人魚ノ肉

  • 文藝春秋 (2015年7月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (376ページ) / ISBN・EAN: 9784163902852

作品紹介・あらすじ

デビュー作でいきなり直木賞候補、その才能は本物だった!

幕末京都を舞台にした奇想の時代小説が書き下ろしで登場



デビュー作『宇喜多の捨て嫁』でいきなり直木賞候補に挙がり、東野圭吾さんが「もっとも面白かった」と高く評価。その後、高校生直木賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞を射止め、いまもっとも注目される時代小説界の麒麟児の第2作目の舞台は幕末の京都。坂本竜馬、芹沢鴨、近藤勇、土方歳三、沖田総司、斉藤一、岡田以蔵……歴史ファンに馴染み深い豪華な顔ぶれが続々と登場するが、しかしその内容は誰も想像だにしない野心作だ。

序章、坂本竜馬と中岡慎太郎は、近江屋の隠れ家で語り始める。かつて少年時代、岡田以蔵と人魚の肉を食べた日のこと。以来、人格の変わった以蔵は人魚の肉と血を秘かにずっと隠し持っていたが、京都で浪士組(新撰組)に追われた際にそれを相手に渡してしまったのだ、と。土佐の須崎に伝わる八百比丘尼の伝説によれば、人魚を食べると不老不死になるという。しかし、実際に人魚ノ肉を食べた者たちは妖(あやかし)に憑かれ、信じられない最期を迎えることに――。血の香りにむせかえるような濃密な書下ろし8編!

感想・レビュー・書評

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  • こんな幕末小説初めて!
    あの竜馬が!近藤局長が!芹沢鴨が!沖田総司が!そして人斬り以蔵が!!彼らがこんな風に狂っていたとは!幕末の日本を動かしていたのは土佐の浜に打ち上げられた人魚の血と肉だったとは。
    人魚の肉=不老不死、というわけじゃなく、妖を友とする呪いに囚われる。そうか。だからあの頃の京の都は魑魅魍魎が跋扈していたわけか。いや、ちがう。人魚の肉によって狂わされたのは、魑魅魍魎という名の人間たちだったのかも。
    トンデモ歴史ファンタジのようでいて実は歴史的裏付けがきっちりとなされているってこともいいね。

  • 歴史上のさまざまな人物が人魚の肉を口にしてしまったら…。

  • 明治維新時に土佐で人魚の肉を食べると不老不死になるとに噂が立ちその肉を食べた土佐人人斬り以蔵、沖田総士をはじめとした新選組メンバーらの運命を結び付けた内容。

  • 時は幕末。妖の世界へ誘われた男達の連作短編集。
    短編に共通して出てくるのは勿論「人魚の肉」。
    人魚の血と肉に魅入られ妖に取り憑かれてしまった男達は、怪異に襲われ自らも妖に変じ異界へと誘われていく…。

    初めはあまりにも血生臭い話に背筋がヒヤリとなったけれど、物語が進むにつれ男同士の絆や生きざまに魅せられた。
    舞台は古都・京都。
    それも新撰組の面々ともなれば、こんな妖しい出来事が次々に起こっても不思議ではない。

    この世とあの世の境界に立つ男達。
    共に戦った仲間達が彼方で待ってくれている。
    喧嘩がしたりねえあいつらも直に此方へ来るはずだ…。
    なんかしんみりとなってしまうのは木下さんだからかも。
    木下さんは戦う男達の生きざまを泥臭く生々しく描くのがとても巧い!

