ヌエのいた家

  • 文藝春秋 (2015年5月29日発売)
2.54
  • (0)
  • (2)
  • (4)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 63
感想 : 6
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (128ページ) / ISBN・EAN: 9784163902333

作品紹介・あらすじ

父は惨めに死にゆく。息子はそれでも許そうとはしない



主人公はどこか箍がはずれた性格の元職人の父親を憎み軽蔑する。父は惨めに死にゆくのだった。その憎しみの元を回想の中に探っていくと、父の姿には愛すべきところもあった。人間の負の部分を徹底した筆致で描いて、複雑な感動を呼ぶ私小説の傑作。

みんなの感想まとめ

人間の心の複雑さと家族の絆を深く掘り下げた作品で、父親への憎しみと愛情が交錯する物語が描かれています。主人公は、軽蔑しながらも父の存在を無視できず、回想を通じてその関係性の深さに気づいていきます。父の...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  
    ── 小谷野 敦《ヌエのいた家 20140900 文學界 20150529 文藝春秋》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4163902333
     
    …… 語り手とヌエと呼ばれる「父親」の関係がいまひとつ明瞭な像を
    結ばず、その捉えにくさを魅力と感じる読み方は残念ながらできなかった。
    ── 奥 泉光《芥川賞選評 第152回候補》
    http://prizesworld.com/akutagawa/senpyo/senpyo152.htm
     
    …… ぬえ(鵺、鵼、恠鳥、夜鳥、奴延鳥)は、日本で伝承される妖怪
    あるいは物の怪である(略)転じて、掴みどころがなく、立ち回りは巧
    みだが得体の知れない人物を喩える際に使われる(Wikipedia)。
     
    …… 独特の用語、独特の言いまわしは、一見ヌエ的に見えるヤマギシ
    を解いていく鍵になる。
    ── 富田 倫生《ヌエのような男 20091005 自分戦略研究所》
     
    …… 車谷 長吉氏といえば「私小説」。その氏が「凡庸な私小説作家
    廃業宣言」を発表されたのは10年ほど前のこと。とはいえ「私小説」
    がそもそもヌエのようなもので、作家が自分の人生の真実をあからさま
    に書く、その程度の定義しかないのであるから、氏の「私小説作家廃業」
    なるものも、これからは人様にご迷惑はかけません、というお詫びの言葉
    と解するべきであって、骨がらみ私小説作家でいらした氏が、それを
    廃業することは出来ない相談であった。
    ── 鈴村 和成《修羅の人生を書いた奇ッ怪な人物》
    https://www.sankei.com/life/news/150527/lif1505270009-n2.html
     
    ── ヌエ(鵺)のようなヘーゲル 20170609 07:40:57 穴村 久の書評。
    https://blog.goo.ne.jp/speakl0wh1thard/e/474840858bc67599b859d4df23c83538
     
    …… 来年のNHK大河ドラマの主人公・新島八重のことを考える上で、
    当時学生だった若き徳富蘇峰の辛辣な悪口を無視することはできそうも
    ありません。有名な「鵺」という八重のあだ名は、この蘇峰が進上した
    ものでした。
    …… 新島 襄先生夫人の風采が、日本ともつかず、西洋ともつかず、
    いはゆる鵺(ぬえ)のごとき形をなしてをり、かつ我々が敬愛してゐる
    先生に対して、我々の眼前に於て、余りになれなれしきことをして、
    これも亦癪にさはった。── 《蘇峰自伝》
    …… 最初に悪口を言った蘇峰こそは、最終的にもっともよき八重の
    理解者となっていたことを忘れてはなりません。── 吉海 直人
    《鵺(ぬえ)」のような女 20130228》(日本語日本文学科 教授)
    http://www.dwc.doshisha.ac.jp/yae/column/130228.html
     
    (20181121)
     

  •  世の中には父と息子の折り合いが悪いことはよくある。たとえば松本人志も父親と対立することが多かったそうだが、亡くなった時は「むちゃくちゃな親父だったが、思っていたより(精神的に)来やがるな」と語っていた。松本も相当な変わり者だが、この点に関してはまともな感覚を持っている。
     翻って、小谷野氏はどうだろう。(子が親を憎むよくあるパターンである)子ども・青年時代に暴行・暴言を受けたわけではない。ヌエの悪行といえば老年になってから妻に暴言を吐いたといった程度。勿論悪いことには違いないが、暴力を振るったわけでもなく、人間老いの恐怖から近しい者に暴言を吐くことはある。息子もいい大人なんだから、できる限りで親父の恐怖を取り除くなどして、両親のためになるように働きかけるべきではないか。老人ホームに入れるという選択肢は正しかったと思うが、何故こんなことで父親を憎むのだろう。
     あと父親が大学に入っていないから尊敬できないとか言い出した時は、この東大卒の学者先生はどういう思考回路をしえいるのだろうかと思った。
     ヌエは悪い男ではなかった。野球や将棋が好きで、文学も多少嗜む、老年になってから妻に暴言を吐くこともあったが、妻が亡くなったときは失禁してしまう、弱さを抱えたどこにでもいる男だった。きっと息子が東大に入り、多少名の知れた文筆家になって嬉しかっただろう。それを、自分の死後に自分への憎しみがつづられた小説を書かれたと知ったらどう感じられるだろうか。大して面白い小説でもないし。
     不愉快極まりない小説だが、下手に教訓を導かず、ありのままを描いた私小説として、星2つ。
     最後に、お母さん。淳が不幸ならあなたのせいではなく淳くん自身のせいです。ご心配なさらず、安らかに眠って下さい。

  • 新聞で見て図書館で借りて読んだ。父親のことを軽蔑して大嫌いなのはわかったが、なぜそこまで忌み嫌うのかがイマイチ書かれていないで作者の冷酷さと傲慢さしか感じなかった。父親が学歴や常識がない事や母親に暴言を吐いた事はわかったが、葬式も碌に上げず最期の別れもしないのは人間としてどうかと…それに、宅急便の人に対する態度もとても傲慢さを感じた。何?自分自身東大生だったという事を物凄く鼻にかけてるんじゃないのか?大人になりきれず成長した人みたい。まあ私も人の事は言えないが。とにかく不快感しか残らない話だった。けれど最後の一文で少しズシンとした。母親の日記の中で、淳が不幸ならそれは私の育て方が悪かったから。というもの。母親というものは…

  • 図書館でパラパラ読んだ時は面白かったんだけどな
    不思議

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1962年、茨城県に生まれる。東京大学文学部英文科卒同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了。学術業博士。2002年、『聖母のいない国』でサントリー学芸賞を受賞。評論・随筆では1999年刊でベストセラーとなった『もてない男』をはじめ、『〈男の恋〉の文学史』『江戸幻想批判』『恋愛の昭和史』『谷崎潤一郎伝―堂々たる人生』『川端康成伝―双面の人』『江藤淳と大江健三郎』など著書多数。小説では10年「母子寮前」で、15年「ヌエのいた家」で芥川賞候補となる。(両作とも同名で書籍化)ほか小説集として『悲望』『童貞放浪記』『東十条の女』が、また最新刊として、自伝『あっちゃん――ある幼年時代』がある。

「2024年 『三木卓 単行本未収録作品集 ヌートリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小谷野敦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×