オールド・テロリスト

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 702
レビュー : 101
  • Amazon.co.jp ・本 (568ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902395

作品紹介・あらすじ

日本はもう一度、焼け野原になるべきなのか?経済の衰退した近未来の東京。「満州国の人間」を自称する謎の老人達が、次々に凄惨なテロを仕掛け始めるが…。著者の新たな代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 村上龍氏の作品「オールドテロリスト」を読了。文芸春秋に連載されていた作品が単行本化された本だが、よもうよもうと思いながらもテロリストというタイトルに気がひけ読む野を躊躇していた作品だ。

    今回北海道へ戻って働くという転機を迎え、思い切って読んでみた。

    村上龍氏と古市憲寿氏の『この国の希望は何処にある』という対談のなかで古市氏の氏である小熊英二氏が若者、大人、老人の定義を「未来で評価される人が若者、現在で評価される人が大人、過去で評価される人が老人」としているというくだりがあったのだが、その定義にしたがうとこの物語に出てくるテロリスト達は歳は60、70、80代だが決して老人ではない。過去の実績などにはしがみついてはおらずいまもしっかり自分の基盤を持っている年齢は高いがしっかりとした大人達だ。

    彼達がテロを起こし、その真意を世に伝えるべく彼らから選ばれるのが主人公のセキグチだ。高齢のテロリスト達はどうやって未来に関与できるかを考えたあげくテロを起こすのだ。

    主人公セキグチは村上龍の以前の作品「希望の国エクソダス」にもでていたのだがその作品で独立国家を作ろうとする中学生の集団のリーダーが「この国にはなんでもあるが希望だけがない」という印象的な言葉を発していたのだが、その作品から15年後に書かれたこの「オールドテロリスト」の世界でも希望はまったく感じられない世の中であり、その現状打破の為に高齢のテロリスト達が立ち上がったというストーリーだ。

    作品のなかでのマスコミの凋落具合に関する表現も鋭く、「いまのマスコミの当事者が自分たちが真実を伝えていないという事自体に気付いていない」と切り捨てているが、元老の不自由さを海外から指摘されていてもいまだ何も変わらない今の状況を憂う筆者の嘆きの具合が深いのもよく伝わってきた。

    この作品を東京を離れるという転機の今に読んだのはとてもラッキーだった。希望を見つけにくい今の日本をあきらめてしまい自分を老人として世の中への関与をしなくなってしまうのではなく、危機感をなくす事なく何らかの社会への寄与が出来るような生き方をしなくてはとの思いを強くした。

    色々な人たちと仕事をしたなかで得た経験・知恵を国を形作る小さな部品である地方でそれらを生かすという事にチャレンジしたみたいと思わせてくる作品だ。

    セキグチとこうどうを友にする和風美人セキグチの愛に関するコメントもぐっとくるものが大いので、高齢の人たちだけではなく色々な人が楽しめると思う。

    そんな大人と老人ということを考えさせられる作品を読むBGMはTuck&Pattiの"Tears of Joy"だ。Time after Timeの名演だと思う。
    https://www.youtube.com/watch?v=N4ahjXagmWI

  • お久しぶりの村上龍。春樹より龍派。

    表紙からして,はっちゃけた武装爺さんたちがはちゃめちゃなテロ事件を起こしまくる話かと思ったら,思いのほか重苦しかった。

    舞台はほぼ現代の日本。大震災後,原発事故後で東京オリンピック前というどんぴしゃの設定。そして閉塞感ましましのいつもの村上龍ワールドは変わらず。

    主人公は「希望の国のエクソダス」で中学生らを取材したあの人で,今は落ちぶれきったただの無気力なおじさん。

    対する爺さんたちは,年は取ってるけど社会的地位も高くて意志の力にあふれててよっぽどしゃんとしてて,ましましの閉塞感みたいなものを打ち壊したいテロリスト。

    爺さんたちの計画に主人公が巻き込まれていって,爺さんたちの主張に心揺れたり,でもテロはだめって思ったりと葛藤してゆくのですが,物語の読者としてはどうしても爺さんたちに肩入れしたくなる。

