逢沢りく 上

著者 :
  • 文藝春秋
3.91
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本棚登録 : 1118
感想 : 85
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901466

作品紹介・あらすじ

りくは中学生。おしゃれなパパと、カンペキなママ、
「オーラがある」と友だちが憧れる、ちょっと特別な存在。
美しい彼女は、蛇口をひねるように、
嘘の涙をこぼすことができた。悲しみの意味もわからずに――
『きょうの猫村さん』で老若男女の心を鷲掴みにした
ほしよりこの、傑作長編コミック! (上巻)

感想・レビュー・書評

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  • 少女が大人になる瞬間を描いた作品だと思います。

    その瞬間をはっきりと自覚できる人が少ないし、まして、他人の、異性のそういう場面を、マンガという形だったとしても目の当たりにできたことは、幸運としか言いようがないです。

    りくの母親のことを考えていたら、なにかで読んだ「子供とは、自分が他人に許されていることに気づいてない状態」という言葉を思い出しました。

  •  ほしよりこというマンガ家は初めてです。「絵柄」も「お話」や「本」の作り方も、どちらかというと苦手です。ところが、30代40代の知り合いの方褒めていらっしゃる。で、読みえて、なんか、堪忍してほしい気分になりました。
     本当は、楽しいことが何もない「中学生」が、この世に存在するリアルを描く「ほしよりこ」と、それを、普通の文庫化する編集者のセンスはすごいと思うのですが、「で、それで?」というのが感想でした。疲れた。
     ブログには、もう少しプラスの感想も書きました。覗いてみてください。
     https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202104210000/

  • 中学生の逢沢りくは悲しみを感じることなく、涙を流すべきときに自在に流すことができる。父は職場の女性と浮気しており、母は完璧て潔癖な性格。逢沢りくの関西人、関西弁嫌悪が面白い。実際に関西的なものをかなり下にみている女性を知っていたから、彼女と逢沢りくをオーバーラップして見てしまった。彼女も周りから浮いていて天然扱いされていた。彼女は僕のことを気に入ってくれて、手紙のやりとりやデートを繰り返すうちに関西弁への違和感を解消したように思う。彼女は若くして死んでしまったので、本当のところはわからないけど。

  • まんがだけど‥

    こんなとうさんかあさんいや

  • ほしよりこさんの漫画というのは、初めて読みます。読書会の今季課題図書の一つ。

    いやあ、傑作でした。
    すばらしい。

    まず、絵柄にものすごく個性がありますね。
    それがまず、好きです。無駄が嫌いというか、もう、最小限のタッチというか。
    奥田民生さんは好きなんですが、なんといっても弾き語りがええなあ、という感じですね。
    ソニー・ロリンズの「ドント・ストップ・ザ・カーニバル」の「オータム・ノクターム」を聞いてる気分です。イサギヨイ。ソロ。

    スクリーントーンもベタもないんです。直線すらないのでは...この人は、本当にアシスタントが要らないのでは。

    東京の女子中学生、「逢沢りく」さんのお話です。

    お金持ちで、お父さんはアパレル経営者。お洒落で、一見仲良くて、リベラルで。りくちゃんも名門私立っぽい。
    なんだけど、実は一枚めくると、お父さんは部下とずぶずぶの浮気中。りくちゃんはそれに気づいています。恐らくお母さんも。
    自然食などに拘るお母さんは、完璧主義で冷たい感じで、すごく理詰め。そしてプライド高い。
    りくちゃんも、特技というか趣味が「嘘泣き」。面倒くさい、ひんまがった子供なんです。

    で、要はこのりくちゃんが、ひょんなことから関西の親戚に預けられる。
    そこの庶民的?な家族にかこまれてわちゃわちゃ嫌がっているうちに、「ココロがほどけていく」。
    という...ざっくり言うととても陳腐に思えるオハナシなんです。

    なんだけど、もう、ディティールが素晴らしい。細部が素晴らしい。
    その脱力で腰砕けで、ぬるま湯さが巧妙な細部に酔いしれているうちに、(爆笑しているうちに)ついつい、読み手の側の、「心のディフェンスライン」「ココロの守備陣形」が、乱れて来ちゃう。
    そこにズバっと攻め込まれて、不意打ちな涙、ナミダの感動ものがたり。

    ...なんですが、これ、1つ仕掛けがあります。
    どうやら作者が関西人なんです。
    そして、りくちゃんが放り込まれる家庭は、「ド関西庶民的家庭」という雰囲気。
    そして、りくちゃんは当初、「関西弁なんか吐き気が出る」「ぜったい染まらない」と心の扉を厳重ロックしています。
    そこに攻め込んでい来る、家庭と学校との「関西弁的波状攻撃」が、大爆笑であり、物語のうねるところなんです。

