エデンの果ての家

  • 文藝春秋 (2014年9月12日発売)
3.55
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Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784163901206

作品紹介・あらすじ

母が殺された――その悲しみの葬儀の席で逮捕連行されたのは、弟だった。



大企業勤務のエリートサラリーマンの父、良妻賢母を絵にかいたような料理上手の母、幼いころから両親の期待を一身に背負い、溺愛されてきた弟、そして彼らのなかで、ひとり除けものであるかのように成長した主人公、葉山和弘。

遺棄死体となって発見された母親の被疑者が弟であったことで、父親は頑なにて弟の無実を信じ、反証を得ようとするのだが――。

みんなの感想まとめ

衝撃的な母の死と、逮捕された弟を巡る物語が展開される中、主人公は家族の真実に迫ります。期待に応えようとする弟と、疎外感を抱える兄の関係は、裁判を通じて徐々に変化していきます。父親は弟の無実を信じ続け、...

感想・レビュー・書評

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  • 母が殺された
    捕まったのは母に溺愛された弟だった

    物語はこのショッキングな出来事から始まる。
    両親の理想通りに育ち、一流企業に勤め優しく優秀な弟と愛される事を諦めた兄。

    以前読んだ「ゆれる」と同じように事件は限りなく黒に近いグレーで弟の裁判が始まるのですが、この物語は犯人は誰か?という事が焦点ではない。

    弁護士の言葉が印象的でした
    「親っていうのは、子どものことなんて、なに一つ知ってなんかいないんですよ。最悪なのは、なにも知らないってことを、わかっていないことです」

    無実を頑なに信じる父親
    弟を信じられない事に悩む兄
    裁判が進むにつれてこの2人が少しずつ変わっていく様子がこの作品の一番の読みどころです。

    桂さんの作品は何作か読んでますが、人が変わっていく姿が絶妙に上手いと感じます。

    「エデンの東」へと桂望実がおくるオマージュ
    おすすめですd(^_^o)


    • 土瓶さん
      おっ。愛しのワンコの画像が変わったね^^
      まだ抱えられる重さを維持できてるのかな。
      おっ。愛しのワンコの画像が変わったね^^
      まだ抱えられる重さを維持できてるのかな。
      2023/04/05
    • おびのりさん
      良さげだねえ、読むよ。
      良さげだねえ、読むよ。
      2023/04/05
    • みんみんさん
      土瓶さんワンコは9年前に天国行きましたよ〜
      可愛いでしょ\(//∇//)

      おびさん私三姉妹の真ん中〜赤の他人にいらない子って言われたわよ!...
      土瓶さんワンコは9年前に天国行きましたよ〜
      可愛いでしょ\(//∇//)

      おびさん私三姉妹の真ん中〜赤の他人にいらない子って言われたわよ!
      兄弟姉妹物がマイブームかもd(^_^o)
      2023/04/05
  • ★3.5

    母・直子が殺された。
    逮捕されたのは、弟・秀弘
    一流商社に勤める父・敬一と直子の期待の星だった。
    そして、期待通りに育った弟。
    弟は母を愛していたし、母も弟を溺愛していた。
    そして彼らのなかで、ひとり除け者であるかのように
    成長した主人公葉山和弘…。
    弟が再逮捕された。
    先月事故死した元彼女を殺した廉で…。

    被害者の遺族…。加害者の身内…。
    弟が冤罪と信じ父親は半狂乱になって、
    無実の証明をしようとするのだが-----。


    愛される事を諦める代わりに本当の自分で居る事を選んだ兄。
    両親の期待に応え続けた弟。
    一流のものしか認めない父親。
    その父親の思い通りに一流の人生を歩んで来た弟。

    父親は兄弟の実像も知らず家族を理想的に仲の良い
    家族と信じて疑わない。
    無実を信じ、行動していく内に妻や息子の隠された顔が
    明らかになってくる。
    一緒に手掛かりを探して動いていても、心の通わない父と和弘
    しかし、最後には心を通わせる事が出来た。
    それが、救いでした。
    和弘の妻・久美子がとっても良かったなぁ

