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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784163902920
作品紹介・あらすじ
女が映し出す男の無様、そして、真価――。
太平の世に行き場を失い、人生に惑う武家の男たち。
身ひとつで生きる女ならば、答えを知っていようか――。
時代小説の新旗手が贈る傑作武家小説集。
「ひともうらやむ」「つゆかせぎ」「乳付」「ひと夏」「逢対」「つまをめとらば」
男の心に巣食う弱さを包み込む、滋味あふれる物語、六篇を収録。
みんなの感想まとめ
男たちの心の弱さを描いた短編集は、時代を超えた普遍的なテーマを持ち、読み手に深い感動を与えます。六つの物語は、それぞれの武家の男たちが妻や女性との関係を通じて自己を見つめ直す様子を描き、軽やかな語り口...
感想・レビュー・書評
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★3の上。
ああ。これはいいなぁ。上手いなぁ。さすがは直木賞、いや、みんみんさんのお勧め本。
時代物短編集六編。
・ひともうらやむ
ひともうらやむ美人を娶った男は。
・つゆかせぎ
妻を亡くした男は強かな女を買う。
・乳付(ちつけ)
乳やり女に悋気する女。
・ひと夏
プチたそがれ清兵衛(映画版)的な。
・逢対(あいたい)
出仕を求めて屋敷を日参。
・つまをめとらば
爺の二人暮らしも悪くない。
時代物は読みづらいという先入観を見事に覆してくれた。スルスルいける。そのくせしっかりしてる。
さらに言葉遣いが秀逸でニヤニヤしてしまう。
「ないものはない大江戸でもー」
「男親なんて誰だってかまいません。二人の娘も男親はちがいます。でも、わたしの子です。わたしの子であれば、それでいい。子は女のものです。四人だって、五人だって欲しい」
「戸が開け放たれていて、風通しのよい詩だとな。なおかつ、躰で、身の丈で物を考えるから、頭が走っていない。自分の詩がはたしてこれでよいのかと迷ったとき、いつでもおまえの詩に立ち戻っているそうだ」
「そうこうするうちに、醤油と味醂が出会うように、男と女の間柄になった。」
「これは断らなければならないと思った。なにしろ佐世は、罪のない童女のような顔を、罪ではちきれそうな躰の上に乗せていたからである。」
「甘えるぞ」
ひともうらやむと逢対の二作に出てきたこの言葉は本当に格好いい。武士同士のキッパリ感がいい。
どれも読後感が軒並み気持ち良かった。余韻が良い。
100%のハッピーエンドってわけでもないのだが、草木のような自然な爽やかさが感じられる。
どれもキャラクターに好感が持てるからかな。
ルパン三世カリオストロの城のラストなみの心地良さ(?)でした。
長編も読んでみたいな。 -
武家の男達がそれぞれの妻の事を綴った短編六つ
軽い語りなのにジワ〜っとくる
堅苦しくない流れるような文章
そしてちょっと毒のあるオチ
落語で聴いてみたくなる
やっぱり青山文平は上手いなぁ
どの話も良かったし直木賞も頷ける
いつの世も女は強く逞しいわ-
2025/04/18
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2025/04/18
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2025/04/19
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第154回直木賞受賞作。
なめらかな文章で時代小説にしてはとても読みやすく、さわやかな印象。
下級の武士たちの様々な生き方が取り上げられているのが面白い。
女性との関わりが重要な物語ですが、「女は怖い」という話ばかりかと思ったら、そうでもないのが良かったです。
『ひともうらやむ』
本家の男は、才色兼備と評判の美女・世津を妻にする。
分家の男は見合いで地味な結婚をして、無事に暮らしていたが‥
本家では緊迫した事態に。
美男美女なら幸福になれるわけではないという。
武家でなければ、こんな立場にはならずに済むのに。
『つゆかせぎ』
旗本の家侍をしている男は、武家奉公に上がっていた芝居茶屋の娘・朋を妻にする。
俳諧の才で夫は出世すると見込まれたらしいが‥?
妻のほうが才覚を発揮して、どんどん綺麗になっていくたくましさ。
『乳付』
望まれて旗本の妻になった民江。夫は優しいが家格の違いが気になっている。
初産で乳が出なかったため、遠縁の女性が乳付けにやってくる。自分よりも家柄に馴染んでいるようにみえる美しい彼女に嫉妬する妻。
可愛らしい女性で、夫にも家族にもちゃんと認められているとわかります。
『ひと夏』
飛び地となっている難しい土地へ派遣された武士。
百姓から無視されてしまう事情があるのだが、剣の腕を発揮する機会が訪れる。
『逢対』
若年寄の元へ毎朝通う武士たち。
無役の侍が出仕を願い出る場なんて、あったんですね。
自ら通いつめて仕事探しとは、当時もキビシイご時世だった。
持っていた刀を理由に仕官できそうになった男が選んだ道は‥
『つまをめとらば』
老いた男二人が何となく一緒に暮すようになった話。
それぞれかっては結婚もしたが今は独り身の幼馴染。
同じ敷地に住むことになり、案外居心地がいいと思っていたが、因縁ある女性が現れ‥?
