逢沢りく 上

著者 : ほしよりこ
  • 文藝春秋 (2014年10月23日発売)
3.94
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  • レビュー :76
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901466

作品紹介

りくは中学生。おしゃれなパパと、カンペキなママ、
「オーラがある」と友だちが憧れる、ちょっと特別な存在。
美しい彼女は、蛇口をひねるように、
嘘の涙をこぼすことができた。悲しみの意味もわからずに――
『きょうの猫村さん』で老若男女の心を鷲掴みにした
ほしよりこの、傑作長編コミック! (上巻)

逢沢りく 上の感想・レビュー・書評

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  • 少女が大人になる瞬間を描いた作品だと思います。

    その瞬間をはっきりと自覚できる人が少ないし、まして、他人の、異性のそういう場面を、マンガという形だったとしても目の当たりにできたことは、幸運としか言いようがないです。

    りくの母親のことを考えていたら、なにかで読んだ「子供とは、自分が他人に許されていることに気づいてない状態」という言葉を思い出しました。

  • ほしよりこさんの漫画というのは、初めて読みます。読書会の今季課題図書の一つ。

    いやあ、傑作でした。
    すばらしい。

    まず、絵柄にものすごく個性がありますね。
    それがまず、好きです。無駄が嫌いというか、もう、最小限のタッチというか。
    奥田民生さんは好きなんですが、なんといっても弾き語りがええなあ、という感じですね。
    ソニー・ロリンズの「ドント・ストップ・ザ・カーニバル」の「オータム・ノクターム」を聞いてる気分です。イサギヨイ。ソロ。

    スクリーントーンもベタもないんです。直線すらないのでは...この人は、本当にアシスタントが要らないのでは。

    東京の女子中学生、「逢沢りく」さんのお話です。

    お金持ちで、お父さんはアパレル経営者。お洒落で、一見仲良くて、リベラルで。りくちゃんも名門私立っぽい。
    なんだけど、実は一枚めくると、お父さんは部下とずぶずぶの浮気中。りくちゃんはそれに気づいています。恐らくお母さんも。
    自然食などに拘るお母さんは、完璧主義で冷たい感じで、すごく理詰め。そしてプライド高い。
    りくちゃんも、特技というか趣味が「嘘泣き」。面倒くさい、ひんまがった子供なんです。

    で、要はこのりくちゃんが、ひょんなことから関西の親戚に預けられる。
    そこの庶民的?な家族にかこまれてわちゃわちゃ嫌がっているうちに、「ココロがほどけていく」。
    という...ざっくり言うととても陳腐に思えるオハナシなんです。

    なんだけど、もう、ディティールが素晴らしい。細部が素晴らしい。
    その脱力で腰砕けで、ぬるま湯さが巧妙な細部に酔いしれているうちに、(爆笑しているうちに)ついつい、読み手の側の、「心のディフェンスライン」「ココロの守備陣形」が、乱れて来ちゃう。
    そこにズバっと攻め込まれて、不意打ちな涙、ナミダの感動ものがたり。

    ...なんですが、これ、1つ仕掛けがあります。
    どうやら作者が関西人なんです。
    そして、りくちゃんが放り込まれる家庭は、「ド関西庶民的家庭」という雰囲気。
    そして、りくちゃんは当初、「関西弁なんか吐き気が出る」「ぜったい染まらない」と心の扉を厳重ロックしています。
    そこに攻め込んでい来る、家庭と学校との「関西弁的波状攻撃」が、大爆笑であり、物語のうねるところなんです。

    でもこれ、簡単に言うと、確信犯で関西弁的文化圏を、美化してるんですね。

    あたりまえですが、関西弁を使おうと、標準語を使おうと、スワヒリ語を使おうと、素敵な人もいれば、意地悪な人も居て。
    相性のいい人もいれば、逆もいます。
    ユーモラスな人もいれば、無愛想な人もいます。
    その辺を、この作者は、この物語については、確信犯で誇張しています。
    まあ、いってみればそれは手段でしかない訳で、別に関西についての文化人類学の論文じゃないので(笑)、それで良い訳です。

    ただ、その辺の肌合いをどこまで抵抗感があるかないか、というところで読み手の快感は(または不快感は)ちがってくると思います。

    過去5年、仕事で関西に住んだ程度の僕からすると、そう言うことすべて含めて、笑える愉しさでした。

    お話はそういうわけで、なかなか抽出すると王道センチメンタルなんですが、やっぱり細部が凄い。
    絵柄だけじゃなくて、クローズアップとか、顔なのか背中なのか、という表現のぶんまわしかたが、「小津か?」というくらい凛とした姿勢を感じます。

    そして、まあ、何と言っても、大阪篇になってからの、「おじさんおばさん夫婦」と「学校のおっちゃん先生」が登場人物の中では秀逸ですね。

    読んだ人と、細部について「あれは好き」「あれは良いね」と大いに談じたい一冊(上下巻2冊ですが)。
    ※例えば、おじさんおばさん夫婦の、関西弁を駆使した、くだらなすぎる会話。その会話が、なお一層ドライブがかかって、果てしなくくだらなくなっていく。その素晴らしさ。
    ※テレビの2時間サスペンスの、京都事件モノを批評しながらの食卓、大爆笑。

    それから、めんどうな歪んだ少女「りくちゃん」の在り様をめぐっては、その歪んだ両親を含めて、「りくちゃんの精神成立過程を考える」というのも、大変に興味深い。

    やっぱり、親の影響って大きいよなあ...と。
    図らずも、「西の魔女が死んだ」と、とっても姉妹編というか、コインの裏表というか、そういうマンガでした。
    (好みで言うと、「逢沢りく」に軍配!)


