- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163900704
作品紹介・あらすじ
35歳ではじめての出産。それは試練の始まりだった! 芥川賞作家の川上未映子さんは、2011年にやはり芥川賞作家の阿部和重さんと結婚、翌年、男児を出産しました。つわり、マタニティー・ブルー、出生前検査を受けるべきかどうか、心とからだに訪れる激しい変化、そして分娩の壮絶な苦しみ……妊婦が経験する出産という大事業の一部始終が、作家ならではの観察眼で克明に描かれます。時にユーモラスに、時に知的に、子供をもつということの意味を問いかけます。 さらに出産後の、ホルモンバランスの崩れによる産後クライシス、仕事と育児の両立、夫婦間の考えの違いからくる衝突、たえまない病気との闘い、卒乳の時期などなど、子育てをする家族なら誰もが見舞われるトラブルにどう対処したかも、読みどころです。 これから生む人、すでに生んだ人、そして生もうかどうか迷っている人とその家族に贈る、号泣と爆笑の出産・育児エッセイ!
感想・レビュー・書評
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ものすごく面白かった。
エッセイ読みながら声を出して笑っちゃったのって久しぶり。
「帝王切開 まじやばい」
とか、今時の話し言葉全開でぐいぐい読めちゃう。
おまけに友人との会話が関西弁ていうのがまた良いんだよね。
妊娠から育児までここまで赤裸々にエッセイで語るって難しいような気もするのだけれど、そんなこと微塵も感じさせないスピード感だった。
出産経験の有無にかかわらずどんな人が読んでもこの面白さは伝わるんじゃないかなとは思うけれど、特に読んでほしいのはやはり世の中の男性達!
これだけあなたの妻は、もしくはあなたの母は大変な思いをして子育てをしている(してきた)んですよ。
へろへろになりながら眠る暇も歯も磨く暇もない過酷な状況下で赤ちゃんの面倒をみつつ家事をし夫の相手をし。
是非読んでもらいたいな~。
川上未映子は言う。
「社会で働き続けなければならないのはいまや女性もおなじであって、産んで、授乳してすぐ復帰せねば、もうもどれなくなるんである。出産のダメージはいったいどれほどのものなんだろう」
夫であるあべちゃんは一般的な男性陣に比べて家事には非常に協力的だし、妻の泣き言もちゃーんと受け止めてくれる。
でもそもそも「協力的」と言うのが間違っているのだ。
だって二人の子供なのだから。
対等な関係を築いている作者でさえ妊娠を機にいままで潜んでいた性差にたじろいでいるのだ。
その辺の気持ち、分かってほしいのよね妻は。
妊娠出産にまつわるエッセイとしては素晴らしい本だとは思うけれど一点だけ。
川上さんはまだほんの小さな胎児ともよべない頃から自分の子供に対して深い愛情を持っている。
それは絶対にゆるぎないものだ。
母性神話を否定している川上さんですら一気に母になっていくのが良く分かる。
でも、全ての母親となる女性がこうはいかないと思うのよ。
妊娠も出産も子育ても非常に個人的な出来事でその人の抱える事情も体調も感情も人それぞれ。
自分に照らし合わせて読むと、全力で子供を愛していたとは自信をもって言えないだけにちょっと凹んだ。
まあそれも過ぎ去ったことなのだけれど。
と言うわけで☆4つです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
妊娠、出産の経験もなければ予定もないけれど、でも読んで良かったなぁと思う。
このエッセイは全力で受けとめなくてはならない類の文章で、何と言ったらいいのか、とにかくすごい。
つわり→食欲爆発→マタニティブルー→エアロビ→陣痛→出産→授乳→ぜっぺき対策→産後クライシス→離乳食→発熱→保育園→1歳の誕生日
こうしてキーワード(と勝手に思うこと)を書き出すだけでくらくらしてしまう。
私が出産や育児の本当の苦しさ、つらさを全く理解出来ていないだろうことは確実だけども、それでもこの本を読んでその恐ろしさの一端に触れた(はず)。
お母さんが流す涙にはたくさんの言葉に出来ない感情が込められていることも知った(はず)。
悲しくても泣き、悔しくても泣き、嬉しくても泣き…
その感情の振れ幅にただただ圧倒される。
どうにも精神的に弱っている時に同じように泣くしかなくなる時があるけど、それの延長線上に(もしかしたら)ありながらもそんなのとは次元の違う涙なんだろうな。
自分の問題として読むことが出来ない現状ではこの本に書かれていることの80%くらいが「怖いこと」なのだけど、一度妊娠したら(又は出産したら)、この本を読んで涙を流すようになるんだろう。
不思議とそんな確信がある。
確かめる機会があるかどうかはあやしいけれど、もしも我が身に降りかかることがあれば(この表現が不適切なのは解っているのですがつい…)絶対にもう一度この本を読んでみようと思う。
そして悩んでいるのは出産間近な友人にこの本を薦めるかどうかということ。
エッセイを読む限り予定日まであと1月以上ある今ならまだ本も読めるのかな?
