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Amazon.co.jp ・本 (560ページ) / ISBN・EAN: 9784163901954
作品紹介・あらすじ
大海原を越え、黄金の新大陸へ――小笠原出身の兄弟と男たちの大冒険活劇!
江戸末期の文政年間、小笠原の父島に四人の娘たちが漂流した船で流れ着いた。彼女たちを助けたのはアメリカ人の元捕鯨船乗りであった。やがて彼らは結婚し子宝にも恵まれた――本書の主役となる兄弟、兄・丈二、弟・子温たちの誕生である。鎖国中の日本ゆえ、日本に戻ることはできないが、父島を攘夷駆逐の拠点とすべくやってきた公儀御用達船によって、武器の援助や稲作や醸造技術の伝達なども行われ、丈二と子温はすくすくと育っていく。そして1847年、米国の捕鯨船フランクリン号が寄航し、そこに乗っていたのは若干20歳の日本人・マンジロウであった。著者の山本一力氏のライフワークである大河小説「ジョン・マン」シリーズで描かれていれる偉人との運命的な出逢いによって、兄弟の視線はアメリカへと向けられた。
さて、当時のアメリカへと目を向けると、1848年、ドイツ人農場主サッターの使用人、マーシャルが砂金を発見した。これが後にいうカリフォルニアのゴールドラッシュのはじまりである。砂金の発見を秘匿しようとしたものの、噂は爆発的に広まり、一攫千金を夢見た人々が殺到するようになった。それはアメリカ国内に留まらず、ヨーロッパやアヘン戦争によって開国した清国からの船も西部を目指したのである。彼らに混じり、丈二・子温の兄弟も新大陸での成功を夢見て、航海へと乗り出していく。
まだまだ開拓が十分でない地域に開通したのは、掘り出された金を運搬する駅馬車。さらに丈夫な帆船の布を使ったズボン作り……実際の歴史上の事実とリンクしつつ、山本作品らしい創意工夫する商売人らが登場する一方で、巨大な富につけこむ者たちが登場する。特にサントス一味は銀行強盗を襲い、罪なき人々さえも手にかける極悪人集団。用心深く卑怯な手段も辞さない奴らとの死闘の行方はいかに!?
みんなの感想まとめ
冒険と復讐が交錯する歴史小説であり、兄弟の成長と新大陸への挑戦が描かれています。物語は小笠原からの移民二世、丈二と子温の視点を通じて、江戸末期の日本とアメリカの歴史的背景を巧みに織り交ぜながら進行しま...
感想・レビュー・書評
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長い割にスケールが、と思ったら文春連載か
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長いなぁ!と思いつつもそこは一力さんだからと信頼して読んで行くわけだが…600ページ近くも読んで残ったのが「桑港」の意味だけとは。
ペーパーバック調の想定と雰囲気ある表紙イラスト、そしてこのタイトルときたら否が応でも期待が膨らむのだが小笠原移民二世の兄弟の冒険物語と思い込んで読み進めるもストーリーはあれよあれよと違う展開に。
鯨油ラッシュからゴールドラッシュへエルドラドは海から陸へと変遷しただけにとどまらずメインは西部劇ばりの復習劇とてんこ盛りの内容に食傷気味は否めなかった。
冒頭のコンセプトのままで読みたかった、残念 -
2017.06.04
久々の山本一力さんの本。ジョンマンと被るけど、同じ時代を生きた人として面白かったわ。 -
これってジョンマンの取材のなかから、追加に書かれたのかなぁ。後半復讐場面がメインになってくるが、前半の冒険物語からの流れにちょっと違和感を感じた。
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一力さんの作品は読後の爽快感がたまらない!
