風のベーコンサンド 高原カフェ日誌

著者 :
  • 文藝春秋
3.63
  • (38)
  • (98)
  • (109)
  • (10)
  • (1)
本棚登録 : 614
レビュー : 120
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901831

作品紹介・あらすじ

“空腹警報絶対注意”の高原カフェを舞台に奇跡が起こる――。百合が原高原に一軒家カフェ「Son de vent(ソン・デュ・ヴァン)」を開業した奈穂。かつてペンションブームに沸いたこの高原も、今はやや寂びれ気味。東京の女性誌編集部で働いていた奈穂が、冬には雪深く寒さの待ち受けるこの地へ移ってきたのには、深刻な理由が――エリート銀行員の夫・滋のモラスハラスメント(精神的虐待)に堪えかねて極度の自律神経失調症に陥り、これまでの生活すべてを変えるためだった。 夏は美しい自生の百合の花が咲き、秋は紅葉が見事なこの高原には、「ひよこ牧場」のバターやミルク、ソーセージやベーコン、「あおぞらベーカリー」の自家製天然酵母のパン、村役場に勤める村岡涼介の口利きで手に入るようになった有機野菜など、自然豊かな恵みがいっぱい。「高原のチーズクリームシチュー」「ひよこ牧場のベーコンサンド」「百合が原ポークソテー」「野生きのこのオムレツ」など、当日の仕入れでメニューを組む奈穂の料理は地元客からも好評で、観光シーズンにはお客を集めるようにもなる。 そんな奈穂のカフェを訪れるのは、ひとりの作業員風の男(『風音』)、離婚に決して応じてくれない夫(『夕立』)、ご近所の農家のお嫁さん(『豊穣』)、海外帰りの美しい経済アドバイザー(『融雪』)ら、それぞれが事情を抱えていた。奈穂の料理は彼らの人生を何か変えることができるのか? 実は奈穂自身が抱える現実も厳しい。スキー場が閉鎖され、新規ホテルに客が集中する状況で、奈穂は初めての冬を凍れる高原に留まって奮闘する。そして二度目の夏の訪れを前に、カフェ「Son de vent」に奇跡が訪れる! 女性を主人公に多くのベストセラーを輩出してきた著者が、自らレシピを試して「絶対においしいものだけ」がぎっしり詰まった連作集は、読者に栄養をたっぷり届けます。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 都会から、斜陽気味の高原リゾートに移住してカフェを営む女性とその周りの人々のお話。

    お洒落なカフェメニューが登場して、和やかで、爽やかな物語が展開されていくのか思いきや、主人公をはじめ登場する高原の人々は、みな、過去や現在に悩みや苦しみを抱えていて、シリアスな場面も多々。
    現実と葛藤しながらも、苦しい気持ちをできるだけしまって、前を向いて、懸命に生きていく高原の人たちに共感を覚えた。

    カフェの経営って、本当に大変なんだな。
    でも、菜穂さんは、地元の食材を愛していて、その美味しさを、高原を訪れる多くの人たちに知ってもらおうと、すごく努力している。そういう想いがつまったカフェメニューは、きっと素晴らしく美味しいだろう。
    菜穂さんとお話をしながら、Son de ventのカウンターで、ランチを食べてみたい。

  • 30代の女性が一人で切り盛りしている高原カフェ。
    地元で採れる豊かな食材と、地元牧場の乳製品やベーコン等を生かして作られる、ひと手間かけた美味しいランチ。
    建物もペンションを改装したもの。
    これは特に女性に好まれるカフェに違いない。

    私の地元にもこれに似た高原カフェがあり、以前よく通っていた。
    料理の味はもちろん、周りの景色や店の雰囲気も含めて楽しめる憩いの場。
    それは自分のためのご褒美と癒しの時間だった、とあの頃を懐かしく思う。
    心地よい空気と、心地よい時。
    日常に疲れた人もほんのひと時幸せになれるはず。
    田中さんご指定のさくさくのベーコンサンドを私も食べたい。

  • 高原カフェを舞台としたお話。この中の『融雪』は先日読んだ『和菓子のアンソロジー』にも収録されています。

    美味しそうなものが沢山出てくるので、読んでいてお腹が空くかなーと思ったけど、あまりにも料理がお洒落すぎて(普段食べているものとかけ離れすぎていて)、私には味が想像しきれませんでした(;´∀`)
    ひよこ牧場のベーコンや乳製品、あおぞらベーカリーのパンなどは「うわー、美味しそう」と思ったんですけどね(素材がいい=美味しい、というイメージから)。
    あ、でもベーコンサンドはそそられたというか、作ってみたくなりましたよ(スーパーで売っている普通のベーコンでも美味しくできるかしら・・・?)。

    全体的にはふんわりと優しい雰囲気のお話ですが、暗かったり、切なかったりする場面(や展開)もあり。だからこその良さが結末には待っていて、読後はほんのりと温かい気持ちになれました。