これから起こるかもしれないあんなことやこんなことが、彼女を絶望させることはないだろうか?
それとも赤ちゃんへの愛が溢れる文章が彼女の希望になってくるるだろうか?
とてもとても悩んでいるのだった。-
こんにちは。
読みましたー!(*^_^*)
面白かったですね。
そうか、出産未経験だと「怖いこと」だと受け止めるんですね、ふむ...こんにちは。
読みましたー!(*^_^*)
面白かったですね。
そうか、出産未経験だと「怖いこと」だと受け止めるんですね、ふむふむ。
あの怒涛の時期を乗り越えてしまった今となっては地獄の寝不足も懐かしい思い出です(笑)
だから、なんというか川上さんにも同士みたいな感覚がありますね。
お友達の方にもお勧めして大丈夫なんじゃないかな。
産まれてから大変だよー、とアドバイスを受けてもイマイチ実感も持てないし、事細かに教えてくれるわけではないのでね。
ある意味覚悟できるんじゃないかな。
で、臨月を満喫する!
私なんて、ぼーっとしたままの怠惰な妊婦でした・・・。
2014/09/29 -
vilureefさん、コメントありがとうございます!
そしてアドバイスもありがとうございます!!
「ある意味覚悟できるんじゃないかな。
...vilureefさん、コメントありがとうございます!
そしてアドバイスもありがとうございます!!
「ある意味覚悟できるんじゃないかな。
で、臨月を満喫する!」
なるほど。
自分が経験してないといろいろと心配し過ぎてしまうのですが、出来るだけ明るくいつも通りに薦めてみます!
ありがとうございます♪
「私なんて、ぼーっとしたままの怠惰な妊婦でした・・・。」
そんなことないですよ!
友人の話を聞いたり、この本を読んだり、他の本も読んだりして想像するにお母さんは産む前も産んだ後も本当に大変で頭が下がります。
お腹の中で赤ちゃんを育てていた妊婦さんが怠惰だなんてことは絶対ないと思います。
「あの怒涛の時期を乗り越えてしまった今となっては地獄の寝不足も懐かしい思い出です(笑)
だから、なんというか川上さんにも同士みたいな感覚がありますね。」
お母さんの強さここにあり!ですね。
同士みたいな感覚というもの何やら格好いいです♪
それにしても「地獄の寝不足」とは…。
その辺もっとどうにかならないものなのでしょうか?2014/09/30
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笑って、ホロッときて、うーむと考えさせられて、要するに面白くて一気読み。川上未映子さんが、初めての妊娠から出産、子育てをセキララに語っている。
川上さんの文章が好きだ。関西弁を交えた、独特のリズム感というか疾走感があって、読んでいて本当に気持ちいい。こんな風に言葉が紡げたらどんなにいいだろうなあといつも思う。
その文章の勢いで笑わせながら、しばしば非常に重い問いも投げかける。子供を産むって至極普通のことだけど、同時に、すごい一大事でもある。そこらへんの感覚がとてもよくわかる。
そして、小説家というのは本当にたいしたものだなあと思わずにはいられない。凡人は「あれ?これってどうなの?なんか引っかかるなあ」と思っても、多くの場合あまり突き詰めて考えないが、川上さんは、そこでのたうち回り、違和感を言葉にして、全身全霊で苦しんだり、喜んだりするのである。その振幅の大きさに恐れすら感じてしまう。
ここには嘘がない。そのように生きていくのはとてもキツイだろうけど、夫のあべちゃん、息子のオニ君と三人でいることの幸福感もまた、とてつもなく大きいのだろう。
小説や詩を書く人というのは、何かが過剰で、どこかが足りないのだとよく思う。普通に丸くはならない、そここそが値打ちなんだから、芸能人みたいに扱って、当たり障りのないことを言わせたりしたらアカンよなあ。 -
電車で読みながら涙ぐんでしまった。
作家さんってすごいなあ、
私が妊娠・育児してるなかでモヤモヤと概念的に考えてたことを「そう、その感じ!」というドンピシャな言葉で表してくれるのだから・・
としみじみ。