    この葉山家は、父と母にとっては、理想の家族像だったが、
    実は虚像だった。
    お互いの事を何も知らない、バラバラの家族

    親子の関係ってそれぞれなんだなぁ
    家族の関係ってそれぞれなんだなぁ

    気に入らない事があったら、気に入らないって大声で言い合える
    家族というのは、受け止め合う事の様に思う。
    欠点や弱さや、理解不能な部分も含めて、失敗した時も。
    気に入っている部分しか受け止めないのは、家族じゃない。

  • 最後まで読んで思わず確認してしまった。「これで終わり?」と。主人公の弟が本当に殺人を犯したのかどうかをめぐるミステリーだと思って読んでいたので、そこがはっきりしないまま、「続く」という感じで終わっていて驚いたのだ。
    しかし、しばらくじっくり反芻してみると、これはミステリーではなく、家族、特に親子の気持ちのすれ違いを描いた小説なのだ、ということがわかってきた。
    親と子は同じ時間を過ごしながら、まったく違った記憶を持つ。そして、小さい頃の記憶はなかなか修正されないものなのだ。
    主人公の父親にとてもよく似た人を知っている。自分の思い込みだけが正しく、他人はすべて自分の言うとおりに動くものだと何の疑いもなく信じ込んでいるような人。子どもについても、自分の気に入ったところしか愛せない。はやりの言葉で言えば「毒親」というやつだ。
    これが母と娘の物語ではなく、父と息子、というのは珍しいかもしれない。息子だと、あんなふうに諦めの人になってしまうんだろうなあ。
    主人公の妻がやけに完全体である。こんなよくできた人がいるんだろうか、と思ってしまうくらい、完璧な対応をする。彼女のストレートな言葉で父親の気持ちに変化が起きるあたりは、小説ならではの展開だなあと思う。あんなふうにストレートに、嫌味なく、後腐れなく意見するには、いったいどんなふうに育ってくればいいんだろう。
    結局、弟は、親の歪んだ感覚の犠牲になったのだと思う。彼は母を愛していたからこそ、殺して捨ててしまったのだろうし、彼女も「愛していた」と思うからこそ殺してしまったんじゃなかろうか。
    愛しているから、いい子だから「殺さない」という理屈は成り立たないよ、と思いながら読んでいた。
    最後に、父と息子がほんのすこし歩み寄った感じがしたのがよかったかな。

  • 評価は☆2かな~3かな~と迷う評価。
    正確には星2.5。
    どこが悪いという訳でないけど、読んでいて夢中になれなかったし、面白いとは思わなかった。
    それと登場人物のセリフ(?)に何となく違和感があった。
    いくら年配の男性といっても今時こんな言葉遣いはないんじゃないかな~とか、何となく現実味がなくて浮いてる言葉だな~とか・・・。

    家族の一員が家族を殺した、という内容の話だけど、ミステリーというよりは、そういう出来事を通して今まで見えてなかった家族の本当の姿があらわになる、というのを見せる人間ドラマという体。
    主人公は自営で盆栽業を営む30代の男性。
    彼は家族の中で浮いた存在。
    出来の良い弟は両親に可愛がられ、両親の期待にそえなかった彼は親に見放され、子供の頃からさびしい思いをしてきた。
    所が、溺愛されていた弟が自分のつきあっていた彼女を殺し、母親も殺すという事件を起こす。
    その事件を通して、父と兄である主人公は家族の真の姿を見直し認識していく事となる。

    この話では真犯人は誰なのか?というよりも、家族が家族を殺すという殺人事件を通して、家族とは?と問題提起している。
    主人公の男性は溺愛されている弟と比べて差別されて家族からはじきだされて淋しい思いをしてきた訳だけど、ずい分と大人な感覚と考えで、かなり冷静にそれらの事を受け止めている。
    だから客観的に家族の姿が見えている。
    対して、父親は弟や殺された妻を表面的に見ていて、この事件から見えてきた2人の真の姿を中々受け入れられない。

    私がこれを読んでいて思ったのは、物事を見る時と同じで家族という関係もあまりに近すぎると全体的に見えないし、見えないものが多いし、薄々何かを感じても目をつむる場面が多いのだろうということ。
    また、少し離れた所から見る人間にはその本質と表面的なものが見える。
    そして、表面的なものしか見えないし見ようとしない人のことが分かるということ。

