ナイルパーチの女子会

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902296

作品紹介・あらすじ

丸の内の大手商社に勤めるやり手のキャリアウーマン・志村栄利子(30歳)。実家から早朝出勤をし、日々ハードな仕事に勤しむ彼女の密やかな楽しみは、同い年の人気主婦ブログ『おひょうのダメ奥さん日記』を読むこと。決して焦らない「おひょう」独特の価値観と切り口で記される文章に、栄利子は癒されるのだ。その「おひょう」こと丸尾翔子は、スーパーの店長の夫と二人で気ままに暮らしているが、実は家族を捨て出て行った母親と、実家で傲慢なほど「自分からは何もしない」でいる父親について深い屈託を抱えていた。 偶然にも近所に住んでいた栄利子と翔子はある日カフェで出会う。同性の友達がいないという共通のコンプレックスもあって、二人は急速に親しくなってゆく。ブロガーと愛読者……そこから理想の友人関係が始まるように互いに思えたが、翔子が数日間ブログの更新をしなかったことが原因で、二人の関係は思わぬ方向へ進んでゆく……。

感想・レビュー・書評

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  • 読み終わるまでに、何故だか時間が、かかった。
    友達って、なに?
    栄利子(ナイルパーチ)に食いつくされる圭子、翔子。
    でも栄利子を食い潰し脅かす新種も出てくる。
    世の中、弱肉強食。会社の人間関係のどろどろや友人間のどろどろが、生々しく描かれている。
    栄利子の極端な考え方が、強烈だったけど、同じ立場になって追い詰められたら、どうなるだろう。
    友達にこだわるけど、歌みたいに友達百人できるかなって、できるわけないんだから。
    苦手なことはしなくていい。
    友達付き合いがストレスなら、いなくてもいいんでないと思うけど、少し寂しさも感じるのでした。
    自分次第かな。
    みんな、それぞれ着地点をみつけられていて、ほっとして読み終えられたのは、良かった。
    怖いもの見たさというか、続編が読みたい。
    杉下くんは、どうなったんだろう

  • 大好きな柚木麻子さんの作品のなかでは、
    読むのに一番時間がかかってしまった。
    だいぶ前に読んだ『終点のあの子』が、たしかこんな感じのカラーだったと…

    人との距離感の取り方。
    本当に難しい…。

    最近特に考える機会が多いです。
    それは家族とだったり、友人とだったり、様々。

    子供のころはそんなこと考えずにいられた。
    友達は一緒にいて楽しければそれでいいし、
    家族は、近くて当たり前みたいな…。

    こういった女子物語、「うわっ、自分もこんなとこある!」って、
    多少の自戒をしつつ読むのですが…。

    「女同士ってここまで面倒で怖いのよ~」って、
    キャラが濃すぎて、少し引き気味。

    芋けんぴのくだりが衝撃的で、
    お菓子売り場で、思わず見入ってしまいました(笑)

    • koshoujiさん
      こんにちは。
      >最後のお写真は、koshoujiさんなんですよね?
      やっぱり賢そうな中学生でしたね(*^-^*)

      ははは、可愛いで...
      こんにちは。
      >最後のお写真は、koshoujiさんなんですよね?
      やっぱり賢そうな中学生でしたね(*^-^*)

      ははは、可愛いでしょ。
      歌い終わった瞬間に、あの中学生(笑)に、“ぺこり”と頭を下げる加工をしたかったのですが、
      さすがに、その一コマを作るのに軽く6時間以上はかかりそうだったので止めました。
      そんな映像になったら大受けするよなあ、と思ったのですが・・・・・。無念。

      >それでね、いいね!押したんですよ。
      でもログインしてくださいって…
      ブクログと同じく会員登録しないとダメなんでしょうか。

      そうそう、考えたら、あれも会員登録しないと評価できないんですよね。
      お手数かけました。申し訳ない。<(_ _)>

      でも、いつだって心でいいね!押してますから(*^-^*)

      心の中で“いいね!”・・・・・・。(涙)ありがとうございます。
      今後ともよろしく。(^^)/

      近々、“男女共学の是々非々の観点から、朝井リョウと柚木麻子の小説の奥深さの違いを考察する。”
      という長ったらしいタイトルをつけて、
      この「ナイルバーチの女子会」のレビューを絡め、
      二人の作品の違いについての所見を書く予定です。
      というか、もう半分以上書き上げているのですが。
      是非、お読みいただければありがたく。<(_ _)>
      2015/10/28
  • 若い女性が友人との葛藤がもとで破綻していく話。
    ナイルパーチとは食用できる淡水魚だが、生態系を壊してしまうほどの凶暴性があるという。

