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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784163902982
作品紹介・あらすじ
日本で生まれ、育った私たちは、イスラム教徒になった。
日本で学び、働き、生きる、11万人のイスラム教徒。
彼らはこの国で、イスラム教とどう向き合い、どう実践しているのか。
これまでほとんど語られることのなかった「隣人」たちの姿。
彼らの日常を通して、「本当のイスラム教」が見えてくる。
・OLとして働きながら、1日5回の礼拝をいかにこなしているのか?
・自身の入信を、家族に納得してもらえるのか?
・日本式の冠婚葬祭には出席できるのか?
・なぜ一夫多妻制が認められているのか?
9・11直後から、日本のイスラム教徒を取材してきたフォトジャーナリスト。
その10年以上の取材によって、「すぐ隣のイスラム世界」が浮かび上がる。
【目次】
■はじめに
日本には11万人のイスラム教徒がいる。日本で生まれ、育ち、入信した人たちもいる。私は14年近く、この「隣人」たちが、いかにイスラム教と日本社会の双方に向き合ってきたかを取材してきた。
■序章 東京新聞への抗議デモ、その舞台裏で
抗議に訪れたイスラム教徒に対して、東京新聞の担当者は、おもむろに掲載されたムハンマドの風刺画を差し出し、「この絵でよろしいですね?」と確認を求めた。私は彼らの気持ちをじっくり聞いてみた。
■第一章 礼拝、断食、スカーフ……。イスラム教徒の日常
イスラム教徒は外出先でも、礼拝の前は両手だけではなく、両足も洗って浄めなくてはならない。そのため、ある日本人の男性イスラム教徒は、常に水入りのボトルを携帯し、トイレの個室で両足を洗っていた。
■第二章 断食中に大事な接待、そのときどうする?
エジプトの大学に留学するため、入信した樋口美作さんは、1968年に日本航空に入社した。接待の席で「酒を飲めない」とは言えなかった樋口さん。彼は、今でもその「償い」を自らに課し続けている。
■第三章 イスラム教徒は冥福を祈れない
パキスタン人と結婚した日本人女性イスラム教徒。彼女は、父親の葬儀に夫が出席してくれるか心配していた。イスラム教徒はなぜ、日本式の葬儀への出席を躊躇うのか。彼らが「冥福を祈れない」理由とは。
■第四章 校長室で礼拝を
給食、礼拝、断食、服装。イスラム教徒の親は、子供の学校にこの4つの問題への理解と配慮を求める。学校は協力的だが、思春期の子供にとって、周りの生徒からの視線はもっと大きな問題だった。
■第五章 「いいかげん」なイスラム教の実践
コーランを解釈し、そこからイスラム教的に正しい答えを導きだす資格は、広範な学識を備えた法学者だけが持つとされる。だが、18歳のときに入信した大槻順子さんは、法学者を「クソじじい」と呼ぶ。
■第六章 イスラム教は「変」? 本当の一夫多妻制
イスラム教では、一夫多妻制が認められている。あ
感想・レビュー・書評
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イランでヘジャブ(髪を覆う布)を正しく纏っていないと逮捕され、獄死した女性のニュースを知った時、ちょうど手元に本書があった。多くの人同様警察の愚行には激しい怒りを覚えたが、本書の目次を読んである疑念が湧いてきた。
「我々もイスラム教徒の人達にこちらの基準を強要している節があるのでは?」
日本で暮らす彼らの日常及び彼らを取り巻く純日本人の対応について、フォトジャーナリストである著者が独自調査。序章ではシャルリー・エヴド事件の風刺画を巡るデモに触れているが、デモの実施についても信者間で意見が割れていたという。
したがって本書では「イスラム教徒」と一括りにせず、それぞれのイスラム教徒を「(全世界のイスラム人口である)16億人分の1の存在」と呼んでいる。
今回初耳で驚いたのは純日本人にもムスリム・ムスリマがおり、国内の生活に些か不自由していることだった。(驚いている時点で浅学菲才だったことを実感、そして猛省…)
インドネシア出身のソリハさんは上司や同僚が寛容なのに対し、数年前に入信・イスラム名に改名したイーマーンさんは会社でスカーフを纏うことを許されていない。
ソリハさん曰く「自分は外国人だから許されている」との事で、それがまた胸に刺さった…。それを踏まえると、イーマーンさんの上司の失言は"外国人"には面と向かって言えない偏見を日本人である彼女に吐き出しているようにしか見えない。
一方最近の小中高は比較的融通が利くようで、例えば礼拝用に校長室を提供している。(給食代わりの)お弁当は、周りを気遣い給食メニューに合わせている家庭の話には圧倒されたが…。
授業でイスラム教を習った際、解説に違和感を覚えることもあるらしいが、少なくとも著者が取材した子供達にはストレスになっていないみたいで安心した。
「一日5回のお祈りを合計しても30分もかからない」「『それくらい神様に時間やってもいいんじゃねーの』っていう感じ」
デモやその他事例から、信者の間にも教えに対して様々な解釈や齟齬があった。
ではイランの事件は、警察側の解釈との齟齬があったから"自ずと"発生したのか?我々は、日本の基準に合わないからと「郷に入れば…」を強要するか、そうした話題をひたすら避けていくしかないのか?