心に残ったフレーズは、
「おなかの赤ん坊は100%こちらの都合でつくられた命で、100%こちらの都合で生まれてくるのだから、それならば我々はその『生』を100%の無条件で全力で受け止めるのが当然じゃないだろうか。それが筋、ってもんじゃないのだろうか」
この本を読んで、子どもたちがよりいとおしく感じられるようになりました。 -
いつだって、男性と女性…
や、もはや、マイノリティーのひとも関係なく、性別を超えて人と人同士がお互いに耳を傾けて、うまくやっていける社会になれば、と心の底から願っている。
恋人のことは、まるっとすべてを愛しているのだけど、あまり積極的に子を持ちたいとは、自分自身思っていない。
それはやっぱり、周りのたくさんの人たちが、子を持つことによって、恋人や夫婦の関係性が変わって、そしてそれがあまり良い方向に向いていってない様子を何度も見てきているから。
つまり、いちばんは、自信がないからである。
川上未映子さんの「すべて真夜中の恋人たち」が大好きで、何となく手に取ったエッセイ本だったけれど、結果として一層自信がなくなった…。(笑)
特に産婦人科の先生が、痛みを表す度合いを説明していたシーン(紙で手を切る痛みがレベル1として、骨折・捻挫の痛みはレベル2、やけどはもう少し上で、痛みのマックスレベルは、指の切断。だけど、出産はココ!〜指の切断の遥か上を指しながら〜)が怖すぎて…。
全てのお母さまたちを尊敬すると共に、やはり私はムリだ…と思ってしまった。
とりあえず、いつか子を持つならパートナーには半年以上の育休を取ってもらうことはマストだなぁ、、。
だって、私が産むんだもん。
ぼろぼろの身体と、ホルモンの奴隷と化したメンタルでひとりで子育てなんて絶対ムリ…。
彼のことも嫌いになってしまいそう…。
お互いを理解し合うためにも、たくさんのひとに読んでもらいたい本でした。 -
とても楽しく読めました。
わたしは産前に読んだので、ぶつぎり睡眠とか、マタニティブルーとか、産後の身体の変化とかもう色々恐ろしくもなりましたが、
著者の方の心の声の叫び的な表現方法が読んでて面白く、身近に感じるような気持ちにさせてくれ、なんだかポジティブにもさせてくれるような口調だったりが和みました。
赤ちゃんに対する想いも、とても心温まる一冊でした。この本に出会えて良かったです。
これから出産を控えている方だけではなく、旦那さんにも読んでみて欲しい一冊ですね。 -
つわりから始まり出産、夫婦関係まで…
クスッと笑いながら読めるのが良かった!
見たこともないオニの成長を一緒に見守っていったような気がして 最後の章はうるっとしてしまった。
なにより、結婚したーい 子どもほしーいと何度も思った -
川上さんは、とても自然なというか素直な心の声をそのまま文章にできる人だと思う。
そんな川上さんがつづった産前産後。
特に、「ダンナにたいする怒り」のところは共感を得るのでは。
「赤ちゃん」は実際に自分の子を生んでみると、かわいいだけじゃないことに気づく。
授乳に悩む日も、夜泣きが続き眠い夜も、普通に汚いうんちを拭くのも、いらいらしながら、こっちも泣きたい気持ちになりながら、不安な気持ちになったり、ときどき笑ったり、喜んだりして、子どもと一緒にすごしていく。
そんなリアルな体験がとてもよく伝わってくる。 -
しばらくレビューをさぼっていた。気付けば旦那所蔵の漫画を読み漁るのみ。まだ妊娠のにの字も関係ないが、備える知識は早めに、、、ということで以前から気になっていたこちらを。
あの有名な痛みに耐える自信がない、という理由で無痛出産に臨んだ川上氏。つわりの壮絶なしんどさや、出産後すやすやと眠る夫に殺意を感じるあたり、聞きしに勝る…といったところか。
クリフムは知人が来院していたので存じており、わざわざ川上さんが行くくらい有名なのか、と改めて。
周りでも級友が続々とママになっていくが、はたして自分もなれるのだろうか。旦那は大きい体をした三歳児くらいの感覚なのだが、、そうなる日が待ち遠しいようなまだまだ自由を満喫していたいような、そんな日々。