羊と鋼の森

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 7606
レビュー : 1258
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902944

感想・レビュー・書評

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  • 高校の体育館でピアノの調律と運命的な出会いをして調律師を志し、調律師として成長していく物語。

    小説を読む愉しみを、醍醐味を、存分に味合わせてもらえる作品でした。

    一つは表現。
    ピアノの音の表現や比喩が美しくて、それを読めることに幸せを感じました。
    ぐっとくる言葉も随所にあって、心を掴まれました。
    こういう表現に出会えることが小説を読んでいて堪らなく嬉しい気持ちになるんだよなぁ、としみじみ。

    そして、物語の内容。
    仕事で行き詰まりを感じていたり、何かの悩みで立ち止まっている時に、コツコツと歩みを進める主人公に共感したり励まされるのでは、と思います。

    会社の人々に見守られながら、お客様との出会いで気づき経験を積みながら、努力をしながら、成長していく姿。
    そうだよね、って思いました。
    努力もだけれど、自分と関わってくれる人、もの、様々な存在が力を与えてくれたり、勉強になったり、自分を作っていってくれる。
    こうしてこの本に出会えて、読めたことで、私の中にも入ったものがありました。

    感性、感覚、感じる事を、大事に味わいたくなりました。

    余韻に浸っています。
    また少し時間をあけて読みたいな。

  • ピアノ調律師の話。
    学校の体育館に案内したのが始まり。
    物事のはじまり、流れが変わるキッカケは案外こんな単純なことなのかもしれない。そのときの自分の心の動きをきちんと捉えられたから、今後にうまく行かせたり失敗を割けられたりできるのかも。
    この本を読んだらピアノの音が聞きたくなり、家にあるフジコ・ヘミングさんのCDを聴いてしまったわ。

  •  時間をかけてようやっと読了。区切りはなく、空気感は静だけれども、主人公の外村君のなかでは動。どの言葉も素敵で、それでもって「ああーそうなのかな」ってなる。
     中学の時、音楽の授業の後には、いつも友人がピアノを弾いていて、大抵が合唱曲の伴奏だったけれど、ピアノを弾いているのを聴いて、観ている時間が好きだった(その後の授業の時間が間に合わずバタバタと教室に戻ることもしばしばだったが)。だから、ピアノに魅力を感じるのがなんとなくわかる。自分はピアノを弾けないから余計なのかな。それでも、ピアノに触りたくなった。たいそうな音楽を鳴らすことは出来なくとも、音を鳴らすことは出来ると思うから。

  • 本屋大賞受賞ということで、図書館で予約。
    回って来る前に読んだ宮下さんの別の本があまり面白くなかったので期待せずに読みました。が、すっごく良かった!

    私自身、趣味程度ですがピアノを弾くので、とても興味深く読みました。主人公は確かにちょっと(かなり?)めんどくさい性格かもしれませんが、素直で、誠実で、きっと良い調律師に成長すると思います。

    ゆったりと流れる世界観。

    読んでいると、ピアノが弾きたくなってきますね。
    数年後の話を続きで読みたい!

  • (2017/10/21読了)
    宮下さんは、若年層向けと決めつけていたのは間違いだった。星は大満足の満点です。
    私は幼少期からピアノに憧れ続け、大人になってやっとピアノを習えるようになり、調律師さんを自分で探して、その人柄に触れ、調律の様子を見ている今だから、この物語にすごく興味深く惹きつけられるのだと思う。
    心に響くフレーズも、沢山あった。
    主人公をはじめ、主要人物たち皆が優しく、自分を持っている。自分も、皆の仲間になったような気持ちで読めた。美しい物語です。

    (内容)
    ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。

  • 面白くて一気に読みました。
    「羊と鋼の森」って、ピアノの調律師の世界のことだったんだぁー・・・
    タイトルも例にもれず、文章に一切難しい単語がない。
    誰でも知っている日本語だけで、とても素敵な伝わってくる豊かな表現をされる作家さんだと思いました。
    読書をする習慣がない人でも、題材が好めばスッとその世界観に入って読めるのではないかと思います。

    もっともっと早くこの本に出合っていたら、ピアノが大好きになって手放すこともなかっただろうな・・残念。
    でも、これから聞くピアノは、今までとは異なる感性で聴けると思う。いろんなことに気づけると思う。それは楽しみ。間違いなく世界が広がりました。

    登場人物のキャラ設定もとてもよかった。
    主人公の外村くんの謙虚すぎる性格。そして彼の成長を、それぞれの持ち味で見守りサポートする人たち。

    天の川のかささぎの比喩、とても素敵で分かりやすくて気に入った。
    何かを成し遂げたいときの、私の思考の一部になりそう。

    これから何かを目指そうとしている人や、そのご両親におすすめの一冊。

  • ストーリーはたんたんと進み
    決して面白いストーリーではないのに
    どんどんストーリーの中に自分が穏やかに溶け込んで行きすごく穏やかに読めた作品でした。
    1つの景色でも音でも、どれが一番なんてないし
    多くの人に価値の無いものでも、誰か1人のかけがえのない価値のある物になればそれはこの世界で一番の価値のある物になるんだと…
    いっぱい素敵言葉にもめぐりあえた作品でした。

  • 2016年第13回本屋大賞受賞作。

    予備知識もなく、タイトルからミステリーものかと思っていましたが、いわゆるお仕事小説でした。
    羊と鋼とは、ピアノの羊毛フェルトのハンマーと鋼のピアノ線のことだったのでした。
    調律師の話で、主人公が調律師と出会って調律師として成長していく、王道的なつくりでした。
    青春の軽さがないのが、ちょっと物足りなくも、登場人物たちやエピソードが素敵で秀作だと思います。
    続編として由仁が調律師になる話が読みたいと思いました。

  • 調律師という、私には全く接点のない職業のお話。
    文章に透明感があって美しい。
    ピアノの音色なんて全く分からない私にもメロディが聴こえてきそうな本だった。

  • ピアノ調律師という職業に対する見方が変わった一冊。
    調律師が職人的技術で音程と音色を調律することで、始めてピアノは息を吹き込まれるんですね。
    ピアノの音色や演奏された音楽から見えてくる風景の描写は珍しいけど、文章表現が上手く本当に目の前に風景が見えてくるように感じる。
    外村君のささやかな成長物語としても安心して読めたし、爽やかな読後感に包まれた。

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著者プロフィール

宮下 奈都(みやした なつ)
1967年福井県生まれ。上智大学卒業。2004年、「静かな雨」で文學界新人賞に入選し、デビュー。日常に起こる感情の揺れを繊細で瑞々しい筆致で描きだす作品で知られる。『スコーレNO.4』が書店員から熱烈な支持を集め、注目を浴びる。代表作に、2016年本屋大賞、ブランチブックアワード2015大賞、「キノベス!2016」などを受賞した『羊と鋼の森』があり、2018年6月映画化。『静かな雨』が2020年新春映画化が決まり、2019年6月6日文庫化される。ほか、福井からトムラウシに移り住んでいた頃の日々を描いた『神さまたちの遊ぶ庭』や、福井での身辺雑記や本屋大賞受賞前後のエピソードなどを描いた『緑の庭で寝ころんで』がある。

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羊と鋼の森 (文春文庫) Kindle版 羊と鋼の森 (文春文庫) 宮下奈都
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