  • モラハラ夫と円満に別れられてよかったね。
    カフェよりそっちを心配したよ。
    そして田中さん、絶対エライ人だと思った!
    続編あるんですね。読みたいです。

  • 田舎でカフェの切り盛りに奮闘する女性のさりげない日常のようで、なのに何か惹きつけられて一気に読み終えた。
    料理はどれもこれも美味しそう!
    秘密の花園のサクサクベーコンサンド、食べてみたいな。

    奈穂の人柄は良すぎて私には眩しすぎるかな。
    人が話をしたくなるような空気感、居心地のいい人、周囲の人が思わず助けたくなるような人、控えめで分をわきまえることができて、一生懸命で丁寧、過去には都会で仕事もできていた、なんか完璧すぎやしませんか!?

    滋との結婚生活のシーンは読んでいて辛かった。
    モラルハラスメントってジワジワと心をすり減らしていく。
    雪山での滋との決別は印象に残った。
    心の中に棲む鬼も忌むべきなことばかりではないのかも。

  • 高原でカフェをひらく。
    素敵だけれど実際は大変だと思う。飲食店ってなんだか経営するのが難しそうだもん。必要な食材料を見極めるのが大変そう。
    地元野菜や地元で作られたベーコン、バターなどを使ったランチ。とっても美味しそう。
    特にベーコンサンドはね。
    丁寧に作られたものをシンプルにいただくのが一番のごちそうかもしれない。

  • 噂好きの知人の台詞がすごく説明ちっくで苦手だったのだ。ひよこ牧場の女友達がそれで、最初だけつっかかったかな。10年近く前に『ワーキングガールズウォー』でこの作者さん、苦手…と感じたのを思い出した(´Д` )
    後半はあまり気にならず、楽しめたけれども。
    ベーコンサンドのエピソードは良いのだが、けっこうご都合主義かな(´・ω・`) 娘が女優で、土方っぽいオッサンが実業家とか話出来すぎデショー。そりゃぁフィクションデスケドー。

    松本で実際に食べた信州ポークは本当に美味しかったので、ポークソテーシリーズはとっても美味しそうでした。

  • 東京から百合が原高原に移住し、カフェをオープンした女性・奈穂が主人公の6編の連作短編集。
    「融雪」は「和菓子のアンソロジー」で既読だったけど、つながりが分かりほっこり加減もひとしお。
    どのお話も美味しそうな料理のオンパレードで、全部食べてみたくなる。。
    ほろ苦い現実もありつつ、高原の豊かさ・そこで暮らす喜びが感じられ、とても爽やかな読後感。

  • 東京の出版社を辞め、単身で百合が原高原にやって来てカフェをオープンさせた奈穂。ある事情を抱えた奈穂だったが、地元のひとたちに支えられながら、日々を過ごしていく。
    奈穂が百合が原高原に落ち着くまでの1年を描いた日誌のような物語。

    2015年4月21日、電子書籍にて読了。
    柴田さんって、本当に作風が定まらない作家さんですね。もちろん、いい意味で。毎回、新鮮な気持ちで読めます。
    今回は。美味しそうな食べ物と、高原の四季をスパイスにした、心が穏やかになれる物語。
    高原がこれからどうなって行くのか、続編も書けそうだ終わり方。続編、読みたいなぁ。

  • 信州にある高原の元ペンションでカフェを開いた主人公と、そのカフェに集う人々のあれこれ。

    とにかく料理がおいしそうで、お腹がすきます。
    タイトルにあるベーコンサンドは、のどから手が出そうなほど食べてみたい。
    次々に出てくるカフェの料理も、試してみたい気分になりました。
    今、お料理頑張ろう、な気分です。単純。

    主人公奈穂の周りには、優しく素敵な人がたくさん集まってきます。
    それぞれが、目標を持って、好きなことを頑張っている。
    新しい暮らしをしながら、強くなっていく奈穂にも、頑張れるカフェでの毎日が続いていきます。

    図書館で長い間待って借りました。
    次にもたくさんのリクエストが続いているようです。
    たくさんの人に読んでもらえるように、明日すぐに返そうと思います。

    気持ちの優しくなる、とてもいい本でした。

全120件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1959年東京都生まれ。青山学院大学卒。1995年『RIKO――女神の永遠』で第15回横溝正史賞を受賞しデビュー。本格ミステリー、サスペンス、伝奇小説、ファンタジーなど多彩な作風と旺盛な執筆力には定評がある。2013年『激流』(徳間文庫)がベストセラーとなり、NHK「ドラマ10」にてドラマ化された。近年は時代小説も手がける。

「2020年 『求愛 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柴田よしきの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

風のベーコンサンド 高原カフェ日誌を本棚に登録しているひと

ツイートする
×