四人組がいた。

  • 文藝春秋 (2014年8月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784163901022

作品紹介・あらすじ

「高村薫、ユーモア小説に挑む」



この村では、何だって起きる――。

元村長、元助役、郵便局長、そしてキクエ小母さん。

古ダヌキのような四人の老人が関わると、

村の小さな騒動も、AKB48から少子高齢化まで縦横無尽。



儲け話と、食い物に目のない老人たちは、

集会所に集まっては、日がな一日茶飲み話を。

だがそこへ、事情を知ってか知らぬか、珍客がやって来る。

テレビクルーに、タヌキのアイドルユニット、元アイドルの出家、

はたまたキャベツは大行進。最後に、閻魔様まで!!



「ニッポンの偉大な田舎」を舞台にした、ブラックユーモアに満ちた奇想天外の十二編。

現代を、冷静かつ緻密に描写しつづけてきた著者が、

今の日本を、地方からユーモアとシニカルを交えて軽妙に描き出す。

みんなの感想まとめ

現代社会を鋭く風刺したユーモア小説が展開される本作は、元村長や元助役、郵便局長、そしてキクエ小母さんという四人の老人たちが織りなす奇想天外な物語です。彼らの集会所での茶飲み話は、時に毒気を帯び、時にブ...

感想・レビュー・書評

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  • 奇々怪々の作品である。高村薫の新作小説をずっと待ち続けているファンは多い。私もそうである。なのに、私は図書館の片隅にこの本を見つけるまでの4年間、その存在を知らなかった。何度か新作をチェックしたと思うのだが、何故かその時Webに載らなかったとしか思えない。世の中も話題にしていなかったので、私の情報収集が劣っているというわけでもなさそうだ。

    この作品は、何か秘術が使われて、あまり世間に出回らないようになっているのではないか。何故ならば、この12篇の連作短編集は、まるで存在そのものが「在るのに無い」という性格を持たされているからである。則ち、12編とも題名の上に「四人組」を冠していて一見典型的な農村の、元村長、元助役、郵便局長、キクエ小母さんという暇を持て余した四人組老人たちを主人公とした日常を描いているのかと思いきや、実はこの四人組がとんでもないものたちだったという構造があるのかと思いきや、実は農村自体がファンタジー構造に組み込まれていると分かる後半部分でだいたいこんなんだと思った途端、最後は筒井康隆の如く日本の地方問題が批判的に描かれハチャメチャになって絶望的カオスに進んで終わりと思いきや、なんと神仏含めて世界は凡そ事も無しと進み「正体」が一向に現れないのである。色即是空。空即無、無即空也。

    私はこの題名を見た時に「やった!レディ・ジョーカーの元作「日吉町クラブ」の単行本化か!」と密かに思ったのものである。が、紐解いて、あまりものギャップに、声が出なかった(読書中そもそも声は出さないが)。まあ、高村薫小説世界の王道たる「太陽を曳く馬」も「冷血」も「土の記」も、まだ未読の私に「何をか言われんや」とは思う。

  •  高村薫作品を読むのは、さていつ以来だろう。代表作『マークスの山』こそ読んだものの、大作が多くなかなか手が出なかった。そんな中、本作は短編集なので読んでみる気になった。硬派な作風の高村薫さんが、ユーモア小説に挑む?

     村の集会所に集う老人たち、元村長、元助役、元郵便局長、そしてキクエ小母さん。四人組が茶飲み話をしていると、いつも珍客が迷い込む。四人組の視点から、田舎の過疎問題、高齢化問題を斬るっ!…というわけではないらしい。

     1編辺り20pちょっとの全12編を読み進むうちに、何の意味があるんだとか起承転結やオチがないとか言ってもしかたないことがわかるだろう。少子高齢化など四人組の知ったことではない。あまりにも村の日常がぶっ飛んでいるのだから。

     大体、珍客が人間とは限らないのである。四人組も普段からダチョウや狸など動物と言葉を交わしているのだから、いちいち驚かない。そもそも、この村は人間の村なのか? 四人組は人間なのか? という疑問さえ浮かんでくる。

     彼らはネットも嗜むし、時事の話題にも敏感である。何より、いくつになっても楽しむ心を忘れない。田舎出身者なら思わず頷く点も多いものの、本作に悲壮感などどこにもない。どの辺がブラックでシニカルなのか、正直よくわからなかったぞ。

     高村薫さんがどういう心境の変化で本作を書くに至ったのか、聞いてみたい。本作の意外性は、従来の重厚な作品を読んだ経験があってこそ際立つ。熱心な高村ファンにしてみれば、複雑かもしれない。しかし、僕が大作に手を出すことはあるまい。

