中野京子と読み解く名画の謎 対決篇

  • 文藝春秋 (2015年7月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784163903088

作品紹介・あらすじ

横たわる美女、片や絶讃、片や大スキャンダル!?



同様の題材や図柄なのに、その意味や世の評価は時に正反対。人気シリーズ第4弾は様々な観点から2点の絵を対決、真相を紐解きます。

みんなの感想まとめ

様々な名画を対決形式で比較し、その背景や評価の違いを明らかにする本作は、アートの魅力を新たな視点で楽しむことができます。特に、同じテーマを持つ作品同士の対比が印象的で、ルノワールとピカソの「ムーラン・...

感想・レビュー・書評

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  • メモ
    エドワード・ホッパー「ナイトホークス」
    ルノアール「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」
    あり

  • 1つのテーマに合わした2つの作品を比較した紹介が面白い。
    中でもルノワールとピカソの描いた「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」が、主題が全く同じであるため、画家の個性と時代性の違いが如実に出てて、比較の面白さが際立ってた。

    著者の言葉のセンスが抜群に光ってて良い。
    ミレイ作「オフィーリア」の、水辺に浮かぶオフィーリアの掌を「さながら1つの美しい花のよう」と表現したのが、感性が美しすぎてびっくりした。
    別の作品だとジェリコー作「メデュース号の筏」という作品の、現実そのものではない表現についてを、映画になぞらえて「観客を二時間もの間スクリーンに釘付けにするには(略)いかにもリアルに見せかけた華がなければならない。」という解説文に存外の驚きと納得があった。
    あと個人的に著者がピエト・モンドリアンについて取り上げてくれてるのが嬉しかった。

  • 二つの作品を対比して、比べることで見えてくる意外な発見を楽しむ趣向の著作。

    まず、表紙からして目を引く。左側はオーストリア=ハンガリー帝国皇后エリザベート。右はフランス皇妃ウージェニー。同じ画家が描いた肖像画だけに、絵の質に差がないと仮定すれば、妃個人の資質が描き出されるのか。しかし儚げに見えるウージェニーはエピソードから見れば、理知に長けていて、時に冷酷だ。エリザベートの義弟マクシミリアンの銃殺にフランスが関わっていることから、対面した二人であるが、対面の機会が機会であるだけに、親密にはなれなかっただろう。
    中野京子さん著作でよく取り上げられる、「メデュース号の筏」。この怖いもの見たさから惹きつけられる作品がハリウッドのパニック&サスペンス映画につながる、とは「なるほど」と思った。ジェリコーが「メデュース号の筏」を描くために、死体を何枚もスケッチした、という話は知っていたが、ハリウッドにつながるとは、それまでは怖いもの見たさの作品がなかったのだろうか。これに対比されているのが「ワトソンと鮫」コプリー作。この絵も別の中野京子さん著作で見たことがある。やはり私もジェリコーの方が画力があるなあ、と感じる。どちらの作品も絵が描かれたエピソード込みで知られるようになったのは共通している。

    19「飲んだくれ」の章。どちらも初見の絵画だった。私も酒を飲むが嗜む程度である。この章で取り上げられているのが、ドガ「カフェにて」とレーピン「作曲家モデスト・ムソルグスキーの肖像」。ドガは印象派でレーピンはロシア・リアリズムの巨匠。作風が全く違うけれど、どちらにも哀しみが漂っている。「カフェにて」に描かれる男女、特に女性の諦めのような表情。目の前にはアブサンという酒。このような境遇の女性がこの頃には星の数ほどいたことだろう。飲まなきゃやってられない。そんな気持ちだろうか。この当時のアブサンは幻覚作用があったらしく、20世紀には欧米のほとんどで製造販売が禁止される。再び解禁されたが、それは以前のアブサンとは違う。ゴッホが耳を切り落としたときにアブサンを飲んでいたというのは知らなかった。このような境遇の女性の先行きを考えると暗澹たる気持ちになる。例えそれが、過去の出来事であっても。「ムソルグスキーの肖像」はムソルグスキーの音楽が理解されなかった、時代を考えると悲しい。農奴解放令で突然に経済状況が悪化、母の死、アルコールへの逃避。「展覧会の絵」や「はげ山の一夜」をたくさんの人が評価するのはもっと後のことだけれど、天才レーピンはムソルグスキーの才能を当時から高く評価していたという。自らの埋葬費用がないムソルグスキーのために肖像画を描き、売ってそれに当てるのが目的だったという。ムソルグスキーの才能が分かっていれば分かっているほど、レーピンは辛く悲しい絵画だっただろう。

