あしあと

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 68
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900476

作品紹介・あらすじ

官能×文学、作家生活四十年の到達点がここに―― 本書の作者である勝目梓は、若き日に「文藝首都」にて中上健次らと研鑽を積み、かつては芥川賞候補にも挙がった。その後エンターテインメントに転向、1974年、小説現代新人賞受賞作「寝台の方舟」でデビューすると、バイオレンスロマンの第一人者として一世を風靡し、一ヶ月に執筆枚数が800枚を越えたという昭和のレジェンドである。 しかし、その創作意欲は衰えを知らず、近年は『小説家』『老醜の記』など私小説でも高い評価を受けた。そして80歳を超えてなお円熟味と凄みを増している作家・勝目梓が「おそらく生まれて初めて書いた不思議な作品」、さらに「私にとって最後の作品集」と語り、デビュー40周年記念作品として刊行されたのが本書である。 その言葉通り珠玉の十篇を収めたこの作品集は、官能と文学の新境地をさらに切り拓く一冊だ。ある者はこの世に起こり得ない不思議と遭遇し(「万年筆」「あしあと」)、ある者ははるか彼方に封じていた記憶を呼び起こし(「記憶」「橋」)、ある者は倒錯の性に搦めとられていく(「人形の恋」「影」「秘技」)……。 作品の年代は戦前から現代までと様々だが、作者自らが目にしてきた時代をそれぞれに切り取り、作品の奥行きをさらに広がってゆく。いずれも夢とも現実ともつかぬ時空を自在に往来し、エロスを妖しく漂わせる、まさに名人芸の粋に達した佳品ばかりだ。作家の逢坂剛氏も「創作意欲の衰えなどみじんも感じさせぬ、逸品ぞろいの作品集に仕上がった。勝目さんの小説は、とても傘寿を超えた作家とは思えぬほど若わかしく、清新な感性に満ちあふれている」(文藝春秋「本の話」)で惜しみない賞賛を送っている。 短篇小説を極めた本物の作家、渾身の作品集が見事に誕生した。

感想・レビュー・書評

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  • 2016年11月20日

  • 図書館で予約した時に何がきっかけだったか忘れたため、ずいぶんと性に寄った短編集なのに驚いた。
    あまりにも起こりにくい偶然が頻発するので「そりゃないでしょ」とストーリーから距離をおいてしまった。
    小説は架空の物語なので都合の良い偶然は起きても仕方ないのだけれど、それをいかにあり得るかもと思わせることは大切だと思う。

  • 【Entertainment】あしあと/勝目梓 /20150202(16/300)<281/3331>
    ◆きっかけ
    ・日経書評

    ◆感想
    ・偶然が重なり過ぎ(義理父と嫁の間に子供が生まれ、実の息子と素性を知らないまま大人になって出会い、結婚して発覚する等)、そしてそれが結構不幸感の大きい結末故、後味が悪い。佐藤洋二郎の著書のように、ストーリーを通じて考えさられることもなく、単にentertaimentで終わってしまったのはもったいない。
    ・まあ小説とはこんなものか。日経書評に掲載があったわりには、後味悪いし、何も残ってない。所詮といってはなんだが、オール読物掲載のだから。。。
    ・他方で、短編にしておくのはもったいなく、長編にすればより深みが増しそうなものもあった。

    ◆引用
    なし
    ===qte===
    文芸評論家 縄田一男

    2014/12/28付日本経済新聞 朝刊
    (1)あしあと 勝目梓著
    (文芸春秋・1700円)
     (1)は、作者の作家生活40周年記念の短篇(ぺん)集。官能小説の極北という見方もあるが、“官能”の2文字を取っても堂々たる小説、文芸作品で、私が今年読んだ現代小説のベスト1。

  • 【作家生活四十年の到達点がここに――】封印された記憶、摩訶不思議な事件、倒錯の性……夢とも現実ともつかぬ男女の因縁を徹底透視し、円熟の筆と技巧が冴えわたる佳品集。

  • ハードボイルドのイメージがあり
    なんとなく避けてきた作家さん
    新聞の書評欄に興味を惹かれ初読。
    けど やっぱり苦手かな。
    性描写、男くささ漂う10篇の短編集。

  • 新聞の書評欄を読んで惹かれて読んだ初読みの作家さん。性描写が苦手で何度も読みやめようと思ったが読みやすさと人間のドロドロとした情や欲といった内容は好みだったので読了。

  •  夢、思い出、記憶、再会、生、死、因縁・・・
     それらのイメージを縦横無尽に使いながら――自在に絡み離れる縁――大人の情念の世界が綴られる。
     そこには、「若き」と「老い」が相対しながら融合する世界が展開される。
     それは、偶然なのか、はたまた宿命的な必然なのか・・・・
     村上春樹よりもさらに大人な世界だ。

    目次
    万年筆/記憶/ひとつだけ/人形の恋/秘儀/橋/一夜/影/封印/あしあと

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著者プロフィール

1932年、東京生まれ。さまざまな職業に就きながら、同人誌『文藝首都』で執筆活動を続け、74年に「寝台の箱舟」で小説現代新人賞を受賞。『獣たちの熱い眠り』がベストセラーとなり、以降、官能とバイオレンスを軸に著作は300冊以上。70代で発表した自伝的な作品『小説家』は読書界で大きな反響を呼び、その後も『死支度』『秘事』『叩かれる父』などを上梓。20年3月、逝去。最新作は遺作となった『落葉の記』(文藝春秋)。

「2021年 『家族会議』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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