    でもこれ、簡単に言うと、確信犯で関西弁的文化圏を、美化してるんですね。

    あたりまえですが、関西弁を使おうと、標準語を使おうと、スワヒリ語を使おうと、素敵な人もいれば、意地悪な人も居て。
    相性のいい人もいれば、逆もいます。
    ユーモラスな人もいれば、無愛想な人もいます。
    その辺を、この作者は、この物語については、確信犯で誇張しています。
    まあ、いってみればそれは手段でしかない訳で、別に関西についての文化人類学の論文じゃないので(笑)、それで良い訳です。

    ただ、その辺の肌合いをどこまで抵抗感があるかないか、というところで読み手の快感は(または不快感は)ちがってくると思います。

    過去5年、仕事で関西に住んだ程度の僕からすると、そう言うことすべて含めて、笑える愉しさでした。

    お話はそういうわけで、なかなか抽出すると王道センチメンタルなんですが、やっぱり細部が凄い。
    絵柄だけじゃなくて、クローズアップとか、顔なのか背中なのか、という表現のぶんまわしかたが、「小津か?」というくらい凛とした姿勢を感じます。

    そして、まあ、何と言っても、大阪篇になってからの、「おじさんおばさん夫婦」と「学校のおっちゃん先生」が登場人物の中では秀逸ですね。

    読んだ人と、細部について「あれは好き」「あれは良いね」と大いに談じたい一冊(上下巻2冊ですが)。
    ※例えば、おじさんおばさん夫婦の、関西弁を駆使した、くだらなすぎる会話。その会話が、なお一層ドライブがかかって、果てしなくくだらなくなっていく。その素晴らしさ。
    ※テレビの2時間サスペンスの、京都事件モノを批評しながらの食卓、大爆笑。

    それから、めんどうな歪んだ少女「りくちゃん」の在り様をめぐっては、その歪んだ両親を含めて、「りくちゃんの精神成立過程を考える」というのも、大変に興味深い。

    やっぱり、親の影響って大きいよなあ...と。
    図らずも、「西の魔女が死んだ」と、とっても姉妹編というか、コインの裏表というか、そういうマンガでした。
    (好みで言うと、「逢沢りく」に軍配!)


    唯一、疑義を呈するなら...
    なんでこのタイトルなの?
    「逢沢りく」と「ほしよりこ」のどっちが作者なのか混乱しちゃいませんか?
    タイトルがものすごくつけにくい話だとは思うんです。題名で、陳腐でクサクなっちゃうと嫌でしょうから。でもなあ...。


    「猫村さん」も、大いに読んでみたくなりました!


    言ってみれば、恐ろしく関西を美化している作品なので、
    大阪府あたりは、作者に表彰状を送ってしかるべきなのでは。
    この漫画だけで、「関西はすばらしい」と思った人がいたら、それは絶対に間違っていますので、気を付けてくださいね。

  • 逢沢りく、という変わった女の子のお話。
    東京で暮らしている時は口数が少ないからか、余白がたくさんあるのに、関西の生活が始まった途端、周りのみんながたくさん話すので、余白がなくなる。

    さすがに、鳥をぎゅっと握り殺してしまいそうな場面は驚いたが、あんなに忌み嫌っていた関西に行って、りくがどう変わっていくのか。

    関西の親戚たちは、毎日が漫才のようで、本当に面白い!時ちゃん、可愛すぎる!

  • 逢沢りくは、日常をその感受性で受け取ってしまうために、ずるい人にみえてしまうかもしれない。世の中に完璧なんてないのだって解かっている。
    だから下巻ではもっと楽に生きていってほしいと、そんなふうに変わってほしいと願ってしまう。逢沢りくであり続けるためにも。

  •  好きな時に涙することができる美少女・逢沢りくの覚醒を描いた作品。上下巻からなり本作は上巻。

     漫画とは知らずに借りた。主人公・りくの感性と作品の絵柄に慣れるのに上巻の半ば過ぎまでかかった。正直言うと、そこまで読むのに忍耐を要した。

     しかし、りくが単身で関西(大阪か?)の大叔母の下に(短期間の約束で)身を寄せてからがおもしろかった。大叔母宅や転校先の中学校で経験する、関西人の距離感。東京(の裕福な階層)とのギャップに戸惑うりくの心情が的確に描かれていた。
     仮面夫婦と言ってもいい両親。本音は言わず、体裁だけキレイに整えるその姿を見て育ったりくは、本当の優しさや愛情の伝え方を知らなかった。

     コテコテの関西の人情に馴染めるのか!? 続けて下巻も読まずにはいられない。簡単なタッチの絵柄だが、多くのことを伝えてくれている作品だった。

  • なかなかに鮮烈。読み応えがあった。

  • 映画みたいな作品。

    りくは、人前でしか涙を流すことができない。
    自然に泣くということができない。
    母親が関西弁が嫌いだから、と関西弁を毛嫌いする。

    中学生のりくが、これからどう変わっていくのか、丁寧に描かれていく。

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著者プロフィール

漫画家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ほしよりこの作品

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