?エロが面白かった。
    今、この作品を読むと左程恐ろしい感じもしなくなって理解できるようになってしまった。。

    作家と老人の短編が印象的。余韻もよし。
    美しい情景を想像させる文章は流石ですね。

  • 私より年上の女性の話が殆どなのですが、う~ん・・あと何年かして読み返したら感想が違うのかな…。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小池真理子の作品

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