羊と鋼の森

著者 :
  • 文藝春秋
3.92
  • (809)
  • (1159)
  • (732)
  • (123)
  • (24)
本棚登録 : 7604
レビュー : 1258
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902944

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • とても久しぶりに読む宮下奈都さん。本屋大賞受賞作ということで。

    高校生のとき、森のようなピアノの調律に魅せられてから調律師を目指すようになった外村。
    彼の成長を垣間みれるような、とても静かで内省的な小説でした。
    職業としての調律たるものをしみじみと感じました。「ピアニストを育てるのも調律師の仕事」という板鳥さんの言葉にはなるほどと思った。
    音楽と才能って切り離せないもので、そのやるせなさは痛いけれど、それでも外村が羊と鋼の森をさまよった先にある美しい何かが聞えた気がしました。

  • おすすめ。音を感じた一冊。

  • 調律師を目指す青年の姿を繊細に描いた一作。
    ピアノから聴こえる音を森に例えてあって、これが実に美しく詳細に描きこまれおりイメージが膨らむ。
    これを読んでいると、ピアノの曲が聴きたくなってくる。
    女性作家ゆえに男性の姿があまりにも中性っぽいというかイノセントなのは少し物足りないが、この物語にはあっているのかもしれない。
    調律師の世界に関しては偶然先日テレビで見てたために、しっかり書き込んである内容が分かってより物語に入れてよかった。
    大きな話ではないのだけれど、キレイで気持ちの良い一作だった。他の作品も読んでみよう。

  • ピアノの調律師が主人公のお話。
    雨の日に読みたいなと思った1冊。
    こんな世界もあるんだな。
    主人公は、若いのに達観しててちょっと面白かった。

    特に盛り上がりもなく、淡々と進んで終わります。
    読みやすいので、読書初心者にはおすすめできるかも。
    個人的に響くものは無かったが、生き方に迷ってる人には響くのかな。

  • 主人公の純朴さ、コツコツと成長していく様子が、美しい情景の描写によって北海道の森の風景を呼び起こし、木漏れ日の光、木々のざわめきなどが浮かんできて懐かしい温かい気持ちになった。「才能があるから生きていくんじゃない、そんなもの、あったって、なくたって生きていくんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。」手探りでこれでいいのかと戸惑いながら一歩ずつ確信に変えて歩もうとしていた青春時代を思い出した。音楽をわからないわたしは半分も理解できなかったかもしれないが、そんなことも許してもらえそうな本でした。

  • 淡々と進む話の中に、熱い情熱を感じる作品だった。タイトルからは想像がつかなかったが、ピアノの調律師の卵の話。音楽や、音が見えてくるようだった。
    かつては主要な学問であった今、現代でも音楽に、真摯に向き合う人たちが愛おしい。

  • 「才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。どんなことがあってもそこから離れられない執念とか闘志とか、そういうものと似ている何か。俺はそう思うことにしているよ。」調律にも才能が必要なんじゃないかと悩む主人公に、先輩が答える。ピアノの繊細な音作り、ピアニストや調律の仕事への尊敬に溢れてる。素朴で生真面目な主人公と一緒に悩み迷いながらも、登場人物があたたかく、喜びに満ちた読後感。
    2016年本屋大賞

  • あー。いいお話だったー。「ピアノで食べて生きていく」んじゃなくて「ピアノを食べて生きていく」っていうひと言が刺さった。何かをあきらめること、についてもとりとめなく考えさせられた。高校生に読んでほしい本だなあ。

  • 最近聴いた H.グリモーと M.ヴェンゲーロフ。
    どういうわけか、この二人は楽器を奏でている、というよりも彼らが音楽そのもので、楽器という”出力チャンネル" を通じて音楽が外界に流れ出でてくる、そんな印象をつねに受ける。

    いろんなピアノを思い浮かべつつこの小説を読む。

    "羊と鋼の森" とタイトルされたピアノ、それは ”出力チャンネル" である、とは限らない。
    ある時は存在そのものであり、ある時は虚しい空洞であり、ある時は頑として言うことをきかない壁になる。

    北海道の山の中で育った主人公 外村 は、高校時代のある日、板鳥という調律師が体育館のピアノを調律する場に偶然立ち会って「これさえあれば生きていける」と調律師になることを志す。
    専門学校で学んで、板鳥の働く楽器店に就職し、先輩調律師の柳や秋野らにさまざまなことを教わる。
    柳の調律の見学で知り合った、和音と由仁というピアノを弾く双子の話が平行して進む。

    音をめぐる物語を文字だけで表現するのはなかなか難しい反面、読者が自由に好む音を想定しながら読むこともできよう。
    去年だかのショパン・コンクールの番組も思い出す。
    調律師が渾身の音を作り上げた、にもかからず選ばれなかった FAZIOLI .....
    結局Steinway ばっかりの、正しさツマンなさ........

    ホンモノの音楽家は「出力チャンネル」たる楽器が必要だが、そうでない者に対しては力量相当の調律を施すという元演奏家の話に胸を打たれる。

    p.s.
    宮下奈都さんの トムラウシ滞在記「神さまたちの遊ぶ庭」と読んだ。そちらを先に読むと、本作はより楽しめよう。
    あ、そうか、主人公は外村 トムラウシの子 だね。

  • あまり情報を得ずに手に取りましたが、羊と鋼って、あぁ、ピアノ、そういうことか、と。
    私も音楽をかじってきたので、すんなり楽しめました。楽器を陰で支える職業のことをとても丁寧に詳細に描いてくださっていて、これからコンサートなどに行くことがあったらきっと調律師の存在を思い出しながら鑑賞することでしょう。
    そして、他のどんな仕事の人にとっても、勇気付けられたり誇りを持てたりする要素があるように思いました。
    無駄なことは何もない。毎日コツコツ、ですね。

全1258件中 81 - 90件を表示

著者プロフィール

宮下 奈都(みやした なつ)
1967年福井県生まれ。上智大学卒業。2004年、「静かな雨」で文學界新人賞に入選し、デビュー。日常に起こる感情の揺れを繊細で瑞々しい筆致で描きだす作品で知られる。『スコーレNO.4』が書店員から熱烈な支持を集め、注目を浴びる。代表作に、2016年本屋大賞、ブランチブックアワード2015大賞、「キノベス!2016」などを受賞した『羊と鋼の森』があり、2018年6月映画化。『静かな雨』が2020年新春映画化が決まり、2019年6月6日文庫化される。ほか、福井からトムラウシに移り住んでいた頃の日々を描いた『神さまたちの遊ぶ庭』や、福井での身辺雑記や本屋大賞受賞前後のエピソードなどを描いた『緑の庭で寝ころんで』がある。

羊と鋼の森のその他の作品

羊と鋼の森 (文春文庫) Kindle版 羊と鋼の森 (文春文庫) 宮下奈都
羊と鋼の森 (文春文庫) 文庫 羊と鋼の森 (文春文庫) 宮下奈都
羊と鋼の森 Audible版 羊と鋼の森 宮下奈都

宮下奈都の作品

ツイートする