朝が来る

著者 :
  • 文藝春秋
3.87
  • (291)
  • (621)
  • (362)
  • (41)
  • (4)
本棚登録 : 3440
レビュー : 578
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902739

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「子どもを、返してほしいんです」親子三人で穏やかに暮らす栗原家に、ある朝かかってきた一本の電話。電話口の女が口にした「片倉ひかり」は、だが、確かに息子の産みの母の名だった・・・。子を産めなかった者、子を手放さなければならなかった者、両者の葛藤と人生を丹念に描いた、感動長篇。

    最後にひかりのことを朝斗ママが見つけてくれるまで、ずっと張りつめたような気持ちで祈るように読み進めていて、ようやくほっとして読み終えました。個人的に不妊治療の難しさやつらさを身近に感じる立場なので、やめたいという気持ちもとても分かる。子供を育てたくても世間の目や家庭の状況から難しい人もいることは分かっていましたが、もしもひかりのような人生を歩む人がいるのならすごく悲しい。彼女のような人がいたら迷いなく手を差し伸べられる大人でありたい・・・。この後ひかりは救われるんだろうけど、もっと一歩先を踏み込んで書いた話も読みたかった気がする。

  • 「この子はうちに、朝を運んできた。」

    1章・2章は一気に読めて面白かったんだけど3章で冷めてしまった。3章1番長いと思ったら、辻村さん、書いてるうちにひかりサイドを深く書きたくなってこのボリュームらしいね(なんかのインタビューでみた)私は佐都子サイドをもっと読みたかった。

    個人的にはひかりにもひかりの母親にもイライラ。こんな娘も母親も嫌だわ。笑
    辻村さんが前述のインタビューでひかりはその時々の感情に素直な子って話してたけどそれも限度を超えてて浅はかにしか見えなかった。
    確かに周りの大人や彼氏に恵まれなかったかもしれないが、それにしたってもう少し自分でしっかり考えられるでしょ。今時女子中高生だってそれなりに計算して生きてます。

    養子の制度や不妊治療についてはじめて知ることも多くてその点では勉強になった。きっとたくさん取材されたんだろうな。
    教本的な意味で色々な人に読んでほしい。すぐ結婚だ子どもだって言ってくるような人たちとか妊娠についてのイメージが希薄な男性とか。

  • ひとつの特別養子縁組をめぐる裏と表の物語が丁寧に平行に流れていって、2人の母親が平行な線のずっと先で出会う物語です。たったこんだけ?と思えるくらいの小さい出来事に向けての長いお話でした。
    物語の終わりも、本当にたったこんだけ?というあっけない幕切れで少し物足りなかったです。でも、文章に読ませる力は十分あって、もう数冊は読んでみたい作家さんです。

  • 初めての、辻村作品は、なんと望まぬ妊娠と叶わぬ妊娠の物語だった。

    良かったんだけど、構成というか最期のところがわたしにはちょい残念だったかな。

    でも、彼女の作品をもっと読んでみようと思えた一冊です。

  • この本のドラマを昔見た事があって、何となく懐かしいな・・・と思って読んでみた。
    だから、読んでいて、「ああ、こんな内容だったな・・・」と思いだしたり、文章からドラマの場面が思い浮かんだりした。
    これで見ると、あのドラマは結構原作に忠実に作られていたと思う。
    でも、ドラマの方がボリュームの関係か、原作にはないエピソードもあり、ちょっと違う部分もあった。

    この物語の主人公は二人の女性。
    一人は養子縁組した男児を育てる働く主婦。
    タワーマンションの上層階に住み、夫と養子と三人暮らしの彼女のもとに一人の女性が訪ねてくる。
    彼女がもう一人の主人公であり、男児の産みの親である女性。
    久しぶりに再会した彼女は夫婦に「子供を返して欲しい」と言う。
    もしそれが無理なら、お金が欲しいと・・・。
    その理由ー彼女がここに来るに至るまで、子供が欲しくてもできなくて養子をとるという決断に至るまでの夫婦の様子が描かれる。

