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Amazon.co.jp ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784163901992
作品紹介・あらすじ
「どれだけ読んでもOkcal!!」
シュールで最悪の状況を暴走するブラックユーモアの数々。
『暗くて静かでロックな娘』から2年ぶりとなる待望の小説集がついに刊行。
「うでがでぶか」。借金まみれの俺は、わけのわからぬまま、“デブ”を、黄色いスパイダーに乗せて北へ向かった……表題作の「デブを捨てに」をはじめ、〈シュール〉な設定、乾いた〈ユーモア〉と、エッジの効いた〈表現〉で、〈最悪の状況〉に巻き込まれた男たちを、独特のスピード感あふれる文体で、泥沼のような日常を疾走するように描く。
どこへ行くのかわからないスリルをあなたにお届けする、全四編の平山夢明〈最悪劇場〉。これぞ、小説表現の極北を目指す著者の真骨頂。
「まあ、大変、買わなくちゃだわ」
・他の収録作
「いんちき小僧」腹が減って腹が減ってしかたのない俺は、コンビニでキャラメルひと箱をくすねるが、店の女に捕まった。女は、警察には突き出さず公園に連れて行くと、一発ぶん殴ったら許してやると言う。やがて、その様子を見ていた男から奇妙な提案をされる……。
「マミーボコボコ」捨てた娘から三十五年ぶりに手紙をもらったおっさんに頼まれて、ついて行った先は、娘が嫁いだ大家族の家。そこでは、"ビックパヒー"なる父親以下、大家族の密着テレビ番組が収録中で……。
「顔が不自由で素敵な売女」行きつけのバー「でべそ」で酎ハイ二杯を飲んで、いい気分になった俺は、公衆便所のような臭いのするヘルスの個室で、ハラミという夏の日のコーラフロートのような頭のブスに、とびきりのサービスを受けていた。
「デブを捨てに」借金の返済期限が来たが、金を返せなかった俺は、事務所につけていかれボコボコに締め上げられたあげく、「腕とデブ、どっちがいい」か選ばされる。俺は、よくわからず「デブ」のほうを選ぶが……。
みんなの感想まとめ
シュールな設定とブラックユーモアが織り交ぜられた短編小説集は、最悪の状況に巻き込まれた登場人物たちを独特のスピード感で描き出しています。各作品は、借金や人間関係のもつれなど、現実の厳しさを背景にしなが...
感想・レビュー・書評
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久しぶりの平山作品。タイトルから表紙のポップさから楽しみになってくる。
「いんちき小僧」金が無くあまりの空腹で、キャラメルを盗んだ男と知り合った、親子。
父親のジュンイチローと、12歳の息子キチザに誘われて始めた偽ヤクの売人の仕事。それがバレた時に...。「嘘でも良い、嘘でも良いんだ!ぼくは」ジュンイチローとの親子ごっこを辞めたキチザの言葉が切なかった。
「マミーボゴボゴ」生き別れた娘からきた、手紙をきっかけに再会すると、娘は子沢山の大家族になっていた。何となくモデルになっている大家族は...と考えとしまった。
「顔が不自由で素敵な売女」ヤク中の彼氏に尽くす為に売女を生業にするチョチョミ。
マンキューの店で働く俺と、三人は次第に仲良くなる。ある日ウチダという人物が来てから、マンキューは壊れて行った。
チョチョミが良い女過ぎて泣けてくる。
「デブを捨てに」一年前に腕を折られた俺は、一年後にまた同じ場所を折られる場面に出くわす。
「デブか腕か」選べと言われて選んだデブ。
車に乗り約束の場所へデブを捨てに行くまでが仕事だったが...。
いつもの平山作品にしては、グロと暴力は少なめだったが、1短編を読み終わる頃には、登場人物の誰かを好きになる。
冒頭、嫌悪感さえあったデブも、終盤はいとおしくて仕方なく、何とも言えない中毒性のある話だった。
森に消えた彼女には幸せになって欲しい!