  • 妖しく仄暗い感じで私好みの内容。
    血なまぐさい内容が幕末にピッタリ!!
    怪異ものだけど歴史小説。
    短編8話が人魚の肉を介してリンクしてる。
    子供の頃、坂本竜馬と中岡慎太郎、岡田以蔵は
    浜に打ち上げられた人魚を発見!!
    金色の長い髪でまるで南蛮絵のような人魚。
    死んでるのを確認した以蔵は…!!!Σ(ll||д゚ノ)ノ。
    人魚の肉を食べると不老不死…禁断の肉を食べたら――。
    新撰組の話がやはり面白かったなぁ
    想像以上に血なまぐさい話だったけど新撰組ならなぁ、と思ってしまった。
    怪異が上手い具合に史実にマッチしてる。

  • 幕末志士の人気がある人たちに人魚の肉を食わせたらこんなことになりました。

    坂本龍馬、岡田以蔵、近藤勇、沖田総司、斎藤一、佐野しめのすけなど。
    肉を食べた人により症状は異なるが、あやかしになってしまうという。





    沖田総司の労咳を吸血に置き換えたのはその発想はなかったと思えたし、斎藤一の分裂?分身?もその発想はほんとなかったと思えた。

  • 人魚の肉を食うと、不死となるという伝説。
    そして、幕末の動乱期の登場人物が、その肉を食っていたとしたら.....

    真実は違っていた。
    不死の力を持つのは、人魚の肉ではなく、人魚の血。
    人魚の肉を食うと、人は「妖(あやかし)」となる。
    幕末の土佐、一体の人魚が浜に打ち上げられる。
    それを見つけたのは、3人の子供。
    そして、3人はその人魚の身体から....

    土佐を脱藩し、京に向かったその人は...
    そして、人魚の肉、血もまた京に持ち込まれ、新選組に持ち込まれる。

    幕末新選組の戦いの中に、人魚伝説を織り込み、また、吸血鬼はじめ、様々な怪異伝承と結びつける。
    しかも、決して幕末歴史小説の王道から道を踏み外すことは無い。
    グロである。そもそも、肉を切り取り、血を飲む。
    そして、容赦なく血しぶきが飛び散り、四肢が切り落とされる。
    時には生臭い血の匂いすらする描写もあるが、時には死に向き合う武士の潔さが描かれる。
    そんな、あれもこれも、取り入れた作品なのにもかかわらず、全体を通して歴史小説として読ませる作家の力量は大したものなのだと思う。

  • 何ともドロドロした話であった。「人魚」という、ある意味パターン (= 不死) の決まったキーワードに「幕末」をくっ付けて、それでなお人間の生きざまみたいなものを緻密に描いていて、とても面白かった。
    たくさんの人の因果をキチンと回収する律儀さは、前作同様であった。次回作も読んでみたい。
    たまたまテレビで見た映画「るろうに剣心」と同じ時代であった。この時代に関する自身の知識の無さを痛感するとともに、もし背景を知っていれば違う楽しみ方ができたかもしれないと思うと、ちょっと悔しい。

  • 久しぶりの新選組物で楽しめました。静かな筆致で読み進めやすい。好きなテイスト。

  • 時代ものホラーファンタジー。

    『人魚の肉』を食べたことで、妖に憑りつかれてしまった新選組隊士ら幕末の人物たちの話。

    幕末というある意味、日本全体が狂気の熱に翻弄された時代背景もあり、妖に憑りつかれた狂人の様がリアリティに迫っていて、怖かった、、、。ホラー苦手な私にはちょっと辛い読み物だったかも。
    しかしながら、妖に憑りつかれるのが、坂本龍馬、沖田総司に斎藤一など、錚々たるメンバー。怪奇現象とそれぞれの人物の史実を上手くマッチさせているところは凄いし、興味深く読めた。

  • 血を飲めば不死に、肉を食えば妖になるという人魚ノ肉。新選組などの幕末の人物がこの血肉により狂わされていく話。歴史ホラー小説のよう。
    史実のプロットにうまく人魚のテーマを絡めているのは美味いと思った。(沖田総司の喀血や、斎藤一の改名など。)
    面白くはあったが、前作の感動までは得られなかったかもしれない。

