- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784163902944
感想・レビュー・書評
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2016年の本屋大賞。
ピアノの調律師にスポットを当てる。
これは、本当に自分にあった仕事なのか、才能があるのだろうかと悩むこともある。
努力をすることが大切だと思っていたけど、努力は苦しいもの。いつかやめなきゃいけないもの。そうではなく、努力と言う認識ではなく、いつまでも続けられることこそが本当の才能だと思う。
少しは甘えているようでありながら、厳しく深いものを湛えている文体。夢のように美しいが現実のようにたしかな文体。
続けるには現実をきちんと見れないといけない。何よりも、自信と誇りを持たなければいけない。 -
#読了。2016年本屋大賞受賞作品。
特に音楽に興味があったわけではない外村。ある日体育館のピアノを調律師が調律した音色を聞き、自らも調律師なつことを決意する。戸惑いながらも、成長していく姿を描く。
淡々と静かに、とても丁寧に描かれている。ピアノの音の描写では音色が伝わってくるような気持ちになる。調律師の仕事というものを実際に見たことは1~2回しかないが、今度じっくりと見たくなった。 -
「やわらかい音にしてほしいって言われたときも、疑わなきゃいけない。どのやわらかさを想像しているのか。必要なのはほんとうにやわらかさなのか。技術はもちろん大事だけれど、まず意思の疎通だ。できるだけ具体的にどんな音がほしいのか、イメージをよく確かめた方がいい。」
ピアノの調律師の話ですが、自分の仕事と照らし合わせて考えられる素晴らしい本でした。
美しい文章で、宝物にして取っておきたくなるような言葉が多かったです。
「世界の輪郭が濃くなった」
「ピアノを食べていきていくんだよ」
「怖けりゃ必死になるだろ。全力で腕を磨くだろ。もう少しその怖さを味わえよ。怖くて当たり前なんだよ。」
加えて、自分の進んでいる道に対して、才能などの言葉で片付けない主人公の考え方も好きです。
「今の段階で必要なのは才能じゃない。…才能という言葉で紛らわせてはいけない。…経験や、訓練や、努力や、知恵、機転、根気、そして情熱。才能が足りないなら、そういうもので置き換えよう。」 -
ピアノに向き合いながら、自分を「旅」する。
なんでか分からないけど好きな気持ち、影響された自分は否定するもんじゃない。それでいいんだ。
もはやそれは既定路線で、自分の何かがそれに導いているのかもしれない。自分の視界に映る色は自分のモノとして大事にしようと思った。 -
才能が無く結果が出ない苦い現実に対し、諦めることを知らないまっすぐな主人公というのが、鬱蒼な雰囲気を帯びつつ妙な明朗さがある作品
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表現が好きだった
読みやすい
ピアノ弾きたくなった -
ピア・サポーターズMさんのおすすめ本です。
「この本は、ピアノとあまり関わりがなかった高校二年生の外村が、学校のピアノを調律しに来た調律士の板鳥と出会ったことから調律士を目指し、そして調律師として人やピアノと向き合い成長していく物語です。調律師という人に知られにくい職業の面白さや彼らの音に対する熱さがいっぱい詰まっています!ぜひ読んで感じてみてください。」
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この人の書く文章は、透明感があって、でも豊かだ。題材がピアノと調律で、舞台が自然豊かな北海道ということもあるのかもしれないけれど、文章の後ろに、さやさやと涼しげな音を立てる小さな滝があるような感じ。
静謐な文章に比して、ストーリーはなかなか情熱的。人がほんとうに自分のすべきことを見つけて、それに一心に取り組もうとする、その真っ直ぐさがとても眩しい。こういうふうに思える何かが欲しい、と素直に思える。頭で、理性でちょこちょこと作業してたどり着くものではなくて、その場、目の前のものと向き合って、耳を傾けて、本来の姿を現してあげる。そういうものへの情熱が、欲しい。 -
ピアノの音に対する表現が多彩で、いろいろな風景と音をイメージできました。
ピアノによる音色の違いを聴き取れるようになりたいと思いました。特に、夜になる前の秋の森の匂いがする音、とても気になります。
また、板鳥さんが目指す音も魅力的で、私が趣味でやっているのは他の楽器ですが、理想にしたい表現だと思い出した。
それから、外村くんの感性やものの言い回しがとことんポエムのようで、無垢なような掴み取るのが難しいような、良いもどかしさを感じました。 -
