武道館

著者 :
  • 文藝春秋
3.45
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本棚登録 : 2575
感想 : 370
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902470

感想・レビュー・書評

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  •  浅井リョウがアイドルを扱うと,こんな感じになるんだなあ~というのが,読後の第1印象。
     大地と愛子という幼なじみの設定が,一貫して物語の縦の線を貫いている。
     アイドルグループが武道館を目指して成長する物語…といいたいところだが,そこは,もちろん,「よかったね! ちゃんちゃん!」では終わらないリョウの世界がある。人の成長とは何か,アイドルを売るとは何か,夢とは何か,いろんなことを考えさせられる物語でした。

     この社会では,他人の欠点をあげつらって不幸を願う悲しい人々のなんと多いことか。もっとみんなが人の幸せを願うことを目指して欲しいと思う。だれかが何かをやらかすのを待って,バッシングする社会は,ただただ窮屈なだけ。
     人が成長していくというのは,自分で,そのときどきの生き方を選択していくということ。どんな選択であっても,それは「シメタ」と思えたほうがよい。

     以下は,文章からの引用文です。

    「愛子は,その全員の選択に,テストで正解を出したときみたいに,赤いマルをつけたかった。やりたいこと,夢,今自分がいる環境,現実。すべては両立しない。だから人は選択をする。ならば,その選択にどうにかしてマルをつけたかった。」(P.260)

     そう,どんな選択もマルなんです。心からそう思えるだけで,どれだけ気が楽になることか。「こんな選択でよかったのか」となやむよりも,「次にどう選択するか」と考える方がよほどいいです。

     この物語のエンディングは,心温まりました。

  • アイドルテーマ
    最後は自分の気持ちを押し通して得た二人の幸せが
    ちょっとつまらないと感じてしまったのは、歳のせいかな

  • 気が変わりました。私の好きな人、幸せになって欲しい。

  • 学生の頃に読んだ方が、面白かっただろう。
    今の私には、響かず。。。
    私は大人になったのだな。

  • アイドルは、夢を見せるのが仕事。じゃあそのためには本当の自分を殺さなければいけないの?
    現実の世界も昨今のアイドルブームによって、多くのスターが生まれたけれど、そんな彼ら彼女らもこんな風に苦悩してるのかなあ…なんて考えてしまう。
    余計なお世話は重々承知…

    最後のちょっとしたサプライズは物語のクライマックスに相応しく、ちょっと泣きそうになりました。

  • ううん・・・。時間が飛ぶのがちょっと判りづらいかも。まあまあかな。

  • 朝井リョウ『武道館』読了。
    物語のキーパーソンである愛子の誕生日を《8月31日》にして、《毎年、弾けるほどのの喜びと、明日から始まる新学期へのうんざりした気持ちがないまぜになる。》と、現状の女性アイドル観を誕生日で表現してて痺れた。女性アイドルはエンドレスエイトを生きている……。

    NEXT YOUのトップオタは、サムライと呼ばれるオタなのだけれど、金髪で目立っている、っていう特徴が最高に良いなと思った。ドラマは六角さんが演じる如何にも『オタク』なハカセと呼ばれるオタだったから……。今時そんな分かりやすいオタクなんてそうそういないのではと思う……

    ドラマ版より100パーセントグッときたのだけれども、ドラマ版の優れている点はNEXT YOUをjuice=juiceさんが演じたところと、愛子の幼馴染の大地を吉沢亮さんが演じたことですよね……ええ。大地が吉沢亮だったらそりゃねえ…という説得力が半端ない…(笑)幼馴染力強すぎですわ、ええ。(笑)

    朝井リョウの地味にすごいところは、愛子のビジュアルを直接的に《かわいい》と評してないところにあると思う。それでも、『母親が美人』『素人出身だけど良いポジションで踊っている』『固定の太客がいる』そんなところから、愛子のビジュアルの良さが浮き出てくる。滲み出てくるアイドル像…。

    アイドルオタとしては面白く読ませてもらいました。

  • とてもリアル且つシリアスで感極まって涙が止まらなくなりそうな心にズシリと響く嘘偽りのないアイドル小説ですね。ファンはアイドルにあくまでも非人間的なパフォーマーとしての虚像を求めているのですね。自分だけのアイドルと心で思っても実は自分が独り占めしたら他のファンへの裏切りになるから不可能だと自覚していて永遠にこのままの状態が続く事を無意識に願っているのでしょう。ヒロイン愛子の問い掛けは読者の心にグサリと突き刺さるでしょう。彼女らもアイドルである前に一人の人間なのだから。二人を讃えたサムライは誠に偉い奴ですね。

  • 3.2

  • アイドルという存在を一人の人間として深く考える
    物語として引き込まれるだけでなく、現代の社会のコミュニケーションや
    新しいソーシャルメディアの意味、不条理なども考察されており意義深い
    ラストの展開も非常に秀逸で感動的だった

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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