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ホントに全くこの人は…(好き)
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タイトルといい、カバーデザインといい、一目で強烈な印象を残す最新短篇集。洋書のペーパーバックを模した製本もカッコイイ。
収録作品は、広い意味ではホラー小説なのだろうが、化け物のたぐいはまったく出てこない。ただ、どの作品の登場人物も人間としてのタガが外れていて、化け物じみているのだ。
下品さ、グロさは、相変わらず日本最高クラス。ただし、その下品とグロは突き抜けたユーモアに昇華されており、けっして不快ではない。むしろ、時に爽快ですらある(読者を選ぶ作家であり、生理的に受け付けない人も多いだろうが)。
また、下品でグロなのに、読み終えたあとに不思議な寂寥感、哀切さが胸に残るのも、平山作品の特徴である。本書所収の4編もしかり。
4編のうちでは、「痛快! ビッグダディ」のどす黒いパロディ「マミーボコボコ」が、いちばん面白かった(出てくる番組の名前が「痛恨! ジャンボぱぴー」w)。
「ビッグダディ」的な大家族ドキュメンタリーをネタにブラックコメディを書く……というところまでは並の作家にも思いつくだろうが、ここまで荒涼とした作品に仕上げられるのは平山夢明だけだろう。
独創的なぶっ飛んだ言語感覚も、相変わらず冴え渡っている。たとえば――。
《男は全て一気に呷った。丁度、喉の奥にキャッチャーが居れば、こんな感じに投げ込むんだぜという飲みっぷりだった。(「顔が不自由で素敵な売女」)》
ほかの誰がこんな表現を思いつくだろう。 -
いつも通りのダーティな短編集。ヤベー奴の描写が狂ってて好き。とりわけ表題作は読後感も含めて最高。ヤクザから「腕かデブを選べ」と訊かれ、よく分からずにデブを選択した男の話。デブの規格外の嘔吐には嫌気が差したが、徐々に愛着が湧いてしまった。デブかわいいよデブ。
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キャッチーで読みやすい地獄。こんなに鮮やかに「嫌な感じ」をエンタメとして読ませる人もなかなかいない。
『おれはクリスマスの靴下の中に〈参考書〉を発見したような顔になり』(p9)
『厭なことがあった顔だった。他人の鼻血で真っ赤になったおにぎりを喰わされたらこんな顔になるのかもしれない。』(p99)
などが特にお気に入りフレーズ。 -
「デブを捨てに」
果たして読み切れるか。
果たして読み切れるだろうか。残りの平山夢明を。ホラー作品は得意ではないが、偏りを無くす目的の一環として手にとるようにしている。そして、ホラージャンルにもこの人の作品は全部読む!と最大目標を立てようかと思っているのだが、果たして平山夢明の作品とした場合、読み切れるか。
氏曰く、ありふれた話は書かないようにしていることと読者が読む前と読んだ後で心情が変化するような作品を書くことが念頭に置いているらしいが、見事に具現化されている。ホラージャンルの枠組の中でも間違いなくありふれた話じゃないし、読んだ後で心境は変化する。クセが凄い。次の平山作品を読むにはインターバルを要するクセ。だから残りを読み切れるか不安だ。
クセの強い本作には「いんちき小僧」「マミーボコボコ」「顔が不自由で素敵な売女」「デブを捨てに」の4篇が収録されている。表題を除けば、皆後味が良いとは言えない。序盤からどんよりとした絶望感だったり残酷さだったり、じとっとしたネガティヴが漂う。
唯一表題は平山夢明新たな切口なのだろうか。この手が苦手な人にも勧めることが出来る。とは言え、ところどころ(実質ほぼずっと)暴力性・残虐性があるストーリーで、根本的なものは解決していないし、デブは山に消えていくし、出てくるキャラも粗暴だから、微妙なラインではあるが。
しかし、そこを我慢すると、半ば辺りからコメディぽさやほろり寄りな展開になっていく。自分が捨てられるのを理解しながらそれは嬉しいと言うデブが、1人の少女を助け、主人公との友情?愛?が生まれちゃう。こんなちょいラブ要素は平山作品では珍しい気がする。
とはいえ、表題だけでじゃあ平山作品の残りを読もう!とポジティブになるのではない。当然、本作よりどえらいのが沢山あるわけで、ホラージャンルは平山夢明を軸に読み進めるかは要検討となる。そう、読み切れるか不安なのです。 -