とぼけた味わい。
武士といっても下級だと、収入は少なく、身分違いの結婚もしばしば。
運(女運?)と己の決心次第で、身分も人生も違ってしまうんですね。
サラリーマンに通じるような哀感と、江戸時代ならではの具体的な状況が興味深く、面白く読めました☆ -
江戸後期の、名もない貧乏侍の生活を赤裸々に綴った短編小説集。著者は本作品で直木賞を受賞した。時代考証に優れ、文章も読み易い。六つの短編どれも秀逸で惹きつけられる。ハッピーエンドな終わりたかではなくて各短編作品の終わり方が何とも切ないと感じ余韻を漂わせる。著者のその他の作品も読んでみたいと思った。
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「つまをめとらば」なんて古めかしい言いまわしに惑わされてはいけません。連想されるような時代がかったものからおおよそかけ離れ現代的な男女間の結びつきに圧倒されます。直木賞を受賞された時に「つまをめとらば」だけを読み、その時も青山さんの女性観に驚きました。過去の感想はこちら➡http://amegasuki3.blog.fc2.com/blog-entry-269.html
今回は「ひともうらやむ」「つゆかせぎ」「乳付」「ひと夏」「逢対」の他5編を読みました。
やっぱり、青山さんの女性観はあの時代の新しい境地を開いている気がしました。今まで時代物文豪の男性作家さんに登場する女性観には好感が持てませんでしたが、齢70歳と知りますます驚きます。きっと周囲には素晴らしい女性の方々がいらっしゃったのでしょうと思わずにはいられません。まるで著者のシャイで素直なお人柄が登場人物たちに投影されているようでした。
中でも「ひともうらやむ」「乳付」「逢対」も好きでしたが、やはり「つまをめとらば」に、作者のすべてが詰まっていて最高峰に揚げたい。 -
6つの短編集。
時代小説にしては、軽くて読みやすかったです。
江戸の世の独特の風習や人情を取り上げながら、強かに逞しく人生の路を切り拓いていく女性たちを描いています。
役目、義理や慣習に沿わずには、自分を保つことができない”男”と、
何の根拠もしがらみもなく、思うままに振舞える”女”というものの不可解さの対比が、うまく表現されています。 -
江戸時代の庶民を描いた短編集。登場する女性がしなやかでしたたかに強く、男性も誠実で堅実、己の弱さを見つめ付き合っていくような人物で、どの作品も地味だけど味わい深い煮物のような旨味がありました。(何度か出てきた美味しそうな煮物とお刺身が印象に残ってます…)
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短編集。どの物語の中の男も女も、迷い惑って生きている。どの話の人物も一筋縄でいかない関係になんとなく新鮮さを感じて、奥深い物語だと思えました。面白く読めた。
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直木賞候補作。
前回の『鬼はもとより』もそうだが、時代小説の中の多少ニッチなテーマを描いている。
自分には少し物足りない。
青山文平の王道の時代小説を読みたい。 -
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いつもながら ほのぼのとした優しい気持ちにさせてくれる 文章
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描かれているのは、心の機微、かな。久しぶりに時代小説を読んだと思うんだけど、滋味とでもいうようなものが沁みる気がした。短編集で、『つまをめとらば』の他に『ひともうらやむ』とか、『つゆかせぎ』とかいくつかのお話が収録されている。夫婦関係の話だけではない、というかむしろそれ以外の話の方が多い気がする。『乳付』あたりは、奥さん、あるいはお母さんの側の話ではあるから、単純に男、夫側の心を描いているだけではない。とはいえなんとなく、男の側からの視点が読後感として強かったかな。決してわかるものではないけれど、ちがう心の動きと接するからこそ、生きていける。読んで、そんな印象を持った。どろどろしたところのない、決してお伽噺ではない、ほっとする話ばかりだったと思う。また、読みたくなりそうな、ね。
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青山さんの著書、初めてでしたが、男女の機微を描いているけれど、くどさがなくて余韻が心地よかったです。
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江戸時代の武士の生活の中で女性の強さと逞しさが描かれている短編集。
女性にはかなわない男の姿がほほえましく描写されている。 -
2025.10.13
女性がテーマになっている江戸時代後期が舞台の時代小説短編集。女性作家が描く女性はとても良いけれど、男性作家から見た女性も、不可解さや畏れが出ていて、独特で味があるように感じました。 -
読みやすかったですが、多少の物足りなさを感じます。この方は長編の方が好きな気がします。
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江戸時代を背景に 6話の夫婦感の短編集である。
『ひともうらやむ』ーーー美男美女の夫婦 本条家の本家は、妻の不貞で、死を選ばないといけなかった。
分家の方は、平凡なsy結婚生活であったが、妻の商才で、見る見るうちに、美しくなっていく。
女も、生き甲斐と、経済力で、変われるものだと、、、
『つゆかせぎ』---男にとって都合のよい女 銀であるが、愛情は無くても、子供が欲しいのであろうか?