    知っている絵もあれば、まだまだ知らない絵もある。とても面白かった。

  • 対決と言う所は、イマイチピンときませんでしてが、名画の解説と言うところでは読み易い一冊。

  • とっても楽しく読めました!
    モンドリアンのブロードウェイブギウギの、ブギウギはダンスの種類だというのがびっくり!
    モンドリアンはオランダ出身で、60過ぎてからニューヨークに移り、その華やかさが大好きになったそう!

  • 「怖い絵展」とかをやっている
    有名な人ですよね。
    絵画をそのような斬新な切り口で
    紹介してもらい、
    実際に平易な文章なので、
    読みやすかったです。
    でも、
    「対決」となると、
    もっと対決感を期待してしまった。

  • レーピンは中野京子の本で知った画家だ。今回も、目を引くなと思った絵画はレーピン作だった。眼光鋭いモデスト・ムソルグスキーの肖像。レーピンは人間の中の不条理を好んで描いたように思う。

    美男対決も見応えあり。

  • 実物が観たくなった。

  • 怖い絵とは違った名画を対比して語る一作。
    大変面白かったです。
    別の著作にも紹介されていた作品もありましたが(オフィーリアは3回目!)それでも面白かったです。

  • 生涯堅実で光り輝く人生だったルーベンスと、裕福な妻の死から人生が上手くいかなくなった浪費家のレンブラント。
    2人の夫婦の肖像画が印象的。
    ルーベンスは木陰の思慮深く互いを思いやる夫婦といった雰囲気。
    レンブラントの酒場での妻との絵はなんとも陽気な酒飲みおじさん、という感じ。

  • 一見固い文章だけど、熱くて作品にも作者にも愛が溢れてる。今回はいつもよりちょっと砕けてる感じがさらに面白かった。同じ主題の作品を比べつつ、モデルの人生や神話、映画についての多様な知識。オフィーリアの周りに浮かんでいる花にまで意味があるなんてっ!死、叶わぬ恋、悲しみ、貞潔、無邪気…三島由紀夫が衝撃を受けた聖セバスティアヌスの殉教。三島が同じポーズで写真に残したことをチクリと皮肉っている。

  • まだまだ観たい絵がいっぱいあるなぁ。

  • 名画を対決させるというのも、おもしろい視点だと思いました。比較させた名画の解説を読んでいるうちに、名画の見方や注目ポイントがわかってきて、楽しく学べた。

  • 2016.11.24 朝活読書サロンにて真珠子さん紹介。

  • 対決と言っても、決闘に絡んだ絵画などではなく、二作品を比べることで見えてくる意外な発見を楽しもうという趣向。

    別々の画家が描くパリのダンス場や、同じ画家による二人の王妃など、なかなか見応えのある「対決」で面白く読めた。照らし合わせることでクローズアップされるモチーフの違い、それが意味する聖書や神話に関する逸話など、雑学の興味深さも前作同様に楽しめる。

    「天使」と「キューピッド」って全くの別物だったのね。由来からして違うし、しかも階級まであるとは! 驚きでした。

  • 中野京子さんの本に会うまでは、
    海外旅行はあきらめていたのですが、
    繰り返し読むうちにどうしてもヨーロッパに行きたくなり、
    ついに何カ国か訪れ、美術館にも行きました。