2016年 本屋大賞 受賞
ピアノは弾けません。
「ド」がどの鍵盤なのかも知りません。
なんですが、
鍵盤を叩けばハンマーが動き、
弦を打って音が出ることは知っています。
その動きが美しいことも知っています。
非常に興味深く読みました。
ピアノって名の箱。
極めて小さい内部空間が、
無限の広がりを持った。
本書の感想では無いが…
自分の中のイメージ。
スケールでかくなった。
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本を閉じれば余韻に浸れるような、最初から最後まで心が浄化されるような、本当に綺麗な本だった
タイトルがピアノをmade byで表していて、そのピアノをまるで大自然の1部であるかのように表現する。
その表現をする人が、田舎暮らしの、特に強みもない男の子だが、町立に魅了されて1本の人生をあゆみ出すのもとてもピアノの魅力に引かれた
https://t.co/RocQOLijU3 -
すごく美しいかった。文章も、物語も美しくキラキラしていた。
「たとえば、実家にいる頃ときどき祖母がつくってくれたミルク紅茶。小鍋で煮出した紅茶にミルクを足すと、大雨の後の濁った川みたいな色になる。鍋の底に魚を隠していそうな、あたたかいミルク紅茶。カップに注がれて渦を巻く液体にしばらく見惚れた。」
「森の中で、熟した胡桃がほとほもと降る音。木の葉がしゃらしゃら擦れる音。木の枝に積もっていた雪が解けてちょろちょろ流れ出す音。」
言葉にできない日常の風景を大切に紡ぎとっている感じがとても心地よかった。 -
ピアノとの寄り添い方が変わった本。
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これはいい本です。
心温まる鳥肌本ですね。
『極める』ってなんなのか?
極めたって誰が決めるの?
たぶん答えは果てしない。
終わりなんてないし、
自分で折り合いをつけて、
自分で評価して、
誰かに褒められて、
これでよかったのかって気づくんですよね。
森の入口はどこにでもあって
大事なのはどうやってその森を進んでいくのか。
答えなんてないから
叶えたい夢が叶わなかっても
また次の夢に出会えるんですよね。
スモールワールドの中の
ふかーいピアノ調律師のお話でしたー!
ほっこりしたい方におすすめです! -
たったいま読了。ラストへ迫るにつれて、泣きっぱなしだった。美しく、朝露のような儚さが、絶対も、正しいも、役に立つも、無駄も外されて変わっていく過程。ピアノの森の中で必死に迷いながら揺れながら、やさしく、強く生きていく理由。
きっと、これから礼儀や社会のルールを知って、おいしくなっていく。どんなに小さなものだろうと、たった一つのものをきちんと創り上げることに捧げられた人生は、すごいと思う。若き日の好奇心、開かれた心、子供のころの常に知りたがるあの感覚、そこに生まれる関係性、なんとなく小さな目標がぼくを導いていくんだなと思った。 -
ピアノ調律のお話。
無知でも読めるいっさく -
何だろう、調律師の話だとも知らず手に取った本だったけど、すごく惹き込まれて読んだ。
ピアノの調律師との偶然で運命的な出会い、きっとそういう出会いは世の中にある。素直にそれに向かって成長する姿に、心を打たれた。色々悩んだり悔しい思いもするけど、周りの先輩にも恵まれて、いいお客様にも出会えて、良かった。これからどんどん素敵な調律師になっていくんだろう。
納得の本屋大賞でした。 -
>無数の星々の間からいくつかを抽出して星座とする。調律も似ている。世界に溶けている美しいものを掬い取る。その美しさをできるだけ損なわないようそっと取り出して、よく見えるようにする。
静謐な文体と比喩のミルフィーユが独特の世界を醸し出していた。私は数学は苦手だけど、数学的な美なるものを感じた。
例えば絵を描くとき、どこまで描いたら「完成」とするのに画家は頭を悩ませる。
数学も、パキッと割り切れるようでいて、案外割り切れずにどこまでも延々と続く深淵がある。
調律という仕事にも似たような面があるのだろう。
ピアノを弾くとき、演奏者は絶対的な孤独の中に身を置いて、その場限りの狭い狭い世界を支配する。演奏者に向けて、客に向けて、音がポーンと真っ直ぐに届けられるよう、影から支える調律という仕事のストイックさがずしりと胸を打った。 -
2016年の本屋大賞受賞作。
2018年には映画化もされてるけど、完全に初見・前情報無しで読みました。
非常に、良き!! 1つのことに誠心誠意向き合うことの素晴らしさを感じられた。
この感覚は『舟を編む』以来だと思う。
タイトルが良いです。
読んでみて意味がわかる。
ここ数年の流行りの「もしも野球部のマネージャーが〜」みたいなのは嫌いなので、本のタイトルのお手本って感じ。