今の時代だったら、訴訟問題であろう。
『乳付』---初産の民恵に、乳が出ないので、東遠の女瀬紀に、乳付けを頼むのであるが、、、、自分よりも旗本の奥様らしい振る舞いに、、心が、落ち着かない。
紆余曲折で、理解できて、夫へ、私は、悋気しました。と、詫びる姿は、なんと可愛らしいと思うのと、夫が、二十六夜へと2人で出かけるのを誘う場面は微笑ましく感じた。
『ひと夏』---武士として、飛び地へと、任務を仰せ付けられるのだが、百姓から無視される所である。
地道に、剣の腕も発揮して、村人から信頼をされていくのだが、もうこの時代は、武士も百姓の時代もなく商人の時代になっている。
『逢対』---無役の者が出仕を願い出る逢対で、泰郎の持つ備前 長船鍛冶の刀で、番入りできることになるのだが、それを友人に譲ってしまうのである。
泰郎は、お妾の娘である女 里に、算学一本に絞って、結婚を申し込むのである。
武士への執着が、刀を譲った時点で、もうなかったのであろうか?
武士の貫禄よりも、妻にしたい女性を受け入れたかったのか?
『妻をめとらば』---幼馴染の友と、同じ敷地に住むことになった隠居の2人の男。
居心地の良さで、このままでもいいかもと、思っていたが、
昔、雇っていた女が、味噌を売りに来て、友は、やはり、煮売り屋の娘と一緒に暮らすと、友、省吾へ伝える。
そのあと、、、つまをめとってどうなるの?と、、、、思うのだが、作者の意図なのか、、、、、少し尻切れトンボにしてあるのが、私には少し納得できないところである。 -
江戸期を舞台にした六篇。
男と女、妻と夫の様々な人間模様を描く。
大きなやっとうがあるわけではないし、出てくる人物たち、とりわけ男たちは血気盛んな江戸ッ子ではなく、どちらかといえば小心者だ。
しかしその小心は優しさでもあり、彼らの強みでもある。
それを見て、夫婦っていいな、仕方ない、夫との関係を修復してやるか(ただの他愛ない夫婦喧嘩だが)と気性の荒い私がそう思えたのだ。
言葉とは、物語とは人を変える力を持っている。
ちょっと大袈裟かもしれないが。
「ひともうらやむ」
美丈夫と美女。
周りから見れば絵に描いたような二人。
御似合いすぎて本人たちもさぞ幸せだろうと周りは考える。
しかし、夫婦の仲は顔の美醜や家柄だけで決まるものではない。
顔さえ美しければ何もかもうまくいく、幸せになれる、なんて幻想に過ぎない。
隣にいる連れ合いの心の中など、わからない。
「つゆかせぎ」
子供は多ければ多いほどいい、というセリフに羨ましさを感じた。
今は子供が欲しくたってそう簡単には作れない。
妊娠中には嫌がらせ、産んでみたら保育園がない、いやそもそも経済的に自分の生活で手一杯。
こんな中子供がいるだけで「恵まれている」。
問題は山積みなのに、その解決に向けての動きはなかなか見えない。
やっていても、なかなか必要な人のところまでは降りてこないのだ。
本当は楽しいもののはずなのに。
あんまり、楽しいと思えないし、魅力を感じられない......。
だから本当に羨ましい。
「ひと夏」
見初められて結婚したはいいが、子供が生まれて喜んだのもつかの間。
乳が出ない。
飲ませられない。
我が子に私は乳もあげられないのか、そこで感じる劣等感、乳母に悋気。
でも、そんな黒々とした思いは誰もが抱えている。
決して自分だけがダメな人間、なんじゃない。
「羨ましい」という気持ちがどの物語にも効果的に使われている。
そのせいか、各物語の登場人物がとても近しい人間に感じられた。 -
女の人って強か。
男の人って可愛らしい。
両方いるから世の中面白いんだろうな。
つまをめとらばの章を読んで驚いたのは
職場結婚が昔からあって、禁止事項だったこと。
長い時間一緒にいれば誰がどう止めても
必然的にそういう関係になるよねぇ。
著者プロフィール
青山文平の作品
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感想 :

それはそう。
もちろんそう。
それはそう。
もちろんそう。
俺もこのセンス好きでーす( ´∀`)bグッ!
俺もこのセンス好きでーす( ´∀`)bグッ!