    主人公はほんと駄目人間で,吐いたり精神安定剤のみまくったり震えたり泣いたりばかりしているので,さわやかな読後感は感じない笑

    でも続きというか,その後がどうなったのかが気になる本。やっぱり村上龍はいいなあ。

  • いや~久しぶりの村上龍さんです。
    コインロッカーベイビーズ以来か?そんなわけないか。
    なんか久々に骨太の小説を読んだ、という感じです。
    そうか世のお年寄りは怒っているのね。
    いい加減なメディアに、ルールを守らない自転車乗りに、その他いろいろ・・・
    まあお年寄りじゃなくても、ルール違反は困りますけれど、それらを罰していくという少々過激なお年寄りと、そのお年寄りに指名された三流週刊誌の記者(廃刊により失業、妻子に逃げられホームレス寸前)のバトルというか、テロリスト集団の核心に迫っていくというお話です。
    ちょっと残虐で、ちょっと考えさせられる一冊でした。

  • 2015.11.2開始
    2015.11.9読了
    「希望の国のエクソダス」に登場したライター・セキグチが主人公。

  • すでに社会の中枢から(表面的には)外れた老人たちによるテロという着想がおもしろいし、現実社会とのシンクロも見事で、あながち荒唐無稽と思わせない。気になったのは主人公セキグチのグダグタ振り。グダグダ過ぎてリアリティがそがれる。ここさえなんとかすれば、もっとスピード感のある小説になったと思う。惜しい。

  • 珍しく中盤からなかだるみに感じたのはあたしが劣化したからか?ともあれ2011年にこのテーマで書けるのがすごいと思う。できればポンちゃん絡めて完結編が読みたいけど、そんな類ではないこともわかってる。

  • オールドテロリストって、そのまんまのタイトルであったのね。

    お話がぶっ飛び過ぎのようで、ここまでの規模ではなくても本当にそんな考えを持ち続けでいる人もいそうでなかなか怖い。

    ただ、おじいちゃんの集団…
    そう考えると、想像しづらい。
    考えてらっしゃる事はわかる。年齢を重ねることにより目的意識が純粋化したり、少々の事には動じなくなるのもわかる。

    ただ、行動力が凄すぎて、どうしても脳内ビジュアル化が頑張って50代前半になってしまう。

    シンドイ老後だ…

    リアルおじいちゃん達、楽しく生きていきましょう!

  • ●アラン・ミッスィーさんおすすめのコメント●
    NHK西玄関で突如として起こった爆破テロ!現場に居合わせていた中年ジャーナリスト・セキグチは背後に老人たちによる謎の組織の影を見た!真相を追うセキグチ、否、日本の命運や如何に!!?

    武蔵野大学図書館OPACへ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000124912

  • 言いたいことや今の世の中がいろいろ詰まっています。

  • 2年ぶりに再読、やっぱり これは セキグチの成長物語だなって前回読了時と同じ印象だった
    「静かな怒り」がモチーフになっていて、
    それが何であるか?ミツイシは何を果たしたいのか?を掴みたくて読み進むスピードが加速していく
    今日とそして明日を生き抜く、という主題は龍さんの過去作品にもあり今作でも最大イシューになっていて、
    ・生き抜くために、殺されぬように
    ・苦痛だけどありのままの自分を直視して
    ・課題を認識して解決していく
    という本作に込められたテーマは 自分事として直撃してくる
    転落したセキグチが、
    苦痛だけど自分を直視し認識するまでに500ページくらい(本作のほぼ全て)費やしていて、
    その過程の生々しく赤裸々で無様な姿が強烈で 胸に迫る
    最も怖いことは後悔すること、と確信するセキグチ、これは自分にとって痛烈なメッセージとなった
    一方で、
    ミツイシの革命論は、理解できるけど賛同はできないなーと率直に思う
    彼はもう日本を諦めていてどうにもならんと絶望していて、経済的にも地政学的にも詰んで自律不能に陥って日本は滅ぶと断じ、だったら今「焼け野原」にして再生させる、というのがミツイシ(キニシスギオ)の動機と捉えたけど、読んでいる最中も読了後もこれには賛同できなかった

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プロフィール

1952年長崎県生まれ。76年に『限りなく透明に近いブルー』(第75回芥川賞受賞)でデビュー。2003年には、514の職業を紹介した『13歳のハローワーク』が125万部を超えるベストセラーに。財政破綻した近未来日本を舞台にした『半島を出よ』(05年)では野間文芸賞を受賞。10年には『歌うクジラ』(毎日芸術賞)を電子書籍として刊行。 近著に『55歳からのハローライフ』、『オールドテロリスト』などがある。16年に『日本の伝統行事 Japanese Traditional Events』を刊行。

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