キャプテンサンダーボルト

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163901947

感想・レビュー・書評

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  • 古本で今でも500円で買い取ってもらえる本が、何故か昨年末に500円で販売されていたので、即購入。

    しばらく読んでいませんでしたが、最近になって一気に読みました。
    白熱のアクションストーリーでワクワクする内容。
    大満足でしたね。

  • どこまでが阿部さんでどこまでが伊坂さんなのかわからない、一体感。

    陰謀モノで、青春すぎたおじさんモノで、家族愛で、謎のワンコも大活躍な、冒険活劇。

    これは読み応えあるに決まってるよねー。というモリモリ感。

  •  2人で執筆ってどんな感じなんだろう?と思っていたのだけど、伊坂先生節がしっかり入っている作品でした。阿部先生の作風がわからないので、ふたりのミックス具合について、わからないのがちょっと淋しい。
     とんでもない設定なんだけど、子供の頃に好きだった戦隊もののレッドが登場してきたり、幻の映画版がでてきたり、なんとなく特撮ヒーローっぽいノリで進んでいってしまう。ロシア人の工作員は無情でハンパない感じなんだけど、あまりにハンパないために、逆にコミカルに思えてしまうほど。追い詰められているのに、緊迫感よりも「どうなっちゃうんだ」感の方が強かった。
     こういう娯楽作品もたまにはいいかも。

  • 「キャプテンサンダーボルト」阿部和重・伊坂幸太郎◆あの日墜落したB29、消されたヒーロー、銀髪の怪人…まだ9回裏の攻撃は終わってない!よく考えると相当物騒な話なのですが、特撮的なワクワク感で溢れています。共作というのも新鮮で、ここは伊坂さんっぽい〜などと考えながら読むのも楽しい。

  • 「常識を疑え!」
    情報(インターネット)を盲信する怖さ。
    個人と国家的巨悪、歴史との対峙。
    テーマは重く絶望的な状況ながら、伏線が細かく張り巡らされ、デフォルメされた登場人物のキャラクターが途中から軽やかに生き生きと動き出す。
    それにしても悪役の、なんと恐ろしく非情で『悪』であることか。
    伊坂幸太郎と阿部和重の共著、どちらがどのように書いたのか分からないほど、馴染んでました。
    面白かった!

  • 若干調子よすぎる展開も含めて伊坂ワールド全開。こういう、泣けて、笑えて、若干荒唐無稽な伊坂ワールドが好きです。

  • 世界を滅ぼそうとする強力な悪人と、平凡な男ふたりが戦って、世界を、人類を救うんです。
    いや、ほんと、そういう小説なんですよ。
    それも、ギャグでもスカシでもなくて、本当に全力投球でそうなんです。まるで、戦隊モノのヒーローのように。
    そして、それが、無茶苦茶面白いんです!

    疾走感、セリフの応酬。
    判りやすい一本線のプロットに、ドライブがかかっていく展開。
    謎、ヒント、絶体絶命。
    強力だけどリアリティのある、難敵。
    国家の陰謀、戦争の負債。

    人生の経済の希望の将来の格差。


    ひとりは、典型的な田舎町のヘタレヤンキー。

    ほぼ無職、30近くでぶらぶら。親不孝。子供からの友達とつるむ。迷惑かける。
    ただ、正義感と反骨心?…そして…ロックな精神だけは溢れるばかり。
    だが、もともと金欠な上に、人助けから更に借金…。負のスパイラル。
    母親にまで悲惨な迷惑をかけて、今月中にまとまった金がないと…。

    ひとりは、地方都市の真面目なサラリーマン。

    実直地味、だが篤実な夫、父親。頭は悪くないし、営業としても腕がある。
    だが、息子が謎のアレルギー。疲弊し、疲労し、憔悴する夫婦。治療費、借金、負のスパイラル。
    息子の病気に借金取り、妻はノイローゼ寸前。今月中にまとまった金がないと…。

