繭と絆 富岡製糸場ものがたり

  • 文藝春秋 (2015年8月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784163902845

作品紹介・あらすじ

世界遺産・富岡製糸場の成立秘話が満載



富岡製糸場の初代工場長・尾高惇忠の娘・勇は、婚約を棚上げして女工になる。明治の日本を支えた製糸業を隆盛に導いた父娘のドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 世界遺産に登録されている富岡製糸場。
    数年前に行ったことがあるけれど、世界中のほかの世界遺産にくらべると、見劣りするかもしれません。
    富岡製糸場が世界遺産として登録された理由は、世界の絹産業発展や絹の大衆化に貢献したことであるわけで、建物の美しさや立派さが評価されたわけではないということです。
    そんな富岡製糸場の成り立ちや、日本の発展に貢献した人々たちのドラマが味わえる本書。思っていたより面白くて、ページをめくるのが捗りました。

    富岡製糸場の初代場長、尾高惇忠の娘、勇が主人公。清三郎との結婚がもうすぐ... という時に、富岡製糸場の工女になるよう父に命じられます。
    清三郎との結婚もいったん白紙になってしまい、お互いギクシャクしてしまうし...辛いっ!
    しかし親子で製糸場での一からスタート、軌道にのせるまでのストーリーがめちゃくちゃ面白い...そして勢いがあれば衰えもあり、せつない。
    途中、叔父であり戦死した平九郎のエピソードあり、今話題の渋沢栄一も登場するし、日本の近代化の歴史もうっすら学べてよかったです。

    繭を紡ぐことを、家族の絆の象徴としているのが素敵ですね。

  • 富岡製糸場に行ったことがきっかけで手にとった1冊。
    富岡製糸場の初代工場長・尾高惇忠の娘・勇を主人公に描かれた歴史物語。
    渋沢栄一との繋がりや富岡製糸場の初期の様子を知ることができ、なかなか興味深かった。
    武家の娘たちがプライドを持って工女として働きはじめ、官営の労働環境も整備されていた工場の様子は魅力的に見えた。
    糸を紡ぎながら、人間同士の絆を紡ぎながら…
    終盤、尾高惇忠が工場長を解雇されるあたりから雲行きが怪しくなってきて女工哀史か…と切ない気分になったけれど、富岡製糸場が官営で起ち上げられた意味はきっとあったのだと感じられる物語だった。

  •  明治日本が生んだ文化遺産、富岡製糸場を舞台に、初代工場長・尾高惇忠の娘にして工女第一号・勇の青春を描いた歴史小説。
     製糸場誕生時の苦難に始まり、父親への反発と敬意、婚約者との葛藤、工女仲間との諍いや友情、工女としての誇りや後世への願いなど、少女の瑞々しい感性がドラマティックに描かれる。
     背景には、父・惇忠が関わった上野の彰義隊の悲劇が、色濃く影を落としている。
     工女たちの努力が結実する展開は熱いものの、終盤、秋繭による不正を疑われた惇忠が工場長を辞任するいきさつや、初期の責任者らの退任後に工場内の風紀が乱れ始め、雇用主から労働者たちの酷使の兆しが芽生えるなど、『女工哀史』の世界を連想させつつある下りは遣り切れない思いも残る。
     しかし、近代日本の隆盛を支えた若き工女の奮闘と、彼女たちを導いた先達らの矜持と情熱の軌跡は、鮮やかな印象となって読後に漂う。

  • ☆3.9
    富岡製糸場で働いた工女・勇を主人公とした話。
    あまり期待してなかったけど、面白かった!

  • 富岡製糸場の初代場長・尾高惇忠(渋沢栄一の義兄だったとは!)と、その娘で工女第一号となった勇の物語。富岡製糸場誕生時の苦労やら工女たちの暮らしぶりやらが描かれているのだけれど、和田英著『富岡日記』を読んでいたからか、あまり蒙を啓かれることなく終わってしまった感じ。ただ、繭の糸が繋がっていく様子を人間の繋がりに譬えていたのはよかったと思う。

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著者プロフィール

静岡県生まれ。東京女子大学卒業。2003年『桑港にて』で歴史文学賞、09年『群青 日本海軍の礎を築いた男』で新田次郎文学賞、『彫残二人』で中山義秀賞。著書に『帝国ホテル建築物語』『万事オーライ』等。

「2023年 『羊子と玲 鴨居姉弟の光と影』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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