ソリハさんの会社は直接話をするのが一番だと思い、採用時になるべく質問やコミュニケーションを取るようにしたという。そして彼女は現在、公私共に安心して日本で暮らせている。
対話を重ねることで初めて、彼らは日本の中で"自分の"イスラム教を信じられるのか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
二〇一五年七月出版の本。九・一一からは十年以上経っているが、IS(いわゆる「イスラム国」)による日本人人質事件が起きたのがこの年の初頭だった。
本書の中でも繰り返し強調されているが、「イスラム教徒」と一括りにして概念的な知識や情報を得ることよりも、ひとりひとりの話を聞き、その暮らしを描き出すことを、本書では重視している(ルポルタージュだしそりゃそうだろうという気もするが)。私も、全体の感想というよりは、印象深かったところを点描的に書き留めておくことにする。
・古河電工に勤めるインドネシア人ムスリム女性のソリハさんの例。スカーフ着用、一日五回のお祈り、飲食の制限などが就職や業務遂行のうえでの障害になることはない。採用担当の関さんの、「外国人かどうか、何教徒かどうかは関係なく、この人に当社で働いて欲しいと思ったから、そのためにできることをしただけ」には納得。ただソリハさんの「私は外国人だから許容されている」という指摘も鋭い。
・アッラー以外の神に祈ってはならないという教えがあるため、ムスリムはお葬式でも「冥福は祈れない」。なるほど。そう言われてみると日本人はよく祈る。冥福だけでなく、挨拶として頻繁に、健康や活躍や繁栄など祈る。あれは誰に祈っているのだろう。神様仏様誰でもいいや、という感覚でいうと、アッラーにも祈っているかもしれない…。
・十八歳のときに自ら選んでイスラム教に入信した日本人女性の大槻さんがおもしろい。特に女性の扱いについてなど、自分としてもコーランに納得がいかないところがあるし「こんなこと息子が信じるようになったら困る」とも発言しており、でもある時期礼拝の時間が自分を救ってくれたことも事実で、なんとか自分と神様との間で落とし所を探ろうとしている様子に、こういう人もいるんだという驚きを覚えた。
・ジハードは聖戦と訳されるが、本来のアラビア語の意味は「奮闘努力すること」(寅さん…)。東日本大震災でイスラム教徒のグループが被災者支援を行ったことについて、「ただ困っている人がいるから助けただけ。もちろんそれは簡単ではない。被災地へ行くのも大変だし、自分たちの生活だってあるのだから。助けたいと思うのは当たり前でも行動を起こすには勇気がいる。だからこれが本当のジハードなのだ」と。-
なおなおさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
私は、近所にハラルフードショップがあったりして、本当に「隣人」という感じでおそ...なおなおさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
私は、近所にハラルフードショップがあったりして、本当に「隣人」という感じでおそらく暮らしておられるんだろうなあというところから関心を持っていて、やっと読みました。といっても、知り合いレベルでのお付き合いはないのですが。
礼拝室は見たことがありません。この本にあったエピソードでは、会議室や(学校なら)校長室などを礼拝用の部屋として使えるようにしてもらっている方もいるようでした。でも実は礼拝前の“お清め”として手足や耳の裏などを清めることも大切で、ある男性は、人目につかないよう、トイレの個室にペットボトルの水を持ち込んで足を洗っている、と話しておられました。
ただ、何をどの程度重視するか(そしてその通り実現できるか)はやはりその人(と周りの環境)次第であり、対話が必要なんだなあと感じました。空港や旅館のような公的な場所での、不特定多数向けの対応の例は本書ではあまり触れられていなかったので、なおなおさんのコメントのお話はまた新鮮でした!2023/09/03 -
akikobbさん、お返事をありがとうございます。
そういえば息子の先輩にインドネシア出身の女子がいたなと思い出しまして、息子に聞いてみまし...akikobbさん、お返事をありがとうございます。
