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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784163901107
作品紹介・あらすじ
観音様が見下ろす街で、珈琲豆と焼き物のお店『小蔵屋』を営む、おばあさんの杉浦草。常連客からは親しみを込めて、「お草さん」と呼ばれている。その『小蔵屋』がある紅雲町にある疏水のそばに、ぽつんとある商店街というには小さな「ヤナギショッピングストリート」がある。そこへ、雨の日に買い物に出かけたお草さんは、さみしそうな男が落としていった手紙を拾おうとして、黒い車にひかれそうになり、誤って電器店の店先にあるマスコット「ドリ坊」を壊してしまう……。
電器店の店主の五十川からは、高額の弁償を迫られるが、商店街の他の人たちが間に入り、弁償の件は棚上げとなる。しかし、草が気がかりなのは拾った手紙のほうだった。
手紙の「帰っておいで」の文字は、水ににじんで、器の牡丹餅の景色のよう。それは、一体、誰から誰への手紙なのか。そして、小さな商店街にもある〈秘密〉があった。
北関東の地方のある街を舞台に、老若男女が織りなす日々を「小さな謎」を軸に、たおやかに描き出した、コーヒーのように、すこしビターな味わいの短編集。
「小蔵屋」のお草さんが活躍する「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ第四弾。
感想・レビュー・書評
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いくつかの謎の中に隠れているのはいずれも親子の思い。
今回も主人公の『草さん』が丁寧に謎解きしていきます。
余談ですがこのお話しの中には色んな陶芸品が出てくるので『これはどんなものだろう?』と調べながら読んでしまいます。そんな楽しみ方もできるシリーズです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シリーズ4
各章のタイトルが、牡丹餅、貫入、印花、見込み、糸切り
初めは何のことかと思ったが、全て焼物用語らしい
それにまつわる話が展開し、ちょっと知識が増えたようで嬉しい
「牡丹餅」とは、皿や鉢の上に物をのせて焼いた時の焼きむらという窯変のこと
それが趣のある模様になるらしい
「貫入」とは、釉薬と素地の収縮率が異なるためにできるひびのことを言うらしい
「窯から器を出すと、釉薬と素地との収縮率の違いに耐えかねて、余韻のある涼やかな音を放ち、次から次にひび割れてゆく。そのままではいられない悲しさと、我慢の末の解放感にも似た明るさを帯びていた」
何と美しい光景、美しい表現だろう
小蔵屋には、器の用語や技法が学べるコーナーがある
金彩や銀彩・印花など説明と器の見本も
器への盛り付け方のアイデアやレシピなども
至れり尽せりである
「糸切り」とは、ろくろから器や皿を切り離す時の技
テレビでもよく見る光景だ
茶の湯では、高台やその周辺は見所の一つとされているらしい。普段使いの器でも糸切りの際にできた糸の跡や
窯の中で生じた傷やひびまでがその器の味になる
そんな目で隅々まで器を見るべきなのかと再認識した
今回のミステリーの主題も焼物にまつわる話
おもしろかった
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「紅雲町珈琲屋こよみ」お草さんのシリーズも4作目。
古い商店街での出来事を中心に、いく組もの親子関係が描かれます。
昭和40年代に作られたショッピングモール・ヤナギ。
お草さんは、寄って来た車に轢かれそうになって倒れ、五十川電器店の店先のマスコット・ドリ坊を壊してしまいます。
そのことがネットで悪く報じられて、店の表に落書きをされたりと災難なことに。
寂れていくショッピング・モールでは、建て直しの話も出ています。
女性の新進建築家・弓削が依頼されて、町を訪れていました。
草の行きつけの手芸店では、姑が改築に反対しているという。
フルヤさんに悪い、と。過去にどんな事情が?