    唯一、疑義を呈するなら...
    なんでこのタイトルなの?
    「逢沢りく」と「ほしよりこ」のどっちが作者なのか混乱しちゃいませんか?
    タイトルがものすごくつけにくい話だとは思うんです。題名で、陳腐でクサクなっちゃうと嫌でしょうから。でもなあ...。


    「猫村さん」も、大いに読んでみたくなりました!


    言ってみれば、恐ろしく関西を美化している作品なので、
    大阪府あたりは、作者に表彰状を送ってしかるべきなのでは。
    この漫画だけで、「関西はすばらしい」と思った人がいたら、それは絶対に間違っていますので、気を付けてくださいね。

  • 逢沢りく、という変わった女の子のお話。
    東京で暮らしている時は口数が少ないからか、余白がたくさんあるのに、関西の生活が始まった途端、周りのみんながたくさん話すので、余白がなくなる。

    さすがに、鳥をぎゅっと握り殺してしまいそうな場面は驚いたが、あんなに忌み嫌っていた関西に行って、りくがどう変わっていくのか。

    関西の親戚たちは、毎日が漫才のようで、本当に面白い!時ちゃん、可愛すぎる!

  • 逢沢りくは、日常をその感受性で受け取ってしまうために、ずるい人にみえてしまうかもしれない。世の中に完璧なんてないのだって解かっている。
    だから下巻ではもっと楽に生きていってほしいと、そんなふうに変わってほしいと願ってしまう。逢沢りくであり続けるためにも。

  • ほしよりこさんの漫画『逢沢りく』(上)(下)を読みました。
    泣いてしまいました。
    漫画で泣かされるなんて、何年ぶりだろうか。

    笑いあり。涙あり。ほのぼのした空気感あり。
    大事であることは分かっているのですが、
    日々、実践できていないことって、本当にたくさんあります。

    そんな日常で感じていることの一部分を、
    やさしく、えぐりだされたような気分です。
    ほしよりこさん、すごい・・・。

    (関西の、わざわざした家庭の雰囲気の再現度もすごい。)

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    りくは中学生。おしゃれなパパと、カンペキなママ、
    「オーラがある」と友だちが憧れる、ちょっと特別な存在。
    美しい彼女は、蛇口をひねるように、
    嘘の涙をこぼすことができた。悲しみの意味もわからずに――
    『きょうの猫村さん』で老若男女の心を鷲掴みにした
    ほしよりこの、傑作長編コミック! (上巻)

    関西の親戚の家に預けられたりくを襲う
    “あたたかな”試練の数々とは?
    「い~っやっ! ちょっと! めっちゃくちゃベッピンやないの~っ!」
    「あんためっちゃ目立ってるし!」
    関西弁ワールドに翻弄され、「私は絶対になじまない」と心に誓うりく。
    どうなるりく? そしてママとパパは……?
    笑って笑って最後に涙する感動作誕生! (下巻)
    --------------------

    http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163901466

  • 逢沢りくは中学生の女の子。美人で、他の人とはちょっと違う雰囲気。りくは蛇口を捻るように「うそ泣き」が出来る。そしてりくが涙を流す姿には、人の心を動かす。

    お父さんはアパレル会社の社長で、オシャレでモテる。お母さんはりくを産んでからは専業主婦になったが、子育ても家事も完璧で美人なお母さん。
    でも、お父さんは会社の部下と浮気しているし、しかもその浮気相手をホームパーティに呼んだりする。お母さんはそれに気がつきながらも、構わないというか、気にしていない様子。
    ただ、りくはお母さんの言葉にならない気持ちに気がついて、お母さんがして欲しいことを「お母さんって面倒くさい」と思いながらもしてしまうのだ。つまり、うそ泣きを。
    側からみたら完璧な逢沢家だけど、心の中では言えない思いを抱えている。

    お母さんが関西弁嫌いで、りくも関西なんて嫌いだったのに、
    お母さんはりくと距離を取りたい、と考え、
    「りくのために」関西の親戚(父親方)にしばらく預かってもらう事になった。嫌でも嫌とは言わないりく。
    大阪での生活は、それまでもものとはまるで違っていて・・・。


    透明感のある美少女のりく。
    大人のいやらしさなんかも見えて、「おえー」って思う。でもそれを言わないで、走って逃げる。思春期の女子が、自分の感情に戸惑い、不器用に意地になったりする姿に共感。

  • 本屋で見かけた時、ずっと小説だと思っていたので開けてびっくり。

  • かわいいのにかわいくない女の子には、それでもそれには理由がある

  • 前から気になっていた漫画。りくの家庭はゆがんでいるなぁ。本人もゆがんでいるけれど。猫村さんとはちがうシリアスタッチ。

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