    ある意味、この家族はこんな衝撃的な事があって関係に一石を投じられ、色んなものが見えて分かったわけだけど、見えないでいられるならそれで幸せなのかもな・・・と思う。

  • 母が殺され、犯人として逮捕されたのは、実の息子である弟だった。
    真実はどこにあるのか。
    裁判と主人公の過去の記憶の中で、残された父と息子の関係性が変わっていく。

    面白かったです。
    家族の中での疎外感を感じ続けてきてきた主人公和弘。
    裁判を通じて、また父との会話から、自分の思い違いに気づくことが出来、父との関係が修復されるようで良かった。
    お父さん、嫌なヤツでしたが、こういう人いますよね。
    裁判が続く中で、少しずつ変わっていく姿にホッとしました。
    犯人とされる弟の様子が一切わからない感じが、却って興味深く、好奇心を刺激させられた気がしています。

  •  2時間ドラマや映画、ミステリなどで「犯人と目された人の無罪を勝ち取る」というジャンルが有るように思う。
     たいていの場合、内容ともかくとして物語の構成的に「ああきっとこの人無罪なんだろうなぁ」と気づいてしまい、なんとなく謎解き箇所が「はいはい無実無実」と流して読んでしまっているときがある。

     この物語はそんな風に流して読めない。
     だれもが生まれてきて感じたことのある不公平さ感を、嫌みなくらいたっぷりと味合わせてくれる(褒め言葉です)。
     読みやすく平易な言葉でするりと頭に入ってくる物語。ページをめくる手が止められない。いやな予感を持ちつつ、じりじりと気は焦り続きが気になってしかたがない。

  • 家族といっても本当のところなんてわからないものなんだ。幸いわが家は、特に問題のある家庭ではなかったから、そのような苦労はしてきていないけれど。
    人には色々な面があって当然。自分の知っている面だけがすべてというわけではないし。
    この立場で弟を信じられるだろうか?
    本当のことを話してくれ、それを受け入れるから……かな。

  • なんの予備知識もなく何となく手に取った本。衝撃的な始まり方だったけど、親子の再生の物語だった。主人公の奥さんの人間としての完成度にただただ感服。さらに主人公の周りにいる血縁族以外の人がよい人たちばかりで、あまりリアルではないと感じられるんだけど、重い題材なのにスッと読み終えられた。

  • 最初から弟が母親殺しで逮捕されるというとても重い内容で気が滅入りましたが最後がどうなるか話の展開が読めず気になって一気に読んでしまいました。
    家族の繋がり、一番近い存在でもあるし、また遠い存在にもなるということを感じさせられた内容でした。
    最後、兄と父親の和解に少し救われました。

  • 家族の嘘に気づく瞬間が、とても切なかった。弁護士さんの扱いが雑で、ちょっと気の毒でした(苦笑)
    2019/6/12読了

  • 親に溺愛されt期待されていた弟が母と恋人を殺した疑いで逮捕される。
    痛々しいほど息子を信じて疑わず、地味な30代で盆栽業を営む兄を常に見下しているような父の言動の全てに腹が立つ。

    兄には弟の危うい性格に思い当たる節があり、心のどこかで弟が犯人ではないかと疑っている。父も弟もよくある性格のひとつのように思える。

    最後に、自分が思い込んでいた「母に愛されていなかった」という考えが違ったのではないか?と思えたことが兄にとっては大きな救いとなった。

    エデンの東と同様、兄弟というのは難しいものなのかもしれない

  • 哀しい家族の話。
    両親から愛情を受けられなかったと考える主人公。
    弟が母親と彼女を殺したとされる被告になった。
    父親ともすれ違い。信じたいけれども信じられない。
    奥さんがいてくれて良かった。会社があって良かった。自分の道があって良かった。
    父親が仕事の手伝いをしている。お互い少しは歩み寄れたのか。それが事件による影響なのでより悲しくなった。

  • +++
    母が殺された――その悲しみの葬儀の席で逮捕連行されたのは、弟だった。
    大企業勤務のエリートサラリーマンの父、良妻賢母を絵にかいたような料理上手の母、幼いころから両親の期待を一身に背負い、溺愛されてきた弟、そして彼らのなかで、ひとり除けものであるかのように成長した主人公、葉山和弘。
    遺棄死体となって発見された母親の被疑者が弟であったことで、父親は半狂乱になって弟の無実を証明しようとするのだが――。
    +++