    ドラマでは、産みの母親を演じたまだ幼いとも言える女優の演技が初々しくて印象的だった。
    子供をいづれ自分の手元から離さなければならない。
    その前提で出産を控えてる様子がいじらしかった。
    それと同時に、いつも冷静で優しい大人の対応をする、育ての母親の様子にも好感をもてた。
    それはこの原作そのまんまだったんだと読んでみて思う。

    これを読むと、やはり血のつながりのない子供を育てるというのは、この国ではハードルが高いと思う。
    重要な事ではあるけれど、様々な条件が課せられていて、ある程度の子供を育てられる環境、年収、そして若さが求められる。
    反対に自分で育てたくても経済的、社会的な理由で育てられない女性。
    双方ともに、彼らに対する世間の目は温かいものだけじゃない。
    そして、二つの願いは一致しているものの、それを結びつけるのは簡単じゃない。

    今回、この本では育ての親の女性が良識のある優しい人だから良い話になっているけど、違うタイプの人なら全く別の印象の話になってたんだと思う。
    私がもし、若い女性で、こんな風に自分の事を扱ってくれて、対応してくれたらどんなに嬉しいだろうと思うし、素直な気持ちになれるだろうと思った。

    結末に関しては、少し物足りないな・・・といのが正直な感想で、もっと主人公たちのその後が知りたいな・・・と思った。

  • 不妊治療をしても子供を授かれない悲しさ、中学生で妊娠をしてしまう衝撃、そしてその後の悲劇・・・。

    親として子供との向きあい方を考えさせられました。

  • 辻村深月さんの本は数冊読んだ程度だが、(あら、こういう本も書かれるのか、いつもより登場人物の年齢高めだわ)と思って読みだした。前半はなかなか良かったし、「この子はうちに朝を運んできた」のフレーズにうるっときたが。後半…辻村さんらしく若すぎる母親へのスポットの当て方に、ああ、いつもの感じね…と。
    分量が育ての親、生みの親の半々になってしまい、何となく中途半端になってしまった気もする。ちょっと残念。

    • ひとしさん
      『屍人荘の殺人』おめでとうございます!娘さんということは、学校で借りてきたのかな?でも、あんまりハードル上げられちゃうと、ガッカリされるかも...
      『屍人荘の殺人』おめでとうございます!娘さんということは、学校で借りてきたのかな?でも、あんまりハードル上げられちゃうと、ガッカリされるかもしれないので、期待しすぎず読んでくださいね(笑)
      2018/01/31
  • 今日は、道行く親子連れをついまじまじと見てしまった。

    不妊治療に悩む夫婦と、思わぬ子を授かった少女、そこに結ばれる特別養子縁組を軸に、現代の「妊娠」やそれを巡る社会の病巣が描かれる。

    背景の掘り下げ、特に不妊夫婦とそれを取り巻く描写が圧巻。転じて、対比される少女側の描写も圧倒的だが、ドラマツルギーとして必要なのは分かりつつ、少し不幸の強調が過ぎた感もあった。

    日本は確かに「血」や「世間体」を重視し、それは弊害にもなるわけで、生まれてくる子に罪はない、そんなシンプルな真実を考えさせられる。

  • 大切な子供
    子供を授かること
    自分の人生
    まっすぐに生きること
    子供のことを信じること
    親の思惑
    どうしてそうなってしまったのか。

    最後
    ひかりちゃんに朝が来る気がして、ホッとする終わり方でよかったと思った。

  • うるうる・・・

著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

朝が来るのその他の作品

朝が来る (文春文庫) 文庫 朝が来る (文春文庫) 辻村深月
朝が来る (文春文庫) Kindle版 朝が来る (文春文庫) 辻村深月

辻村深月の作品

ツイートする