    志村栄利子は、父も勤めていた大手の商社で働く30歳。
    完全主義でいつもきちんとしているキャリアウーマンだが、実はいっぱいいっぱいで、友達がいないのを苦にしていました。
    そんな栄利子がはまったのが、ゆるい主婦ブログ「おひょうのダメ奥さん日記」。
    「おひょう」こと丸尾翔子が近所に住んでいて、偶然に出会った栄利子は、親友になれると思い込む。
    ところが‥

    翔子は、一見すると気楽な雰囲気を持つ、付き合いやすそうな女性。
    実は田舎の家族とくに身勝手な父親から逃れるように上京してきて、やはり友達はいない。
    ブロガーとして、人気が出るのだが‥?
    栄利子のほうは都会の裕福な家庭で両親に大事に育てられたのだが、そこにも実はわかりにくい歪みがあった。
    子供の頃は、仲のいい幼馴染もいたのだが‥
    おひょうの態度の変化を理解出来ず、大量のメールで報われない思いをぶつける栄利子。
    「わかってくれるまで止めるつもりはない」という考えはストーカーそのものでは。
    なるほど、こんなふうに考えるのか‥

    真織という派遣の若い女が、「友達がいる」という意味では普通の女性として登場するのだが、実は彼女が一番怖い。
    これはないんじゃない‥?という出来事で、他が吹っ飛ぶぐらい。
    いや、あの‥友達を大事にしているって、どんな友達付き合いをしているわけ?
    もしかして、これぞナイルパーチ?(笑)

    栄利子はそつのない人生を送りそうな女性だったのに、どんどん壊れていく。
    途中でいったん、読むのを止めたほどですよ。
    だがその体当たりの様子のために、後で二人の人物に謝ってもらえるシーンがあり、それは人生の真実を含んでいる印象。
    このあたりを読むために、一読の価値ありと思います。
    こじれた人間関係は、どこにでも起こりうるものだから。
    生々しい迫力のある小説でした☆

  • 久しぶりに、さされた、えぐられた。

    読書ノートを記入しなければ
    レビューを書かなければと思っても、
    本を再び開くことが怖くて、何日かおいてしまったぐらい。

    気が合って、これからも長く長く友達でいたい。
    そう思った友人を、私の失態で疎遠にしてしまった経験が何度かある。

    エリートの栄利子から、人気ブロガーの翔子から、
    派遣社員の真織から、
    そうなった理由が突きつけられた。
    目をそらそうとしたけれど、何度も何度も。

    時に空気が読めなくなる私は
    相手の中に入って気持ちを100%わかりたいと思っていたが
    友人関係とはそういうことではないんだと。

    私が思い悩むように、私の友人たちも思い悩みながら
    友人関係が途切れないよう、距離を測って守ってくれていたんだなと改めて思った。

    感謝の気持ちと懺悔の気持ちで
    胸がいっぱいになってしまった一冊です。

    痛烈な言葉が多かったですが、
    痛かった言葉も頑張ってノートに書き留めました。
    同性の友達は、やはり、私にとってとても大切ですから。

  • 重い話、そして、心を抉る話。栄利子と自分を重ねてしまった。もちろん100%ではないが、多かれ少なかれ栄利子や翔子のような気持ちが心のどこかにあるのではないだろうか。
    もし、こんな人理解出来ないわという人がいるならば、羨ましいと思う。

  • 柚木麻子さんの本、つづけて二冊読みました。
    1~2年新しいこちらの本のほうがはるかに面白かったです。

    さて、私は子供のころからしばしば好きな(憧れの)同性がいました。
    今もいます。

    でもとても栄利子にようにはなれないです。
    シャイで緊張してしまい、うまく話せませんし。
    メールなら全然平気なんですが。

    そんな私は、彼女たちにどう見えているでしょう。

    私と違って積極的に行動する人、たとえば家の前で待っているとか、少ない時間内に大量メールを立て続けに送るとか…は、同性でもストーカーと思われてしまうこともあるそうです。

