- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163900834
作品紹介・あらすじ
誰よりも戦闘機を知る著者が描く、理系ミステリーの決定版!自衛隊戦闘機「TF-1」が、スクランブル飛行中に墜落した。この異様な事故を受け、防衛省は機体を製造する浜松の航空機メーカー、四星工業にその検証を依頼する。四星工業では入社三年目の技術者、沢本由佳が上司の永田とともに業務にあたっていた。シュミレーションの結果、事故はパイロットの単純な誤操作によるものだと判断されたが、永田は沢本が言った何気ない一言が気になり、すでに会社を辞めてデザイナーをしている同期の倉崎に話を持ちかける。スクランブル発進した自衛隊機は、なぜ不可解な事故を起こしたのか?背後に浮かび上がるのは、「TF-1」設計時に官(防衛省)と民(航空機メーカー)がそれぞれ抱え込んでいた闇だった。深い知識に裏打ちされた緊迫の飛行描写。和製トム・クランシーの誕生です。
感想・レビュー・書評
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飛行機マニアではないですが、素人でもわかるように技術背景が書かれているのは良かったです。
有川ひろさんのように自衛隊をめぐる人物ドラマを期待すると失望するかも。
でも官民のやりとりの部分は良かったと思いますし、飛行機をめぐるドラマとしてはなるほど感があり面白かったです。
推定脅威とタイトルがつけられたわけも後の方で判明します。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白いと思ったけど戦闘機の話が無ければありきたりの話みたいに感じました。
登場人物がみんないい人過ぎる。
犯人さえも自分は憎めなかったですね。
ミステリーというには弱過ぎるのでは。
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パイロットに感情移入する。
技術者に感情移入する。
それができたら、楽しめる。そんなに何もかもドラマチックじゃないのが、リアル。 -
<始>
本書の関連作品で一番最初に読んだのは現時点(2020.12月)での著者の最新刊『音速の刃』。これは件の航空自衛隊F-35が日本海に墜落した事故の回想から始まるお話なのだが,いつものように少しネガティブな感想らしきモノを「読メ」に書いた僕のツイッターつぶやきに,なんとなんと著者未須本さんからレスがあったのだ。
僕の感想文の揶揄的指摘について「そんなことはないですよ」と柔らかく諭すような感じで。著者の履歴に元航空機メーカー設計関連の技術者であって,どうやらその知見を活かした作品が多い,という事も含めてかなり興味を持っていた僕は舞い上がってしまい早速著者の他の作品について色々調べた。で三冊目として先刻『推定脅威』を読み終えたところなのだ。
例によって本の内容には原則として触れない方針で僕の感想はすすむ。が,今回はなにげに『音速の刃』の内容に少し触れてはいるが。
しかしそれにしても著者の勤めていた航空機メーカーとはどこなのだろう。国内である限り4社のうちどこか。M菱重工かK崎重工かSバル(F士重工)かS明和工業。もちろん読書感想文とは何の関係ないのだけれど僕は気になる。すまぬ。 -
情景描写も人物描写もほとんどないけど、点在する人物がつながる線が見えてきたあたりから興味深く読みました。
あの二人の恋愛関係はなくてもよかったんじゃないかなー。 -
とてもエンディングを楽しにしていたが盛り上がりに欠けた。
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航空機の説明は力が入っている。
が、それ以外がちょっと薄味気味。
陰謀、黒幕がこんなにあっさりとした使われ方をされるのもあまりない。 -
航空自衛隊と機体を納入している企業が複雑に絡み合ったミステリー。荒唐無稽にならず、リアリティがあって面白かった。
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2014年第21回松本清張賞作
架空の国産戦闘練習機TF-1の開発をめぐる話。
ドッグファイトや戦闘シーンを楽しみに読むとまったくの期待はずれになる。
作者は東大工学部航空工学を専攻し、本作もアビオニクスや空力、機体設計にかかわる話が主題。
主人公は航空機メーカの女性とそこ辞めたフリーのデザイナーで作者も航空機メーカを辞めて、フリーのデザイナーというのは単なる偶然か? -
自衛隊の戦闘機TF-1が国籍不明機を追跡中に墜落する。自衛隊と航空機メーカーが事故調査中、またもTF-1にアクシデントが発生。一連の事故は何者かによるTF-1への挑戦と気づいた若手メーカー技術者が、事件解決に奮闘する。
航空業界を舞台に、作者の航空工学知識がふんだんに盛り込まれた理系ミステリー。いろいろな絶賛の声を聞き、期待して読んだのだが、なんとも非現実的なストーリーだった。
難解な航空用語をわかりやすく解説しながら、テンポの良いミステリー作品としてまとまっているが、大事なミステリーの真相がお粗末すぎる。それに自衛隊戦闘機が墜落したというのに、国家も企業も世間もお気楽で脳天気。タイトルの「脅威」らしきものはどこにもない。仕事にかこつけて、彼氏と長距離恋愛している主人公の緊張感のなさに唖然とする。
さらに、真犯人の動機、犯行手段があまりに説明不足。とりあえず、犯人が戦闘機を調達した方法くらい説明してほしかった。
本作品は松本清張賞なのだが、こんな浮世離れしたファンタジーでも許されるのか。