    そして、ふたりは少年時代の野球チームのバッテリー、投手と捕手だったんですね。

    しかし、高校時代に取り返しのつかない不幸な事件。
    罪悪感と気まずさ。
    もう、会えなかった。

    そんな、ふたりが、大人になって。
    初めて出会った。偶然。

    止まっていた時間が動き出す。

    「勘違いと誤解から巻き込まれた、謎の国際的陰謀…」
    …と、これだけでも下手をすればどっちらけなんですが。
    そうなりません。

    それは、そんな陰謀と言う事象じゃなくて、そこで襲われて助け合って詰りあって悶え苦しみあうふたりが、ホントに描きたいことだからなんですね。

    (このあたり、例えば映画「ゴールデンスランバー」が、なぜ小説より面白くないのか?というコトだったりする訳です。
    画にできることは、画にできないことのためにあるだけなんですけどね。
    映像化すると、画になっちゃいますから、そっちに流されちゃうんですよね…)


    ふたりとも、

    「子供の頃に、こんな大人になるなんて思っていなかった。こんなはずじゃなかった」

    なんですね。

    「子どもの自分に、合わせる顔が無い」

    なんですね。

    そして、

    「今月中にまとまった金が入らなければ」

    と想像したときの絶望感なんですね。


    だけど。
    相棒がいたから、いるから、乗り越えていける、という。
    実に疑似ホモ的オトコの王道まっしぐらな、圧倒的なハズカシサ、スバラシサ。
    近年最強のバティモノ、相棒もの。何と言ってもアラスジというか設定というか、筋の運びというか、そのゴージャスな豊饒さ。

    主人公の男ふたりが物語に現れてから、一瞬もダレずに、ワクワクドキドキしながらの、ほぼイッキ読み的な素敵な時間でした。

    なんというか、ルパンと次元ががっちりした設定世界で大暴れ、それに絡むは、当然ながら不二子ちゃん…そういうアニメ的な疾走感を、大人向けの小説で実現しちゃってます。
    超絶にエンターテイメント。
    そして、ハッピーエンドが素晴らしいですね。

    その上、「当然、政府は嘘をつく」という、実に強固なロックンロールな土台に打ち込まれた、70年前の戦争の記憶。
    面白いだけじゃなく、ほんとに豊かな小説でした。五つ星。
    (そして…著者ふたりも気にしてたようですが、女子受けはどうなんですかね…こういうのって)


    ※ふたりの合作の経過や雰囲気が、ネット上の対談で読めました。それも面白かったです。
    http://hon.bunshun.jp/articles/-/2856?page=3
    ふたりで村上春樹さんに対抗したい!というのが、なんだかすごく素直で素敵な気がしました(笑)。

  • 阿部和重と伊坂幸太郎の合作という異例の作品。
    合作って一体どうやって書いたんだろう?というのは公式ページに載ってましたが・・ホントにガチの合作なんですね。そんなことできるんだな。
    でも読んでいて「ここは伊坂幸太郎っぽい」とかそんなのはなんとなくわかります。伏線の張り方とか。そして阿部和重っぽい「やたら悪人とダメ人間の描写のうまさ」みたいなのもw

    読んでいて結構ドキドキハラハラして、それでいて読後感もよく実にきれいにまとまった一冊だと思います。まあ合作ということで上記の「それぞれの特徴」みたいなものが若干薄まったような気もしますけど、それぞれの作家さんの本を読み始める入門みたいな感じと思うと非常に適したものかとも思ったり。

  • なんか浅い

  • おもしろかったー!
    ええ、意外に、逆転はあるんです。どんなことにも、思ったよりも。諦めさえしなければ♪
    阿部さんの作品は読んだことないけど、伊坂作品として読んだとしても、まったく違和感なし。
    あまりの違和感のなさに、これ、ホントに交互にとかで書き分けてるのか?と調べてみたら、まったくの合作ということで納得。それにしてもすごい!お二人が書きたくて書き上げた作品とのことで読者冥利に尽きますw
    伊坂さんは震災の後、もう書くのをやめようと思った、というお話しは、想像するだけで泣きたくなる。
    私は、震災のあと、ちょっと本が読めなくて、しばらくして手に取って読んだのが伊坂さんの作品で、伊坂ワールドに浸れて、とても救われたので、伊坂さんが作家を続けていてくれて、この作品を生み出したかったおかげだったのかもと、阿部さんと気が合って、また新しいこの小説にも出会えて、ホントにホントによかったなぁと思いました♪

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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