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旅をする少年の成長譚に加え、それを見守る大人たちと悪者という、十五少年漂流記以来の冒険小説の王道の設定と期待を裏切らない展開なのだが、やや素直過ぎる感あり。
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江戸末期、小笠原出身の兄弟の夢とロマンの冒険活劇。著者らしいノリとテンポでページをめくる手が止まりません。あの「ジョン・マン」が重要な役どころで登場しているのには思わずニヤリとさせられました。
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続編が読みたいと思った。
江戸時代末期、小笠原に移り住んだ元米国人捕鯨船員と、駿河から漂着した女性の間に生まれた兄弟が、ゴールドラッシュに沸く桑港(サンフランシスコ)に渡り、成長してゆく物語。
海、冒険、貿易、金、開拓、大陸横断鉄道、ならず者、ガンマン、そして正義の復讐劇といろいろなエピソードがテンポよく繰り広げられ、わりと厚い本なのに一気に読んでしまいます。
そして、なお、続編が読みたい、この、兄弟はどうなるのか?そして、ジョン・マンはどうなっているのか?桑港の発展と登場人物たちの将来がとっても気になる。 -
☆4つ
先に『蒼龍』を読んだ時に思った事だけれど、一力さんは文章を出来るだけ短いセンテンスで切って書いていく手法を多用するみたいだ。これはまあ大体の場合は読みやすさに繋がっていく。
おそらく沢山の人が読書感想文に書くのだろうけれどわたしも書く。
巻頭で「桑港」と書いてなぜ「サンフランシスコ」と読むのかの解説があった。これは大変気になってしまって=覚えられたみたいです。
この歳で新しいことをしばらくは覚えていられそうで嬉しいことです。
まあ、もっとも忘れてもそれが判らないのだけれどね。すまぬ。
読み応えがあって面白い。史実にも触れていて教養が深まった気になる。
先に読んだ『札幌アンダーソング』小路幸也 はとても読みやすく面白かったので概ね一晩で読了した。
が、この『桑港特急』は一晩読んでも100Page(1冊の1/4程度)しか読み進めていない。この事=本によってPageあたりの字数に大きな、とてつもなく大きな違いがあるということは事実。
本は「読む」という事が主な目的だとは思うが、それ以外の全体の見た目とか、手で持った時の質感などというのも「売るため」には結構重要なことである。
そういう意味で前出の「小路幸也」は◎なのだろう。いや「桑港特急」だって立派な○なのでわあるが。すまぬ。 -
いつもの山本さんの作品とは異なる時代背景。エンタテインメント色が濃い。
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2015年1月刊。初出は週間文春2013年6月6日号〜2014年8月7日号。不思議なタイトルだと思っていましたが、お話の中に出てくるサンフランシスコと読ませる当て字なんですね。なんだ。グダグダな構成の内容で、とても読み辛かったです。がっかりです。
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桑港特急 山本一力著 若き兄弟の冒険と成長 爽快に
2015/3/1付日本経済新聞 朝刊
山本一力の新作は、平和な父島と、ゴールド・ラッシュに湧くアメリカを主な舞台に、日本人の若き兄弟の冒険と成長を描いた、爽快な物語である。従来の山本作品を知る人には、異色作に見えるかもしれない。だが、読んでいるうちに違和感はなくなっていく。いつものように、人の心を細やかに描きながら、多数の登場人物を躍動させているのだから。
江戸末期の文政年間、小笠原の父島に漂着した日本人女性のみすずは、アメリカ人の元航海士ジム・ガーナーと結ばれた。そのふたりの間に生まれた、丈二と子温の兄弟は、楽園のような父島で、すくすくと成長する。だが、数奇な運命からアメリカの捕鯨船に乗り込んでいた日本人ジョン・マンジロウと出会ったことで、外の世界に憧れるようになる。
しかし、彼らの目指した新天地は、ゴールド・ラッシュで、騒然としていた。アメリカへの事業進出を考えている中国人チャンタオの配下のルーパンが開いた、桑港(サンフランシスコ)の洋品店で働き始めた兄弟は、創意工夫と誠実な仕事で、周囲に認められていく。ところが、そこに殺された妻の仇(かたき)を狙う腕利きガンマンのリバティ・ジョーが現れたことで、彼らは大きな騒動に巻き込まれていくのだった。
未知の世界に憧れ、そこに踏み出していくのは、いつの時代にも変わらぬ、若者の特権である。心を躍らせながらアメリカに向かう丈二と子温の姿は、若い読者には共感を、年配の読者には郷愁を呼び起こすであろう。
しかも彼らが関係することになる、リバティ・ジョーの復讐(ふくしゅう)劇が痛快だ。元賞金稼ぎのジョーは、悪逆無道な仇に滾(たぎ)るような憎しみを抱きながら、冷徹に策を練り、必勝のフィールドを作り出す。クライマックスの激しい争闘は、西部劇そのもの。映画を観(み)ているかのように、ありありと場面が浮かび上がってくるのである。
さらに、壮絶な戦いを見聞した果てに、兄弟がたどり着く境地も見逃せない。幾つもの生々しい現実により、世の中の良い面と悪い面を知ったふたりは、あらためて父島を楽園にした父母に思いを馳(は)せ、その凄(すご)さを実感するのだ。地道な営為の積み重ねこそが偉大である。言葉にしてしまえば、よくある人生訓だろう。でも、波瀾(はらん)万丈の物語を経たからこそ、前半で丁寧に綴(つづ)られてきた、父島の描写が光彩を放つ。ここに作者の小説が持つ、何物にも代えがたい力が、表現されているのだ。
(文芸春秋・1650円)
やまもと・いちりき 48年高知県生まれ。作家。著書に『あかね空』(直木賞)など。
《評》文芸評論家 細谷 正充 -
【大海原を越え、黄金の新大陸に轟く大冒険活劇!】小笠原生まれの兄弟が一攫千金を夢見て向かったのは、ゴールドラッシュに沸く西海岸。新天地で待ち受けるのは大悪党との対決だった!
著者プロフィール
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