    もっとも「あまり深入りはしないほうが良い関係を続けられるんじゃないかな?」というのがこの本を読んでの率直な感想です。

  • ナイルパーチとは…。
    淡白な味で知られる食用の淡水魚だが、
    一つの生態系を壊してしまうほどの凶暴性も持つ。要注意外来生物。

    国内最大手の商社に勤める。志村栄利子30歳。
    常に結論を求めたがり、何事も先取りするのが好き。
    実家から早朝出勤をし、日々ハードな仕事に勤しむ。
    栄利子は人気主婦ブログ「おひょうのダメ奥さん日記」に嵌っている。
    「おひょう」こと丸尾翔子は、スーパーの店長の夫と二人で気ままに暮らしている。
    偶然にも近所に住んでいた栄利子と翔子は行きつけのカフェで偶然出会う。
    最初は仲良くなれそうなふたりだったが、翔子が数日間ブログを更新しなかった
    事が原因で二人の関係は思わぬ方向に進んでゆく…。


    翔子がブログを数日更新しないだけで、大量のメールを送り付け
    家にまで押しかける。
    栄利子の異常な行動にびっくり…。
    栄利子の翔子に対するストーカーはエスカレート
    栄利子自身の日常生活が破綻する程…。
    幼馴染・圭子との過去…。
    栄利子異常だよ~怖い!怖い!怖い!
    栄利子と同じ商社に勤める派遣社員・真織の豹変ぶり…。
    本性を現した姿も、とっても怖かった。
    怖い女だらけで震えました。

    同性の親友がいない事のコンプレックス
    同性の親友が欲しい!欲しい!欲しい!
    他人との距離の取り方が苦手ってレベルじゃない…。
    自分の行動や言動が相手にどう思われるか考える事すら出来ない。
    人の思いを感じ取る事の出来ない人間の
    自分が正しいと思う身勝手さがエスカレートして
    凶暴性を発揮した時、何と怖ろしいのか…。
    女性なら誰しも、他人との距離の取り方が難しいって感じた事があるはず。
    私も、これまで幾度となく感じて来た。
    だから、ほんの少しわかる部分もある。
    でも、この本に登場する女性達は本当に怖い。
    ラストは二人がそれぞれの新たな道を見付けられたようで良かった。

    「女同士に限らず、人間関係って一色じゃない。
    色々なものを含みながら、変化しながら続いていくもの。
    清濁併せ呑む。点数なんてつけられないし、百点満点の
    友情なんてどこの世界にもない」
    圭子の言葉にはうなづけた!

    読むのがとっても苦しかった…。
    登場人物誰にも共感は出来なかった。
    でも、友達を上手く作る事が出来ない痛い女性の話ばかりでなく
    夫婦・同僚・親子等それぞれの関係を築く事の難しさも描いてる。
    好きな作品では無かったけど…凄い作品だと思った。

  • 私が著者の作品で今までに読んでいたのは「早稲女、女、男」と「ランチのアッコちゃん」だけで、それらにはあまり好印象を持っていなかった。
    本作を読んで、「この方、急にもの凄く上手くなった!読んだ2作品と全然違う!」と(上から目線で大変申し訳ないが)そんな風に思ったが、どうやら他の方々のレビューを拝見すると、これは「黒柚木」さんというらしい。

    またも実家の親ときょうだいに当てはまる小説に出くわしてしまった。

    本作は女同士のこじれっぷりやら面倒くささやらの特徴を書いた作品という扱いを受けているし、著者ご本人にすら、どうやらそういう認識しか無さそうである。
    しかしこれはどう考えても、ある種の頭のネジがおかしな人間の特徴をよくとらえた作品だと私には思える。
    圭子が指摘したり翔子が分析したりした、栄利子の異常な言動や思考回路、本人は全く気付いていないが他者を追い詰める行為などなどが、その種の人のそれに一致するからである。
    著者はそのことについてもよく調べたのだろうなあと感心したのだが、巻末の参考文献にその手の物は無かった。

    本作では登場人物たちが、自分たちの異常さに(最後になって)気付いているので救いがあるが、本当はこの手の輩は絶対にそんな風に気付いたり改心したりしない。

  • ちょっと性格に難があり、女友達がいない栄利子。
    翔子のブログに惹かれ、この人となら友達になれそう。と思って近づくのですが……。

    栄利子と翔子目線で物語は進んでいくのですが、前半は栄利子の翔子へのストーカーのような行為がどんどんとエスカレートしていき、もう怖いという言葉以外なく。

    私も女子会する友達はいないけれど、どこかのタイミングで交流を持ち、会ったらお互いのことを気にしつつ挨拶する人はいるわけで。

    生活も変化していく中で、友達のあり方や接し方も変わるわけで。それを言いたかったのかなぁと思いつつ。

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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