そういえば息子の先輩にインドネシア出身の女子がいたなと思い出しまして、息子に聞いてみました。彼女は学校給食は食べずにお弁当持参で、ヒジャブは身につけていなかった、とのこと。保護者会などでお会いするお母様もつけてなかったですね。
空港で見た礼拝室について、ちょっと調べましたら、どなたでもOKだけど主にイスラム教の方向けに設置したと書いてありました。
前に読んだ「ふるさとって呼んでもいいですか」で、移民として生きること、イスラム教、日本の学校教育に戸惑ったことなどリアルに書かれ、この本に興味を持ったきっかけとなりました。
こちらこそakikobbさんのレビューやいただいたコメントで勉強になりました!ありがとうございました。2023/09/04 -
なおなおさん、こんばんは。
あまり頭でっかちにばかりなっても仕方ないと思いつつも、自分とは違う背景を持つ人の日常を少しでも想像してみるきっか...なおなおさん、こんばんは。
あまり頭でっかちにばかりなっても仕方ないと思いつつも、自分とは違う背景を持つ人の日常を少しでも想像してみるきっかけになる本に出会ったり、本でなくとも誰かにその経験を共有してもらえることは、ありがたいことだなと思います。2023/09/04
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イスラム教を知るための入門書としても最適な本だった。イスラム教の教え、ムスリムの生活がわかりやすく書かれている。
タイトル通り日本で暮らすムスリムについての描写が多いが特に、イスラム教徒の外国人とイスラム教徒の日本人を比較した考察が興味深い。
日本人はいつまでも意識の中では鎖国状態なんだろう。グローバルなんて程遠い。それが二者に対する態度の違いからよくわかる。
外国人だから許容する。日本人だから許容しない。日本人には日本人らしく生きることを無意識に強要する。
つい最近も外国人による犯罪が起こった。同時に移民受け入れが世界的な課題になっている今。日本は移民受け入れは難しいだろう。お客様としての外国人には優しくとも日本人としては受け入れられる素地がまだまだ足りない。
どっちが良いかは別問題だろうけど…-
vilureefさん、こんにちは♪
興味深い本ですね。
日本生まれ&日本育ちの方が、日本国内でイスラム教徒になったのでしょうか。
他宗...vilureefさん、こんにちは♪
興味深い本ですね。
日本生まれ&日本育ちの方が、日本国内でイスラム教徒になったのでしょうか。
他宗教に対して日本ほど寛容な国はごく少ないと思いますが、案外あちらはそんな風には思っていなかったりして。
私がこれまで出会った国の人たちは、自分たちと同じ宗教を信じるように、かなり強引な誘い方をしてきました。
まるで、信じないのは異端だとばかりに。
「では私と一緒にお寺に行ってお坊さんのお話を聞いてくれますか?」と言うとそれは全身で拒否するんですよね(笑)
自分たちのやり方は絶対変えずに、要求だけはする。
困ったことに、そうでない人には出会えませんでした。
半島に有事でもあれば、日本に移民がおし寄せるかもしれませんね。
いろいろな意味での覚悟が必要かもしれません。。
2015/09/25 -
nejidonさん、ご無沙汰てしてます。
お返事遅れてごめんなさい・・・
この本にはもちろん外国人のイスラム教徒の方も登場しますが、...nejidonさん、ご無沙汰てしてます。
お返事遅れてごめんなさい・・・
この本にはもちろん外国人のイスラム教徒の方も登場しますが、イスラム教徒と結婚して入信した方や、純粋にイスラム教に惹かれて入信した方など様々な人が登場します。
なので非常に面白く読めました。
ああ、外国の方は強引かもしれませんね。その光景が目に浮かぶようです。自分の信じているものが絶対ですものね。
でも逆を返せば、外国人であろうがだれでも分け隔てなく受け入れるということなのかもしれません。
微妙ですが日本人にその度量はないような・・・。
どちらが良いのか悪いのかは別としても(^_^;)
2015/09/29
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日本に住むイスラム教徒を負ったルポ。
イスラム教になじみが薄い日本で、彼らははどのように暮らしているのか?