  • 話に出てくるのは幕末の人たち、幕末壬生浪士組、新選組、御陵衛士、倒幕派。人魚の血肉を食べた人の怪異、運命が畫かれている。「竜馬ノ夢」始まりと終わりがつながっている。「妖丿眼」未来が視える第三の眼。「肉丿人」血を欲する。「血ノ祭」祇園祭。異教の死人を生き返らすまじない。「不死ノ屍」題の通り。「骸ノ切腹」武士の死に様。「分身ノ鬼」いくつにも分かれる自分と真剣で戦う男。「首丿物語」人魚の血肉を食べた話の全体の終わりと、人魚の鱗によって、死に導かれる呪い。全体的に話が異様で描写が気持ち悪いがなぜか読み進む。その中に物悲しい「血ノ祭」が一番印象に残った

  • 人魚の肉を食べれば不老不死になるというのが一般的な言い伝えではあるが、この話は毛色が違って面白い。
    人魚の血を飲めば不老不死になる、しかし肉を食べてしまった人間は、一刻の蕩ける様な美味の代償として、人の理を外れてしまう。その変貌の仕方は個々の人間の生き方を色濃く反映しており、例えば隻眼の剣士が不気味な複眼を手に入れたりとか、幸運の星のもと不死身を謳っていた男が文字通りの不死身になったりだとか、数々の改名を繰り返した剣豪が”もう一人の自分”を殺し続ける羽目になるといった風。
    没頭して読めた。

  • ひとつひとつの物語が飽きなく読めました。

  • 今もどこかで血をすすり、肉を切り、
    骨を食み続けているのだろうか。



    下手な怪談本より恐ろしい。
    流血、死者多し注意。

  • 坂本竜馬の舌の付け根で溢れ出る肉汁、平山五郎の口の中で弾ける肉の血と唾液、沖田総司、近藤勇、斎藤一らの舌に遊女が抱きつくかのように絡みつく肉、佐野七五三之助の口の中で泡雪のごとく溶けていく肉。その肉は、岡田以臓が桂浜に打ち上がった人魚から切り取って鰹のタタキよろしく食し、余すを持ち帰ったもの。不老不死を得るは人魚ノ肉にあらず血にあるが、いずれの君も肉を食らう。食らえば妖に変化て、己と葛藤しながら生死をさ迷い、あげくには非業の最期を遂げる。大胆な虚構、創作を求め、導かれてここに至る。

  • 毎回独特の鋭い切り口で歴史浪漫を掘り起こしてくれる木下氏が挑むのは幕末の志士と八尾比丘尼伝説のコラボ。
    徹底的に遊んでいるように見えるのだがその史実に裏付けされたストーリー…例えば沖田総司の池田屋の喀血や屯所でやたらと犬を斬っていた件、斎藤一の度重なる改名などマニアが舌舐めずりしそうな美味しいネタが満載の作り込みは流石と言えよう。
    ただあまりにも奇妙奇天烈な設定に楽しむ気持ちも途中から徐々に興醒めしてしまったことも事実。
    新選組がよくあるヒーローなどでなく京の街を血で汚す嫌われ者の極悪集団に描かれていることが興味深かっただけにちょっと残念だったかなぁ

  • 人魚の肉を食べた坂本竜馬、中岡慎太郎、岡田以蔵。八百比丘尼の伝説で不老不死になると言われる人魚の肉が、その後、幕末の京都の武士たちを翻弄していきます。短篇それぞれが人魚の肉をスパイスに 血でむせ返るような見事な怪異譚になっていますが、ちょっと調べれば、それぞれの登場人物の生涯や人物像がきちんと史実に矛盾がないように書かれていることがわかり、実際の事件を追うように夢中になって読みました。とても良かった。時代小説をこんな形で楽しめるのは嬉しいです。読後ふと現在の京都に思いをめぐらすのは私だけではないでしょう。

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著者プロフィール

木下 昌輝(きのした・まさき):1974年奈良県生まれ。2012年「宇喜多の捨て嫁」でオール讀物新人賞を受賞、14年単行本デビュー、15年歴史時代作家クラブ賞新人賞、舟橋聖一文学賞、咲くやこの花賞を受賞。著書に『天下一の軽口男』『つわもの』『敵の名は、宮本武蔵』『戦国十二刻 始まりのとき』『応仁悪童伝』『剣、花に殉ず』『愚道一休』など。

「2024年 『大江戸綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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