     田舎の過疎化、高齢化はもう止めようがないだろう。都市部でも高齢化が進んだ地域がある。遠くない将来、我々も高齢者となる。そのときどこに住んでいるのだろうか。四人組のように日常を笑い飛ばせるだろうか。四人組最強だな。

  • 村の集会所に集まる元村長、元助役、郵便局長、そしてキクエ小母さんが繰り広げる、毒気とブラックユーモアに満ちた12の話。
    読み始めてすぐに、これ本当に高村さんの作品?と思ってしまった。ファンタジーなのかと思ったりもしたが、現代社会を皮肉る、風刺の効いた小説。

    • hs19501112さん
      「これ本当に高村さんの作品?」

      に、同感です。
      ま、楽しく読めましたが。
      「これ本当に高村さんの作品?」

      に、同感です。
      ま、楽しく読めましたが。
      2017/01/21
  • あの高村薫が、ユーモア小説に挑戦!
    その話題性だけで、手に取ったが、作者の意図はどこに?
    シリアスな作風から一転、現代への風刺、あるいは警告?と捉えればいいのだろうか。

  • +++
    元村長、元助役、郵便局長、そしてキクエ小母さん。儲け話と、食い物に目のない老人四人組は、集会所に集まっては、日がな一日茶飲み話を。だがそこへ、事情を知ってか知らぬか、珍客がやって来て―。タヌキのアイドルに、はたまたキャベツの大行進。最後には、閻魔様まで!!現代を、冷静かつ緻密に描写しつづけてきた著者が、今の日本を、地方からユーモアを交えて軽妙かつシニカルに描き出す。奇想天外、ブラックユーモアに満ちた十二編。
    +++

    思いっきり通俗なのに、何ともファンタジックな物語である。元村長、元助役、郵便局長、キクエ小母さんの四人組は、郵便局兼集会所で日がな一日、あーでもないこーでもないとどーでもいい話に花を咲かせているのだが、時折訪れる珍客を巻き込んで、豚でもないことごとを引き起こすのである。だがそれさえも、ほんとうのことなのか四つ足たちに化かされたのか、ときにあやふやになったりもする。ともかく、何もなくて退屈な村のはずなのだが、何でもありでめまぐるしい日々のように見えるのは、四人組のパワフルさと関係があるのかもしれない。地獄ツアーでも天国ツアーでも、儲け話を拾ってひと波乱起こしてほしいと思わせられる一冊である。

  • 高村薫は、こんな小説も書くのか。これが本書を読み始めたときの率直な感想だった。私の中の高村薫といえば、重厚で骨太、時に読む側にも覚悟を要求してくる本格社会派作家である。ところが本作は違う。これはユーモア小説だ。それも、笑っているうちにじわじわ効いてくる、かなり質の悪いブラックユーモアである。

    舞台は、町村合併によって市へと編入された過疎の旧村。登場するのは、元村長、元助役、元郵便局長、そしてキクエ小母さんという老人四人組だ。設定だけ聞けば、変化に乏しい地方の穏やかな日常を描いた作品を想像する。しかし、この四人の周囲には、とんでもない連中が次々に現れる。

    気球を操るモダンアーティスト、若い保険外交員、小学校の子供たち、町史編纂に燃える役場職員、テレビクルーに女優たち。挙げ句の果てには、閻魔大王や弥勒菩薩まで登場し、極楽ツアーに地獄ツアーまで始まる始末である。

    だが、この奇想天外な騒動の底には、都市と地方の格差、高齢者への視線、共同体の衰弱といった、現代社会への痛烈な風刺が潜んでいる。その苦味が、物語の滑稽さに妙な奥行きを与えているのだ。

    笑わせながら、最後にはどこか薄ら寒いものを残す。高村薫という作家の引き出しの多さに、改めて唸らされた一冊だった。

  • あの高村薫さんがユーモア小説を書いたというので、ついつい読んでみた。

    市町村合併でお役御免となった元村長以下、元助役、郵便局長、キクエ小母さんのジジババ4人組が、山あいの寒村にある集会所でヒマをかこちつつ、悪だくみを巡らせ、さまざまな事件を引き起こしたり巻き込まれたりする。

    高齢社会や限界集落といった日本の地方が抱える問題や、ネット、メディアやアイドル、宗教や金儲けといった現代社会の文化がいかにも著者らしい筆致(特にチョイ役の刑事や僧侶のせりふ回しが堂に入っていたりする)で描かれるのだが、ほどなく超常現象や妖怪のたぐい、毛ものなどが入り乱れて来て、どったんばったん、ぎっちょんがっちゃんといった大騒ぎになってくる。

