羊と鋼の森

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 7602
レビュー : 1258
  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163902944

感想・レビュー・書評

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  • 文体は全然違うけど、蜜蜂と遠雷が何度もよぎりました。音楽を言葉で表現する表現力には、すごいの一言。蜜蜂と遠雷が動なら、この作品は静でした。
    一人の少年が素晴らしい調律師と出会い、心を、人生を揺さぶられ、自らも調律師となり、コツコツと真っ直ぐに極めていく。音楽への憧れと畏れ、理屈じゃなく虜になってしまう神秘が、静かな森から鳴っていて、ずっとずっと読んでいたいと思いました。
    こんな世界を感じてしまったら、もう戻れないのだろうな。けど、少し、いや、かなり、羨ましいな。戻ってこれずに虜になってしまう程の心の揺さぶられを、私も感じてみたい。

  • 高校の体育館で見かけたピアノの調律に感銘を受け、自身も調律師になることを決めた戸村。
    駆け出しの調律師の成長物語。

    ↑こんな風に書いてしまうと違う話のように感じてしまうほど、とても美しい物語でした。

    以前我が家にもあったピアノ。
    娘の習い事のためのものでしかなく、調律は面倒だと思っていたことを、恥ずかしく感じます。
    登場する調律師が、皆それぞれの温度で、熱くピアノと向き合っているということに、感動しました。
    戸村の成長に期待します。

  • 初めの一ページ目で引き込まれる感じがすごかった。一気にこの本の世界観に引き込まれる感じがした。
    外村くんの純粋な板鳥さんへの憧れが、森の中を彷徨うようにしながら明確なものになっていく。
    3年という短い期間でのお話だけど、音との繋がりで気づかされる大切なことは、今の仕事の中でも大事なことなんじゃないかないかと感じた。
    ピアノの事は全く知らないけれど、一気に読めた!
    ただ、本のデザインからくるイメージと本を読んだ後のイメージがちょっと違和感。

  • 2016年の本屋大賞。

    ピアノの調律師にスポットを当てる。
    これは、本当に自分にあった仕事なのか、才能があるのだろうかと悩むこともある。

    努力をすることが大切だと思っていたけど、努力は苦しいもの。いつかやめなきゃいけないもの。そうではなく、努力と言う認識ではなく、いつまでも続けられることこそが本当の才能だと思う。

    少しは甘えているようでありながら、厳しく深いものを湛えている文体。夢のように美しいが現実のようにたしかな文体。

    続けるには現実をきちんと見れないといけない。何よりも、自信と誇りを持たなければいけない。

  • ピアノ調律のお話。
    無知でも読めるいっさく

  • 調律師をモチーフにした仕事小説。ピアノの調律の奥深さを感じさせてくれる。一切の情熱を仕事に注ぎ、つまづきながらも成長していく主人公の姿は美しく感動的。

  • 本を読みながら、そして本を読んだあと
    じんわりと温かな気持ちがこんなに心を包むなんて!

    ピアノ調律師となる青年の成長を描いた小説

    すごい大事件が起こるとか
    どんでん返しがラストに待っているとか
    ショッキングな過去があるとか
    ではなく、

    人が何を思い、何に”生きる”かということをじんわりと感じることができて
    仕事を始めた時に感じたもやもやとしたことやら
    夢をかなえながらも自分に自信がなくて落ち込んだこと
    そんなことを読みながらふわふわと思い出してしまった。

    行間から音が流れる小説というのだろうか
    ピアノの音が恋しくて仕方がなくなってしまった
    そして森
    ページをめくるたびに森の香りを感じるような…

    もしも自分の行く道に迷っている人がいたら
    この本をぜひともおすすめしたい。

  • 2016年の本屋大賞受賞作。
    2018年には映画化もされてるけど、完全に初見・前情報無しで読みました。

    非常に、良き!! 1つのことに誠心誠意向き合うことの素晴らしさを感じられた。
    この感覚は『舟を編む』以来だと思う。

    タイトルが良いです。
    読んでみて意味がわかる。

    ここ数年の流行りの「もしも野球部のマネージャーが〜」みたいなのは嫌いなので、本のタイトルのお手本って感じ。

  • 主人公や双子のように打ち込めるもの(この表現がちょっと違う)にもう出会えないんだろうな、とちょっと寂しい気持ちになりながら読んだ。

  • 調律師という仕事とピアノを通して、美しいものを見つめ、形をとらえ、それに寄り添おうとする調律師のお話。

    私観だけど歳をとるごとに「美しいもの」と感じたものの「美しさ」のありかは複雑になっていっている気がする。
    それは年月を重ねて私が新たに色んな言葉や概念を獲得したからでもあるし、思い出やノスタルジーが重なるからでもある。
    そういう「美しさ」のありかを丁寧に、言葉に置き換えることで損なわないように、慎重にすくい取っている作品だ。

    この作品を読むまでは、調律とは「ピアノのメンテナンスをし、音程を正常に戻す作業」だと思っていたけど、調律とはもっと前向きな「力」だ。

    読み終えて改めて「羊と鋼の森」って素敵なタイトルだよなあと思わずにはいられない。

著者プロフィール

宮下 奈都(みやした なつ)
1967年福井県生まれ。上智大学卒業。2004年、「静かな雨」で文學界新人賞に入選し、デビュー。日常に起こる感情の揺れを繊細で瑞々しい筆致で描きだす作品で知られる。『スコーレNO.4』が書店員から熱烈な支持を集め、注目を浴びる。代表作に、2016年本屋大賞、ブランチブックアワード2015大賞、「キノベス!2016」などを受賞した『羊と鋼の森』があり、2018年6月映画化。『静かな雨』が2020年新春映画化が決まり、2019年6月6日文庫化される。ほか、福井からトムラウシに移り住んでいた頃の日々を描いた『神さまたちの遊ぶ庭』や、福井での身辺雑記や本屋大賞受賞前後のエピソードなどを描いた『緑の庭で寝ころんで』がある。

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