    この本の中で、ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』やミレイ『オフィーリア』など
    来日して見られた作品もありますが
    いくつか、ウィーン、パリ、フィレンツェ、ローマで見られたこと、
    そしてエクサンプロバンスやアルルの町などを味わえたのも
    嬉しい経験でした。

    ほんとうに中野京子さんのおかげです。
    ありがとうございます。

    そうそう、思い出したのはクリムト『接吻』
    ウィーンで地元の小学生が社会見学にきていて、
    『接吻』ぬり絵をしていましたのが記憶にのこっています。

    子ども達はどんな気持ちで
    ぬり絵をしていたのでしょうか…。

    この本についていえば、
    「二作品を比べ、比べることで見えてくる意外な発見を愉しもうという趣向です」

    今回も中野京子さんにたくさんのことを教えていただける本でした。

    特に印象にのこったのは、
    『ルーベンスとイザベラ』
    ルーベンスの多くの絵にあるような、
    妙に贅肉が踊っているのとはちがって
    穏やかなで平和な夫婦の肖像。
    理想です。

    そしてもう一つ、現在ワイドショーを騒がせている
    寝屋川の事件。

    02の昼の顔夜の顔
    寝屋川商店街の様子と重なりました。
    同じ場所でも、昼と夜は大違いなのです。

    そして、もうひとつ、前から気になっていたのですが、
    中野京子さんの『タケへ』
    タケって誰なのかしら?



    http://nagisa20080402.blog27.fc2.com/blog-entry-369.html

  • 今回は二つの作品を比べるという趣旨。こういうのも面白かった。
    王妃対決は美しかったし、男の美貌も素敵だったし、映画を彩る絵は映画を観たくなる。(シャッターアイランドは見たことあるけど、絵の事は記憶に無い…)
    そしてこのシリーズは絵がカラーで大きく掲載されていて中野京子さんの解説がとてもわかりやすいから好きです。

  • なんとなく書棚を眺めて見つけた一冊。
    北海道生まれ、作家、ドイツ文学者。
    西洋の歴史や芸術に関する広範な知識をもとに
    絵画エッセイや歴史解説書を多数発表。。。

    同じ題名のシリーズ4段目、一番新しいものを。

    同じテーマや、同じようなシチュエーションの題材を
    二つあげて、その絵の中の秘密を暴く。
    画家の背景や、人となり、当時の状況などを
    詳しく解説。なかなか面白い本でした。
    シリーズ化してるのもうなづけます。

  • 《教員オススメ本》
    通常の配架場所:教員おすすめ図書コーナー(1階)
    請求記号:723//N39
    【選書理由・おすすめコメント】
    西洋絵画を見ても、キリスト教やギリシャ神話などに関する知識がないので、何の場面が描かれているのかさぱりわからない。そんな貴方の頼もしい指南役となる本シリーズ。とにかくわかりやすくて滅法面白い。これを読んでぜひ美術館に足を運んでください。(経済・小山真理子先生)

  • 読書記録です。

    兵庫県立美術館で「怖い絵」が始まる前に、イッキ読みしました。この手の本のレビューにはいつも書くんですが、美術品を鑑定する美女が出る某漫画を読んでから、美術館で絵を観るようになって、著者の本でさらに観るおもしろさを知りました。
    対決する「タイトル」と「サブタイトル」がおもしろい!
    そういう観点で並べて観るっていうのは、研究者の視線であってパンピーには思いつかないもんね。
    01の「死んでもいい」がいきなり刺激的すぎる!
    08の「映画を彩る絵」は、そういうふうにモチーフを入れることで作品の内容をほんのりリードするって、知ってたら観る楽しみも増えるんだろうなぁ。観たいなぁと興味がわきました。

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著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中野京子の作品

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