    しかし騒ぎの割にはみんな目は笑っていない感じで、またオチも難解で、なんとも不思議で居心地のよくない小説であった。ユーモア小説? 笑えねえよ! みたいな。

    8つの短編にわかれていて(オール讀物に順に発表された)、「危うし!」という一編は気に入った。

  • 合田シリーズしか知らない状態でこの本を読み始めたので本当に高村さん?と大変驚きました。山村で郵便局兼集会所に毎日集まって茶飲み話をする元村長、元助役、郵便局長、そしてキクエ小母さんの4人。彼らを軸にお話は進みますが裏の山にいる狸のような四足たちと普通にお話をしたりどこか浮世離れしています。でも彼らは実は自在にインターネットを操ったり決して時代に遅れていることはなく、むしろ強烈に現代社会を皮肉ります。高村ファンがこれを受け入れられるかどうか不安なほどですが、私はこのユーモアファンタジーを十分楽しみました。

  • 高村先生、ちょっと息抜きですか?笑

    という感じのもの。他の作家だったらちゃんとは読まなかったかもしれないが、この作家がこの手の本を書くとどういう感じなんだろう?と興味津々で読んでみた。時々先生の暴走?悪ノリ?が見られたのは面白かったです笑。

    でも、文体は健在。いつもはこの文体、リズムに乗ってどっぷりと暗く重苦しく厭世的な世界に連れ込んでもらっているんだよなー、と思いながら、四人が暴走し始めるシーンでは、趣きは違えども間違いなく高村作品であると文体から実感させてもらいました。

    ちなみにシニカルさとハチャメチャぶりに時々笑えた内容の作品。

  • これ高村薫だよね?篠田節子か有村浩じゃないよね?何が原因で、こんなコメディ書いてんの?
    村上春樹と違って高村先生には気分転換は不要なのかと勝手に思っていたのだが、そうでもなかったということなのかな~。

  • これは田舎で暇を持て余しているジジババの妄想?(・・;)と思うほど破天荒なお話の数々(--;)四つ足がたくさん登場する「四人組、危うし!」と「四人組、伝説になる」は楽しく読めた(^^)♪大笑いするほど面白くないけれど、この雰囲気は好きかも(^^;)

  • 高村センセ……!!

    かるーく見せながら、相変わらずの緻密な描写、そのうえで「◎◎なう~」とか書かれると笑うしかありませんがな。

    でもそこはかとない不気味さがあるのですよね……
    特に巨大風船とか超シュール。
    首都部に人やモノ、すべてが集まってしまうという日本社会のひずみもなんのその、逞しい不思議な村は、なんだか「倦怠感溢れる幸福」すらまとっているように思えてしまう。

  • あの高村薫さんがユーモア小説
    びっくりでした・・・。
    高村薫さんといえば、社会派小説や晴子情歌とか
    深く固い小説というイメージですから

    読んで、あまりのブラックさにまたもやびっくり
    こんなに、頭が切れて、好きなこと言って
    好きなように行きているじいさん、ばあさんがいる
    そんな日本はいいんじゃない
    ブラックといえど、
    ずっと読んでいると
    今の世情に対しての警笛や嫌みもかんじたりするけど
    あまりにも妄想的な内容もあり
    やっぱり、ユーモア小説なんだなぁと思う
    こういう本も書かれる方だったのですね

  • ふむ

  • この作家の本は本当にはずれがない。

  • 2022.6.6-524

  • 高村作品ということで期待して読んだが・・・うむ。よくわからん。途中で断念。


  • 高村薫作、何かの書評で面白い、と読んだので、手に取ったが、イマイチどころか、どこで読むのをやめようか、というものだった。軽いのを書きたかったのか?時間潰しにはなるが、後に何も残らない、元気なジジババの話。

  • 山里の人と獣の物語。

    ・四人組、怪しむ
    ・四人組、夢を見る
    ・四人組、豚に逢う
    ・四人組、村史を語る
    ・四人組、跳ねる
    ・四人組、虎になる
    ・四人組、大いに学習する
    ・四人組、タニシと遊ぶ
    ・四人組、後塵を拝す
    ・四人組、危うし!
    ・四人組、伝説になる
    ・四人組、失せる

    元村長、元助役、郵便局長、キクエ小母の4人がいつも集まるのは郵便局兼集会所。

    そこで繰り広げられる話は、もののけの話から、超常現象、ネット、オタと幅広いが、みんな金にがめつい。

    狸扮するAKB48ならぬTNB48を応援しに上京したり、ネットで嘘の風潮を流したり、あの世からの使者がやってきたり。

    隔離された人里で思いもよらぬ騒動が繰り広げられる文学。

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著者プロフィール

(たかむら・かおる)作家。『銃を置け、戦争を終わらせよう』(毎日新聞出版)、最近著『墳墓記』(新潮社)、『我らが少女A』(毎日文庫)など。

「2025年 『核と原子力の非人間性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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