イスラム教徒として、どう子どもを育てていくか。
日本で働くことと、ムスリムとしての生活様式・習慣とどう折り合いをつけているのか。
ムスリムとの結婚や、親の代からのムスリムというわけでもなく、全く自らの意思でイスラム教徒になった日本人もいる。そういう人たちのことを知る機会は少なく、本書はそういう意味でなかなかいい線をついていると思う。 -
書店で偶然この本を目にして、イスラム教の友達もいることだし、彼らを正しく理解するためにも、イスラム教について、知っておきたいと思って読んだ。
日本に住むムスリムの人たちの苦労も知ることができた。偏見のない正しい知識が得られたと思う。 -
ムスリムが日本に住むという事がどういうことなのかが分かる本。職場・学校での礼拝はどうするのか?食べ物の問題は?ムスリム以外の人との人間関係は?子育ては?などなど。また同じムスリムでも、イスラム教圏で生まれ育った外国人と純粋な日本人の間では社会的な認識に大きな違いがあるのも印象的。
いくつか、気になること…
日本人ムスリムに関しては、1人を除いて全て女性教徒の例だった。職場でのヒジャーブ(女性が付けるスカーフ)着用の問題などあるので、女性のほうが日本でムスリムでいることの難易度は高いと分かるのだが、もう少し日本人男性ムスリムの事情についても知りたかった。
また日本の中でのムスリムの問題についての本であるから、彼らの信仰に関する内面的なインタビューは少なく、そこが気になる。(著者の言うようにその辺はデリケートな問題なので大きなお世話かもしれないが) -
やー、昨日、別の本を買いに本屋に行ったらたまたまこの本の題名が目に止まり、手にとってみたらなんだか面白そうで。。図書館で借りることも考えたんだけど、新刊っぽかったし、借りる人がたくさんいたらいつ読めるか分かんないしなーと思って買ってしまった(汗)
なかなか面白かったです。一気に読んじゃったけど。イスラム教のことも知らなければならないって思いはもちろんあるから、今後もいろんな本は読みたいし、できればイスラム教の人にも話を聞きたいと思いつつ、でも、わたしの中に「イスラム教徒の人は同性愛者のことをどう思っているんだろう」という恐怖心があるのでちょっと近づくのが怖い気がする(イスラム教徒の中にもいろんな人がいることは分かるし、そのことはこの本を読んでさらに明確にはなったけれども)。それと宗教施設の見学だって女の人は髪の毛隠さないといけないようだったので「あー、これは自分には無理だな」って思ってしまったことも事実。
でも本自体は面白かったです。日本でイスラム教徒として生きていくことについて、厳しいところもある反面、割と寛容なところもあるんだなと思ったりして。わたし割と最近「無宗教」を厳格に生きてるんだけど、この日本で「無宗教を厳格に生きる」って結構めんどくさいことが多いのです。わたしが「困ったな」って思ってることがかなり似てて面白かった。 -
書名通り、日本で暮らすイスラム教徒の実態を追ったノンフィクション。
イスラム教に自ら入信した日本人がそれなりにいることに驚く。
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