羊と鋼の森

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 1258
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902944

感想・レビュー・書評

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  • ピアノ調律のお話。
    無知でも読めるいっさく

  • 調律師をモチーフにした仕事小説。ピアノの調律の奥深さを感じさせてくれる。一切の情熱を仕事に注ぎ、つまづきながらも成長していく主人公の姿は美しく感動的。

  • 何だろう、調律師の話だとも知らず手に取った本だったけど、すごく惹き込まれて読んだ。

    ピアノの調律師との偶然で運命的な出会い、きっとそういう出会いは世の中にある。素直にそれに向かって成長する姿に、心を打たれた。色々悩んだり悔しい思いもするけど、周りの先輩にも恵まれて、いいお客様にも出会えて、良かった。これからどんどん素敵な調律師になっていくんだろう。

    納得の本屋大賞でした。

  • 本を読みながら、そして本を読んだあと
    じんわりと温かな気持ちがこんなに心を包むなんて!

    ピアノ調律師となる青年の成長を描いた小説

    すごい大事件が起こるとか
    どんでん返しがラストに待っているとか
    ショッキングな過去があるとか
    ではなく、

    人が何を思い、何に”生きる”かということをじんわりと感じることができて
    仕事を始めた時に感じたもやもやとしたことやら
    夢をかなえながらも自分に自信がなくて落ち込んだこと
    そんなことを読みながらふわふわと思い出してしまった。

    行間から音が流れる小説というのだろうか
    ピアノの音が恋しくて仕方がなくなってしまった
    そして森
    ページをめくるたびに森の香りを感じるような…

    もしも自分の行く道に迷っている人がいたら
    この本をぜひともおすすめしたい。

  • 2016年の本屋大賞受賞作。
    2018年には映画化もされてるけど、完全に初見・前情報無しで読みました。

    非常に、良き!! 1つのことに誠心誠意向き合うことの素晴らしさを感じられた。
    この感覚は『舟を編む』以来だと思う。

    タイトルが良いです。
    読んでみて意味がわかる。

    ここ数年の流行りの「もしも野球部のマネージャーが〜」みたいなのは嫌いなので、本のタイトルのお手本って感じ。

  •  そうか。これが本屋大賞か。この汚辱にまみれた世にこんな類いまれな清冽な物語が正当に評価されるなんて、この世も捨てたもんじゃないな。ここには金勘定も愛憎も人間関係すらもない。限られた登場人物はみな独白のような台詞を吐き、その一言一言が読み手に重く響き、人生について考えさせる。ただただまっすぐに生きるとはどういうことかを思い出させてくれる。この作品の主題は羊でも森でも、ピアノでも音でもない。読んだ後にはそれらが渾然一体となった大きな宇宙に放り出されるかのような心もとなくはあるが確かな高揚感が残る。神の啓示のような体育館のピアノで始まり、神の恩寵のような結婚式のピアノで終わる構成もすばらしい。大きな事件もなくただ坦々と日常が綴られていくだけなのにどんどん世界が広がってゆき読み終えるのがもったいない。こんな本にめぐり会えた幸せを噛みしめる。

  • 「美しい」という言葉を頻繁には使わないけれど、これは本当に「美しい物語り」。本来は音を響かせない印刷された無機質な文字が、ページをめくるたびに美しく澄んだ静音をキーンと鳴り響かせる。静かに佇む森林にそそぐ光がつくりだす、耳では聞こえないはずの「光の音」のような美しい物語り。

  • 主人公や双子のように打ち込めるもの(この表現がちょっと違う)にもう出会えないんだろうな、とちょっと寂しい気持ちになりながら読んだ。

  • 調律師という仕事とピアノを通して、美しいものを見つめ、形をとらえ、それに寄り添おうとする調律師のお話。

    私観だけど歳をとるごとに「美しいもの」と感じたものの「美しさ」のありかは複雑になっていっている気がする。
    それは年月を重ねて私が新たに色んな言葉や概念を獲得したからでもあるし、思い出やノスタルジーが重なるからでもある。
    そういう「美しさ」のありかを丁寧に、言葉に置き換えることで損なわないように、慎重にすくい取っている作品だ。

