昭和天皇 第七部 独立回復(完結篇)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163900520

作品紹介・あらすじ

昭和天皇の生涯を通じ、激動の時代を描きつくす大河評伝の完結編。最終第七部は戦後のGHQ進駐からサンフランシスコ講和条約で日本が独立を回復するまでの期間を扱う。人間宣言、東京裁判、新憲法公布、朝鮮戦争……エポックメーキングなできごとを、豊富な資料を駆使しつつ活写する。マッカーサーや吉田茂はもちろんのこと、白洲次郎、太宰治、三島由紀夫……と登場人物は多彩。巻末には全七部の人物・事項索引き・参考文献目録を付す。曇りのない視点から昭和史を理解する上で必須の書。

感想・レビュー・書評

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  • 「東篠たちは、私の身代わりとして、死んでくれたのだ」
     物凄い声音で、彼の人は云った。
     三谷侍従長を召した。
    「私は退位したいと思う。三谷はどう思うか」
     三谷は、しばし黙考し、申しあげた。
    「御上が、御苦痛だと思し召す方の道を選ばれては如何でしょう。嫌な事、辛い道をお選びになってはいかがでしょう」

     「昭和天皇」を、とうとう読み終えた。
     いったいどれくらい前からはじまったのか。もう忘れてしまったけれども、第一巻にある、信じられないエピソードや歴史的場面の書き方の数々は、ほんとうに読んでいて楽しかった。「庶民ども、これが歴史だ!」と、見下ろされている感じが逆に超面白かった。

     文藝評論家の福田和也氏なので、文学者も、たくさん「昭和天皇」シリーズの中に出てくるが、この巻では、斎藤茂吉の場面が印象に残った。P182からP183にかけてのごく短い、昭和天皇と斎藤茂吉のご進講について書かれたものだが、斎藤茂吉の全部が凝縮されてそこに書かれている気がした。
     歌人と天皇と時代の関係が、このたった二ページの数十行の文章におさまっているように思ったので、ぜひ読んで欲しい。

  • 第六部までは出版と同時に買って読んでいたのだが、第七部が出たことに気付かず、1年遅れで読んだ。
    遂に完結。これに尽きる。サンフランシスコ講和条約締結による独立回復の後も、オリンピックや万博のような国家行事、天皇の訪欧などの皇室行事などに事欠くことはないが、象徴天皇ではなく、立憲制の下であっても統治権を総攬する君主としての天皇を描くには、ここで終わるべきと著者は考えたのだろうか。そうであっても、靖国問題に関する昭和天皇の言葉・考え方など、戦後を引きずるような話については、もう少し書いてほしかったし、もう少し言えば、まだ先を読み続けていたかった。

  • 【大河評伝、ついに堂々の完結篇!】著者渾身のライフワーク、最終第七部は戦後篇。人間宣言、全国巡幸、東京裁判、新憲法公布、講和条約……激動の時代はさらに続く。

  • 読了。
    終戦から講和まで。
    「戦争の遂行において、国民が為したあらゆる政治的、軍事的決定、行動に関して、全責任を負う者として、貴下が代表する国々の判断に我が身を任せる為に、ここにやってきました」
    彼の人が命乞いに来るのではないか、と思ったマッカサーの危惧は完全に裏切られた。
    戦後の復興はこの一言から始まったと言って過言ではあるまい。
    しかしこれだけの大作なのに、終わりはアッサリ。
    ちょっと寂しい。

  • あまりに知識のないわたしが、日本の近現代史を視るのに、だれに焦点をしぼればいいか、考えたときにぱっと飛び込んできたのが、「昭和天皇」というタイトルだった。
    なるほどこのひとなしに「昭和」という時代は(摂政時代の大正を含む)、語りえない、と思って、読んだ。
    戦後の処理のしかた、対処について、いまいちはっきりとわからない部分もあったけど、いまだに禁忌としてあつかわれうる対象だけに、このあたりが精一杯だったのかも。

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著者プロフィール

1960年、東京都生まれ。批評家。慶應義塾大学名誉教授。『日本の家郷』で三島賞、『甘美な人生』で平林たい子賞、『地ひらく――石原莞爾と昭和の夢』で山本七平賞、『悪女の美食術』で講談社エッセイ賞を受賞。

「2023年 『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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