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Amazon.co.jp ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784163901008
作品紹介・あらすじ
チャーチルは「成功とは、失敗を重ねても熱意を失わない能力のことだ」と言ってどんな逆境もはねのけ、偉大な政治家としてその名を留めた。エジソンは電球の試作の失敗が1万個に達したとき、「失敗したのではない。うまくいかない方法を1万通り見つけただけだ」と言って、ついにはフィラメントを発明する。
人生の成否を分けるのは、「前向きであることのできる」性格によるものなのか。だとすると、それは脳のどんな働きによるものなのか。欧州最大の脳科学の研究所を主宰し、その問いを解きあかそうとしているエレーヌ・フォックス博士が、その答えに驚くべき実験と調査の数々から迫る、とびきり面白いポピュラーサイエンス。
例えばこんな調査がある。1930年代に修道院に入った全米各地の修道女180人が書いた自叙伝を検証し、前向きな言葉と後ろ向きな言葉が出てくる頻度を点数化した。約60年後に、修道女たちの寿命との相関関係をみる。すると結果は、前向きな自叙伝を書いていた修道女が、そうでない修道女に比べて10年以上長生きしていたのだ。
そして、フォックス博士自身の研究所は、前向きな感情を起こさせる物質、セロトニンを脳内で生み出す特定の遺伝子を発見、性格は遺伝子によって決まっているのかというところにまでメスをいれる。ところが、研究を進めると、これらの遺伝子は環境によってその働きが変わってくるという驚くべき結果がえられたのだ。科学の推理を楽しみながら、子育てや自分の人生にまで思いをはせることもできる、深い一冊です。
感想・レビュー・書評
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「世界をどう見るか」を変えれば、脳に変化をもたらし、人格を変えられる。
変えられるのは人格だけでなく、これは心理学が解き明かしたシンプルな事実なのだが、物事をどう見るか、そしてそれにどう反応するかによって、実際に起きることも変えられるのだ。
本書で紹介される「レニーブレイン」や「サニーブレイン」は誰の脳内にもあって、お互いにせめぎあうことで、ものごとの認識にバイアスを生み、その人独自の「アフェクティブ・マインドセット」、つまり思考や感情のスタイルが形作られ、楽観的な気質や悲観的な気質の違いをもたらしている。
「子どもがどんな社会に生きることになるかは、運や偶然では決まらない。その子の感情のスタイルが、その子をとりまく世界を規定する。世界にどう向きあうかによって環境は変化し、どんなチャンスに巡りあうか、どんな問題に遭遇するかも変化するのだ」
悲観的な気質だからといって悪い面ばかりでもないし、いつも悲しみや不安に苛まれているわけではない。
時には大きな喜びや幸福を感じ、未来に希望も抱くのだが、常にどこかに危険はないかとたえず気を配っているため、リスクを冒すよりは安全な道を選びたがる。
しかし度が過ぎればもちろんマイナスで、慎重の度合いが過ぎれば決断に時間がかかるし、「自分は嫌われているのだ」との思い込みが強いと、ネガティブな思考のスパイラルが起こり、悲観的な心の傾向にさらに拍車がかかる。
悪いニュースばかりを感知しているから不安におちいるのではなく、悪いニュースの方が不安症の人を引き寄せているという面もあるのだ。
楽観的な気質だからといって良い面ばかりでもない。
やみくもな楽観や「悪いことはぜったい起こらない」という安易な思い込みでは、リスクを正しく評価することが出来ない。
楽観がプラスに作用するのは、適度なリアリズムと結びつき、良いことも悪いことも受け入れる能力があるときだけで、ただハッピーな思考をするから良いことが起きるなんてことはありえない。
真の楽観主義者とは、ただ上機嫌でいることではなく、意義深い生活に積極的にかかわり、打たれ強い心を育み、「自分で状況をコントロールできる」という気持ちを持ちつづける人だ。
未来に真の希望を抱き、悪いことが起きてもかならず対処できると強く信じる、運命の手綱を自分で握って離さない人たちだ。
・人間の脳はそもそも未来に常に希望を抱くように配線されている。
・楽観こそが、毎朝人間が寝床から起きあがるのを可能にする力。
・何に目をとめるかで世界観ぜんたいが変わる。
・その人の核にある信念に合致しないものごとは、目の前にあっても認識されない。
・抑うつの人々は快楽を感じられないというよりも、快感の維持が不得手なのだ。
本書でも、「エピジェティクス」が重要なキーワードとして登場するのだが、人間のDNAを図書館の本になぞらえて解説していて、抜群にわかりやすかった。
そうか、そこにあるのに発現しない遺伝子は、誰からも読まれないまま埃をかぶった本と同じなんだ。
仲野本でよくわからなかった「DNAのメチル化」も、ようやくイメージすることができた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『脳科学は人格を変えられるか?』を読んで:自分の脳と向き合うことの意味
『脳科学は人格を変えられるか?』という本に、私は大きな気づきをもらいました。脳科学の研究が進むことで、外部環境が私たちの脳に与える影響が、これまで思っていた以上に大きいということが明らかになってきています。
特に印象的だったのは、「恐怖はどこから来るのか」「ポジティブな思考が寿命にも関係する」という話。ポジティブとネガティブの感情バランスが“3対1”になると、人はより良い精神状態で生きられるというのです。この黄金比の話を読んだとき、自分の思考の癖や感情の傾きにもっと敏感になる必要があると感じました。
さらに、遺伝子レベルでも脳の働き方が変わるという研究結果には少し恐怖も覚えました。でもそれは同時に、「環境を整えたり、自分の思考を見直すことで、人格さえも変えていけるかもしれない」という希望にもつながります。
自分の脳の構造や反応の傾向を知り、それに合った対策を自ら取る。そんな地道な努力が、より豊かで前向きな人生につながる――そんなメッセージをこの本から受け取りました。 -
名著!参考文献の量も多く、心理学、神経科学、遺伝学の論文を沢山知ることができました。
自分自身をコントロールする、それが大事なことだと読んでいて感じました。
ますますスポーツをやってきたことが、他でも通用するのだと(スポーツマンガ楽観主義が多いのも納得)、感じました。 -
名前に「フォックス」と入っている縁でマイケルJフォックスと実験をやったというエピソードが面白い。
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最適なタイミングで出会えた!