    この作品を読むまでは、調律とは「ピアノのメンテナンスをし、音程を正常に戻す作業」だと思っていたけど、調律とはもっと前向きな「力」だ。

    読み終えて改めて「羊と鋼の森」って素敵なタイトルだよなあと思わずにはいられない。

  • 「羊と鋼の森 」とてもいい小説でした。 久々に、小説を読んで鳥肌がたった。宮沢賢治の雨ニモマケズのような世界観と潔さがあります。調律師の話なのでピアノがテーマであるのですが文章の中にしっかりとその音が感じられ、そのピアノが鳴る場所へしっかりと連れていかれます。

    恩田陸さんの蜜蜂と遠雷を読んでいても感じたことなのですが優れた作家さんの文章からは共感覚の特殊能力を持ち合わせていない人間にも、文章を読むだけで音が聞こえてきます。youtubeを開いてその文章の中にあるタイトルの曲を聴きながら小説を読むことでより、臨場感を感じられるということもありますが、ひょっとするとyoutubeを開かずに文章だけを読んでいるときの方が、その音はより大きく聞こえてくるのではないか?と、そんな気持ちさえ起こります。
    文体の持つ、そのリズムとその音色をぜひ感じていただきたく思います。
    オススメの作品です。

    作中のワンフレーズから感じること

    【生まれて初めて道を出た。】
    道って、なんだ?って思ったけど、北海道って、道 なのですよね。 北海道の中にいる、ということはこういうことなんだな、というくらいに普通すぎて気が付かなかった。

    【原民喜 「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようで、きびしく深いものを堪えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」】

    調律師の板取さんが、調律師の目指す場所について引用した言葉ですが、音楽の目指すところとしても引用されてもいいくらいに鍛えられた言葉ではないかと思います。



    【「ギリシャ時代にはさ、学問といえば、天文学と音楽だったんだって。つまり、天文学と音楽を研究すれば世界が解明できるってこと。そう信じられていたんだ。」】

    毎日、音を奏でている人達を焚き付けるには充分な言葉であると思います。
    僕らが音を楽しむこと、それはすなわち、世界を解明しようとしているのだと。

    【「ノートを取るくらいに素直だったら、って思うことがあるよ。仕事を始めてすぐに大事なことをいっぱい見聞きするんだ。それをメモしておけば、もっと早くコツを掴めたかもしれないのに。手間を惜しんだってより、勘違いしてたんだな。技術は身体で覚えるだろうって」】

    【「幻想。耳が覚えるだろう、指が学ぶだろう、なんてのは幻想。ここだよ、覚えるのは。」 そう言って秋野さんは人差し指で自分の頭を指してみせた。】

    楽器の弾き方や、歌い方や、発声やハモリ、絵の描き方、運動時の身体の動かし方なんてのも、感覚で、って思うより、こまめにその感覚さえもメモしておいたほうがずっと早く上手くなれるのかもしれない

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著者プロフィール

宮下 奈都(みやした なつ)
1967年福井県生まれ。上智大学卒業。2004年、「静かな雨」で文學界新人賞に入選し、デビュー。日常に起こる感情の揺れを繊細で瑞々しい筆致で描きだす作品で知られる。『スコーレNO.4』が書店員から熱烈な支持を集め、注目を浴びる。代表作に、2016年本屋大賞、ブランチブックアワード2015大賞、「キノベス!2016」などを受賞した『羊と鋼の森』があり、2018年6月映画化。『静かな雨』が2020年新春映画化が決まり、2019年6月6日文庫化される。ほか、福井からトムラウシに移り住んでいた頃の日々を描いた『神さまたちの遊ぶ庭』や、福井での身辺雑記や本屋大賞受賞前後のエピソードなどを描いた『緑の庭で寝ころんで』がある。

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