陶芸家の古谷敦の展覧会が近くで開かれていたのを見に行く草。
ふだんの生活を続け、季節に合う品を店に出しては、お客さんの反応を楽しみにする生活。
行く先々でちょっと頭を捻るうちに、絡み合う謎がほどけていきます。
年月を生きてきた人の心身には、重いものも溜まってきますが、すべては今の気持ち次第。
ビターなトーンの中に、おだやかにすべてを受け止め、何気なく明るい方向を眺めやるような。
ほっと緊張が抜けていくような読後感がいいですね。 -
10年ほど前に職場の方からこのシリーズの3巻までをお借りして読んだことがあったので、懐かしくなり4巻目を読んでみました。
紅雲町で珈琲豆と和食器のお店「小蔵屋」を営む草さん。そしてアルバイトの久美ちゃん。珈琲の香りが漂うお店に素敵な器。近くにあったら常連になりそうなお店。
今では寂れてしまった商店街があちこちにありますが、ここに登場するヤナギ・ショッピング・ストリートも同様。草さんが車にひかれそうになった事から色々な人の思惑が見えてきてお話としては面白かったです。まだシリーズが続いてるので読んで行きたいです。 -
紅雲町珈琲屋こよみシリーズ第4弾。
きっかけはハプニングからだったが、ふと疑問に思ったことを放って置けないお草さんは、ばらばらなピースを頭の中で並べ始める。このシリーズは、そこはわかるだろう的な読者の推測が要求されている気がする。え?っとわからぬまま読み進めていくと、だんだん朧げだったことが形になってくるという推理要素の強い読み物。察しの悪い理解力の不足している自分には、もどかしいことが多い。でも、小蔵屋で、お草さんが陶器をテーマに沿って陳列するシーンは楽しく、お草さんの身近にいる人たちは、みんな魅力的で、ホッとする。このシリーズ、続けて読むつもりです。 -
紅雲町珈琲屋シリーズの4作目。
雨の日、いわくありげな男が落とした手紙のようなものを拾おうとし、黒い外車にひかれそうになったお草さん。その時、誤って電器屋の店先にあったマスコットを倒してしまう。
その弁償を迫られたり、商店街の改装問題に巻き込まれたり。
でも、お草さんはいつも冷静で思慮深い。自らの分をわきまえている。
読んだ後にいつもほっこりしてしまうシリーズ。落ち着く。
地域の人々の交流を扱ったミステリーを読むにつけ思う。人とのつながりを欲しながら干渉を嫌う現代社会で、「お節介」はどこまでアリなのだろうかと。
手を差し伸べようとしても「余計なお世話」で拒否される、そういうことは多々あるが、お草さんのように、人との「よい塩梅」の距離を保ちながら、気にかけてくれる人がいたら、とても心強いのかもしれない。 -
シリーズ続いてて嬉しい。お草さんを取り巻く生活は、ただ楽しい訳じゃない。でも、ぴしっと筋の通った物の考え方、行動力、生活リズムなんかがとても好ましくて、また彼女に会いたくなるんだなー。
小蔵屋のコーヒー飲みたい〜 -
相変わらず危険な目にあったり、嫌がらせされてりしている お草さん(--;)もう年なんだから由紀乃さんと楽しい隠居生活を送ってよ!と毎回思うけれど、それじゃあ小説にならないかf(^_^; 今回も、商店街ヤナギで「帰っておいで」と書かれた謎の手紙を拾い、車にひかれそうになって電気屋さんのマスコット「ドリ坊」に倒れ込んで「ドリ坊」を壊してしまって大変な事になってるし心配した(゜゜;)でも少しずつ問題を解決していくお草さんの姿はステキ♪
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作家の思いが込められたしみじみとした小説です。
市井の商店で繰り広げられるドラマが、陶芸のキーワードで繰り広げられる。
文芸作品の風格を持って物語れるが、謎解きも密やかに花を添える楽しみもある。親子の情愛を根底にして、人間関係の結び付きを細やかな心配りで作品にしていく仕法はこの作家の手法だ。
じっくりと作品と触れ合う事のできる喜びを味わった。 -
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シリーズ第4弾
コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む草さんが街で起きた事件を解決するシリーズ
今回、和食器にちなんだタイトルで陶芸やってる身としては
牡丹餅、貫入、印花、見込み、糸切り…どういう食器が登場するかお客さんとのやりとりなど
楽しかったです -
一行目:「備前七寸の角皿を、杉浦草はそっと手に取った。」
古いショッピングモール・ヤナギで車に轢かれそうになったはずみで、五十川電器店のマスコット・ドリ坊を壊してしまった草。そのトラブルをきっかけに、ヤナギリニューアル計画に首を突っ込むことに…今回も、幾組もの親子関係に頭を悩ませる。絡みきった糸を全部ほぐしきらないーあと少し手作業で頑張ればほどける程度ーで解決させるのが、年齢を重ね、これ以上は立ち入らないと決める草のスタイルになってきた。そういう意味では、かなり大人向きだ。
時々は、短編でスカッと一編ずつ片づけて欲しいとつい願う。 -
【収録作品】牡丹餅/貫入/印花/見込み/糸切り
ほろ苦い連作ミステリ。行きつ戻りつする人の思いが切ない。割りきれない人の営みを見守る眼差しは温かい。 -
シリーズもの。
コーヒーと焼き物のお店を営む、おばあちゃんが主人公。
本作から読んでしまったので、お草さんの人柄を掴みきれずに終わってしまった。
1作目から読んだら良かったかも。 -
お草さん、相変わらず身の周りで色々な事が起こりますね。
あまり踏み込み過ぎず、いい加減の距離を置きつつも親身になるお草さん。
年齢分のものは抱えながら、抱えているからこそでしょうか…いい年齢の重ね方をしていると思います。
お草さんの魅力で読んでいます。 -
お草さんシリーズ。
今回もお婆ちゃんなのにハラハラさせてくれたよ、お草さん(笑)
でもなんかダラダラで読み進めるのが大変だった。
2017.7.28 読了 -
老いていく哀しみ、人も街も変わらなければ取り残されてしまう。人は良いところばかりではない。
読んでいて、心が痛くなります。
でも、お草さんの凛とした佇まいがとても素敵です。 -
20160710 読了
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何のこっちゃ、よう意味が分からんかった。この小説、巻を重ねるにつれて、面白くなくなってる。
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