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数年前に読んで、やっと読書メモを書けた、幸福に生きるための学びの本。
ふわふわ引き寄せの人たちへの違和感を、あれはポジティブ思考カルト、とズバッと一刀両断。楽観的なリアリストとの対比をわかりやすく説明してくれて、めちゃくちゃスッキリしました。
何を感じるかではなく、何を行うか。
マインドフルネス、ポジティブとネガティブの黄金比、人生の舵を自分が握っていること、錯誤相関など、科学で人の幸福度を高める研究はもっと進められていいし、知られていいと思いました。
でも、ふわふわしたのの方が売れるんですよね。
こんなに面白いのに! -
エピジェネティクスの話が特に面白かった!
自分の子供や孫のためにもよりよい経験をし、良くない遺伝子の発現を抑制しようと思った -
米国の研究によれば自分が病気と信じている女性の死亡率は信じていない女性の4倍。楽観主義は人類を前へ駆り立てる原動力。恐怖の回路はいとも容易く不安や恐怖に火をつける。タクシー運転手の海馬が成長するように、訓練を積めば脳内回路に変化が生まれる。ディカプリオは映画「アビエイター」で強迫性障害の役に入れ込み過ぎ、撮影後も強迫性障害の症状に悩まされた。治療法はクモ恐怖症などの恐怖心の克服に効果を持つ暴露療法。認知バイアス修正法は無意識下で働く。瞑想法で心のイライラを鎮めることができればより幸福な人生を歩める。
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楽観的な考え方をサニーブレイン、悲観的な考え方をレイニーブレインと呼び、その違いについて論じている。進化の過程ではレイニーブレインが役に立ったが現代社会ではサニーブレインが有利だ。たくさんある「意識高い」系の本とは異なり、本書は脳科学の立場から、判定方法、薬や訓練でサニーブレインとレイニーブレインをチェンジする方法について述べている。
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レビュー省略
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脳は鍛えられる、今までの常識を覆す内容。脳の衰えを感じるようになった年代としては嬉しい内容。頑張ろうと思ったのも事実。
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人の脳は本の少しのココロの変化で変えることができる。
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結論として、変えられる、ということで。
どれくらい楽観的かを調べるテストがおもしろかった。私は明らかに努力してきた楽観主義で、実際にはネガティブなのではないかとひそかに恐れていました。
が、この本によれば、楽観的であろうとする思考の努力は、実際に脳神経のつながりを変えていくのだ、ということでした。これを知っただけでもこの本を読んだ価値があったなと。 -
白熱教室と重なる部分多い。
カバーの文言が本文に比して意図的すぎるかんじ。まあ本文にも書いてあるんだけど、母親の愛情とか言われてもな…。 -
自分の性格を変えたいと思った経験は多くの人が持っているのではないか。遺伝子の中の前向きと後ろ向きの回路のどちらが強くなるかは生きていくうちに出会う経験が関係してくるのだという。つまり本気で変わりたいと思ったら自分を変えることも可能なのだ。
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ネガティヴシンキングを司るレイニーブレイン(脳の右半分)とポジティブシンキングを司るサニーブレイン(脳の左半分)
これらは遺伝子、経験そして何より大きいのはその経験をどう解釈したかにより、育まれていく。
筋肉と一緒で鍛えれば回路が太くなり、リハビリやトレーニングで、サニーブレインに近づける。
しかしながら、筆者が言うにはサニーブレイン=幸福ではない。
悲しい出来事や嫌な事はゼロにはならないわけなのだから、サニーとレイニーのバランスを保つ事が大切であると語っている。
より多くの経験を積んだ人はポジティブシンキングになりやすいんだとか。
そういう意味で、読書は大切だ。 -
レイニーブレイン、サニーブレインという観点をメインにおいている。いろんな科学的な例を示しながら、最終的には幸福に生きるにはどうすれば(どいう心をもてば)いいかを、論じている。
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脳科学や心理学、遺伝学などからサニーブレインとレイニーブレインを解説。わかりやすく納得のいくものだった。人格は環境に影響されるということもよくわかった。人間は生存するため進化しているし、それは他の生物にはないものである。人間の脳は素晴らしいし、まだまだ発達の可能性があるものだと認識させてもらったような気がする。
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どう考えても邦題のセンスはないわ〜‼︎
中身は現在の仕事に直結‼︎
無理やりテーマを決めて研究しまくって、
ようやくこの程度か…という進度、
まだまだ先が長い脳科学。 -
脳科学がとても面白いと思わせてくれた1冊でした。
・楽観的に考えることのメリット
・悲観的に考えることのデメリット
・どういう風に脳機能は、快楽や恐怖を処理しているのか
・楽観的になるためにはなにが必要か
というようなことをしっかりと研究結果とともに細かく解説してくれている。
自分が長年持っている悩み
「自分の人生に対してなぜ一生懸命になれないのか?舵取りをしている感覚がないのか?」
ということの答えのヒントを得られた気がする。
前向きに人生を生きるための知識を得られた個人的良本でした。
エレーヌ・フォックスの作品
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