    ミステリでもあるが、名ばかりの家族がほんとうの家族になっていく苦しい道のりの物語でもあるような気がする。親は子どものことを、実は何もわかってはいないし、子もまた親の心底の気持ちを理解しているとは言えず、互いにすれ違い、思い違ったまま、別々の記憶を背負って苦しんでいるのである。葉山家の場合、それを解きほぐすきっかけになったのが、母の死だったのである。その後、犯人として弟が逮捕されてからの証人探しのなかで少しずつ明らかになっていく真実を直視することで、これまでの家族に対する思い込みが崩壊し、初めから組み立て直さなければならなくなる。被害者家族であり、加害者家族でもあるという複雑な立場に置かれた葉山家の葛藤と、だからこそ家族の形が取り戻せるかもしれないという微かな喜びがまじりあった一冊でもある。

  • 退屈だったとは言わないけれど、取り上げた題材の割に著者の力量が足りていないように感じてしまったな。話の筋はいいのに文章がどこか稚拙で。盆栽の記述は良かった。主人公の核となったその部分をもっと深く知りたかった。

  • ある日突然弟が逮捕される。母と元恋人を殺した容疑で。
    弟を信じたいが過去を思い出せば思い出すほど弟が真犯人であると確信していく兄和弘。
    学歴、仕事すべてに頑な信念をもつ父との過去の思い出と確執。
    壊れて行くはずの家族関係が弟の無実を求めながら再構築されてゆく。
    実際は殺人犯(まだ容疑者)の家族は仕事も失い悲惨な末路になると言うけど、この話ではそうはならない。そこは現実離れしてる感じはする。

  • 父親に認められたい、また兄弟にコンプレックスを感じる主人公。RUN RUN RUNに似ている。読みやすいのだけど、後味がいまひとつさっぱりとしない。弟に真実を語って欲しかった。死日記の時はそのへんきっちり丁寧に書いてたのに、桂望実読みやすくて好きなんだけど雑になったなー。せっかく盆栽のことも自分に例えたりして詳しく描写してるんだから、梶本や、あるいは弁護士についてももっと掘り込んで書くとか、、。図書館にて。

  • 母が殺された。
    その悲しみの葬儀の席で逮捕連行されたのは、弟だった。
    大企業勤務のエリートサラリーマンの父。
    良妻賢母を絵にかいたような料理上手の母。
    幼いころから両親の期待を一身に背負い、溺愛されてきた弟。
    そして彼らのなかで、ひとり除けものであるかのように成長した主人公、葉山和弘。
    遺棄死体となって発見された母親の被疑者が弟であったことで、父親は半狂乱になって弟の無実を証明しようとするのだが――。

  • 盆栽は矯正されることで好みの形に作られる。そしてそれ故に丹精込めて大切に育てられる…読むのが辛くて苦しかったです。家族でも全て分かり合えなくてよい、ただ丸ごと受け止めるよ、という存在がどんなに難しいか。でも家族だから気付いた時からまたやり直していける。
    最後救いがあり希望がみえました。

  • キャラクター設定に時々あざとさを感じるけど、読後感はよかった。弟が母の殺害容疑で逮捕され、残された父親と主人公である長男が弟の無罪を信じて裁判に挑むお話し。主人公は加害者の身内という世間から批難される立場でありながら、被害者の遺族でもあるという立場がせつない。

  • 最初は父親と長男が心を通わせる日がくるなんて絶対にないと思ってた。
    そもそもお互いにいまさら仲良くなんて…と思っているんだろうなと。
    でもそうじゃないんだ。やっぱり家族なんだな。

    長男の奥さんが子供を授かって強くなったおかげかな。

    次男は自ら生きにくいようにしてしまったんだろう。でもそれも両親を想ってなんだろね。

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著者プロフィール

一九六五年東京都生まれ。大妻女子大学卒業後、会社員、フリーライターを経て、二〇〇三年『死日記』で「作家への道!」優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『県庁の星』『嫌な女』『ハタラクオトメ』『頼むから、ほっといてくれ』『残された人が編む物語』『息をつめて』など。

「2023年 『じゃない方の渡辺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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