タイトルと見た目が面白くて手が伸びた。さくさく読める短編集。貧しくて綺麗!みたいなフィクションは、貧しさを消費させるポルノ作っとけばウケるだろって魂胆がいけ好かない。一方、貧しさ自体の扱われ方は軽くて、面白いフィクションはだいぶ好きだなと気付かされた。好きな作家さんかも。いんちき小僧は、悲観と悲哀の反対で生きて終わる孤高小僧が出てくる話。マミーボコボコは、貧乏大家族をdisってくれる話。顔が不自由で素敵な売女も悲惨で明るくて、私にとっては読了感が爽やかなお話。デブを捨てには文字通り。2,3が特に好きかな。
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陰惨でグロくて、気分が悪くなることうけあいの平山作品の中では読みやすい方でしょうか。
人間のクズ達の中で、きらりと光るピュアさがいい。姥捨て山ならぬデブ捨ての表題作は
罵詈雑言と汚いモノにまみれ読み進め、あら不思議、最後にはほっこりしちゃいます。笑 -
ドン底なのにユーモアと微かな希望があった。醜く不気味に思えていたデブが気がつけば愛おしい。
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破格の税込1000円で登場した、平山夢明さんの新刊である。売る気がまったく感じられない、ペーパーバックの装丁。らしいといえばらしいが…。
「いんちき小僧」。薬の売人を手伝うことになった男。だが、薬の中身とは…。親子って何だろうと考えさせられる事件が多い昨今。君はそれでも本望なのか。意味はよくわからないが、「なんくるないさあ」の不穏な響きがやたらと印象に残る…。
「マミーボコボコ」。マミーポコというオムツの商品名を思い出すが、関係ありません。平山夢明版ビッグ・ダディと言ったら怒られるだろうか。キラキラネームならまだましだぜ。局側もビッグ・ダディ側も、持ちつ持たれつだったんだろうねえ。
「顔が不自由で素敵な売女」。タイトルからしてちっとも素敵じゃねえ。行きつけの店にあの客が現れてから、店主は変わってしまった。客の正体は…。客の気持ちは正直わかる。そして結末も救いがねえ。でも、何だかほっこりした話じゃないか(どこが)。
表題作でやや長い「デブを捨てに」。これまた酷いタイトル。借金を返せない男が命じられたのは、タイトル通りデブを捨ててくることだった。運命を承知しているデブが健気じゃないか。クソのようなラーメン店での頑張りは泣けてくるぜ。
でも、和菓子屋の店名の方がもっと酷え。デブの身の上話はさらに泣けてくるぜ。最後の最後の大勝負は手に汗握ったぜ。デブデブ書いてあって不愉快かもしれないが、すみません、そういう話なんです。2人ともいいことあるといいね。
以上、装丁通りにクソでF◯◯Kな平山節全4編。今回はどこか切ない路線でまとめてきたか。ただし、本作に切なさを感じるのは平山フリークだけだろう。安いからって一般読者が手を出すのはお勧めできない。読んでふざけんなと思っても知りません。
昨年は新刊が出なかっただけに、新刊を安く読めたのは嬉しい反面、複雑でもある。ご本人の意向かもしれないが、ファンとしては正当な対価を払いたい気がする。 -
思っていた以上の面白さ。ブラックユーモア、と言ってしまえばそうかもしれないが、それ以上の哀愁と仄暗さと全体を通しての吐き捨てるような笑い。突拍子もない設定のようでいて、いつの間にか自分ごとのように身につまされる思いがするのはなぜだろうか。
読み応えがあった。 -
面白かった。
グロいんだけれど、哀しみや優しさがあるから、なかなか好き。デブをすてに が一番いいかな。 -
最後の話は割と好き。
でもグロテスクな描写があって読んでてムカムカというか、割と苦手やなって思った。 -
なんかたぶん衝撃のあまりに記録するのを忘れてた。
「でぶかうでか」の選択を迫られた主人公がでぶを選んだ結果、でぶ女を捨てにいくはめになる話ほか。 -
宮部みゆきさんが新刊を待ち望む作家だと知り、挑戦。 ずるい。なんだいい話じゃないか。最後がかっこよすぎてすごく良い。言葉の選択が巧みなのかな。やみつきになる作家さんです。
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口は悪いが情のある主人公に、愛嬌のある変人たち。
そんなキャラクターが出てくるいつもの平山さん、という感じ。
グロ描写はかなりおとなしめ。
どの話も最後は救いがあるようでない、ないようである。
そんな終わり方も含めいつもの平山さんで、私は好き。 -
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